弁護士費用特約の使い方|メリット、デメリット、必要か不要か解説【2024年版】

  • 弁護士費用特約って、人身事故でよく聞くけど何についてるの?
  • 追突事故などの過失ゼロの場合は弁護士特約って大事なの?
  • 弁護士費用特約を使うにはどうすればよいの?いらないの?使い方は?

この記事では、交通事故被害者にとって極めて重要な「弁護士費用特約」について、その利用方法、メリットとデメリットなどを簡潔に説明します。

通常、人身事故にまきこまれた際に、弁護士を雇うと費用がかかります。

しかし、弁護士費用特約を利用すると、弁護士の料金や成功報酬などの支出を軽減でき、弁護士を安心して依頼できます。

今回は、X(旧Twitter)やYahoo!知恵袋、ブログなどで話題の、交通事故被害者にとって肝心な「弁護士費用特約」に関する基本的な理解、デメリット、使い方、その必要かどうか、追突事故の場合はどうなるのか、弁護士の協力によるメリット、タイミングも具体的に説明しており、ぜひ参考にしてください。

弁護士費用特約とは?

弁護士費用特約とは

弁護士費用特約とは、交通事故などで弁護士が必要になったときに、限度額までは保険会社が弁護士費用を負担してくれる内容の保険の特約です。

上限の限度額は、だいたい300万円に設定されていることが多いです。

交通事故の任意保険や傷害保険にオプションとして付帯することができます。

弁護士費用特約は、正式には「弁護士費用等補償特約」、略して「弁特」や「弁護士特約」などとも呼ばれることもあります。

追突事故なら弁護士費用特約は必要?いらない?

前述の通り、自分で弁護士を雇う場合、高額な弁護士費用がかかる可能性があります。

そのため、「弁護士特約はいらない」と一概には言えず、多くの人にとっては必要なオプションと言えるでしょう。

特に「追突事故」や「もらい事故」など、過失割合が10対0(100%対0%)の事故被害がポイントです。

追突事故などで多い過失割合ゼロになるときが多いのですが、この場合、自分の保険会社の「示談交渉代行」サービスを利用できないからです。

言い換えれば、被害者自身が示談を交渉しなければならず、これは被害者にとって非常に負担がかかることです。積極的に追突事故の弁護士特約を利用して、弁護士に依頼することを検討すべきと言えます。

人身事故での弁護士費用特約の使い方

人身の追突事故などでの弁護士費用特約の使い方自体はとても簡単です。

弁護士への依頼までの流れ

追突事故で弁護士に依頼するまでの流れは次のとおりです。

  1. 事前に自分が加入している保険会社に弁護士費用特約を利用したい旨を伝え、同意を得る
  2. 保険会社から手続きの詳細について説明を受ける
  3. 弁護士に依頼する

使い方はこれだけです。

しかし、以下で解説するとおり、使い方で知っておくべきことが何点かあります。

なお、手続き中に保険会社から「弁護士費用特約を使ってみても意味が無い」などと言われた場合には、以下の記事を参考にしてみてください。

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弁護士費用特約の使い方で知っておくべきこと

弁護士は自分で選べる

弁護士費用特約を利用する際、保険会社から弁護士を紹介されるのが一般的ですが、契約者自身が弁護士を指定することもできます。

弁護士選びは非常に重要な決断です。

なぜなら、弁護士の能力や専門分野によって、事案の解決に大きな違いが出てくるからです。交渉力に長けた弁護士なら、示談交渉で高額の慰謝金を獲得できるかもしれません。そのため、できれば自身の事案に精通し、実績のある弁護士を選ぶことが賢明です。

例えば、交通事故専門の弁護士なら、過去の事例から適切な示談金の水準を心得ています。医療過誤の弁護士なら、高度な医学知識をもとに的確な主張ができるでしょう。

交通事故に強い弁護士などを掲載するサイトで情報を収集するほか、実際に無料相談を受けてみて、弁護士の人柄や対応をじっくり見極めるのも一案です。

弁護士変更も可能

状況によっては弁護士を変更することが賢明な選択になる場合があります。

弁護士と依頼者の相性が悪く、信頼関係が構築できないケースがあります。弁護士の対応に不満があったり、適切なアドバイスが得られない場合など、様々な理由が考えられます。そういった場合に、無理に同じ弁護士に頼み続けるよりも、弁護士を変更した方が賢明でしょう。

また、弁護士の専門分野や強みが、実際の事案に合っていないことも弁護士変更の理由になります。例えば、交渉が得意な弁護士を選んだつもりが、実際は書面作成が本領だと分かった場合など、専門外の事案を任せていては十分な力が発揮できません。

そんなときこそ、弁護士費用特約を有効に活用できるという点を理解しておきましょう。

弁護士費用特約を使っても、翌年から等級はダウンしない

弁護士費用特約を利用しても、翌年以降の保険等級がダウンすることはありません。この点は大きなメリットといえます。

弁護士特約は、事故の被害者救済やトラブル解決の手段として大変有効ですが、保険会社の負担増にもつながるのですが、それにも関わらず、等級ダウンのリスクがないのです。

このように、事故の被害者であれば、気兼ねなく利用できる特約といえるでしょう。安心して最大限活用することで、適切な解決に向けて取り組めます。

家族が加入している弁護士費用特約も利用できる

自分が弁護士費用特約に加入していなくても、あきらめる必要ありません。

弁護士費用特約は、家族が契約していれば利用できます。使い方はご自身が契約している場合と同じです。

タクシーに乗っているときに事故に遭った場合なども契約者のご家族として適用範囲に含まれます。

但し、家族の弁護士費用特約を使う場合、同居か、別居かで、弁護士費用特約が使える範囲が異なります。下記の記事で使い方について参考にしてください。

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火災保険、医療保険、クレジットカードに付いている

弁護士費用特約が自動車保険以外にも付帯していることは意外に知られていないかもしれません。

まず、火災保険や医療保険にも同様の特約がついていることがあります。トラブルに備え、弁護士への相談や着手金の補償が受けられるケースがあります。

さらに、クレジットカード付帯の保険サービスにも、弁護士費用特約が組み込まれていることがあります。

これらの特約では、交通事故問題への対応も含まれることがあります。任意自動車保険の場合と同様、事故の示談交渉や損害賠償請求の手続きに弁護士を活用できる可能性があります。

ただし、各保険の弁護士費用特約には細かな規定や制約、手続きの違いがあるため、その点には十分注意が必要です。

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途中加入も可能

「契約」の途中でも、弁護士費用特約を追加することができます。

現在、弁護士費用特約をつけていない方は、被害に遭うことに備えて、特約を追加することを検討してみてはいかがでしょうか。

弁護士費用特約をつけることができる任意保険会社には、以下があります。

あいおいニッセイ同和損保、アクサダイレクト、アメリカンホーム・ダイレクト、損保ジャパン、イーデザイン損保、エース保険、SBI損保、セコム損保、ゼネラリ、ソニー損保、チューリッヒ、三井ダイレクト、三井住友海上火災保険、全労済、共栄火災、富士火災、そんぽ24、日新火災、日本興亜損保、東京海上日動、AIU、損害保険ジャパン、朝日火災、セゾン、リビングプロテクト総合保険、JA共済

弁護士費用特約の注意点|使えないケース

ただし、使い方の上で注意しなければならないのは、弁護士費用特約が使えない場合があるということです。

弁護士費用特約の約款には、使えないケースについて細かく記載されています。

以下のようなケースでは、弁護士費用特約の利用はできません。

  •  被保険者の故意または極めて重大な過失に起因する損害
  •  車検証に「事業用」と記載されている自動車を運転している場合に発生した事故(業務中の事故)
  •  地震、噴火、津波によって生じた被害事故
  •  無資格運転、酒気帯び運転または麻薬等により正常な運転ができないおそれのある状態で生じた被害事故
  •  被保険者が自動車修理業など自動車を取り扱う仕事に従事しており、その業務として受諾した被保険自動車に搭乗中に発生した被害事故

ただ、上記で「被保険者の故意または極めて重大な過失に起因する損害」とありますが、被害者側に少しでも過失がある場合は、弁護士費用特約を利用できないのでしょうか?

いえ、利用できないのは、被害者に重大な過失や故意がある場合に限られ、たとえ被害者の過失が1割や2割の事故であっても、弁護士費用特約を使うことはできます。

諦める必要はありません。

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弁護士費用特約のメリット

弁護士費用特約のメリットをご紹介します。

弁護士費用倒れ・成功報酬の支払い等の心配なし

1つ目のメリットとして、弁護士費用特約があれば費用倒れの心配なく弁護士に相談・依頼できることが挙げられます。

弁護士費用特約の限度額は通常300万円なので、小さな事故で弁護士に依頼しても、費用倒れになることはまずありません。

また、通常支払う「成功報酬」についても300万以内におさまれば支払う必要はありません。

弁護士費用については保険会社に支払をしてもらい、回収できた賠償金については全額被害者自身が受け取ることができるので、大きなメリットがあります。

示談金、慰謝料額のアップ、早期解決が期待できる

2つ目のメリットとして、弁護士に依頼することで「賠償額のアップ」が期待できることが挙げられます。

交通事故の賠償金の計算基準には自賠責基準と任意保険基準、弁護士・裁判基準の3種類がありますが、このうち弁護士・裁判基準を使うと最も賠償金が高額になり、他の基準に比べて2倍以上になることもあります

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また、弁護士費用特約を使って弁護士に依頼すると、過失割合でも有利に示談を進められる可能性があり、後遺障害等級認定も適切にすすめることができるので、やはり賠償金のアップにつながります。

以上のように、弁護士費用特約を使って弁護士に示談交渉を依頼すると、賠償額がアップする上に事件の速やかな解決が期待できるといった効果があります。

被害者が直接示談交渉を行うストレスから解放される

3つ目のメリットとしては、弁護士費用特約を使って弁護士に示談交渉を依頼すると、被害者が自分で示談交渉しなくても良くなることが挙げらます。

交通事故被害者は、ただでさえ身体的、精神的に大きな負担を負っており、示談交渉まで自分でしないといけないとなると、多大なストレスがかかります。

しかし、弁護士費用特約を使って弁護士に示談交渉を任せてしまえば、このようなストレスからは解放され、交通事故で怪我をしたならその治療に専念することも可能になります。

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弁護士費用特約のデメリット

弁護士費用特約には以下のようなデメリットがあります。

保険料の上昇あり

弁護士費用特約を付帯すると保険料が上がります。

月々100円程度の値上がりが一般的ですが、保険会社や補償内容によって異なります。保険料の負担増は確かにデメリットと言えます。

補償の範囲が限定的な可能性。

弁護士費用特約では、補償される事由や弁護士費用の上限額が設定されています。例えば、補償対象が交通事故に限定されていたり、弁護士費用の上限があるなどです。

このように、ケースによっては十分な補償が受けられない可能性があるのは事実ですが、概ね多くのケースでは、弁護士特約を利用すると弁護士費用が無料になることは事実です。

弁護士費用特約の利用に詳しい弁護士に相談

弁護士費用特約について知りたい場合や、実際に弁護士費用特約を利用して弁護士に依頼したい場合には、交通事故に強い弁護士に相談すると、適切なアドバイスを受けることができます。

当サイトで掲載している、交通事故事件に積極的に取り組んでいる法律事務所が提供している無料相談サービスを利用してみましょう。

交通事故問題に強い弁護士なら、弁護士費用特約の取り扱いがありますし、その内容やシステムについてもわかりやすく説明をしてくれます

弁護士特約のある保険会社とは

弁護士特約のオプションが用意されている保険会社は非常にたくさんあります。

従来の店舗販売の保険会社、ネット保険、共済など、どのような業態の保険にも弁護士特約があります。

以下で一例を示します。

あいおいニッセイ同和損保、アクサダイレクト、アメリカンホーム・ダイレクト、損保ジャパン、イーデザイン損保、エース保険、SBI損保、セコム損保、ゼネラリ、ソニー損保、チューリッヒ、三井ダイレクト、三井住友海上火災保険、全労済、共栄火災、富士火災、そんぽ24、日新火災、日本興亜損保、東京海上日動、AIU、損害保険ジャパン、朝日火災、セゾン、リビングプロテクト総合保険、JA共済

上記は一例であり、ここに記載のない保険や共済についていることもあります。お知りになりたい方は、ご自身の保険や共済組合に確認してみてください。

また弁護士特約の細かい内容(適用条件など)は、各保険会社によって多少異なるケースもあります。

まとめ

同記事では、X(旧Twitter)、ブログやYahoo!知恵袋などで話題となっている、交通事故の損害保険に一般的に含まれる「弁護士費用特約」(または「弁護士費用等補償特約」)の使い方や利点・欠点、その必要性や不要性、そしてどのような事項がカバーされるかについて解説しました。

過失が全くない「過失割合10対0(100%対0%)」の事故、たとえば追突事故などに巻き込まれた場合、弁護士費用特約を用いて交通事故に詳しい弁護士に相談することで、適切な方法で賠償金を受け取ることができるようになります。

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本記事は交通事故弁護士カフェを運営するエファタ株式会社の編集部が執筆・監修を行いました。
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