高速道路上で交通事故の過失割合!一般道と何が違う?
高速道路上で交通事故が発生した場合、過失割合の考え方は一般道の場合と比べてどのような違いや特徴があるのでしょうか。
今回は、高速道路を管轄する「ネクスコ東日本」が、過去の統計データから高速道路上で特に注意すべき事故として公表している交通事故の中から、3つの事故類型について検証してみたいと思います。
目次
高速道路上の過失割合に関する3つのポイント
高速道路は一般道のときと比べて次の点が異なります。
2:高速道路は原則として「駐停車禁止」のため、停まっていることに対する見方が厳しく、追突された場合でも過失相殺される可能性がある。
3:合流地点での接触事故は、原則として「合流車側の過失が70」と重くなる。
それでは細かく見ていきましょう。
人対車の人身事故は、人の過失が重くなる
通常、高速道路上は人の侵入が禁止されていますから、本来であれば人が高速道路上を歩いていることはないはずです。けれども実際は高速道路上において人対車の接触事故が頻繁に発生しています。高速道路上で発生する人対車の事故は大きく分けて次の2通りあり、これらの状況下で人が車と接触した場合、過失割合は次のようになります。
1:人が高速道路に迷い込んでしまう。
高速道路に人が迷い込んだケースにおいて、人対車の接触事故が発生した場合の基本過失割合は「人80:車20」です。
仮に一般道の人対車の交通事故の場合は、横断歩道上の事故であれば歩行者側の過失は原則0となりますが、横断歩道以外の場所の場合は10~20の過失が歩行者側につきます。一般道での事故は、車側の過失が高く評価される傾向にありますが、高速道路上の場合はもともと人がいないはずのエリアのため、人側の過失が一般道よりも非常に重くなる傾向にあります。
2:事故、ガス欠、エンジントラブル、パンクなどで停車中の車から高速道路上に出てしまう。
高速道路上で何らかの車両トラブルが生じてしまい、停車中の車から降車しなければならない状況下において、降車した人が後続車両にはねられてしまった場合の基本過失割合は「人40対車60」です。ただし、この場合も、車から降りた理由や実際に車にはねられた場所が、停車位置からどの程度離れていたのかなどによっても過失割合が変わってきます。(車から離れるほど過失がつきやすくなる)
いずれにしても、高速道路上では一般道に比べて人側の過失割合が重くなりますので、やむを得ず車から降りる場合は十分に注意しましょう。
追突事故は追突された側の過失が重く見られる傾向に
高速道路上では原則として止まってはならないとされていますが、渋滞している場合や何らかのトラブルで路肩に停車している場合があります。この際に後ろから追突された場合、過失割合はどうなるのでしょうか。
高速道路上の原則
高速道路と一般道との違いは、原則として停まってはならないということです。一般道であれば、停車中の車に後ろから追突すれば追突した車が100%悪いということになりますが、高速道路上の場合は原則として停まってはならないため、停まっているという時点で過失がつく可能性があります。
1:渋滞中の停車
この場合は停車せざるをえないため、渋滞の最後尾にいて追突された場合は、追突した側に100の過失がつくでしょう。
2:その他の理由による停車
何らかの理由により高速道路上で車を停車させていて追突された場合、過失割合の判定には以下のような要素が影響します。
・停止表示器材の設置の有無
これらについて停車していた側に落ち度があれば、過失割合はゼロとはならず一定の過失がつくこととなります。
高速道路上の追突事故による過失割合の具体例
1:本線駐停車中の車に追突した場合
駐停車に過失がある場合 | 追突車60:駐停車40 |
駐停車に過失がない場合 | 追突者80:駐停車20 |
駐停車が停止表示器材を設置していた場合 | 追突者100:駐停車0 |
2:路側帯に駐停車していた場合
追突者100:駐停車0
3:高速道路走行中の急ブレーキ
理由のない急ブレーキの場合
追突車50:被追突車50
また、追い越し車線で急ブレーキを踏んだ場合はさらに被追突車の過失が10程度重くなります。
反対に追突車にスピード違反などがあれば、追突車の過失が重くなります。
高速道路の車線変更による追突事故の過失割合
割り込み事故の過失割合の基本的な考え方
高速道路における、割り込み事故の基本過失割合は次のようになります。
1:進入路からの割り込み
車線変更と同じ過失割合が適用される事故類型として、高速道路の合流があります。高速道路に加速しながら進入を試みる車と、本線車線を走行している車のタイミングが合わず接触してしまった場合はどうなるのでしょうか?
車線変更車70:直進車30
車線変更の場合も、高速道路の合流の割り込み事故も、それぞれ直進している方に優先権があります。そして車線変更したり、合流してくる車はそこに「入らせていただく」立場です。ですから、相手よりもより一層注意を払い、車同士の接触事故が起きないようなドライビングを心がけるべきでしょう。
2:追越し車線からの割り込み
車線変更車70:直進車30
3:追越し車線への割り込み
車線変更車80:直進車20
このように、割り込み事故の場合は最低でも2割程度の過失割合が割り込まれた側である被害者側にもついてしまう可能性が高いのです。
車線変更で被害者過失が1割で済むケース
車線変更で過失割合が1割で済んだケースもある?
「でも、私の聞いた話だと、過失割合が1割で済んだケースもあると聞いたのですが」
はい、基本過失割合を切り崩すのは簡単ではありませんが、もちろん不可能な事でもありません。
例えば割り込み車両に具体的にどのような落ち度があったのかを主張立証することで、被害者側の過失割合を抑える事も可能です。例えば、割り込み車両にわき見運転や速度違反、酒気帯び運転などの過失が認められれば、この基本過失割合から一定割合を修正する事も可能です。
たかが1割と思うかもしれませんが、損害賠償総額が多額になれば、1割違うだけで、賠償金に100万円単位で差が生じることもあるため、非常に重要な問題なのです。
直進車が過失ゼロになることはすくない?
相手が突然車線変更をしてきた場合でも、過失がゼロになることはほとんどありません。なぜなら、すでに説明したようにドライバーには常に前方注意義務が課せられているからで、前方注意義務を十分に果たしていれば避けられた可能性がある事故では一定の過失が認められてしまうのです。
わかりやすくいうと、ドライバーには常に「かもしれない運転」をする義務があるということになります。「すぐ隣りに自分の車がいるのだから、まさかウィンカーも点灯させずに車線変更をしてくることはないだろう」とった「だろう運転」は事故の原因になります。「急に車線変更してくるかもしれない」というように、起こりうるさまざまな状況を予測しながら、事故が起きないように十分に注意を払わなければいけないのです。
まとめ
高速道路と一般道での過失割合の違いに関してみていきましたがいかがでしょうか?
過失割合に関して、もめることがあり、必ずしも納得できるケースではありません。人身事故で怪我や骨折、鞭打ち、打撲をした上、納得がいかない過失割合を保険会社から提示されている場合、被害者の方を助けてくれるのは弁護士しかありません。
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