交通事故の裁判例・判例を検索するメリットと調べ方
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交通事故が、刑事事件となり起訴されれば、刑事裁判となります。誰しも交通事故で起訴されるとは予期せぬことでしょう。
そこで今回は、交通事故でも問題になる刑事裁判の流れと費用、期間について解説します。
目次
刑事裁判とは「犯罪」を犯した疑いのある人物について、有罪か無罪か、有罪であれば刑罰の内容や軽重について決定する裁判です。
ただし、全ての交通事故の加害者が犯罪を犯すわけではなく、そのため全ての人が刑事裁判を受けるわけではありません。
加害者の刑事責任は、被害者に対する民事上の損害賠償責任とは別個のものです。
そのため、加害者は、被害者に対する損害賠償のために「示談」も行わなければなりません。
交通事故の裁判は、起訴から1ヶ月半程度で開かれることが多くなっています。
加害者が全面的に起訴された罪状を認めていれば、第1回公判で、上記の手続きが行われ、第2回公判で判決が言い渡されることになることが多いです。
ただし、加害者が罪状について争っている場合には、公判が増え、裁判に費やされる期間は長くなっていきます。
では、交通事故で刑事事件となった場合には、どのような流れで処理されるのでしょうか?
まずは、警察によって実況見分を行い「実況見分調書の作成」を行います。
つまり、事故の当日又は後日に、警察は、当事者の立会の下で、事故現場の状況や事故車両の位置関係などを検証します。
また、事故関係者の供述を基に「供述調書」を作成します。
加害者に逃走や証拠隠滅のおそれがあれば、逮捕・拘留される可能性もあります。
以下のような流れで進みます。
つまり、起訴まで、少なくとも13日間、最長で23日間留置場・拘置所で拘留されることになります。
事故後に逮捕されない「在宅事件」となる場合があります。
警察が実況見分調書や被害者・加害者の供述調書、目撃者の供述調書などを検察に書類送検します。
その後、加害者に対して検察からの呼び出しがあります。
検察が加害者を呼び出す理由には、取り調べと略式罰金の承諾書にサインをさせるためこの2つの目的があります。どちらの理由かは、行ってみるまでわかりません。
取り調べが終了すると、検察官は、起訴・不起訴の判断をします。
検察が起訴を決める際には、略式起訴にするのか公判請求をして正式裁判にするのかも判断しなければなりません。
略式起訴には、100万円以下の罰金又は科料を科しうる事件であることと被疑者の同意が必要になります。
一方で、検察が公判請求をすると、正式な裁判に持ち込まれます。
交通事故の刑事裁判の手続きはどのような流れで行われ、どれくらいの期間を要し、どれくらいの費用がかかるのでしょうか?
刑事裁判は、一般的には、以下の流れで進みます。
刑事裁判は、公開の法廷で行われることになります。まずは、その流れについてみてみましょう。
「冒頭手続き」では、問題となる事件と、その事件について被疑者の罪の認否について確認をします。
刑事裁判が起こると、まずは第一回期日が指定されます。
まず、裁判官から起訴状に記載された人物と裁判に出廷した被告人が同じ者に間違いないか被告人に対して人定質問を行い、その後、検察官によるこれから立証する公訴事実についての起訴状の朗読が行われます。
その後、裁判官が被告人に対して起訴状の内容を認めるかどうかを聞く罪状認否で、被告人には、「認めます」、「やっていません」といった包括的な解答が求められます。
冒頭手続きで確認した事件について審理するために行われるのが「証拠調べ手続き」です。
まず、検察官と弁護士は、それぞれ取り調べすべきと考える証拠を裁判所に請求し、裁判所は、双方から意見を聞いて証拠調べをするかどうかを判断します。
証拠調べは、通常、検察側の証拠から行われ、その後、弁護側の証拠を調べます。
証拠調べの後、証人に対する尋問が行われます。
最後に被告人質問があり、弁護人、検察官、裁判官の順で事件などについて被告人に質問します。
証拠調べ手続きの後、「検察」が被告人が有罪であることが立証された旨や、それに伴い被告人に科すべき罪とその重さについて「意見陳述」を行います。
検察の論告・求刑の後には、弁護人も意見陳述をすることができます。
すべての手続き後、裁判官は、被告人にも意見陳述をする機会を与えます。
その後、裁判官は、判決を言い渡す期日を定め、裁判は閉廷します。
裁判官は公開の法廷で、被告人が在廷の下で判決を言い渡します。
判決は、「主文」と「理由」に分けることができ、「主文」では、被告人が有罪か無罪か、有罪であれば、刑罰と量刑について、「理由」では、裁判所がその結論に至った理由について述べられます。
判決が送達された日の翌日から14日は、検察・被告人いずれからも判決に対して不服申し立てをすることができます。
この期間内に不服申し立てがなければ、判決は確定し、その内容に従って罰金刑なら支払をし、禁錮刑や懲役刑なら、執行猶予がつかない限り、収監されて刑務所に送られます。
無罪判決であれば、裁判費用を負担することはありません。
しかし、有罪判決の場合は、裁判費用の一部または全部を負担しなければならない可能性があります。
裁判所が、裁判費用を有罪となった加害者に請求する際には「判決の中で」その旨言い渡しをします。
裁判費用とは、具体的に次の費用を指します(刑事訴訟費用等に関する法律2条)。
上記の費用は、裁判所が一時立て替えて支払っているため、有罪となった被告人に負担させる場合には、裁判所が請求することになるのです。
つまり、裁判に証人や鑑定人などの出廷が必要なければ、有罪判決を受けた被告人が負担する可能性があるのは、弁護士費用だけということになります。
また、加害者が、判決に不服があり控訴・上告する場合であっても、控訴・上告自体には費用はかかりません。
交通事故の刑事事件に限らず、日本の刑事裁判では、有罪になる確率がとても高く、その理由は、検察が有罪にできる見込みがない事案は不起訴にしてしまうからだとも言われます。
交通事故が刑事裁判となった場合に、検察の主張を覆すことは、ほとんど困難でしょう。
刑事裁判では、過去の裁判例をベースに判決が下されます。
加害者は、よく似た事故の裁判判例を見つけることができれば、自分の量刑がどの程度になるか、ある程度予測できると言ってもいいでしょう。
加害者が被害者との「示談」を刑事処分がされる前に成立させていれば、下記のようメリットがあります。
このような影響から、刑事事件になった場合に加害者は、自分の刑事処分が下されるまでに被害者との示談をまとめる必要があります。
今回は、交通事故でも問題になる刑事処分の手続きについて解説しました。
交通事故では、誰しも加害者になる可能性があります。今回の記事が参考になれば幸いです。