ドライブレコーダーの裁判における証拠能力と証拠に使う場合の注意点

ドライブレコーダー

交通事故に遭った場合には、事故の態様などについて当事者の主張に食い違いが起こることが多く、証拠が重要です。

近年では、ドライブレコーダーを搭載した車が増えており、交通事故の証拠に使われるケースもあります。

そもそもドライブレコーダーとはどのようなもので、どの程度交通事故の証拠に使うことが出来るのでしょうか?たとえば裁判で、ドライブレコーダーが証拠として利用出来るかなどが問題になります。

そこで今回は、ドライブレコーダーのことと、それを交通事故の証拠に利用できるかどうかについて解説します。

ドライブレコーダーとは

近年、交通事故の防止などのためにドライブレコーダーを搭載している車が増えており、国も事故防止のためにドライブレコーダーをつけることを推奨しています。
ドライブレコーダーとは、自動車の前方や後方などの映像を記録するカメラです。

事故の衝撃があると、その時刻や車の位置、加速度やブレーキ操作などの運転状況とともに、事故当時の映像が記録されます。

自動車の前方のみを記録するものが基本ですが、カメラが複数ついていて、後方も合わせて記録できるタイプのものもありますし、車内の様子を撮影できるものもあります。

ドライブレコーダーを搭載していると、事故前後の映像がはっきりと映るので、事故状況が明らかになって、交通事故の過失割合などの決定のために役立ちます。

たとえば、信号の色が問題になっていて、事故の当事者の言い分が異なるケースなどでは、ドライブレコーダーに信号が映っていたら、事故状況をはっきりさせることができます。

ドライブレコーダーを設置したい場合、業者に依頼することができますが、その場合、工賃が1万円程度かかってしまいます。自分で取り付けることも可能です。
交通事故が起こった場合に備えて搭載しておくと役立ちます。

ドライブレコーダーの裁判における証拠能力とは

ドライブレコーダーの画像があると交通事故当時の状況を録画できるので交通事故の証拠に利用することができそうですが、この場合、どこまで証拠としての価値が認められるかが問題になります。

たとえば裁判になった場合にもドライブレコーダーを証拠として利用出来るかなどが問題です。

確かに、ドライブレコーダーの画像は編集することなどもできるので、証拠としての価値が認められないという意見もありますが、ドライブレコーダーを裁判の証拠にすること自体は可能ですし、実際に使われた例もあります。

民事裁判で利用できる証拠は、証明する事実との関連性があれば良いので、交通事故前後の映像記録をしている以上、ドライブレコーダーにも裁判の証拠能力が認められるのです。

ただし、その場合でも、どの程度証拠としての信用性が認められるかはまた別問題です。

証拠に利用することができたからといって、全面的にその内容を信用してもらえるとは限らないからです。

交通事故裁判では、相手方から「不当な編集が加わっているのではないか」「自分に都合の良い部分だけを抜粋して提出しているのではないか」などと反論されて、証拠としての価値を減殺する主張をされることがあります。

そこで、ドライブレコーダーを裁判に提出する場合には、証明したい事実が映っている場面の記録だけではなく、全体記録をまとめて提出すると良いでしょう。

実際に見てもらうための抜粋部分の記録と、編集をしていないことを証明するための全体記録を一緒に提出すれば、「不当な編集をしている」とか「都合の良いところだけをとりだしている」などの反論を封じて、ドライブレコーダーを証拠として、有利に裁判を進めることが可能になります。

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ドライブレコーダーを証拠に使う場合の注意点

ドライブレコーダーを交通事故の裁判などの証拠に利用する場合には、注意点もあります。

それは、ドライブレコーダーがあるからと言って、自分の有利になるとは限らないことです。

自分としては、車間距離をしっかりとっていたつもりであり、ドライブレコーダーを見たらそのことがわかるはずだと思っても、客観的に映像を見てみると、そのようなことがはっきり言えないことがあります。相手が横から突然飛び出してきた場合でも、ドライブレコーダーの映像からはっきりとわからないこともあります。

ドライブレコーダーがあっても、証明したい事実がはっきりと映っていなかったらさほど重要な証拠とはならないので、注意が必要です。

さらに重大なことは、ドライブレコーダーの画像には、自分に不利な映像が映っている可能性もあることです

たとえば、自分が信号無視をしてしまった場合、ドライブレコーダーには前方の映像に赤信号が映ってしまいます。このような証拠を提出すると、自分の過失割合が高くなってしまいます。かといって、その部分だけを切り取って編集して提出するというわけにもいきません。

このように、ドライブレコーダーに自分に不利な映像が映っていたら、これを証拠として提出すると、自分に不利な認定をされてしまうので注意が必要です。

ドライブレコーダーの証拠提出は取捨選択できる?

民事裁判の場合、どのような証拠を提出するかについては、自分で取捨選択することができます。不当な編集や切り取りなどをして提出しても、相手方から反論をされて全体を提出させられてしまうでしょうから、不利な映像が映っているドライブレコーダーの場合には、いっそのこと裁判に提出しない方が得策であることもあります。

このように、交通事故の裁判では、有利にすすめるために考えなければならない問題がたくさんあります。このような訴訟戦略は、素人が自分で的確に対応するのは困難ですので、弁護士などの法律の専門家の助けを借りる必要があります。

交通事故で対応に困ったり裁判になったりした場合には、弁護士に相談して適切な対応についてのアドバイスを受けると良いでしょう。

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ドライブレコーダーの種類

ドライブレコーダーには、いくつかの種類があります。
大きく分けると、衝撃と常時撮影型がありますので、以下で分けてご説明します。

衝撃感知型

衝撃感知型のドライブレコーダーとは、自動車が衝撃を感知した場合に、その前後の画像を記録するタイプのドライブレコーダーです。事故が起こった前後だけを記録するので、無駄な映像が記録されることがありませんし、メモリーの容量なども少なくて済みます。かつてはドライブレコーダーの主流だったので、機種もたくさん出ていますし、価格も安いです。
衝撃感知型でも、録画ボタンをおせば、衝撃がないときでも録画ができる機能がついているものがあります。

常時記録型

常時記録型のドライブレコーダーは、自動車が衝撃を感じたかどうかにかかわらず、いつでも録画を続けるタイプの機種です。

常時記録型の場合、大きなメモリ容量が必要になりますし、必要のない画像が膨大になってしまいますが、録り逃しが起こるおそれがないメリットがあります。たとえば、車が少し壁に当たっただけのケースなど、衝撃が小さかった場合には、衝撃感知型の場合、録画が起こらないことがあります。この点、常時記録型の場合には、ずっと録画を続けているので、どのような事故であってもすべての場面が録画されます。

また、交通事故と関係なく運転状況を確認したいケースなどでも常時記録型のドライブレコーダーが役立ちます。

たとえば、車でどこかに出かけた際に、その思い出として画像を撮っておきたいケースなどでは、常時記録型のドライブレコーダーで記録しておいた映像記録を見て楽しむことなどができます。

近年では、大容量のメモリの価格が低下していることから、常時記録型のドライブレコーダーの価格も下がってきており、こちらが主流になりつつあります。

多機能型

ドライブレコーダーには、多機能型と呼ばれているものもあります。
これは、自動車の前後などの映像を記録するだけではなく、カーナビ機能やワンセグ機能、レーダー探知機などの機能を兼ね備えているものです。
いくつもの機器を車内に搭載すると邪魔になりますが、ドライブレコーダーを1つつけるだけで済むので、車内がすっきりします。
多機能型のドライブレコーダーは比較的高額ですが、たくさんの機器を個別に購入するよりも費用が安く済むこともあります。

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ドライブレコーダーの価格

ドライブレコーダーを購入する場合、どのくらいの価格になるのかをご説明します。
ドライブレコーダーの価格の相場は、機種によって大きく異なります。

衝撃感知型の場合には、かなり単価が下がってきており、最近では1万円もあれば購入できることが多いです。

常時記録型のドライブレコーダーは、かつては5万円を超えるのが当たり前で高額でしたが、近年では価格が低下してきており、2万円~3万円程度で購入できるものが増えています。このように、ドライブレコーダーが低価格化してきていることが、ドライブレコーダー普及に一役買っています。

ただ、カメラが何台ついているかによっても価格が異なりますし、多機能型になると、どのような機能がついているかによって価格が変わってきます。良いものを求めればその分価格も高くなりますが、交通事故の予防や事故状況の記録のためには、事故前後の状況が記録できれば充分ですので、交通事故状況を記録したいだけの場合には、安価な衝撃感知型のものをつけておくだけでも足ります。

ドライブレコーダーの活用方法

次に、ドライブレコーダーの活用方法をご紹介します。

事故の状況を記録できる

まずは、交通事故前後の状況をはっきりと記録できることです。

たとえば、交差点の事故で、信号の色が青だったか赤だったかで争いになることなどがよくありますが、ドライブレコーダーがあればはっきりと確認することができます。

相手の車ときちんと車間距離をとっていたかどうかが問題になるケースなどでも、ドライブレコーダーの画像から確認できますし、相手の車が突然車線変更をしてきたり、横から突然飛び出してきたりした場合にも、ドライブレコーダーがあると、それらの事実を証明することができます。もしドライブレコーダーがなかったら、「信号が赤か青か」を特定することができなかったり、車間距離が不十分であったことにされてしまったり、相手の車が突然車線変更をしてきたにもかかわらず、こちらが前方不注意をしたことにされてしまったりして、過失割合を不利に認定されてしまうおそれもあります。

当たり屋や当て逃げ被害の際に役立つ

また、当たり屋などの被害に遭った場合にも、ドライブレコーダーが役立ちます。当たり屋とは、自分から自動車の前に飛び出してきて自動車に接触して怪我をして、慰謝料などを請求してくる人のことです。

ドライブレコーダーの記録が残っていると、相手が突然飛び出してきたことがはっきりわかるので、こちらの過失割合を減らして支払う金額を減らすことが可能になります。

また、常時記録型のドライブレコーダーの場合には、車を停車している状態でも録画ができるものがあるので、たとえば車上荒らしや当て逃げなどの被害に遭った場合にも、それらの画像が残るので、証拠として利用できるメリットがあります。
実際に事故が起こらなくてもドライブレコーダーを活用することができます。

運転意識が高まり、交通事故防止になる

ドライブレコーダーがあると、常時撮影型ならいつでも運転の様子を撮影されてしまいますし、衝撃感知型でも何らかの衝撃が加わったらやはり運転の様子を撮影されてしまいます。このように、常に監視されることによって、きちんと運転をしなければならないという意識が高まり、安全運転をするようになると言われています。

このように、ドライブレコーダーを設置することによって運転意識を向上させて、安全運転をするようになるので、交通事故の防止に役立つというメリットがあります。国の国土交通省も、このような観点からドライブレコーダーの設置を推奨しています。

運転の映像を楽しむことができる

ドライブレコーダーに楽しいドライブの記録を残すという活用方法もあります。

常時撮影型のドライブレコーダーには、自動車の前後の映像などがずっと記録されます。そこで、運転が好きな人の場合などには、風景がきれいな場所、運転していて気持ちの良い場所をドライブした際の画像などを取り込んで、自宅に帰ってから楽しむなどの利用をしても楽しいものです。

このように、ドライブレコーダーがあると、交通事故の予防や証拠に利用できるだけではなく、たくさんの利用方法があるのでおすすめです。

まとめ

今回は、ドライブレコーダーのこととその活用方法、交通事故の裁判で証拠として利用できるのか、証拠利用する場合の注意点などについて解説しました。

ドライブレコーダーは交通事故防止のために、近年国も搭載を推奨している社内搭載型のカメラです。ドライブレコーダーを設置していると、交通事故前後の画像が記録されるので、事故状況を後から確認することができて、交通事故の有用な証拠になります。裁判の証拠にも使うことができます。

ただ、ドライブレコーダーには、自分の証明したい事実がはっきり映っているとは限りませんし、自分に不利な画像が映っていることもあります。

ドライブレコーダーを交通事故裁判で有効に活用したい場合には、交通事故に強い弁護士に相談しながら手続を進めると良いでしょう。

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弁護士相談Cafe編集部
本記事は交通事故弁護士カフェを運営するエファタ株式会社の編集部が執筆・監修を行いました。
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