交通事故後の耳鳴り・難聴が治らない|後遺障害等級認定と慰謝料を解説

耳鳴り, 男性

運悪く交通事故の被害者になってしまい、事故の際に頭部を打ってしまった場合、怪我の治療後も耳鳴りが続く場合があります。そんな場合、

  • 「難聴や耳鳴りが治らない」
  • 「耳鳴りで後遺障害認定は受けられるの?」

と、とても不安になります。ここでは交通事故被害の影響で発症した耳鳴りや難聴について、後遺障害認定を受けられるのか説明します。

交通事故後に耳鳴りが続く原因

交通事故により、頭部等を打撲すると、事故後しばらくたっても、キーンという耳鳴りが残ってしまうということがあります。両耳とも耳鳴りがする方、片方のみ耳鳴りがする方、耳鳴り音が高音の場合や低音の場合など、パターンは人それぞれのようです。

内耳神経・脳

耳鳴りの原因は、事故で頭を打ち、内耳神経や脳に障害が生じた可能性がありますので、まだ事故後、診断を受けていない方は、必ず医師の診断を受けてください。

また、この場合「めまい」も併せて生じることがあります。

むちうち

また、むちうち(頸椎捻挫)でも、これらの症状が生じることは多々あります。

むち打ちの場合は、怪我をおった頚部をある方向に動かすと、耳鳴り音が大きくなったり、めまいがしたりという症状に苦しまれることが多いようです。

耳鳴りでも後遺障害認定を受けられる

耳鳴りと後遺障害認定

大事な頭部にあらわれる耳鳴りのような症状はご本人にはとても不快なものであり、クオリティオブライフがさがってしまうので、ぜひ正当な金銭的補償は受けたいものです。

一方、耳鳴りは自覚症状がメインとなり、レントゲンやMRIなど外部から視認できる資料にあらわれにくいので、果たして耳鳴りで後遺障害認定を受けられるのかどうか、ご心配になられる読者の方もいらっしゃると思います。

結論からいいますと、耳鳴り症状について後遺障害認定を受けられているケースはたくさんあります。

なお、後遺障害認定とは、交通事故の怪我自体について支払われる障害慰謝料とは別途で支払われる慰謝料である後遺障害慰謝料を受けとるために、自賠責事務所という第三者審査機関に後遺障害認定をしてもらい、かつ1級から14級のどの等級に該当するのかを認定してもらうことをいいます。

この等級は昇順に症状が重いものと認定され、等級ごとに支払を受けることができる賠償金の基準が異なってくるのです。

難聴等の聴力障害の後遺障害認定等級は最高で4級

具体的にどの等級認定がされることが多いのでしょうか。

まず、耳への重篤な異状のうち、両耳に「難聴」等の聴力障害が残る場合、最高で4級の認定が受けられます。

耳鳴りの後遺障害認定等級12級・14級

耳鳴りが続く場合に認定される可能性がある等級は、第12級12号か第14級だと考えられます。

第12級12号は、おおまかにいうと、耳鳴にかかる検査によって難聴に伴い著しい耳鳴りが常時あると評価できるものです。

症状名としては、頚部から左肩疼痛、上肢痺れ、悪天候時の頭痛と定められており、傷病名としては頚椎挫傷、神経根症と診断されることが多いです。

耳鳴り第14級は、おおまかにいうと、耳鳴を生じている高さの聴力が、他と検証して低下していることに伴い常時耳鳴のあることが合理的に説明できるものです。

症状名として、耳伝音声難聴、耳鳴り、外傷性頭蓋内出血、頚椎底骨骨折、外傷性耳障害と診断されることが多いです。

後遺障害認定を受けるには耳鳴りの検査が必要

上述しましたとおり、耳鳴りはレントゲンやMRIなどの他覚写真には写りづらい症状です。

一方、自賠責事務所による後遺障害等級認定審査は、書面審査といって、症状を書面上のみで審査をするので、耳鳴りを医学的に証明する必要があります。

そのため、耳鳴りの後遺障害認定を受けるには、耳鳴りの医学的検査を受ける必要があります。

耳鳴の検査は、ピッチ・マッチ検査とラウドネス・バランス検査の2種類がメインです。他にも補足的に行われる検査はありますが、主判断ははこの2つの検査によると考えてよいでしょう。

ピッチ・マッチ検査とは、耳鳴りの「音の高さ」を調べる検査です。耳鳴りの音の高低、音色や耳のどのあたりの箇所でおきているのかを調べます。

対して、ラウンドネス・バランス検査は、ピッチ・マッチ検査により判明した音の高さ=音の周波数をもとに、耳鳴りの「音の大きさ」を調べるテストです。これらの検査によって、耳鳴にかかる音の高さや音の大きさを検査して、耳鳴りが医学的に証明できるかを判断するのです。

自賠責事務所としては、これら世に広く利用されているテストを利用すれば、ある程度画一的かつ主観によってぶれづらい等級判定をすることができる、ということになります。

12級は、これらの検査によって、耳鳴りが医学的に証明できるという状態である場合に認められます。検査結果をみて、主治医が耳鳴り症状が確かに実在しますね、と判断している場合をいいます。

14級は、耳鳴り症状の医学的な証明には至らなくても、事故と症状との間に合理的な説明ができる場合に認められる可能性があります。

たとえば、症状に一貫性がある(事故後から発生し、その後現在までずっと耳鳴りがつづいている)、症状の説明が合理的である、といった場合に認められます。

したがって、検査結果が思うものでなかった被害者の方も諦めずに、自分の症状をきちんと明確に整理して医師に伝えるなどして努力をすれば、後遺障害慰謝料が支払われる可能性があります。

聴力障害・難聴の損害賠償請求・逸失利益のポイントと事例

聴力障害の後遺障害認定については、所定の測定方法に従って数値で判断されるため、認定自体は比較的争わない傾向にありますが、問題となるのはその人の仕事に及ぼす影響、つまり労働能力喪失率です。

自賠責等級においては、各等級に労働能力喪失率の基準値が設定されていますが、聴力障害においては、程度が軽い場合は職業に与える影響を低く見られることがあり、結果として逸失利益を低く見られる傾向にあります。

また、もう一つのポイントが将来見込まれる回復です。

聴力障害は、場合によっては将来的に障害を克服する可能性を指摘されることがあり、これによって逸失利益を制限されることがあります。

例えば9歳の男の子が交通事故によって左耳出血となり、神経性難聴と耳鳴りを発症し、後遺障害認定において9級9号が認定された事案において、本来であれば基準値の35%の労働能力喪失率が認められるべきところ、原告が若く、今後肉体的条件に適応し、その障害をある程度克服する可能性があるなどとして、25%に制限されました。(高松地判昭和61年9月19日)

耳鳴りで後遺障害認定を受けるための注意点と対策

耳鳴りは何科を受けるべきか

交通事故による耳鳴りで後遺障害認定を受けるためには注意点があります。まず頭部の打撲が原因で耳鳴りがする場合は、普通の耳鼻科ではなく神経耳鼻科等を受診するようにします。耳鳴りの原因となっているのは、神経へのダメージであるため、耳という器官だけではなく、神経から見てもらえる専門医でないと正確な判断が難しい場合があるからです。神経耳鼻科は大学病院などの大病院で受診できます。

 

交通事故と耳鳴りの因果関係に注意

交通事故との因果関係を明確にするためにも、事故後直ぐに受診し検査を受ける必要があります。

時間が経過している場合や高齢者の場合だと、交通事故との因果関係を、医師にも加害者の保険会社にも疑われることがあります。耳鳴りは交通事故だけから発生するものではなく、持病や老化などの原因で発生することもあるからです。

こうなると、被害者の方は嫌な思いをされますし、交通事故との因果関係が認められても他の原因も影響していると判断されて、等級認定に影響がでてしまう可能性があります。

 

交通事故に強い弁護士に相談を

対策としては、少しでもおかしいなと思ったら、病院を受診する、交通事故に強い弁護士に相談するなど、すぐ行動をおこすことがあげられます。

なお、早くから交通事故に強い弁護士にサポートを依頼すれば、同様の事例をたくさん扱っている専門知識や経験則から、治療にも後遺障害の診断書対策にもよい病院選びのアドバイスから、後遺障害診断書に有利な資料収集や示談交渉までしてもらえます。

弁護士に頼むことのデメリットとしては、弁護士費用がかかることですが、最近の保険には、弁護士特約といってこういった場合の弁護士費用を補償してくれる特約がついていることが多いです。

もし特約がつけられていれば、自己負担費用は実質かからずに弁護士サポートを受けることができますので、ぜひご自身の保険範囲を確認されてみてください。

まとめ

まとめますと、交通事故で耳鳴りや難聴が続く場合、後遺障害認定を受けることができる可能性があります。

後遺障害認定を受けるためには、事故後直ぐに受診し検査し事故との因果関係を明確にする必要があるということを頭の片隅にいれておいていただけると幸いです。

交通事故による耳鳴りが治らず不安な方は、弁護士に一度相談してみられることをおすすめいたします。

交通事故というと、捻挫、打撲、骨折、切断などといった症状についてさまざまなサイトで多く取り上げられていますが、場合によっては交通事故によって「耳」に障害が残る場合もあります。
実は、耳についても交通事故による後遺障害等級表に「聴力障害」と「欠損障害」の2種類が規定されています。

また、耳鳴りや耳漏(耳から液体が流れ出る状態で、外耳炎や鼓膜炎などが原因で起る場合もある)などを発症した場合についても、その程度によっては後遺障害が認定される可能性があります。

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監修
弁護士相談Cafe編集部
本記事は交通事故弁護士カフェを運営するエファタ株式会社の編集部が執筆・監修を行いました。
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