職業別の逸失利益計算|会社役員・自営業・会社員・公務員・主婦子供

逸失利益計算

交通事故によってむち打ちなどの神経障害のほか、視力、視野、聴力、耳漏、耳鳴り、歯牙障害、味覚障害、欠損障害、機能障害、変形障害などの後遺症が残った場合に、後遺障害に認定されると加害者に対して「逸失利益」が請求できるようになります。

逸失利益とは、本来交通事故に遭わなければ得る事ができたであろう収入に対する損害賠償のことを言います。

この逸失利益は損害賠償金総額の中でも非常に多くの割合を占める事になるケースがありますので、どのように計算して請求するのかを知っておく事はとても重要です。
そこで今回は、職業別の逸失利益の計算方法について解説したいと思います。

逸失利益の基本的な考え方

すべての職業を通じて、逸失利益の基本的な計算方法は以下の通りです。

「基礎収入額×労働能力喪失率×ライプニッツ係数=逸失利益」

そして、示談交渉や裁判において争われるのが、基礎収入労働能力喪失率です。
上記2つのポイントは、

1:後遺症が仕事にどのような影響を与えているのか
2:それによって実際にどの程度の減収が発生しているのか

この2つの要素に大きく関係してきます。

では、この2つの要素に注意しながら、職業別の逸失利益の計算に置けるポイントを見ていきましょう。

その1:社長や会社役員の逸失利益

ポイント:直接的な減収が生じないケースが多いことに注意

社長や会社役員の場合は、現場で直接仕事をするというよりは、デスクに座って指示を出すことが多いため、むち打ち症程度の後遺症では仕事にはほとんど影響しないでしょう。

このように、社長や会社役員の場合は、他の職業に比べて後遺症が大きく仕事に影響しないケースが多いと判断されやすいため注意が必要です。

社長や役員などについては、後遺症が減収に直結するケースは少ないため、よほど大きな後遺症でなければほとんど減収は生じません

逸失利益を請求する際に、実質的な減収が生じていない場合は認められないため注意しましょう。

なお、会社役員の基礎収入は、原則として労務対価部分のみを指しています。

このように社長や役員の場合は、実際に減収が生じているのかどうかが大きなポイントとなります。

その2:自営業の逸失利益

ポイント:基礎収入の根拠となる客観的な証拠が必要

自営業者の基礎収入としては、前年度の確定申告書に記載がある所得額がベースになります

そのため、仮に多くの収入があったとしても、確定申告をしていないとその収入を公に証明することができないため、その際には賃金センサスを参考とするケースもあります。

また、自営業者の場合は、後遺症が実際の仕事内容にどれほど影響しているのかがとても重要になります。

例えば、店舗を経営しているような場合は、事故が原因で店を閉めることにもなりかねないため、多くの逸失利益が認められる可能性があります。

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その3:会社員とサラリーマンの逸失利益

ポイント:配置転換なども考慮する

会社員・サラリーマンの逸失利益については、後遺症の内容によっては大きく仕事に影響するため、労働能力喪失率が基準よりも高く判定される事もあります。

基礎収入としては事故前の基本給、歩合給、各種手当、賞与などが対象となります。なお、実際の給与が賃金センサスの平均賃金よりも低い場合は、一定の要件のもと賃金センサスの平均賃金をベースとして計算してもらえる場合もあります。

会社員は後遺症が原因で配置転換されて、その結果減収が生じたり、将来の出世レースから除外されてしまうケースもあるため、それらを逸失利益として主張し増額を要求することも重要です。

その4:主婦の逸失利益

ポイント:専業主婦でも逸失利益がある

主婦自体は金銭を稼ぎ出す労働ではないため、一見すると逸失利益はないようにも感じますが、たとえ専業主婦の場合でも家事労働を労働力と考えて逸失利益を請求する事ができます

この際の基礎収入は「賃金センサス女子労働者全年齢」または「年齢別平均」の金額をベースにして計算をします。

なお、パート収入のある主婦の場合については、パート収入を基礎収入として計算することもありますが、パート収入が賃金センサス女子労働者よりも低い場合は、賃金センサス女子労働者の金額をベースに計算をします。

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その4:子供の場合

ポイント:子供の基礎収入は賃金センサスがベース

18未満の子供や学生の場合は、就業可能年数を18〜67歳までを就労可能とみなして49年間の就労可能年数として計算をします。

基礎収入としては原則として「賃金センサス男女別全年齢平均賃金をベースに計算をします。

また、大学生の場合は「賃金センサス男女別学歴別平均賃金」をベースにします。なお、進学が確実な高校生の場合もこれをベースに計算をします。

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その5:公務員

ポイント:一般会社員よりも逸失利益が低く見られる場合がある

公務員の場合も基本的な考え方は会社員と同じで前年の給与収入がベースとなります。ただ、公務員の場合は民間企業よりも事故の影響で減収を招くような配置転換は起りにくく、職場からの配慮が受けやすい環境にあるため、実質的な減収が発生しにくいという特徴があります。そのため、実際の労働能力喪失率よりも制限されるケースがあります

後遺障害があっても、減収がないと逸失利益は認められない?

先日、走行中に前方不注意の車に追突され、足に重い障害が残り、後遺障害10級が認定されました。
ただ、仕事上、事務職という事もあり、不自由ではありますが、事実上大きな支障はなく、また会社側の理解もあって給与等は減収になっていません。このような場合、逸失利益は認められないのでしょうか?

後遺障害が残った場合、労働能力が低下するためそれによる逸失利益を加害者側に請求する事が可能です。

ただし、今回のケースのように、実質的に後遺障害によって減収が発生していない場合はどうなるのかが問題となります。これには相反する2つの考え方が存在しており、裁判上も対立する傾向にあります。

その1:現実損害説

今回のケースのように、後遺障害によって現実的に減収が発生していないのであれば、「損害がない」という考え方です。つまり、事故前と事故後で収入に「差額」が生じていなければ、逸失利益もないという解釈です。

事故の加害者側はこの説によって反論してくる事が予想されます。

その2:労働能力喪失説

後遺障害を負う事で、ほぼ間違いなく一定の労働能力が失われる事になります。その失われた労働能力自体を「損害」として捉え、たとえそれによって現実的に減収が発生していなくても逸失利益を認めるとする考え方です。今回のパターンでは、被害者はこの説によって主張する必要があります。

どちらの説で考えるかで、結論はまるで変わってきます。

実は判例においても、ケースによってどちらを採用するかについてはかなり意見が分かれています。

以前は、現実損害説をベースに考えた判決が多かったのですが、最近では労働能力喪失説を採用する判決も徐々に出てきています。後遺障害の上位等級であれば、比較的労働能力喪失説を認めて被害者を救済しようという傾向が感じられます。

さて、今回のケースでは、10級ですので逸失利益が認められるかどうかはかなり微妙な判定になってきます。裁判上は、下記項目がポイントになってきます。

  •  本人の努力によって、減収を免れているという事情。つまり、本人の努力の結果、減収が免れている事を証明する。
  •  将来にわたって昇給等に影響を与える可能性がある。
  •  職務上、後遺障害によって不利益を受ける可能性がある。
  •  固定装具(硬性補装具)の装着が必要かどうか。

こう言った情報を、総合的に考慮して判断されます。その為、加害者側に逸失利益を認めさせるには、これらを主張するための資料をしっかりと準備しなければなりません。

職業によって慰謝料請求に違いはでるのか?

このように逸失利益については、被害者自身の直近の収入や仕事内容が大きく影響してきます。これに対し慰謝料はどうかというと、基本的にはそこまで影響しません。
交通事故による精神的苦痛は、どんな職業の人であれ基本は同じです。そのため慰謝料については、次の2点に注意すれば良いでしょう。

1:裁判基準によって算定した慰謝料で請求する
2:適切な後遺障害認定を勝ち取る

この2つを押さえれば、たとえどのような職業の方でも適切な慰謝料を受け取ることができるでしょう。

適切な逸失利益を得るために交通事故に強い弁護士に相談してみよう

交通事故に遭うと、「慰謝料」という損害賠償の一部に目が行きがちですが、後遺障害を持つと、逸失利益を請求する必要があります。

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