飲酒運転事故の被害者が必ず知っておくべき全知識

飲酒運転

突然、飲酒運転の被害者に。刑罰や慰謝料はどうなる?

毎日運転する機会があるという方は、交通事故に気をつけていることと思います。しかし、自分自身が気をつけていても避けられない事故もあります。

中には、飲酒運転など加害者側が大きな問題を抱えているケースがあり、被害者になる前にあらかじめ理解しておくと事故の被害者になった場合に有利に働くこともあります。

そこで今回は、飲酒運転による交通事故について詳しく解説します。いきなり被害者になってしまった場合の対処法についても一緒に理解していきましょう。

飲酒運転とは何か?

まず、飲酒運転について理解していきましょう。

飲酒運転と行政処分(点数)

では、飲酒運転とは、具体的にどんな行為を指すのでしょうか。

まず、飲酒運転とは、アルコール分を体内に保有した状態で運転することをいいます。道路交通法では、アルコールの保有度や正常に運転できるかといった観点から、酒酔い運転、酒気帯び運転(法65条1項)に関する規定を規定しています。 以下、それぞれ解説します。

酒酔い運転とは、「アルコールの影響により車両等の正常な運転ができない状態」をいいます。アルコール濃度とは関係なく、正常な運転ができない程度に酒に酔っていたかどうかで判断されます。その他に違反前歴がなかったとしても、免許取り消しや欠格期間3年が規定されています。基礎点数は35点です。

他方、酒気帯び運転とは、「呼気中アルコール濃度0.15mg/l以上 0.25mg/l未満」で車を運転した場合のことを指します。

原則として、基礎点数は13点、免許停止期間は90日となります。また、呼気中アルコール濃度0.25mg/l以上保有の場合は、基礎点数25点、免許取消しと欠格期間2年となってしまいます。

これらは、酒酔い運転と同様に、違反前歴がない場合の点数や欠格期間です。前歴がある場合は点数なども多くなるでしょう。

このように、飲酒運転には2種類存在します。実際上は、罰則などが大きく変わることになります。

飲酒影響下の運転の危険性

では、そもそもなぜ飲酒運転は危険なのでしょうか。

「危険である」ということは皆さん承知の通りです。ここでは、なぜ危険なのかについて具体的にみていきます。

まず、アルコールを摂取すると、脳に変化がおきます。具体的にいうと、脳の働きが麻痺してしまうんです。

そうすると、気分が良くなったり、おしゃべりになったり、感情的になったりします。ただ適量を飲み、その場を楽しく過ごすのであれば問題ありません。

しかし、これが運転時となると、大変危険な影響がでてしまいます。例えば、車線変更の判断が遅くなったり、危険の察知が遅れブレーキを踏むのが遅くなったりします。これは、お酒が強い・弱いの問題ではありません。強い人であっても、脳に影響が出ていることが研究でわかっています。

このように、飲酒の影響下では、誰もが危険運転をしてしまう可能性が高いため、決してしてはならないのです。飲酒運転時の死亡事故は、飲酒なしの事故の8.4倍です。皆さんも気をつけてください。

警察庁サイト:https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/insyu/info.html

 平成13 年の厳罰化により、大幅に死亡事故が減少。

では、飲酒運転事故での被害はどうなっているのでしょうか。

平成13年に危険運転致死傷罪が設置され、飲酒運転の罰則が厳しく取り締まられるようになりました。

これによって、徐々に飲酒運転は減少し、平成13年に1191件の死亡事故があったのが、平成27年には201件に減少しています。罰則の強化により、飲酒運転自体をしない人が多くなった結果です。

これは喜ばしいことですが、平成28年には213件と少しだけ増加しています。また、平成20年度からは減少幅も減ってきていることから、飲酒運転による死者0に向けて、新たに対策が必要かもしれません。

このように、飲酒運転による死亡事故は10年以上前から比べると大幅に減少しています。しかし、死亡者は未だ多数存在し、飲酒事故だけでも大きな社会問題だといえるでしょう。

警察庁 飲酒死亡事故の推移

飲酒運転の罰則

飲酒運転事故についての概略をお伝えしました。次は、罰則についてみていきましょう。

飲酒運転の場合の刑罰

では、飲酒運転をした場合の刑罰はどうなっているのでしょうか。

まず、酒酔い運転については、道路交通法117条の2第1項に「5年以下の懲役または100 万円以下の罰金」が規定されています。

次に、酒気帯び運転については「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」(法117条の2の2第3号)が規定されています。

どちらも決して軽くはない罰則です。懲役の可能性もあります。飲酒運転は、重い罪であることを理解しておきましょう。

人が死傷したら刑罰はどうなる?

では、飲酒運転により死傷者がでてしまった場合はどうなるのでしょうか。

飲酒運転で人を死傷させてしまった場合、危険運転致死傷罪が適用されます。2014年に自動車運転死傷行為処罰法が設置され、アルコールなどの影響下で正常な運転ができない状態・困難な状態で運転し、人を死傷させた場合には危険運転過失致死傷罪が適用されることになりました。

法2条1項では、「アルコール…の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為」によって「人を負傷させた」場合、「15年以下の懲役に処する」と規定しています。

死亡の場合は、「1年以上の有期懲役」が規定されています。法3条1項では、アルコールの影響により、「その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、そのアルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を負傷させた」場合は、「12年以下の懲役」、死亡の場合は「15年以下の懲役」を規定しています。

規定からわかるように、アルコールの影響の度合いによって罰則をわけています。もっとも、どちらにしても重い懲役が課される可能性があることに、変わりはありません。

これ以外にも、飲酒運転の事故でアルコールを抜くために逃げてしまった場合(飲酒運転ひき逃げ)は、過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪となり、12年以下の懲役が科せられる可能性があります(法4条)

通常の過失運転致死傷罪(法5条)と比べても、懲役で5-7年上乗せされる可能性があります。かなり重い罪となるということを理解しておきましょう。

運転者だけじゃない。同乗者や提供者も罪に問われる。

刑罰を科せられるのは、運転者だけではありません。提供者・同乗者も幇助罪となります。では、どのような内容の刑罰が規定されているのでしょうか。

道路交通法65条2項-4項では、車両を提供した者・酒類を提供した者・飲酒していると知っている同乗者に対する規定も設けています。

運転者が、酒酔い運転をした場合の車両提供者は「5年以下の懲役又は100万円以下の罰金」(117条の2第2号)が科せられる可能性があります。

飲酒運転で、酒類を提供した者・飲酒していると知っている同乗者は、「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」(177条の2の2第4-6号)または、「2年以下の懲役又は、50万円以下の罰金」」(177条の3の2第2,3号)が課される可能性があります。

このように、飲酒運転で罪に問われるのは、運転者だけではありません。これに関係したとされる者も、犯罪に幇助(加担)したと考えられてしまいます。

飲酒運転の損害賠償判例

「3.飲酒運転の刑罰 」では、飲酒運転による罰則についてご説明しました。しかし、加害者にはこれらだけではなく、民事でも損害賠償請求が可能です。被害者からの損害賠償事例についてみていきましょう。

損害賠償の基本って?

では、損害賠償請求では、一体何を請求できるのでしょうか。

一般的にいう損害賠償金は、1つの内容と思われがちですが、実はいくつかの項目が含まれます。

損害賠償金とは、葬儀費用・死亡の逸失利益、死亡慰謝料、弁護士費用が含まれたもののことを指します。

意外かもしれませんが、葬儀費用は、自賠責などの保険からだけでなく、損害賠償としても請求できます。

また、逸失利益とは、生きていたら得たであろう利益のことを指します。これについては、収入などを軸に特別の数式を用いて計算されることになります。

死亡慰謝料とは、被害者が死亡したことによる家族の精神的苦痛に対する償い金です。これについては、事故の態様や加害者の落ち度の内容などによって損害賠償額が変化しますので、別途(※飲酒運転で死亡の場合)ご説明したいと思います。弁護士費用は、裁判にかかった費用一切のことです。

このように、損害賠償は1つの内容にとどまりません。さまざまな項目が含まれ、被害者に必要な補償をするように考えられています。

飲酒運転で死亡事故のケース

では、飲酒運転で死亡事故がおきた場合、どのくらいの慰謝料が発生するのでしょうか。

飲酒運転による死亡事故は、加害者の落ち度が高く悪質と考えられるため、慰謝料も高額になっています。一般的な裁判基準では、一家の大黒柱(一番稼いでいる人)の死亡事故に対する慰謝料が高くなる傾向にあります。

例えば、一家の経済的に支柱となる夫又は妻が死亡した場合、2800万円、両親や配偶者の場合2500万円、その他子どもや独身の方の場合は2000-2500万円です。

これらは、裁判基準ですので飲酒量や飲酒運転を繰り返していたかどうかかなど、具体的事情などを考慮して、変動があります。加害者側に一切救護活動しなかったなど、救護義務違反などがある場合は、さらに慰謝料が高くなる傾向にあります。

実際の裁判事例

実際の事例としては、以下のようなものがあります。

平成5年の事例では、29歳被害者の飲酒運転事故による死亡・一家の経済的支柱であったケースでは2400万円の支払いを認めました。加害行為の態様は、無免許・酒酔い運転・ひき逃げという事実でした。
平成2年の事例では、71歳男性被害者・飲酒運転事故で死亡したケースで、1800万円が認められました。加害行為の態様は、飲酒運転・速度超過という事実です。
平成17年の事例では、18歳男性被害者で飲酒運転による死亡事故のケースで、3000万円の慰謝料が認められました。加害行為の態様は、飲酒による意識もうろう状態の運転、センターオーバーの事実がありました。

裁判事例からみても分かる通り、実際の損害賠償額はさまざまです。一概にいくらということはなかなか難しいので、裁判基準を参考程度に理解しておきましょう。

被害者はどう対応すべきか?

では、飲酒運転事故の被害者に成ってしまった場合、具体的にどのような対処をすればよいのでしょうか。

相手方の任意保険会社から損害賠償金を支払ってもらう。

被害者となってしまった場合に、医療費や車両修繕費など、さまざまなお金が発生してしまいます。相手方の加害行為による損害が発生した場合は、加害者に請求できます。もっとも、実際上ほとんどの場合は、相手方の保険会社と交渉することになるでしょう。

加害者が任意の自動車保険に加入している場合は、直接保険会社に治療費や慰謝料などを請求します。こちらに過失がない場合には、自らが加入する保険会社は対応してくれませんので、自分で保険会社と交渉することになります。

他方、自分にも過失がある場合は、こちらの保険会社が交渉してくれるので、保険会社にお任せして大丈夫です。自分で交渉する場合は、過失割合などに注意してください。

保険会社は損失を抑えようとする可能性があります。過失割合や損害賠償額に納得できない場合は、弁護士などの専門家に相談するなどして対処したほうが良いでしょう。

加害者が任意保険加入なしの場合は?—自賠責保険が有効

では、加害者が任意保険に加入していない場合はどうなるのでしょうか。

任意保険の加入は必須ではありませんが、自賠責保険は加入が必須です。そのため、相手が任意保険に加入していなかったとしても自賠責保険による保障が期待できます。

もっとも、任意保険加入者よりは損害賠償額が少なくなってしまうので注意が必要です。この場合、納得できない金額の場合は、弁護士に相談してみましょう。

このように、飲酒運転による事故の被害者になった場合は、自賠責保険や対人賠償保険保険が適用されます。原則として、相手の加入している保険から保障を受けることを考えましょう。

損害賠償額・示談金に不満がある場合は、弁護士に相談を

飲酒運転の被害者になってしまった場合、弁護士に頼む方が良いケースもあります。

というのも、保険会社に請求する場合、損害賠償額について3つの基準があるためです。一番安いのが自賠責基準、その次に任意保険会社基準、そして最後に弁護士基準です。

このような基準から、ケースによっては弁護士が介入するだけで損害賠償額が大幅にアップする可能性があります。弁護士費用がかかりますが、それを含めても最終的に得をすることもあります。

また、慰謝料についても、専門家が介入することにより裁判で有利にもっていくことができ、慰謝料額を増額させることができるかもしれません。

とくに、加害者側が任意保険に加入していない場合は、自賠責のみの保障となるため、損害賠償額が低くなってしまう可能性があります。このようなケースでは、弁護士に依頼し、適切に処理してもらうようにすべきでしょう。

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