スピード違反や交通違反で前科がつくって本当?

白バイ

駐車違反やスピード違反……免許をお持ちの方なら、軽度の交通違反をしたことがあるという方は、案外多いのではないでしょうか。

実際には、「罰金を支払って終わり」というケースがほとんどですが、交通違反の態様によっては、前歴・前科がつくこともあります。
そして、この違反歴は長く残ってしまうケースもあり、前歴がなかなか消えないということもあります。

今回は、交通違反の前歴・前科に注目して、詳しく解説します。

1.「前歴」と「前科」の違いとは?

皆さんは「前科」と「前歴」の違いを説明できますか?

意外と知らない方も多いので、はじめに前科と前歴の違いについて理解していきましょう。

(1) 「前歴」は不起訴処分を受けた場合の犯罪歴

まず、「前歴」とはどのような犯罪歴のことを指すのでしょうか。

結論からいうと、「前歴」とは、不起訴処分になった場合につく犯罪歴のことです。不起訴処分とは、検察官が起訴しないという判断に対する処分のことです。

不起訴処分には、嫌疑なし・嫌疑不十分・起訴猶予の3つの理由があります。具体的には、交通違反を含む犯罪に関与していないと判断した場合は嫌疑なし、証拠が十分にない場合は嫌疑不十分、犯罪行為はあったが本人が反省している・または社会的制裁を受けたと判断した場合は起訴猶予となります。

どの理由であったとしても、不起訴処分には変わりなく、前科はつきません。前歴は過去の犯罪歴として保管されますが、社会生活に影響が出ることはほとんどないとされています。

(2) 「前科」は有罪判決を受けた場合の犯罪歴

では、「前科」とはどんな犯罪歴を指すのでしょうか。

「前科」とは、裁判にて有罪判決を受けた場合の犯罪歴のことです。「前歴」とは異なり、起訴され有罪判決を受けないと「前科」はつきません。

もっとも、このように説明すると窃盗や強盗、殺人・放火など重大犯罪にのみ前科がつくとイメージされる方が多くなります。しかし、実際は、スピード違反などの交通違反でも起訴され、有罪判決を受ければ前科がつきます。
これ以外にも、痴漢などで逮捕・起訴された場合、有罪になれば前科がつきます。

裁判には、正式裁判と正式裁判を簡略化した略式起訴があります。略式起訴は罰金刑などの場合に行われますが、この場合でも前科がつきます。

このように「前歴」・「前科」は、軽微な犯罪や身近な交通違反でもつきます。裁判で有罪となるかならないかが、前歴・前科の違いになるのです。

2.交通違反で「前歴」「前科」持ちになるケース

次は、交通違反の前歴・前科について注目して解説します。

(1) 交通違反での「前歴」・「前科」について

交通違反での「前歴」とは

交通違反での「前歴」とはどんな場合のことを指すのでしょうか。

「前歴」は、不起訴処分に関する犯罪歴であるということは先にご説明した通りです。しかし、交通違反の場合は、ほとんどが不起訴処分となります。これは、「交通違反通告制度」が利用されているためです。

交通違反通告制度とは、軽微な交通違反については裁判を行わず、行政上の手続きのみで完了する制度のことです。軽微交通違反における裁判と運転者の負担を減少させることを目的としています。

この制度により、交通違反での前歴は、他の犯罪における「前歴」とは少し意味合いが異なります。

一般的に、交通違反の前歴とは、過去3年の間に免許停止処分や取消し処分をうけた回数のことです。例えば、過去3年間の間に免許停止処分1回で前歴1回、免許停止処分と取消し処分があれば前歴2回となります。

前歴の回数によって、免許停止処分の日数や次回免許停止に至るまでの点数が変わります。前歴がない場合は、6点以上で免許停止処分が課されます。また、停止期間については、30日から180日まで幅があります。

交通違反での「前科」とは

では、交通違反での「前科」とはどんな場合のことを指すのでしょうか。

わかりやすく言うと、赤切符違反です。赤切符には青切符のような反則金はありません。刑事裁判(略式裁判)により罰金刑が科せられる事になります。

裁判所に行って罰金判決が確定すれば「前科」となります

交通違反での「前科」とは、懲役・禁固刑ではなく、罰金刑による前科がほとんどでしょう。

交通違反の「前科」については、通常の犯罪と同様に、起訴され有罪判決を受ければ「前科」となります。特に多いのが略式裁判です。

このように、交通違反での「前歴」「前科」は、他の犯罪とは異なる特殊性があります。交通違反では、前歴・前科が簡単についてしまうという感覚を持った方が良いかもしれません。

(2) 交通違反で「前科」がつく具体的なケース

では、交通違反で「前科」がついてしまうのは、具体的にどんなケースなのでしょうか。

スピード違反と無免許運転

まずは、交通違反でよくあるスピード違反無免許運転のケースです。

いわゆるスピード違反は、道路交通法22条の速度超過違反です。

法律上、「六月以下の懲役または十万円以下の罰金」(同法118条第1号)と規定され、懲役の可能性があるため、決して軽くはない罰則となっています。

しかし、軽微なスピード違反では、先ほどご説明した交通違反通告制度により定められた金額(反則金)を支払えば刑罰は受けません。

ただし、30km以上の速度超過がある場合は、簡易裁判所に起訴され有罪判決を受けるケースがあります。

無免許運転では、道路交通法117条の2の2第1号により「三年以下の懲役または五十万円以下の罰金」が定められています。

無免許運転の場合、交通違反通告制度を利用することもありますが、何度も繰り返している場合や行為態様として重いと判断された場合には、同様に起訴・有罪・前科の流れもありえます。

人身事故

交通事故で人身事故を起こした場合、速度超過や前方不注意などの道路交通法違反に加え、自動車運転死傷行為等処罰法により処分が課されます。

過失により人を死傷させた場合、「七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金」(同法5条)が課される可能性があります。

また、危険運転行為の上、人を死傷させた場合には危険運転致死傷罪が適用されます。この場合、「人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役」(同法2条各号)が課される可能性があります。反則金制度が適用されないので、不起訴か無罪とならない限り前科がつくことになります。

このように、スピード違反や無免許運転違反でも前科がつく可能性はあります。交通事故による人身事故を起こしてしまった場合には、不起訴処分にならない限り、前科がつく可能性が高くなります。

3.交通違反で前科にならないケース

では、逆に前科がつかない交通違反というものはあるのでしょうか。

前科が絶対につかない交通違反はありません。しかし、原則として前科にならない交通違反はあります。

それは、青切符違反です。駐車違反などで切られることの多い違反切符です。皆さんも一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。

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青切符の場合は、何度受けても前科にはなりません。反則金を支払った場合も同じです。これは、交通違反通告制度により裁判が免除されるためです。

しかし、青切符の場合でも前科になるケースもあります。それは反則金を支払わず、起訴された場合です。

交通違反通告制度は、交通違反を認めて、反則金を支払う代わりに裁判を免除するものです。そのため、違反を繰り返し、反則金を支払わない場合は起訴されます。

この場合、裁判で無罪にならない限り、罰金刑となり、前科がつきます。ただし、反則金を支払えば前科を回避できます。うっかり支払いを忘れないようにしましょう。

4.前歴・前科を消すことはできる?

では、ついてしまった「前歴」「前科」を消すことはできないのでしょうか。

(1) 一般的には「前科」「前歴」は消えない

一般的に、「前科」「前歴」という犯罪歴は、どちらも検察、警察、本籍地の市町村で管理されています。犯罪歴は本人が死亡するまで永久に残り続けます。訂正・削除を願い出ても基本的には通りません。

というのも、これらの情報は犯罪歴のある人を管理するためではなく、今後の捜査活動や再犯を防止するために保管されているからです。

公に公開されることはないので、実際の生活に影響が出ることはほぼありません。ちなみに、市町村での前科の保管は、刑の言い渡しの効力が消滅すると同時に消されます。

このように、一般的に「前科」「前歴」は消えることがありません。もっとも、一般に公開されることや不利に扱われるということはないので、無駄に心配する必要はないでしょう。

(2) 交通違反の前科・前歴は消える?

では、交通違反の前歴・前科も同じように消えないのでしょうか。

交通違反の前歴

交通違反の前歴については、他の犯罪とは異なり点数交通違反の点数として残ります。もっとも、これは期間の経過により消えます。

違反点数制度は、過去3年間の累積点数に基づいて行政処分を行うように規定されています。したがって、3年間経てば前歴は0に戻ります(過去3年より古いものは含まれないということです)。
また、最後の違反から計算して1年以上の無事故・無違反がある場合は、過去の前歴回数・累積点数が0に戻ります。

もっとも、ゴールド免許については5年以上の無事故無違反が必要になります。そのため、前歴1回がついた後、1年以上の無事故・無違反がある場合でも、次回の更新でゴールド免許を取得することはできません。これは前歴がなくなっても、違反の事実が残るためです。

したがって、「前歴」については、3年で0に戻ることになります。再度違反しなければ、前歴は消えるので、交通違反をしないように心がけましょう。

交通違反の前科

「前科」の場合、刑法上に規定があります。

刑法34の2
禁錮以上の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで十年を経過したときは、刑の言渡しは、効力を失う。罰金以下の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで五年を経過したときも、同様とする。

交通違反の前科は、他の前科と同様に犯罪歴として各機関にて保管されます。もっとも、他の前科とは異なり、市町村では保管されません。そのため、検察・警察で、「刑の終了後から罰金刑は5年、禁固刑以上は10年間」保管されることになります。

交通違反の場合は、罰金刑が多くなるため、罰金支払い後5年間で前科が消えると考えて良いでしょう。ただし、5年間に罰金以上の刑を受けないことが必須です。反則金は刑罰にカウントされません。

また、自動車運転過失致死傷罪などの裁判で、無罪となった場合や不起訴の場合は前科がつくことはありませんので安心してください。

このように、交通違反の前科・前歴は一定の期間を経過すれば消すことができます。もっとも、期間経過中に別の重大な交通違反などを犯せば、前歴は消せませんし、前科も消えません。繰り返し交通違反を行わないことが大切です。

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