軽い追突事故で「むちうち症」に!嘘と言われない為にすべき事とは
この記事は、軽い追突事故で加害者の保険会社から、むち打ち症や腰や首の痛みが「嘘ではないか」と言われる理由がわかります…[続きを読む]
交通事故の被害に遭い、むち打ちの症状がでて痛い場合、頭痛がする場合などは、レントゲンやMRI検査を行います。
通院してる際に、症状に関する客観的・医学的な証明がしっかり出れば、被害者にとって有利な形での事件解決に繋がります。
むち打ちの症状がある場合、レントゲンよりもMRI検査を行うことが有効ですが、両方もし検査で異常なしと診断されてしまったら、保険金や損害賠償の請求との関係で不利になってしまうのでしょうか?
体が痛いまま、治療費が打ち切りになってしまうのではないか、と心配になる方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、Yahoo!知恵袋やX(旧Twitter)でも話題の、交通事故でむち打ちになった場合、またむちうちに関連して頭痛がする場合のMRI検査、レントゲン検査をいつ受けるべきか、また症状固定・後遺障害等級認定との関係、また痛いのに異常なしと判断されてしまった場合の対応などについて詳しく解説します。
目次
交通事故後、「痛い!」という感じで頭痛や首の痛みがある場合、初診時にレントゲンを撮ることが多いかもしれません。
しかし、レントゲンを撮っても、実際にはむちうち症状が出ているにも関わらず「異常なし」になってしまうケースがあるのです。
むちうちはレントゲン検査では異常を見つけることができないことが場合があります。つまり、むちうちはレントゲンでわかる、見つかるとははっきりとはいえないのです。
そのため、通院してレントゲンとって異常なしと言われても、頭痛や首の痛みなどの症状を感じる場合は必ず「MRI検査」を受ける必要があります。
交通事故でむち打ちで首痛や頭痛がする場合、いつどのタイミングでMRI検査を受ければいいのでしょうか?
MRI検査を受けるべきタイミングは、次の2回です。
まず、交通事故に遭った場合、できるだけ早めに通院しつつ一度目のMRI検査を受けることをおすすめします。
交通事故の場合の損害賠償は、交通事故との間に因果関係が認められる怪我などの損害に限って認められます。
交通事故直後のMRI画像に所見が認められれば、交通事故と怪我との間の因果関係を証明する強力な証拠になります。
もしMRI検査を受けないまま、交通事故から時間が経過してしまうと、むち打ちの自覚症状があったとしても、交通事故とは別の原因で生じたものではないかと反論される余地が出てきてしまいます。
そのため、交通事故に遭って頭痛や首痛がする場合、できるだけ早く病院に行き、MRI検査を行うのが良いでしょう。
さらに、交通事故によって負った怪我について、医師から症状固定の診断がなされる段階で、二度目のMRI検査を行うことをおすすめします。
症状固定とは、「これ以上治療を継続しても怪我の症状が改善しない」という状態を言います。
症状固定時における症状の程度により、後に解説する「後遺障害等級」の認定が行われます。
むち打ちの場合、通院してる際に自覚症状があるだけでなく、MRI検査において異常所見が認められた場合には、後遺障害等級認定において有利になります。
このように、二度目のMRI検査には、後遺障害等級認定を申請するための客観的資料を得るという目的があります。
実際には、交通事故による頭痛や首痛、むち打ちの場合、レントゲン同様、MRI検査では異常なしと診断されてしまうことが多いのが実情です。
ただし、体がとても痛い場合でも、医師が直ちに治療を打ち切ったりすることは、あまりないでしょう。
その理由と、MRI検査が異常なしとなった場合に、できるだけ有利な解決を得るために必要な対応について解説します。
症状固定の診断は、あくまで医師による総合的な判断により行われるものです。
むち打ちの場合、MRI検査の結果も症状固定の判断要素になることは間違いありません。
MRI検査に異常がないとしても、患者が依然として自覚症状を訴えている場合には、身体的・精神的な苦痛を軽減するための治療が引き続き必要な段階と判断される可能性が高いと言えます。
このような場合には、MRI検査の結果にかかわらず、症状固定の診断が先送りとなる可能性は大いにあります。
症状固定の診断が先送りとなれば、被害者は引き続き、治療費についての補償を受けることが可能です。
仮に通院してる医師から治療の打ち切りを通告されたり、症状固定の診断をされたりした場合には、他の医師にセカンドオピニオンを求めるといった対応も検討しましょう。
他の医師の下で治療継続ということになれば、引き続き治療費についての補償を受けることができます。
相手の保険会社からMRI検査で異常がなかったことを指摘され、本当に頭痛や首痛の症状があるのかどうかを疑われたり、症状固定の提案や治療費打ち切りの打診をされたりというケースが見受けられます。
しかし、症状の有無や症状固定について診断はあくまでも通院してる「医師の判断」により行われるものです。
もし後に保険会社との間で紛争が生じた場合、保険会社とのやり取りの中での発言を、保険会社の都合のいい形で利用されてしまう場合があります。
そのため、保険会社の提案などを安易に応諾してしまってはいけません。
保険会社から治療費の打ち切りなどの問い合わせなどを受けた際には、被害者としては毅然として、「通院治療中であり未だ症状固定の診断はなされていない」ということを伝えるようにしましょう。
最終的に被害者にとって有利な解決を得るためには、交通事故の事件処理経験が豊富な、どのような仕組みで慰謝料などが決定されるかということに精通している弁護士に相談しながら、対応を検討するのが賢明です。
保険会社に言質を取られたり、医師に書いてもらう後遺障害診断書の内容が不十分だったりして不利益を受けてしまう事態を避けるためにも、通院の早い段階から弁護士に相談しておくことをおすすめします。
MRI検査には、磁力の強さによる解像度の違いがあります。
もしMRI検査で異常なしとなった場合でも、より強い磁力を用いてMRI再検査を行えば、初回の検査では発見されなかった異常が発見される可能性があります。
頭痛や首痛などむち打ちの自覚症状が強いにもかかわらず、MRI検査で異常なしと診断されてしまって納得がいかない場合には、再検査を試してみるのも一つの方法です。
後遺障害等級の認定には、通院実績も考慮されます。
たとえば、途中で通院を中断してしまったような場合には、後遺障害等級の認定において不利に取り扱われることがあります。
交通事故直後から症状固定の診断がなされるまで、継続的に通院して治療を行いましょう。
先にも解説したように、後遺障害等級の14級9号を認定してもらうためには、必ずしもMRI検査の異常所見が必要となるわけではありません。
ただし、14級9号の認定には、医師の作成する後遺障害診断書の内容が重要になります。
そのため、通院してる病院の医師に対して自覚症状を訴え、後遺障害診断書にその旨を記載してもらうようにしましょう。
交通事故が原因で頭痛や首痛、むち打ちになった場合、半年以上通院しても良くならず、症状固定の診断が下りた後は後遺障害慰謝料の請求を行うことになります。
後遺障害慰謝料の請求は、自賠責保険会社により認定された後遺障害等級に基づき行われます。以下では、むち打ちの場合の後遺障害等級認定について解説します。
後遺障害慰謝料として支払われる保険金の金額は、後遺障害等級に応じて決まることになります。
後遺障害等級は、後遺障害等級表に基づき、後遺障害の程度に応じて決定されます。
むち打ちの場合、認定される可能性がある後遺障害等級は12級13号または14級9号です。
それぞれの後遺障害の内容と後遺障害慰謝料の相場は以下のとおりです。
後遺障害等級 | 後遺障害の内容 | 後遺障害慰謝料 (弁護士基準) |
---|---|---|
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの | 290万円 |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの | 110万円 |
12級13号の認定には、「他覚的検査により神経系統の傷害が証明される」ことが要件とされています。
つまり、12級13号の認定を受けるためには、原則として症状について画像上の根拠が認められることが必要です。
したがって、むち打ちの場合に12級13号の認定を受けるためには、MRI検査において異常所見が認められることが必須となります。
たとえば、MRI検査において、明らかに椎間板が神経を圧迫しているなどの状況が認められる場合には、12級13号の認定を受けられる可能性が高くなります。
一方、14級9号については、むち打ちの場合にMRI検査において異常がなかったとしても認定される可能性があります。
14級9号の認定を受けるためには、医師が作成する後遺障害診断書の中で、患者にむち打ちの自覚症状が依然として残っているということを記載してもらう必要があります。
したがって、医師に対して自覚症状が残っていることを正しく訴えることが重要となります。
今回は、Yahoo!知恵袋やTwitterでも話題の、交通事故による頭痛や首痛、むち打ちについて、また通院してレントゲンでわかるのか、レントゲンで異常なしと言われた場合はどうすればいいのか、後遺障害認定などについて解説しました。
MRI検査で異常なしと診断されたとしても、保険会社から治療費の打ち切りを受けず、また保険金や損害賠償を得られる可能性は十分あります。
法律の専門家である弁護士に相談しながら、医師とも適切にコミュニケーションを取り、被害者にとって有利に事件を解決しましょう。