免許取り消しを軽減する方法|意見の聴取の内容と対策
免許取り消しを軽減する方法で有名なのは「意見の聴取」でしょう。意味がないという体験談も多いですが、実際の内容を知って…[続きを読む]
交通違反・交通事故によって、累積点数が一定の基準を超えてしまうと免許の停止や免許の取り消し処分を受けることになります。ただ、実際に処分を受ける前に、意見の聴取という手続きがあり、自分の意見を述べることができます。
そして、意見の聴取手続きにあたって、交通違反・交通事故による免許停止・免許取り消しの処分を軽くするためには、上申書、嘆願書、反省文が有効といわれています。
今回は、交通違反の処分軽減のための、上申書、嘆願書、反省文の内容や効力について解説します。またコラムの最後には例文・テンプレートを用意していますので、こちらも併せてご参照ください。
目次
交通違反・交通事故に関し、提出する上申書、嘆願書、反省文とは、官公庁や警察などに対し、意見や報告を行う際に用いられる文書のことをいいます。
明確な決まりはありませんが、上申書、反省文については、交通違反・交通事故を起こした本人が作成するもので、嘆願書については、本人以外が作成するものです。
文書の名称をどうするかによって、効力が変わることはありませんので、あまり難しく考える必要はありません。
意見の聴取とは、交通違反・交通事故をした人が処分を受ける前に、公安委員会に対して違反・事故内容について自分の言い分を述べることができる手続きのことをいいます。
交通違反・交通事故を起こし累積点数が一定の点数を超えると、免許の停止や免許の取り消し処分を受けることになります。もっとも、交通違反・交通事故をしたらすぐに処分を受けるわけではなく、違反・事故から1週間から1か月程度で「行政処分出頭通知書」というハガキまたは封書とともに、「意見の聴取通知書」というものが届きます。そして、指定された日時に指定された出頭場所に行き、意見を述べることになります。
意見の聴取手続きでは、自分に有利な証拠を提出したり、代理人を就けることもできます。
処分が軽減される場合の基準については、警察庁の通達(2009年4月30日警察庁丁運発第44号)によって、以下のような一定の指針が設けられています。これは、免許の停止についての基準ですが、免許の取り消しについても同様に考えてよいでしょう。
このような事情がある場合には、意見の聴取手続きでその旨説明をすることで、処分の軽減を受けられる場合があります。
免許の停止または免許の取り消し処分が軽減されるとして、どのくらい軽減されるかについては、以下のとおりです。
当初の処分 | 軽減後の処分 |
---|---|
免停30日・60日 | 処分猶予 |
免停90日 | 免停60日 |
免停120日 | 免停90日 |
免停150日 | 免停120日 |
免停180日 | 免停150日 |
※停止処分者講習を受けることによって、さらに免停期間が短縮される場合があります。
当初の処分 | 軽減後の処分 |
---|---|
欠格期間1年 | 免停180日 |
欠格期間2年 | 欠格期間1年 |
欠格期間3年 | 欠格期間2年 |
欠格期間4年 | 欠格期間3年 |
欠格期間5年 | 欠格期間4年 |
意見の聴取手続きにおいて、上記のような事情が認められる場合には、処分の軽減を受けることができる場合があります。
意見の聴取手続きでは、口頭で意見を述べることになりますが、事前に話すことを準備していても緊張をしてしまい思うように話せない人もいるかもしれません。また、被害者から事前に嘆願書をもらっておき、当日に提出することで自分の言い分を補強できる場合もあります。
したがって、意見の聴取手続きに参加する際には、事前に、上申書、嘆願書、反省文を作成し、その中に自己の言い分を漏れなく記載するようにしましょう。
上申書、嘆願書、反省文の提出は、法律上の根拠のある手続きではありません。そのため、これらの書面を提出すれば必ず処分が軽減されるというものではありませんが、提出することで有利になるという効力がありますし、不利になることはありません。
交通違反・交通事故について、自分の言い分がある場合には、上申書、嘆願書、反省文の効力を信じ、作成してみるとよいでしょう。
上申書、反省文については、交通違反・交通事故をした本人が書きます。意見の聴取手続きは、交通違反・交通事故の内容を争う場ではありません。
そのため、交通違反・交通事故の内容を否認し、争う姿勢を見せてしまっては、反省をしていないとみられてしまい、処分の軽減を受けることが難しくなってしまいます。
上申書、反省文では、交通違反・交通事故の事実は認め、きちんと反省をしつつ、処分の軽減事由に該当する具体的な内容を記載することが重要です。
嘆願書については、交通事故の被害者、家族、職場の上司などに記載してもらうとよいでしょう。人身事故などで相手がいる場合の事故では、被害者の事情も処分にあたって考慮される要素となります。
そのため、被害者が自らの過失を認めていたり、処分を求めていないということであれば処分を軽減する要素となり得ます。
また、家族や職場の上司が、本人の普段の運転態度や将来の監督などを誓っている場合にも処分を軽減する要素となる場合があります。嘆願書を作成するときは、これらのことを意識して作成するとよいでしょう。
上申書、嘆願書、反省文については、特に決まった形式はありませんので、自由に作成して大丈夫です。
しかし、処分が軽減される場合について、一定の指針があることから、記載する内容もそれに向けられたものでなければなりません。
また、ある程度、読みやすく体裁を整えておいた方が、担当者に読んでもらいやすいともいえます。
そのため、上申書、嘆願書、反省文については、以下の例文(ひな型、テンプレート)を参考に作成するとよいでしょう。
上申書
○○県警本部長 殿
令和〇年〇月〇日
私は、令和○年○月○日、○○県○○市○○において、速度規制を著しく超過して車両を運転したことを認め、心から謝罪します。
本件違反については、速度超過がいかに危険な行為かということに対する私自身の認識不足が招いた結果です。私は普段、交通法規を守ることを極力心掛けているつもりです。しかし、本件違反に至る過程では、ふとした気の緩みから速度超過に意識が至らず、違反を犯してしまいました。
以上の理由から私は、交通ルールを遵守することができず、交通違反を行なってしまいました。私は、今回の違反を通して安全運転の重要性を再度認識し、深く反省しました。
今後は常に交通違反の危険性を意識し、交通ルールに則った安全運転を心がけていくことを誓います。一方的なお願いかとは重々承知いたしておりますが、何卒寛大な処分を切にお願い申し上げます。
住所
氏名 ㊞
反省文
○○県警本部長 殿
令和〇年〇月〇日
私は、令和○年○月○日、○○県○○市○○において、不注意により前方で停止していた○○氏運転車両と接触し、○○氏に怪我を負わせてしまいました。
本件については、私の不注意により起こしてしまった事故であり、これによって、被害者の方やその他の関係者の皆様に多大なご迷惑をかけてしまったことについて、深く反省します。
本件事故は、ふとした気の緩みから前方を注視できなかったことによって起きた事故です。今後は、○○することによって、常に安全運転をすることを心がけ、このような事故を起こさないように注意して運転をしていきたいと思います。
被害者に対しては、保険会社を通して、誠心誠意賠償をしており、令和〇年〇月〇日に被害者との間で示談が成立しました。示談内容については、添付の示談書のとおりです。
私は、今回の交通事故を通して安全運転の重要性を再度認識し、深く反省しました。
今後は常に交通事故の危険性を意識し、交通ルールに則った安全運転を心がけていくことを誓います。一方的なお願いかとは重々承知いたしておりますが、何卒寛大な処分を切にお願い申し上げます。
住所
氏名 ㊞
嘆願書
○○県警本部長 殿
令和〇年〇月〇日
令和○年○月○日、○○県○○市○○において発生した事故につきましては、令和〇年〇月〇日に示談が成立しておりますし、加害者の〇〇さんの誠実な対応や十分な反省を鑑みて、寛大な処分をされることを望みます。
住所
氏名 ㊞
いかがだったでしょうか?この記事では、交通違反の処分軽減のための、上申書、嘆願書、反省文の内容や効力について解説しました。必要におうじて、参考にしてください。