【8対2】【9対1】事故の過失割合|相手が納得しない・納得いかない!【知恵袋で話題】
事故の過失割合に関して、相手が納得しない場合や自分が納得いかない場合はどのように対処すればよいでしょうか。 特に、被…[続きを読む]
道路外から道路へ進入する車や、道路から道路外へ出る車を「道路外出入車」と言います。
道路と道路外を出入りする時は、交通事故が発生しやすいタイミングなので、道路外出入車・直進車ともに十分な注意が必要です。
道路外出入車と直進車の交通事故では、一般に道路外出入車の側の過失が重いとされています。
ただし、交通事故の状況によっては10対0など過失割合が修正されることもあるので、客観的な状況を踏まえてきちんと検討を行いましょう。
この記事では、道路外出入車と直進車の交通事故における、過失割合の考え方を解説します。過失割合は、示談金・慰謝料の額にも影響しますので、正しく理解しておくことが重要です。
目次
「道路外出入車」とは、道路外から道路へ進入する車と、道路から道路外へ出る車の総称です。
道路交通法上、歩行者または他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるときは、道路と道路外を出入りしてはならないと定められています(道路交通法25条の2第1項)。
そのため、道路外出入車が直進車と交通事故を起こした場合、道路外出入車の側により重い過失があると評価されるのが一般的です。
道路外出入車と直進車の間の交通事故は、以下の3つのパターンに分類されます。
※日本の道路上では、車両は「左側通行」のため、道路外に出る場合については右折のみ
道路外出入車と直進車の交通事故パターンのうち、①と②のケース(道路外から右折または左折で道路に進入する際の交通事故)では、基本過失割合は道路外出入車が8割、直進車が2割となります。
ただし、基本過失割合はあくまでも原則的な取り扱いであり、実際の過失割合は、交通事故の具体的な状況に応じて修正されることがあります。
つまり、上記の基本過失割合に客観的な事故状況に応じた修正要素を加味して、実際の過失割合が決定されることになるのです。
前述のとおり、歩行者またはほかの車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるときは、車両は道路外から道路に進入してはいけません。
そのため、道路外から道路に進入した車(道路外出入車)と直進車の間の交通事故では、道路外出入車の過失が重く評価されます。
その一方で、直進車にも全く過失がないわけではなく、前方不注意など一定の過失が認められます。
上記の各点を考慮して、道路外から右折または左折で道路に進入する際の交通事故では、道路外出入車と直進車の基本過失割合は「8対2」とされています。
道路外から右折または左折で道路に進入する際の交通事故において、道路外出入車の過失割合が重くなる場合の例は、以下のとおりです。
上記のいずれかに該当する場合、通常よりも道路外出入車の過失割合が5~20%加算され、85~100%と認定される可能性が高いです。
その反面、直進車の過失割合は0~15%に低下します。
特に、道路外出入車に著しい過失・重過失が認められる場合、過失割合が10対0となることも十分考えられます。
道路外から右折または左折で道路に進入する際の交通事故において、直進車の過失割合が重くなる場合の例は、以下のとおりです。
上記のいずれかに該当する場合、通常よりも直進車の過失割合が5~20%加算され、25~40%と認定される可能性が高いです。
その反面、道路外出入車の過失は60~75%に低下します。
交通事故の過失割合で8対2や9対1という判断が出た際に、その結果に納得がいかないのは当然の感情です。特に被害者側の立場からすると、相手の過失をもっと重く見るべきだと感じることも多いでしょう。
このような場合、まずは弁護士への相談を検討することをお勧めします。
交通事故の案件を多く扱う弁護士であれば、類似の事例や判例について詳しく、より専門的な観点からアドバイスを受けることができます。最近では初回相談を無料で受け付ける法律事務所も増えていますし、弁護士費用特約に加入している方は、その制度を活用することも可能です。
ただし、ここで注意していただきたいのは、過失割合の判断には保険会社の長年の経験や判例が基準として存在することです。
そのため、交渉を重ねても大きく変わらないことも少なくありません。この点については、あらかじめ心の準備をしておくことが大切です。
道路外出入車と直進車の交通事故パターンのうち、③のケース(道路から右折で道路外に出る際の交通事故)では、基本過失割合は道路外出入車が9割、直進車が1割となります。
上記の基本過失割合に、客観的な事故状況に応じた修正要素を加味して、実際の過失割合が決まります。
右折して道路から道路外へ出る場合にも、歩行者またはほかの車両等の正常な交通を妨害するおそれがないことを確認しなければなりません(道路交通法25条の2第1項参照)。
さらに、右折して道路から道路外へ出る場合には、対向車線の直進車の動向に関する高度の注意義務が課されます。
そのため、道路から右折で道路外に出る際の交通事故については、道路外出入車と直進車の基本過失割合が「9対1」に設定されており、道路外出入車側の過失がかなり重くなっています。
道路から右折で道路外に出る際の交通事故において、道路外出入車の過失割合が重くなる場合の例は、以下のとおりです。
上記のいずれかに該当する場合、通常よりも道路外出入車の過失割合が5~10%加算され、95~100%と認定される傾向にあります。
その反面、直進車の過失割合は0~5%に低下します。
道路から右折で道路外に出る際の交通事故では、道路外出入車の基本過失割合が9割となっているため、道路外出入車の過失が重くなる修正要素が存在すれば、過失割合が10対0となることもよくあります。
道路から右折で道路外に出る際の交通事故において、直進車の過失割合が重くなる場合の例は、以下のとおりです。
上記のいずれかに該当する場合、通常よりも直進車の過失割合が5~20%加算され、15~30%と認定される傾向にあります。
その反面、道路外出入車の過失は70~85%に低下します。
交通事故における過失割合は、損害賠償の金額に大きな影響を及ぼします。
以下では、道路外出入車と直進車の衝突事故を想定して、設例を用いて実際に損害賠償額を計算してみましょう。
<設例①>
・道路外出入車と直進車の衝突事故
・道路外出入車と直進車の過失割合は8対2
・直進車にのみ100万円の損害が発生
交通事故の損害賠償請求では、当事者に発生した損害の合計額を、過失割合に応じて分担するという考え方をとります。
設例①では、直進車にのみ100万円の損害が発生していますので、当事者に発生した損害の合計額は「100万円」です。
この100万円の損害を、「8対2」の過失割合に従い、道路外出入車と直進車で以下のとおり分担します。
道路外出入車が負担すべき損害額:80万円
直進車が負担すべき損害額:20万円
しかし実際には、直進車にのみ100万円の損害が発生している状態です。
したがって、上記の分担を実現するため、道路外出入車側が直進車側に対して「80万円」の損害賠償金を支払うことになります。
<設例②>
・道路外出入車と直進車の衝突事故
・道路外出入車と直進車の過失割合は8対2
・道路外出入車に50万円、直進車に150万円の損害が発生
当事者双方に損害が発生した場合も、過失割合と損害の分担に関する考え方は、どちらか一方に損害が発生した場合と同様です。
すなわち、当事者に発生した損害の合計額を、過失割合に応じて分担することになります。
設例②では、道路外出入車に50万円、直進車に150万円の、合計「200万円」の損害が発生しています。
この200万円の損害を、「8対2」の過失割合に従い、道路外出入車と直進車で以下のとおり分担します。
上記の分担額と、実際に発生した差額を、道路外出入車側と直進車側の間で精算します。
したがって、道路外出入車側が直進車側に対して「110万円」の損害賠償金を支払うことになります。
道路外出入車と直進車の交通事故では、一般に道路外出入車側の過失割合が重くなります。
具体的には、道路外から道路へ進入する場面では「8対2」、道路から道路外に出る場面では「9対1」が原則的な過失割合です。
ただし、どちらか一方の過失を加重する修正要素がある場合には、上記の原則的な過失割合は10対0などに変更される可能性があります。
具体的な過失割合の算定に当たっては、交通事故の客観的な状況を分析し、裁判例等と照らし合わせて検討することが必要不可欠です。
弁護士にご相談いただければ、損害額と過失割合の算定を適切に行い、適正な損害賠償額の目安をお知らせいたします。
また、実際の損害賠償請求の手続きについても、弁護士に一任していただければ安心です。
交通事故の損害賠償請求は、お早めに弁護士までご相談ください。