高次脳機能障害とは?脳挫傷で記憶障害の後遺障害

脳

交通事故に遭って脳に損傷を受けると、高次脳機能障害という症状が出てしまうことがあります。高次脳機能障害になると、日常生活や仕事に大きな支障が出ますが、周囲や自分すら症状が出ていることに気づかないことも多いので、被害者や家族は非常に苦しむことになります。高次脳機能障害になると交通事故の後遺障害認定を受けることができますが、このとき何級になってどのくらいの損害賠償金が支払われるものでしょうか?
今回は、高次脳機能障害になった場合の問題点について解説します。

高次脳機能障害とは

交通事故で怪我をしたときに、脳に損傷を受けたら要注意です。この場合、高次脳機能障害という重篤な後遺障害が残ってしまうことがあります。交通事故によって怪我をした場合、その後入通院によって治療をしますが、治療をしても完治しない後遺障害が残ることがあります。高次脳機能障害は、こうした後遺障害の1種です。

高次脳機能障害とは、脳卒中などの症状や頭部の外傷などの後天的な原因で、脳の認知機能に障害が起きることです。高次脳機能障害の原因8割程度は脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などの脳卒中で、交通事故などの頭部の損傷(外部性脳挫傷)によるものは1割程度と言われています。

高次脳機能障害は比較的最近明らかになった症状で、厚生労働省によって交通事故の後遺障害としての認定を受けたのも2001年からのことです。このように研究が始まってから日が浅いこともあり、医師であってもわからないことが多い分野であると言われています。

さらに、高次脳機能障害の場合、必ずしもMRI画像などの画像診断をしても明らかに障害がわからないことがあります。すると、医師にも本人にも症状が出ていることがわからず、そのまま見過ごされてしまうケースも多いです。

しかし、高次脳機能障害になると、さまざまな認知機能に障害が出るので、本人にも周囲にもその生活や仕事に大きな悪影響がありますので、適切に対処して正当な保障を受ける必要があります。

高次脳機能障害の症状

高次脳機能障害になると、具体的にどのような症状が出るのか、確認してみましょう。高次脳機能障害の症状は脳の認知機能全般に及ぶので、人によってもさまざまですが、だいたい以下のようなものが多いです。

記憶障害

代表的な症状が記憶障害です。ものごとの記憶ができなくなったり記憶力が低下したりします。脳の側頭葉内側部分が損傷を受けた場合に起こりやすく、新しいものごとを記憶するのが困難になる「前向性健忘」と、過去のできごとを思い出すのが困難になる「逆向性健忘」の2つに分けられています。

たとえば、交通事故後以下のような症状が出るようになった場合に注意が必要です。

  • ものをしまった場所がわからなくなる
  • 〇月〇日や〇曜日などがわからなくなる
  • 約束を忘れてしまう
  • 同じ質問を繰り返す
  • 自分が今どこにいるかわからない
  • 人の名前や仕事の手順、1日の予定などを覚えられない

注意障害

次に、注意障害があります。これは、脳の中でも前頭葉や頭頂葉の部分に損傷を受けた場合に起こりやすく、注意力が散漫になったり、集中力が低下したり、行動に一貫性がなくなったりするものです。交通事故後、次のような症状が出るようになったら、注意が必要です。

  • ぼんやりすることが増えたり、ミスが増えたりする
  • 集中力がなく、気が散りやすい
  • 長時間一つのものごとに取り組むことができない
  • 一度に二つ以上のことができない
  • 周囲の状況を無視して行動してしまう
  • 周囲に関心を寄せない
  • 話しかけてもなかなか反応しない

半側空間無視

見ている空間の片側を見落としてしまう障害です。多くの場合、左側を見落とします。
たとえば、以下のような症状があります。

  • 食事をするとき、左側の食べ物を食べ残してしまう
  • ドアを通るときに左側にぶつかってしまう
  • 片側にあるものを見落とす

社会的行動障害(前頭葉・側頭葉の損傷による)

社会的行動障害は、脳の中でも前頭葉と側頭葉の部分に損傷を受けた場合に起こりやすく、暴力的な行動をとったり、感情を抑制出来なくなったりします。これとは逆に、感情がなくなってしまって無関心になってしまうケースもあります。

交通事故後、次のような症状が出たら、注意が必要です。

  • すぐに興奮して大声を出したり暴力を振るったりする
  • 思い通りにならないことがあると、すぐに怒り出す
  • 他人につきまとうなどの迷惑行為をしてしまう
  • 不潔な行動をとったりだらしなくなったりする
  • 自己中心的になる
  • 際限なくものを食べたりお金を使ったりする
  • 子どもっぽい態度や行動をとる
  • 行動や発言が場違いになる
  • 急に泣き出したり、怒り出したりする
  • 何事にも無関心である

遂行機能障害(前頭葉の損傷による)

交通事故で脳の前頭葉部分に損傷を受けた場合に起こりやすく、計画を立ててそれに従った行動ができなくなったり、周囲の状況変化に対応できなくなったりします。交通事故後、たとえば以下のような症状が出るようになったら、注意が必要です。

  • 約束の時間に遅れることが増える
  • 計画を立てても実行できない
  • 人から指示されないと自主的には行動できない
  • 物事に優先順位をつけることができない
  • 行動がいきあたりばったりになる
  • 仕事を予定通りに仕上げられない
  • 効率的に仕事をすることができない
  • 間違ったことを次にいかすことができない
  • 想定外の事態が起こったら対処できない

このほか、言葉がうまく出なくなったり日常的な動作ができなくなったりする「失語症失行症」が出ることもあります。触っているものや見たものを認識できない「失認症」の症状が出ることもあります。

さらに、高次脳機能障害の場合、自分が病気であることに気づいていないことが多いです。このことを「病識欠如」と言います。

以上のように、高次脳機能障害になると、人によってさまざまな症状が出る可能性があるので、交通事故で頭を打った場合などで、事故前と違った様子が現れた場合には、一度高次脳機能障害を疑ってみることが必要です。

なお、高次脳機能障害は認知症とよく似た症状が出ることがありますが、認知症とは異なる病気です。認知症は治りませんが、高次脳機能障害の場合には、早期に発見をして適切にリハビリをすれば改善可能です。

高次脳機能障害の後遺障害等級

治療しても回復しない後遺症

交通事故が原因で高次脳機能障害になると、どのような後遺障害の等級が認定されるのでしょうか?これについては、高次脳機能障害の症状の内容や程度によって異なります。
具体的には、以下のような後遺障害等級認定を受けることができる可能性があります。

等級神経系統の機能または精神の障害
別表第一1級1号神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
1.食事・入浴・用便・着衣等、生命維持に必要な行動について、常時介護を要する
2.高度の痴ほうがあるため、常時監視を要する
2級1号神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
1.食事・入浴・用便・着衣等、生命維持に必要な行動について、随時介護を要する
2.著しい判断力の低下や情動不安定があるため、看視を欠かすことができない
別表第二3級3号神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
1.生命維持に必要な行動はできるが、労務に服すことができない
2.記憶や注意力等に著しい障害があって、一般就労が全くできないか、困難である
5級2号神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
1.単純繰返し作業等に限定すれば一般就労可能だが、特に軽易な労務しかできない
2. 一般人に比較して作業能力が著しく制限されており、就労の維持には職場の理解と援助を欠かすことができない
7級4号神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
1.特に軽易な労務等に限定すれば一般就労可能だが、軽易な労務しかできない
2. 一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行うことができない
9級10号神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
1.通常の労務はできるが、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限される
2.一般就労を維持できるが、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業持続力などに問題がある

以上のように、高次脳機能障害では、症状の内容に応じて1級、2級、3級、5級、7級、9級の認定を受けることができます。

高次脳機能障害の場合の損害賠償金

後遺障害慰謝料と逸失利益

高次脳機能障害になると、どのような損害賠償金が支払われるのかをご説明します。

この場合、その他の事案と同様、病院の治療費や付添看護費、入院雑費や休業損害、入通院慰謝料などはもちろん支払われます。それ以外に、後遺障害の等級認定を受けると、等級に応じた後遺障害慰謝料と逸失利益の支払いを受けることができます。

後遺障害慰謝料とは、交通事故によって後遺障害が残ったことによる精神的損害に対する慰謝料のことです。逸失利益とは、後遺障害によって以前のようには働けなくなる結果、失われた将来の収入分の損害のことです。

逸失利益は、後遺障害の等級ごとに定められた労働能力喪失率によって計算します。
後遺障害等級ごとの後遺障害慰謝料と逸失利益は、以下の表のとおりになります。

等級弁護士・裁判基準による後遺障害慰謝料自賠責保険の慰謝料労働能力喪失率
1級2800万円1100万円100%
2級2370万円958万円100%
3級1990万円829万円100%
5級1400万円599万円79%
7級1000万円409万円56%
9級690万円245万円35%

具体的な損害賠償金の相場は?

高次脳機能障害になった場合、具体的にはどのくらいの損害賠償金が支払われるのかが問題です。これについては、どの程度の後遺障害があり、どの等級での認定を受けられるかによって相当変わってきます。
たとえば、若いサラリーマンや高額所得者などのケースで、1級や2級の等級認定を受けられた場合などには、損害賠償金を全額合計すると数億円になるケースもあります。

逆に、無職無収入で後遺障害の等級が9級の場合などには、1000万円~2000万円程度になることもあるでしょう。

どちらにしても、なるべく高額な損害賠償金の支払を受けるためには、後遺障害等級の認定を確実に受けることができます。同じように高次脳機能障害の症状が出ていても、等級認定を受けられないなら、支払われる損害賠償金の金額は数百万円以下にしかならない可能性が出てきます。

高次脳機能障害で後遺障害認定を受けるポイント

高次脳機能障害になった場合には、適切な後遺障害等級認定を受けることが極めて重要です。そのためにはいくつかのポイントがあるので、以下でご紹介します。

子供っぽい性格変化などの症状に気づく

高次脳機能障害で適切に後遺障害等級認定を受けるためには、まずは症状に気づくことが重要です。高次脳機能障害では、MRIなどの画像診断をしても、にわかには発見されにくいことがあります。医師でもわからないことがあるので、見逃されてしまうこともあります。

また、起こる変化も「集中力の低下」「子どもっぽくなる」「物忘れがひどくなる」などなので、個性や性格によるものだとみなされて、それが病気であることがわからないケースも多いです。本人も周囲も非常に困った状態になるにもかかわらず、それが病気と気づかれないことが最も大きな問題点です。性格変化などはなかなか気づかないことがあります。

そこで、高次脳機能障害で適切に後遺障害等級認定を受けるためには、まずは病気であることを疑ってみることが重要です。そのためには、交通事故が原因で高次脳機能障害になる可能性があることをしっかり認識しておく必要があります。

交通事故で脳に外部的損傷を受けた後、本人の様子が以前と異なる場合、性格変化に気づいた場合には、高次脳機能障害を疑ってみて、専門医による診断を受けましょう。

良い専門医師を探し、適切な診断書を書いてもらう

高次脳機能障害になった場合には、良い専門医を探すことが極めて重要です。高次脳機能障害は、研究が始まってから日が浅い分野であり医師でもわからないことが多いと言われています。症状が出ていても、医師が見逃すこともあります。そこで、高次脳機能障害の診断を適切に受けるためには、その分野の知識や経験が豊富な専門医を探して受診する必要があります。
専門医を探すなら、国が設置している「高次脳機能障害情報・支援センター」で、高次脳機能障害の患者のための支援や支援機関に関する情報が公開されているので、利用すると便利です。

良い専門医師に出会い、適切な診断書を書いてもらうようにしましょう。

適切な検査を行う(診断基準ガイドライン)

高次脳機能障害になった場合に適切に後遺障害等級認定を受けるためには、適切な検査を実施することが重要です。
後遺障害の等級認定手続きでは、検査結果によって客観的に症状が証明されている必要があるからです。
高次脳機能障害の症状を証明するための検査としては、まずは画像診断が主となります。

具体的には、MRIやCTスキャン、脳波の検査などを実施しましょう。そのためには、これらの画像診断用の医療機器が充実している医院を選ぶことも重要になってきます。

また、これらの画像診断によっては症状を証明できない場合には、別の検査方法を組み合わせて症状を証明することもできます。

たとえば、MMSE(記憶障害や注意障害、遂行障害などを総合的に検査するもの)、FAB(Front Assessment Battery)(前頭葉機能の働きを確認するもの)、TMT(Trail Making Test)(注意障害を判断できるもの)、SPTA(標準高次動作性検査)やSLTA(聞く、読む、話す、書く動作によって言語機能を調べる検査)KWCST(Wisconsin Card Sorting Test Keio Version)(遂行機能障害を確認するもの)などを利用することができます。

これらの検査を適切に行うためにも、やはり高次脳機能障害に詳しい良い専門医と充実した施設の整った病院を探すことが重要になってきます。

高次脳機能障害が疑われたら弁護士に相談し示談交渉を任せる

交通事故で高次脳機能障害になった場合、確実に適切な後遺障害等級認定を受けるためには、手続きを弁護士に依頼することをおすすめします。

後遺障害等級認定手続きには、任意保険会社による事前認定と被害者自身が請求手続きをする被害者請求がありますが、被害者請求をした方が、確実に自分の手で手続をすすめられます。そこで、後遺障害等級を確実に認定してもらうためには被害者請求手続きをしましょう。

被害者請求手続きを行う場合にはたくさんの書類も必要になりますし、適切な主張と証明を行って確実に等級認定してもらう必要があります。このような手続きを被害者が一人で適切に行うことは困難です。また、特に高次脳機能障害のような難しい症状にもとづく後遺障害の等級認定手続きには、ある程度の医学的知識も必要になります。

そこで、高次脳機能障害で後遺障害等級認定手続きをする場合には、交通事故問題に強い専門の弁護士を探して依頼することが成功のポイントになります。

弁護士であれば、後遺障害の等級認定手続き自体にも精通していますし、高次脳機能障害についても詳しく、等級認定に最低限必要な医学的知識を持っていることが多いです。
そこで、高次脳機能障害が疑われるケースでは、まずは一度、交通事故問題に積極的に取り組んでいる弁護士に相談してみることをおすすめします。

難しい示談金増額の交渉など、交通事故に強い弁護士は助けになってくれるでしょう。

まとめ

今回は、交通事故で高次脳機能障害の後遺障害が残った場合の対処方法などをご紹介しました。

高次脳機能障害になると、記憶障害や注意障害、社会行動障害や認知力の低下など、さまざまな症状が顕れます。しかし、はっきり病気とわからないことが多く、本人や家族も見逃しがちですし、医師でも判断できないこともあります。

高次脳機能障害になると、1級から9級まで各種の後遺障害等級認定を受けることができ、それぞれの等級に応じた後遺障害慰謝料や逸失利益の支払いを受けることができます。

高次脳機能障害で確実に後遺障害等級認定を受けるためには、まずはその症状に気づくこと、次に良い専門医を見つけること、さらに適切な検査を受けることが重要です。

手続きの方法としては被害者請求をした方が良いので、交通事故に強い良い弁護士を探して手続きを依頼すると良いでしょう。

今回の記事を参考にして、自分や家族が交通事故で高次脳機能障害になった場合にも、適切に後遺障害等級認定を受けて確実に損害賠償金の支払いを受けましょう。

高次脳機能障害と示談金増額に強い弁護士

高次脳機能障害や、意識不明といった脳に多大な損傷を受けた交通事故の場合、取り扱える弁護士事務所は限られています。全国対応の大手の弁護士事務所は、こういった重大案件に関しての取り扱い経験が豊富であり、医師との連携、医学的な勉強も日々研磨しております。経験豊富な弁護士事務所に相談することをお勧めします。

交通事故に強い弁護士が無料相談いたします

保険会社任せの示談で後悔しないために、今すぐ弁護士にご相談ください。治療に専念、慰謝料を増額できる可能性があります。
交通事故に関する専門知識をもつ弁護士に相談することで、以下のような問題の解決が望めます。

  1. 保険会社から治療費の打ち切りを迫られている
  2. 過失割合に納得ができない
  3. 適正な等級認定のため後遺障害申請サポートしてほしい
  4. 保険会社との示談交渉が面倒、保険会社の態度が悪い
  5. 保険会社が提示した慰謝料が適正な金額かわからない

交通事故に強い弁護士に相談することで、これらの書類の準備や交渉の負担がほとんどなくなります!弁護士に任せて頂ければ、被害者の方は安心して治療に専念できます。
1つでも当てはまる方は1人で悩まず、今すぐ弁護士に相談しましょう。

弁護士法人 ベリーベスト法律事務所
弁護士法人 ベリーベスト法律事務所
 現在営業中( 本日9:30~21:00 )]

土日の電話受付対応、弁護士報酬は「後払い」、初回相談料と着手金は完全無料となっております。

全国対応の「交通事故専門チーム」によるサポートが特徴の法律事務所です。まずは、交通事故専門チームによる「慰謝料無料診断」をご利用下さい。

お電話でのお問い合わせはこちら
お電話でのお問い合わせはこちら
050-3759-2099
[電話受付]平日 9:30~21:00 土日 9:30~18:00
 現在営業中( 本日9:30~21:00 )]
電話する 弁護士詳細情報はこちら
都道府県から交通事故に強い弁護士を探す
この記事が役に立ったらシェアしてください!