後遺障害の併合14級とは|示談金相場と逸失利益について解説

交通事故によって複数の怪我が後遺症として残り、後遺障害認定の際に「併合」という用語が出てきます。

簡単に言い換えると、「複数の後遺症をひとつにまとめて考慮する」というような意味です。

つまり、複数の後遺症がある場合でも、それらを統合的に評価して後遺障害の等級を決定します。

今回は、後遺障害の併合14級について解説します。また、示談金相場と逸失利益、労働能力喪失率についても解説します。

後遺障害併合14級とは

示談金の前にまず併合した場合の「等級」について解説します。

以下の表が分かりやすいでしょう。

後遺障害が併合した場合の等級 最も重い等級
1~5級 6~8級 9~13級 14級
次に重い等級 1~5級 最も重い等級
+3級
6~8級 最も重い等級
+2級
最も重い等級
+2級
9~13級 最も重い等級
+1級
最も重い等級
+1級
最も重い等級
+1級
14級 最も重い等級 最も重い等級 最も重い等級 14級

後遺障害併合14級になるケースは、後遺障害等級14級に該当する後遺障害が複数ある場合ということが分かります。

そして、他の等級の場合は、繰り上げが行われるケースもあるのですが、14級の場合は繰り上げが行われません。

後遺障害併合14級の示談金相場はいくらか

以下では、後遺障害併合14級の示談金相場がいくらなのかを確認して参りましょう。

示談金の内訳は様々ですが、今回は主に「後遺障害慰謝料」「逸失利益」について解説します。

それ以外の項目として、もちろん「入通院慰謝料」や「休業損害」などがあります。

後遺障害併合14級の後遺障害慰謝料

後遺障害併合14級の示談金を考える際に重要なのが後遺障害慰謝料です。

併合14級の後遺障害慰謝料の金額相場は、以下のとおりです。

後遺障害併合14級の後遺障害慰謝料の金額相場
自賠責基準の金額 任意保険基準の金額(※) 弁護士・裁判基準の金額
32万円 40万円 110万円

※任意保険基準は、旧任意保険の統一支払基準を参考に記載

ここで、重要な点は「後遺障害14級の慰謝料相場」と「後遺障害併合14級の慰謝料相場」の金額が全く同じであるということです。

そのため、保険会社から提示された金額に対して不満を抱く方も多いのです。

後遺障害併合14級の逸失利益

次に逸失利益も見てみましょう。

後遺障害併合14級の示談金を考える際に重要なのが逸失利益です。

交通事故の逸失利益の計算方法

交通事故の逸失利益の金額相場は、次の計算式によって求めることができます。

逸失利益=①基礎収入 × ②労働能力喪失率 × ③労働能力喪失期間に応じた④ライプニッツ係数

ここで重要な点は、併合14級であっても後遺障害14級であっても上記の②と③と④の値は同じになります。

細かい解説は別途記事に譲りますが、簡単にまとめると以下の通りになります。

  • 労働能力喪失率は5パーセント
  • 労働能力喪失期間は、通常は症状固定日から67歳までの期間だが、神経症状の場合は5年になるケースが多い
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交通事故の逸失利益の計算例

具体的な例は以下のとおりです。

事例

被害者の年齢・性別:53歳男性(労働能力喪失期間15年とする)
被害者の年収:720万円
被害者の後遺障害等級:併合14級

720万円(年収)×5%(労働能力喪失率)× 11.938(年齢53歳のライプニッツ係数※)=429万7680円

上記のケースでは、労働能力喪失期間を15年としているため、逸失利益の金額は高額で約430万円になります。

しかし、やはり、後遺障害の併合でも、通常の14級でも、逸失利益の金額相場が同じ、つまり示談金も同様の金額になってしまうという点は納得し難いところと言えるでしょう。

交通事故の後遺障害併合14級の裁判の事例

では、交通事故の後遺障害併合14級を裁判で認められた事例を見てみましょう。

後遺障害慰謝料はどの程度まで認められるのでしょうか。

東京地裁平成16年2月27日判決

交通事故の被害者は会社員男性(症状固定時32歳)。首、肩、両膝の痛みが残りましたが、自賠責保険が非該当としたため、異議申し立てを行い、3度目の異議申し立てで、頸椎と膝関節の神経症状で「併合14級」の後遺障害を認定されました。

裁判所は本件につき「加算事情が存在する」として、次の各事実を指摘しています。

  • 被害者は勤務先から勤務体系の変更という温情ある処遇を受けたが、他の社員の負担増、人件費増という問題を生じ、後遺障害を理由に休暇を希望した際に社内の不満、反発を招いてしまい、依願退職を余儀なくされてしまった
  • これは事故による受傷や欠勤を直接の理由とする退職ではないから、事故と因果関係ある退職とは言えない
  • しかし、事故が退職に原因を与えたことは否定できないから、慰謝料算定において考慮するべき
  • 症状固定後も、施術費を負担してでも疼痛を軽快させたいと整骨院などに通院するほどつらい症状にさいなまれていたといえる
  • 事故について被害者に落ち度はない
  • 事故後の加害者側会社(タクシー会社)の対応が誠実さを欠いていた

こうして、通院慰謝料182万円に加え、後遺障害慰謝料250万円を認めました。

参考文献:交通事故民事裁判例集37巻1号239頁

上述の事例では、後遺障害慰謝料として250万円が認められたということです。

そして、先述した通り、通常の弁護士基準では「110万円」となるところ、2倍以上の金額になりました。

このように、弁護士に相談することで慰謝料や示談金が増額の可能性があるかどうかをまず確認するのが良いでしょう。

「併合14級の示談金相場はこれぐらい」と決まっているからと、諦めるのはまだ早いと言えます。

後遺障害併合14級でも金額について諦めない

後遺障害併合14級の場合でも、示談金からの増額を望む場合には、経験豊富な後遺障害に強い弁護士に相談することが必要です。

多くの弁護士事務所では、交通事故の場合に無料相談を提供しています。

金額に妥協したくないと考えている方は、まず自身の状況を弁護士に伝え、増額の可能性について聞いてみることをおすすめします。

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  1. 保険会社が提示した示談金・慰謝料に不満だ
  2. 事故の加害者・保険会社との示談交渉が進まない
  3. 適正な後遺障害等級認定を受けたい

弁護士に相談することで、これらの問題の解決が望めます。
保険会社任せの示談で後悔しないためにも、1人で悩まず、今すぐ弁護士に相談しましょう。

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