交通事故慰謝料の自動計算機【2023年最新版】
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この記事は、むち打ち症の被害者の方が、「後遺障害12級13号」に認定されるためのポイントや慰謝料、認定率は公表されているのか、認定は難しいのかなどについて解説致します。
運悪く交通事故に巻き込まれてけがをしてしまい、通院して治療を受けたものの、むち打ち症により痛み、しびれ、麻痺、めまいなど慢性的な体調不良がずっと続くことがあります。このむち打ちの症状は、長く、とてもつらいものだということは、患った人にしかわからないものでしょう。
むち打ちの慢性的な痛みは交通事故の後遺症といえるでしょうが、交通事故との因果関係が証明された一定の症状に該当すると、後遺症のなかでも特に「後遺障害」と認定されます。
目次
自賠責保険では、後遺障害をその程度に応じて1級から14級までの等級に分類しており、むち打ち症は、このうち12級13号又は14級9号に該当する可能性があります。
むちうち症で後遺障害12級13号の認定を受けるためには、以下の基準に合致しなければなりません。
後遺障害の内容 | 実務上の判断基準 |
---|---|
局部に頑固な神経症状を残すもの | 検査や画像等の他覚的所見によって医学的に証明できるもの |
むち打ち症は、レントゲンやMRIなどの画像によって簡単にはその原因を映し出すことができないため、医学的な証明資料を提出することが難しいという非常に悩ましい問題があります。
しかし、過去の事例では、被害者が以下のような自覚症状をきちんと整理して主張し、それを補強する他覚症状とあわせて主張することで、むち打ちについて、後遺障害等級12級13号の認定を勝ち取っています。
では、どうすればむち打ち症で後遺障害12級13号に認定されることができるのでしょうか?
それには、「医学的に証明が可能」であることが要求されます。具体的には以下3つのポイントをクリアする必要があります。
まず、後遺障害12級13号の認定を受けるために必要なのは、レントゲンやMRIなどの画像や神経学的検査によって、むち打ち症の症状が存在することを医師が確認することができることです。
それには、交通事故で負傷した後すぐに、MRIのある整形外科で診断を受けることです。MRIを特筆したのは、むち打ち症の原因がレントゲンでは捉えられないことがあるからです。
特に、自賠責保険での後遺障害12級13号の認定には、神経学的検査の結果だけでなくむち打ち症の原因である神経根が圧迫されている画像所見が必要となってきます。
自賠責保険では、交通事故の膨大な案件を公平にスピーディーに処理し、等級認定の判断をしなければなりません。そのため、どうしても画像が必要となってくるのです。
しかし、神経根の圧迫は、画像で捉えることが難しく、これが後遺障害12級13号の認定の壁となっていることは否定できません。
画像所見と医師の行う神経学的検査の結果が一致することも重要なポイントです。
神経学的検査とは神経障害を確認するための医学的検査です。画像で圧迫が確認できる神経の支配する身体領域に、神経学的な異常も認められる場合に、はじめて「医学的に証明」されたと言えるわけです。
むち打ち症が交通事故が原因であると明確に証明できれば、後遺障害12級13号と認定される可能性は高くなります。言い換えれば、交通事故といった外からの力による「外傷性」が証明できれば、事故との因果関係がよりハッキリします。
というのもむち打ち症の場合、被害者の年齢によっては、その原因が経年変化によるヘルニアによるものと保険会社に主張されてしまうことがあるのです。
この証明にあたっては、MRIが有用となる場合があります。MRI画像からむちうち症の原因となったヘルニアが明らかに外傷性のものであることが確認できることがあるからです。
次に、これらのポイントをクリアし、後遺障害12級13号の認定を受けた後の損害賠償について、解説しましょう。
後遺障害12級13号に認定された場合の後遺障害慰謝料の金額相場を、以下にまとめました。
自賠責基準 | 任意保険基準(※1) | 弁護士・裁判基準 |
---|---|---|
94万円(※) | 100万円 | 290万円 |
※ 2020年31日以前に発生した事故については、93万円
上表のとおり、慰謝料には、自賠責基準、任意保険基準、弁護士・裁判基準の3つの基準が存在します。
自賠責基準は、人身事故の最低限の補償を公的に定めた自賠責保険の基準であり、任意保険基準は、任意保険会社が独自に損害賠償額を定めた基準です。
弁護士基準(裁判基準と呼ぶこともあります)は、裁判例を基に策定された基準であり、「赤い本」(※2)、「青い本」(※3)に記載されているものです。
自賠責基準から順に任意保険基準、弁護士基準と金額は高額になっていきます。
※1 任意保険基準については、一般に公開されていないので、旧任意保険の統一支払基準を参考に記載しています。
※2 赤い本:正式名称「民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準」公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部発行
※3 青い本:正式名称「交通事故損害額算定基準」公益財団法人日弁連交通事故相談センター本部発行
上表からお分かりいただける通り、自賠責基準と弁護士・裁判基準とでは、3倍以上の開きがあります。しかし、これらの金額はあくまで相場でしかありません。実際の賠償額は、事故ごとに個別に決定されます。
慰謝料の増額には、あらゆる増額理由を洗い出し、それを立証・交渉していくことが不可欠となってきます。この作業を最も得意とするのが「交通事故の後遺障害に強い弁護士」です。
また、被害者自身が弁護士基準で慰謝料の交渉をしようとしても、相手側の保険会社が納得するとは限りません。一方、訴訟をも辞さない弁護士が示談に介入すれば、保険会社も応じざるを得ないでしょう。
なお、入通院慰謝料を含んだご自分の慰謝料について詳しくお知りになりたい方は、是非下記の「慰謝料相場 シミュレーション」をご活用ください。
後遺障害12級13号が認定された場合、後遺障害慰謝料の他に、逸失利益の請求も可能になります。
逸失利益とは、交通事故の後遺障害で得ることができなくなってしまった将来の利益です。後遺障害で失われた労働能力による将来の減収を補償するものです。
逸失利益は以下の計算で求めることができます。
「就労年数に応じたライプニッツ係数」の一覧表は、以下の国土交通省のサイトを参照ください。
参考外部サイト:国土交通省「就労可能年数とライプニッツ係数表」
また「労働能力喪失率」は、後遺障害等級ごとに定められており、後遺障害12級の労働能力喪失率は、14%です。
ただし、気を付けなければならないのは、むち打ち症の場合、労働能力喪失期間が制限される傾向があるということです。
裁判実務において12級の場合には、10年とされる場合が多いようです。
その理由は、期間経過により神経症状に対する慣れや症状の緩和よって、労働能力が回復する可能性があるとされているからです。
労働能力喪失期間の制限については賛否あるでしょうが、まずは後遺障害等級認定を受けなければ、補償を受けることができません。
むちうちやヘルニアなど神経症状で後遺障害が残ってしまった方は、14級9号になるか12級13号になるのか心配で認定率がいくらぐらいなのか気になるかと思います。
ただ結論から申し上げると、後遺障害12級の認定率は、2022年現在、後遺障害の認定率は公表されていません。
認定率自体は公表されてはおりませんが、認定件数は公表されています。
「損害保険料率算出機構」の公式サイトにて、自動車保険の概況が分かる資料が、毎年公開されています。
2021年に発表された資料*によると、後遺障害の認定は2019年は全体で「年間52,541件」行われたことが分かります。
そして、このうち16.28%の「8,556件」が後遺障害12級で認定されています。
また、系列別構成比だと「精神・神経症状での認定が42.6%」ということで、後遺障害認定全体から見ると、非常に認定数が多いことが分かります。
もちろん、構成比が多いことによって、12級の認定率が高いと類推できるわけではありません。
しかし、それでも年間で8,000件以上の後遺障害12級の認定があるという事実から、適正な認定手続を行えば、後遺障害12級に認定される可能性があると言えるのではないでしょうか。
むちうち(頚椎捻挫)だけではなく、腰椎捻挫やヘルニアなどの神経症状の場合、すぐに12級と認められない可能性もあります。
その場合は異議申し立てを行うことで、14級から12級へとアップを狙います。
獲得できる裁判例は、例えば下記ページに、14級から12級に異議申し立てが成功した例が記載しておりますので、併せてご参考ください。
今回は、12級13号の慰謝料、逸失利益、認定率などについて解説致しました。
12級13号を狙うためには、交通事故に強い弁護士に依頼したほうが無難でしょう。
依頼すべきメリットには、以下のものが挙げられます。
後遺障害等級認定のサポートについては、「後遺障害診断書」作成の際、医師に記載してもらいたい事項などをまとめた作成要領の提出をすることや作成後のチェック、被害者請求の代理などが挙げられ、ひいては、賠償金受取までの期間短縮が期待できます。
これらの点を踏まえても、後遺障害認定については腕のよい弁護士に相談することが、一番の効果的な戦略です。
様々な事務所で初回無料相談などを受け付けていますので、まずご自身の状態を弁護士に相談してみて、弁護士に依頼するべきかどうか検討されてみてはいかがでしょう。
情報は多いほどよいものです。一人で抱え込まず、解決の道があると信じて頑張りましょう。