保険会社が治療費打ち切りを一方的に通達してくる理由と対処法
この記事では、保険会社が治療費打ち切りを打診してくるケースや、その理由、被害者がとるべき対処法を紹介します。打ち切り…[続きを読む]
追突事故などによる「むち打ち(頚椎捻挫)」は、後遺障害で一番多い傷病と言われています。
人によっても症状が違い、診断書に「頚椎捻挫全治2週間」書かれ「軽いむち打ち症ですね」などと医師に言われれても、記載された治療期間内に完治しない場合も多々あります。
といった悩みや疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
この記事では、むち打ち治療の様々な疑問を解決していきます。
「事故直後に医師からもらった診断書では、全治2週間だったが、2週間を過ぎても治らない」といった不満をよく聞きます。
しかし、診断書に書いてある治療期間は、あくまでも目安です。
実際はそれ以上に治療期間が伸び、むちうちの完治まで時間がかかるケースが多いのです。また人によっては、後遺症が残ってしまい、治らないケースも存在します。
一般に、むち打ちの通院期間は「3ヶ月」程度とされています。
ただ回復のスピードは人それぞれであり、3ヶ月はあくまで目安です。その後に完治した方もたくさんいらっしゃいます。
通院の頻度は、症状によって異なります。一般的な目安は、次のとおりです。
症状の程度 | 通院頻度 |
---|---|
首を動かすと痛む (生活に支障なし) | 週1~3回 |
痛みで仕事に集中できない | 週3回以上 |
頭痛・めまい・吐き気で日常生活が困難 | 毎日(できれば) |
当然ですが、症状が重い場合には、通院頻度も増やしたほうがいいでしょう。
とはいえ、仕事や家事が忙しいと、なかなか治療のための時間をとるのも大変です。
怪我をしていることで、会社や家族に多少なりとも負担をかけてしまっていると、なかなか頻繁には通院できないでしょう。
しかし、治療を怠ることは、怪我の回復以外の点でも重大な影響があります。
そのため、むち打ちで治療中の方は、「通院頻度」もしっかりと意識する必要があります。
適切な治療をしなければ、後遺症が残るリスクが出てきます。
更に、十分な治療をしなかったことを「被害者の落ち度」とされることも考えられます。
損害賠償額との関係でも、通院頻度は重要です。
交通事故で怪我をしたときには、治療費とは別に、治療期間に応じて「入通院慰謝料」を受け取ることができます。
自賠責基準では、以下の計算式で入通院慰謝料を計算します。したがって、通院頻度が2日に1回以下になると、通院期間で計算するよりも金額が下がります。
※ 2020年3月31日以前に発生した事故については、4,200円で計算
通院期間が長くても通院「頻度」が少ない場合には、保険会社から治療の必要性が疑われます。
その結果、保険会社からは「治療費の打ち切り」を告げられすくなるので注意が必要です。
どこでどのように治療するのかも重要です。整骨や鍼治療だけしているという方もあるでしょう。
そういう方には、まず整形外科に通院することをオススメします。
そこで、整形外科で行われる一般的なむち打ちの治療方法を紹介したいと思います。
頸椎捻挫の急性期治療は、「安静(患部の固定)」が特に重要です。ネックカラー(首コルセット、頚椎カラーと呼ばれる場合もあります)やギプスを装着している人を見かけることがありますが、これも立派な治療です。
電気治療 ・温熱療法(ホットパックや赤外線)・牽引といった「物理療法」と可動域訓練、筋力強化、平衡機能訓練といった「運動療法」とがあります。
電気治療については、「毎日やって大丈夫?」とか「ホントに効くの?」といった声をよく聞きます。しかし、毎日継続して治療するからこそ効果が出るのです。2・3日試してみても、少ない頻度で治療を受けても効果はありません。
ある程度毎日治療を継続して効果に疑問があれば、主治医に正直に話してみましょう。
痛みの原因となっている筋肉のコリが強い箇所に局所麻酔を注入します。
痛みを抑えることで、交感神経の興奮を抑え、血流を改善させることで、筋肉の緊張をほぐします。
トリガーポイント注射での治療にあまり効果がみられない場合に用います。
神経症状が重篤な場合に用いられる痛みを緩和するための局所麻酔です。痛みによる神経の興奮を抑え血行などの改善をします。
痛み止め・湿布薬・ビタミン剤などの処方も平行して行います。
「なかなか痛みがとれない」とのお悩みから、自宅で自分でもできる治し方を探す方は数多くいらっしゃいます。
そこで、一般的に言われる、即席のむち打ちの治し方をご紹介します。
ただし、こうした自己判断の治療方法は、患部の状態を正しく判断できずに、誤った処置をして逆効果となってしまうことも多いようです。
この治療方法をそのまま実践するのではなく、「こういうことをやったら効果的ですか?」と医師に確認をとるなどして、医師の判断に基づいて行いましょう。
患部の痛みや頭痛などの症状の多くは、受傷による「炎症」や「神経症状」を原因とするものです。
ロキソニンなどの市販されている頭痛薬は、鎮静効果があるため、むち打ちの症状を緩和させるのに効果がある場合があります。
薬のアレルギーが心配な人はロキソニンではなくカロナールを服用するのも良いでしょう。
また、体温の低下、血流の悪化などが症状の原因となっているときには、葛根湯などの漢方薬が症状を緩和してくれることもあります。
ロキソニンなどの鎮静剤は「炎症」を抑えることで痛みを抑制します。炎症がなければ鎮痛効果はあまりありません。
もし、炎症鎮静剤が効かなければ、すぐに服用を止めて、病院で受診するようにしましょう。
患部を冷やしたり温めたりすることで、むち打ちの症状が緩和されることもあります。
「事故から間もないとき」には、受傷部位の炎症が原因の場合が多いため、冷やすことが効果的な場合が多いといえます。
他方で、「事故から数日経っているとき」には、血流を改善させるために患部を温める、お風呂や温泉療法が有効な場合が多いといわれます。
整骨院に通っている場合に問題となるのが、その「治療費」です。
交通事故の治療費のうちでも賠償請求できるのは 、「必要かつ相当な範囲」に限られます。
保険会社との示談交渉で、整骨院にかかった費用は、保険会社側が「必要かつ相当な治療費」と判断しなければ、支払いには応じてくれません。
また、整骨院だけに通院した場合、後遺障害の認定に必要な「後遺障害診断書」がもらえません。整骨院の先生は医師ではないので、診断書が書けないのです。
また、資格のない整体マッサージ・ストレッチ療法は、かえって症状を悪化させることもあります。
整骨院、整体、接骨院でのむち打ちの治療は、トラブルが多いので注意が必要です。まずは、整形外科の医師の判断を仰ぎましょう。
どうしても、整骨院に通いたいという場合は、下記の記事を参考に通院するようにしましょう。
今回は、むち打ち(頚椎捻挫)の治療方法、治し方などについて解説して参りました。
むち打ちは、症状が軽い場合でも後遺症が残ってしまう場合があります。医師の指示にしたがって、必要な治療をしっかり受けましょう。
むち打ち治療が長引いている場合には、途中で治療を止めたくなることもあるかと思います。
しかし、最終的な示談や賠償を見据えた場合、安易な自己判断は禁物です。
また、むち打ちを患っていると、知らず知らずのうちに自分の楽な姿勢をとる癖がつき、体のあちこちに不調を来すことがあります。
むち打ちの治療で悩みがあり、このまま治療を継続すべきか等について、示談や賠償等の将来を見据えた判断をしたい場合には、早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。