交通事故後すぐ病院へ!何日以内?何科?痛くなくても病院なの?
交通事故後の病院での受診すべき診療科はどこか、また病院での正しい対応、支払い、また怪我の種類や例について解説します。…[続きを読む]
この記事では、交通事故のリハビリのために整骨院に通いたいという方のために、整形外科との掛け持ち通院はダメかOKか、同日通院も可能か、整骨院の通院が医師の許可なしだと困ること、併用できないことはないこと、など4つの注意点と整骨院の選び方について解説します。
交通事故でヘルニアやむちうち症などを発症して、「首が痛くてダメ」「だるさ、痺れがある」と感じる場合、整骨院(接骨院)に通いたいと考える方が多くなります。
ただ、通院する場所を整形外科から整骨院に切り替える場合や、整骨院と整形外科を同時通院するときに「もしかして併用、掛け持ちできないのでは?」「医者が嫌がるのでは」「行かない方がいいか」と感じている方もいるかもしれません。
しかし、それは誤解です。整骨院と整形外科について、交通事故被害者が気づきにくい点があり、通院後に後悔する方も少なくありません。
目次
整骨院に通院する時の第1のポイントは「病院と掛け持ちして、同時に通院すること」です。
つまり「併用できない」ということはありません。だめ、ではないのです。整骨院について一律で行かない方がいいってことはありません。
ただ、もちろん交通事故でケガをしたら、まず整形外科で受診する必要はあります。
整形外科の医師に書いてもらう診断書には、診断名(「頸椎捻挫」などの症状名)だけでなく、ケガが交通事故による負傷であることを明記してもらい「交通事故との因果関係を明確にする」ことが重要です。
その後、整骨院に通院したい場合、併用したい場合は、医師が許せばいつからでも可能です。
同時通院・同日の通院であってもかまいません。
上記で解説したとおり、整形外科と整骨院は併用できないことはなく、同時通院・掛け持ち・切り替えは可能です。
また、整骨院の治療費を請求するために「整骨院への通院に関する医師の許可」をもらうことが重要です。
その際に、通院回数や頻度、どういう施術が良いか等についての細かな(具体的な)指示があるとか、診断書に「整骨院での治療を有効と認める」といった記載をしてもらえると理想的です。
ただし、切り替えなどに対して、実際にはそこまで明確な具体的指示を貰える例は珍しいことは確かです。
中には、整骨院へ通院することを良く思わない、嫌がる医師もおり、実際には、医師から具体的な指示を得られることは少なく、「ご希望ならどうぞ」、「掛け持ち、併用できないことはないです。切り替えるなら反対はしません」「行かない方がいいとは言いません」と黙認というケースが大部分のようです。
それでも、医師が嫌がって反対しているとか、医師に無断で施術したという場合よりも、この程度のレベルでも同意や許可(※)を得ておけば、整骨院の治療費が必要かつ相当と認められる可能性は高まります。
※ 患者が整骨院などで施術するのは患者の自由であって、医師に同意や許可をする権限があるわけではありません。
ここでの「同意」、「許可」という表現は、整骨院など医療機関以外での施術に対し、担当医師が積極的に反対意見を表明してはいなかった程度の意味として使用しています。
整骨院への通院を医師が嫌がることなく同意(許可)してもらうためには、「かかりつけの整形外科を受診する」あるいは「交通事故対応の実績が多い病院を選ぶ」など、整骨院に通うことに協力的な医師を選んで受診するのがポイントです。
初めて受診する病院に行く場合には、医師との信頼関係を築いた上で話を切り出し、交渉してみる、などといった工夫が必要となるでしょう。
『どの病院に行けばいいかわからない』『切り替え、掛け持ちなど話の切り出し方が分からない』『嫌がるかも。イメージがつかなくて不安だ』という場合には、あらかじめ交通事故対応に詳しい弁護士に相談しアドバイスを受けると良いでしょう。
例えば、入院や通院が長引き、リハビリが必要となった場合、その費用も保険会社に請求できます。
多くの保険契約にはリハビリ費用が含まれているため、長期的な治療が必要であっても、適切な手続きを経れば保険金の支払いを受けることができます。
ただし、保険会社によってはリハビリ費用の適用範囲が異なることがあるため、事前に弁護士などの専門家に相談しておくと、スムーズに手続きを進められるでしょう。
整骨院に通院する前に、整骨院への通院を保険会社に伝え、整骨院の費用を支払ってもらえるかを確認しておくことも大事です。
特に、むちうちの場合で、自覚症状しかない場合などは、整骨院での治療の必要性や有効性など、保険会社に疑われることが多く問題になりやすいからです。
嫌がるかどうかをあらかじめ確認しておけば、後に治療費について揉めずに済むのです。
整骨院に通院する時の4つ目のポイントは、「症状固定」まで病院への通院を継続することです。
整骨院に通院する場合、よくあるのが「整骨院だけ通院して、リハビリさせてくれない整形外科への通院をやめる」というパターンです。
たとえば、一旦整形外科に通った後に、整形外科でのむちうち治療に疑問が生じて、通院先を整骨院に切り替えて、そのまま整形外科に行かなくなる、という人が多いのが実情です。
たとえリハビリさせてくれなくても、整形外科への通院は症状固定まで続けることが「後遺障害等級認定」を受けるための、重要なポイントです。
症状固定の後も症状が残るのであれば「後遺障害等級認定」を受けることができます。
ただその際に整骨院だけに通院した場合、後遺障害の認定に必要な「後遺障害診断書」がもらえません。整骨院の先生は医師ではないので、診断書が書けないのです。
その結果、「その後遺症は交通事故によって生じた」という関係性も認められにくくなり、後遺障害等級認定が受けられない可能性が出てきます。
後遺障害認定が受けられなければ、損害賠償請求時に、大きく不利益を被ることになります。
むちうちのリハビリで整骨院や整形外科に通院していても、治療をやめるように保険会社から通告されることがあります。
ただ、医師が症状固定と判断していない(つまり、症状が残っている)のであれば、病院での治療の継続を求めて、保険会社と交渉することは可能です。
特に自覚症状しかないむち打ち症状の場合、保険会社による治療費打ち切りについて問題になりがちです。対処法について詳しくは、以下の関連記事を是非お読みください。
交通事故後の治療で整骨院に通いたい場合、通院先の整骨院の選び方にも注意が必要です。
整骨院には、ときどき「悪質な院」が混じっています。
悪質な院では、交通事故患者は「儲かる」として、整形外科ではなく整骨院へ毎日通院することなどを勧めることがあります。
しかし実際は、健康保険を利用して不当な利益を得ようとし、不必要な施術をしてお金を請求したり、本当は来ていない日まで通院してきたかのように記録を作って保険金を請求したりします。
このような整骨院に通院していても怪我の状態が良くなることは期待しがたいですし、保険会社や健康保険への詐欺行為が明らかになった場合には、被害者も共犯を疑われるなどのトラブルに巻き込まれる可能性があります。
また慰謝料の金額についても、必ずしも通院日数が長ければ長いほどアップするわけでもありません。
詳しくは下記記事も併せてご参照ください。
ここまで、整骨院に通う場合の注意点を説明してきましたが、人によっては「整体」や「接骨院」、「鍼灸院」、「カイロプラティック」などに通って治療したいという方もいるかもしれません。
仮にこれらの施術施設に通う場合、この記事で解説したすべての注意点が当てはまります。
これらの施設はいずれも病院ではなく「医師がいない施術施設」だからです。
したがって、仮に接骨院・整体などに通う場合にも、整骨院に通う場合と同じように考え、病院の医師の指示をもらって、病院と併用するとよいでしょう。
交通事故に遭い、怪我やむち打ちになったら、整形外科へ行きましょう。 その上で、医師の指示があった場合には整骨院・接骨院へ通うのよいです。 整骨院での施術について「医師による具体的な指示」があり、かつ「医師による症状管理がされている」ならば、医師による治療の一環として認められ、治療費として認められる可能性が非常に高くなるのです。
保険会社側は「必要かつ相当な範囲」の治療費と認めなければ、支払いには応じてくれません。医師が行う治療なら「必要かつ相当な範囲」の治療と認められますが、整骨院は認めないことが多いからです。
今回は、SNS、TwitterやYahoo!知恵袋でも話題になりがちな、人身事故に巻き込まれた場合、整形外科に行かずに整骨院だけ通院することはダメか、併用できないなってことはないか、同時通院が必要か、また医師は嫌がるか、許可なしで整骨院に通ってはいけないのか、治療費や後遺障害等級認定などで問題が生じるのか、整骨院と整体の違いは何なのかなどを、整骨院に通いたい人向けに解説して参りました。
極力、整形外科で整骨院の通院について「医師の指示」を受けてから通院し、明確な指示を貰えなかった場合でも、最低限、医師の同意や許可をしっかり受けてから通院しましょう。
また、通院前に保険会社に通院後の治療費に関して確認をし、症状固定までは整骨院だけでなく、整形外科への通院も続けましょう。
もし、「医師の指示に基づかずに通院していた」、「これから通院したいが、疑問や不安が沢山ある」ということであれば、交通事故問題で示談交渉や後遺障害認定に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。
痛みや症状が治まらないうちは、まずは治療に専念することです。
分からないことは専門家に確認をとった上で、後顧の憂いなく治療に専念できる環境を整えるようにしましょう。