自分の交通事故弁護士依頼が得か損かの自己診断!費用倒れ予防
弁護士の介入によって増額する賠償金の差額分よりも、弁護士費用が上回ってしまうことを「弁護士費用倒れ」といいます。弁護…[続きを読む]
交通事故に遭ったときに、自己負担なしで弁護士に示談や裁判を依頼することができる弁護士費用特約。
ネット上でも弁護士特約を使ってみた体験談を語るブログや、SNS上でも「使ってみたら思ったより良かった」「付けていなくて後悔」といった体験を語る方も増え、その認知度は上がっているようです。
しかしその一方で「弁護士特約はいらない」「必要性を感じない」と主張している人もいます。
今回は、その主張を整理しながら、弁護士費用特約について、必要性や使い方、メリット・デメリットや使えない場合の注意点などをわかりやすくご説明します。
目次
弁護士費用特約は、自動車保険・バイク保険のオプションとして加入することができます。
正式には「弁護士費用等補償特約」、略して「弁特」や「弁護士特約」などとも呼ばれることもあります。
弁護士費用特約を利用すると、法律相談については10万円、弁護士費用については300万円を限度額として、保険会社が弁護士費用を支払ってくれることが多いです。
弁護士費用特約は、特に追突事故やもらい事故など、過失割合10対0(100%対0%)の事故の被害者を念頭に置いています。
被害者の過失が0の事故の場合、自身が加入している保険会社に賠償金の支払いは生じないため、保険会社が示談交渉を代行してしまうと法律違反となります。
つまり、被害者が「自分で示談交渉」をしなければならなくなります。
これは被害者にとって過大な負担になります。
なおかつ、自分で保険会社と示談交渉をすると、本来支払われるべき賠償金の金額よりも「低い金額を提示される」可能性も大きくなります。
だからといって、自費で弁護士を依頼すると、高額な弁護士費用がかかりますし、足が出ること(費用倒れ)も多いため、誰でも弁護士によるサポートを受けられるように、保険会社が弁護士特約を設定したのです。
次に、自動車保険やバイク保険に「弁護士特約はいらないのか」と疑問について考えてみましょう。
弁護士費用特約を付帯すれば、当然その分保険料は上がります。ただし、弁護士費用特約に要する額は、せいぜい年間数千円、月々数百円です。
もちろん、交通事故に遭う確率は、数パーセントでしょう。この金額を高いと考えるのか安いと考えるのかは、保険に加入する方次第です。
しかし、SNS上では「付けていればよかった、必要だった」という声が聞かれることも事実です。万一が起きた後に後悔しても遅いのです。
ご自分が交通法規をしっかり順守し安全運転していれば、交通事故のリスクを軽減することができるので、弁護士特約は不要と考えるケースも多いです。
ただし、同じ道路上にはルールを守らないドライバーもいます。
こういったドライバーが原因となった事故に巻き込まれてしまったら、取返しはつきません。
通常、交通事故が起こっても、加入する保険会社が示談交渉を代行してくれることになります。
確かに、弁護士が付いていなくても、あまり不自由は感じないかもしれません。
ただ、前述した通り、保険会社が示談代行できない事故(過失割合10対0のもらい事故など)もあります。
もらい事故は、自動車保険の賠償事故のうち「約3件に1件の割合」で発生しており、全国で年間約200万人の方がもらい事故にあっていると推計され*、弁護士費用特約を付帯していないことを後悔する被害者の方もいます。
*【出典】「東京海上日動の2019年度事故統計等から推計」弁護士費用特約(日常生活・自動車事故型)弁護士費用特約(自動車事故型)|東京海上日動
もちろん、弁護士特約に加入していなくても、弁護士費用を支払うことで、弁護士に依頼することは可能です。
しかし、問題は「弁護士費用倒れ」になるかならないかです。弁護士費用が弁護士介入後の損害賠償額の増加分を超えてしまい、結局、弁護士が介入した分赤字になってしまうことがあります。
弁護士費用倒れは「物損事故」など損害賠償が少額の際に起こりやすいのです。
弁護士費用特約があれば、賠償額が少額であっても弁護士費用倒れを心配する必要もなく、弁護士に依頼することができます。
次に、弁護士費用特約の使い方をご紹介します。
弁護士費用特約を利用して弁護士に依頼するまでの手順は、簡単です。
弁護士とはいえ、得意分野・不得意分野があります。交通事故に強い弁護士を選びましょう。
特に、交通事故の事案は、医療や後遺障害認定の手続きなど法律以外の知識が必要となります。
弁護士に相談する前に、保険会社に弁護士特約を利用したい旨を伝えましょう。弁護士特約を利用することについて、事前に保険会社の同意得ておく規定になっていることが多いからです。ただ、約款に弁護士特約があれば、問題なく認めてもらえるはずです。
万一、保険会社に「弁護士特約を使ってみても意味が無い」などと言われた場合には、以下の記事を参考にしてみてください。
保険会社の同意を得ることができたなら、依頼したい弁護士に、弁護士特約を使って依頼したい旨を伝えましょう。
また、弁護士に保険会社の名前を告げれば、保険会社と手続きを適切に進めてくれます。
次に、弁護士費用特約を加入する際や使う際のポイントについて解説します。
自動車保険加入の当初に弁護士特約をつけていなくても、契約途中で追加することができます。
もし、弁護士費用特約をつけていないのであれば、被害に遭うことに備えて、特約を追加することを検討してみてはいかがでしょうか。
以下の保険会社の自動車保険には、弁護士費用特約をつけることができます。
※ この他の保険会社・共済組合の保険に弁護士費用特約の付帯が可能かについては、保険会社・共済組合にお問い合わせください。
もし、複数台の車・バイクを所有しているなら、両方ではなくそのうち1台だけ弁護士費用特約を付帯していれば、保険の対象者、その配偶者、同居の親族などが他の車に搭乗中の事故もカバーします。
同様に、家族1人が契約していれば他のメンバーも利用できます。例えば、契約者のご家族がタクシーに乗っているときに事故に遭った場合なども適用範囲に含まれます。
但し、家族の弁護士特約を使う場合、同居か別居かで、弁護士特約が使える範囲が異なります。下記の記事を参考にしてください。
弁護士費用特約に、日常生活の法律上のトラブルに弁護士に依頼できるオプションが存在する保険会社があります。
「自動車事故型+日常生活型」の弁護士費用特約の選択肢があれば、「自動車事故型」では補償対象とならない自転車同士・自転車と歩行者の事故から、バッグの盗難、犬に噛まれた負傷などまでカバーします。
意外に思われるかもしれませんが、自動車保険以外にも、火災保険や医療保険、クレジットカードのサービスの一部に弁護士費用特約がついていることがあり、交通事故でも使える可能性があります。
当然のことですが、自分が依頼したい弁護士に依頼することができます。
ただ、特に指定をしない場合には、保険会社から弁護士の紹介を受けることになります。
万が一保険会社から紹介された弁護士や、あなたが依頼した弁護士があまりにも相性が悪い、不親切だった場合は弁護士を途中で交代させることもできます。
ただ、そのような場合は必ず事前に保険会社に相談しましょう。
弁護士費用特約を利用しても保険の等級がダウンすることはありません。また保険料も上がりません。
等級や保険料については安心して、弁護士特約を利用しましょう。
ただし、注意しなければならないのは、弁護士費用特約が使えない場合があるということです。
弁護士費用特約の約款には、使えないケースについて細かく記載されています。主なものを以下に挙げてみます。
- 被保険者の故意または極めて重大な過失に起因する損害
- 車検証に「事業用」と記載されている自動車を運転している場合に発生した事故(業務中の事故)
- 地震、噴火、津波によって生じた被害事故
- 無資格運転、酒気帯び運転または麻薬等により正常な運転ができないおそれのある状態で生じた被害事故
- 被保険者が自動車修理業など自動車を取り扱う仕事に従事しており、その業務として受諾した被保険自動車に搭乗中に発生した被害事故
上記の通り、被害者に「故意や大きな過失」など、事故発生について大きな責任があるケースでは、弁護士費用特約を利用することができません。
では、被害者側に少しでも過失がある場合は、弁護士特約を利用できないのでしょうか?
いえ、利用できないのは、被害者に重大な過失や故意がある場合に限られ、たとえ被害者の過失が7割や8割の事故であっても、弁護士特約を使うことはできます。
諦める必要はありません。
※ なお、弁護士費用特約が使えないケースについて詳しくは、加入する保険の約款をお確かめください。
弁護士費用特約には、次のようなメリット・デメリットがあります。
弁護士費用特約のメリットには、被害者の過失がゼロの場合に、保険会社が示談代行をできないケース以外にも、次のものが挙げられます。
では、弁護士費用特約のデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?
弁護士特約にデメリットがあるとすれば、前述した保険料の問題です。
ただ、月々100円で上記のような大きなメリットが得られるのですから、決して損にはなりません。
むしろ特約をつけていないことで受ける不利益の方が大きいため、是非とも利用すべきです。
今回は、SNSやブログでも話題の、交通事故の損害保険についていることの多い弁護士費用特約(弁護士費用等補償特約)の使い方について解説しました。
弁護士費用特約は、人身事故・追突事故など、いざという時に役に立つ、決して「いらない特約」ではありません。
当サイトでも、全国の交通事故に強い弁護士事務所をまとめて掲載しています。弁護士費用特約を使って、ご自分にあった弁護士を探し、適切な損害賠償請求に是非お役立てください。