交通事故の慰謝料を弁護士基準表で自分で計算!弁護士基準にするには
弁護士基準について解説します。日額いくらか、通院日数との関係、自分で弁護士基準にできるか?を後遺障害14級慰謝料、追…[続きを読む]
保険会社が示談交渉の際に提案する金額として「裁判基準(弁護士基準)の8割・9割でどうでしょう」と提案してくるケースがあります。
しかし、「弁護士基準の8割・9割」という表現は、特別な法的決まりはありません。
保険会社がこの表現を用いる理由は、通常、交通事故の慰謝料や賠償金の金額を交渉の出発点として提示するためです。
今回は、保険会社が提案する「弁護士基準の8割・9割」の注意点について解説します。
先に結論を述べると、弁護士基準や「赤い本」による損害額の8割で和解すべきという合理的かつ具体的な根拠は存在しません。
なお、弁護士基準や赤本の解説については、以下のページをご参考下さい。
「弁護士基準の8割・9割」の基準は、保険会社の内部基準やガイドラインに基づいています。
具体的な基準は保険会社ごとに異なりますが、保険会社は事故の状況や被害者の主張に対して、通常は一定の基準を持って示談交渉を進めます。
そして、保険会社が「8割・9割」を提案することは、交渉の妥協としての提案です。
特に、保険会社は「8割」を強硬に主張することがあり、これにより多くの和解事案が「8割」で決着するケースがあります。
しかし、被害者やその代理人(弁護士など)はその提案に同意しない場合、交渉を続ける必要があります。
保険会社は、裁判やADRを避け、迅速に問題を解決しようとすることがあります。
したがって、低めの初期提案を通じて、交渉による合意を促そうとすることが一般的です。
要するに、「弁護士基準の8割・9割」はあくまで出発点であり、被害者側にとっては、その提案が妥当であるかどうかを検討し、必要に応じて交渉を続けたり、裁判を起こすことも検討するべきです。
最終的には、具体的なケースの状況や損害の程度に基づいて、適切な賠償金を決定するべきです。
この「8割」の言葉は一部誤解を招き、裁判外の和解において「赤い本」の基準の8割が通常の基準であるかのように受け止められています。
しかし、上述したように「弁護士基準の8割・9割」は法的な根拠を持つ決まりではなく、弁護士基準や「赤い本」による損害額の8割で和解すべきという合理的かつ具体的な根拠も存在しません。
提案が適用されるべきであるかどうかはケースバイケースで異なります。過失の割合、後遺障害の程度、賠償基準、裁判費用、裁判の見通しなど多くの要素が総合的に判断されます。加えて、事案の性質に応じて適切な賠償金額を求めるべきです。
特に軽微な事案の場合、賠償金額が比較的低額であり、裁判にかかる時間や費用がその増額分を補うほどの価値がない場合、和解を検討することは理にかなうことです。
しかし、事案が重傷事案や死亡事故のように高額の賠償金が絡む場合、過失相殺を考慮に入れたり、過失の割合や後遺障害の程度に応じて裁判基準や適正な賠償金を求めることが重要です。
保険会社の提案には慎重に対処し、必要に応じて弁護士のアドバイスを受けることが重要です。
今回は、「弁護士基準の8割・9割」や赤い本の8割という表現について解説しました。
交通事故の被害者は交渉において素人であり、プロである保険会社に対して折れてしまうことが多いです。
したがって、交通事故の賠償交渉については、まず弁護士に相談することが賢明です。