もらい事故とは?過失割合0!ストレスだし納得いかない・相手が認めない!
交通事故の約1/3はもらい事故と言われています。では、もらい事故とはどんな交通事故なのでしょうか?
もらい事故とは、原則、自車が停止または徐行中に、後続車両に追突されるような事故のことを指します。
保険会社との示談がストレスの種になることもありますが、冷静に対応し、的確な交渉と証拠の収集に努めることが大切です。そして、相手が認めない、また納得のいかない場合は、法的措置も辞さずに被害の回復を目指す姿勢が必要不可欠だと言えるでしょう。
ここでは、もらい事故の過失割合や流れなど、もらい事故で被害者が知っておくべき基本的な事柄についてまとめています。特にストレスで納得いかない場合はどうするのでしょうか。
目次
もらい事故とは過失割合が10対0の事故
もらい事故の具体例
もらい事故は被害者に全く落ち度がない状況で巻き込まれる交通事故であり、典型的な例をいくつか挙げられます。
- 駐車場で停車していた車にぶつけられた事故
-このケースでは、停車中の車両に過失はまったくありません。後続の車両が注意を怠り、停車車両に追突してしまったことが事故原因です。 - 信号待ちの間に追突された事故
-信号待ちで停止している車両に、後続車が気をつけずに追突してしまった事例です。前方車両は信号を守り適切に停止しているだけですから、過失はありません。 - 歩行者用道路を歩いていた歩行者が自動車に衝突された事故
-この場合、歩行者は歩行者専用道路を適切に通行しているだけで、自動車運転者側に完全に過失があります。歩行者には何の落ち度もありません。
このように、もらい事故では被害者側に一切過失がなく、加害者側のみに過失があるケースがほとんどです。
もらい事故の過失割合は10対0が原則だが相手が認めない場合あり
もらい事故における過失割合は原則として「加害者100%:被害者0%」です。つまり、ぶつけた側に全面的な過失が認められるケースがほとんどです。
しかし一方で、まれに加害者側から「被害者車両の急ブレーキが原因だった」といった主張がなされ、相手が認めない場合もあります。急ブレーキを引いたことにより追突を招いたと指摘され、被害者側にも一定の過失があったと主張されるのです。
一般的にはこうした加害者の主張は退けられ、法的な判断でも被害者側の過失は認定されないのが通例ですが、そうとも限りません。その場合の過失割合は「加害者9:被害者1」といった微々たるものにとどまるケースが多いです。
このように、もらい事故では概して被害者無過失が原則ですが、まれに認定される被害者側の過失の可能性についても、被害者は頭に入れておく必要があります。
もらい事故で納得いかない!被害者が無過失を主張するためにすべきこと
証拠収集・書類
もらい事故での被害者無過失を証明するために、様々な証拠収集が必要となります。保険会社側から過失が主張されれば、被害者側はストレスを感じるでしょう。しかし、冷静に対応し、着実に証拠を固めていくことが重要です。
被害者自身でできる主な証拠収集や書類は以下のとおりです。
- 1. 実況見分調書(警察作成)の確保
-警察が作成する人身事故発生状況の基本資料です。事故の概要や当事者の供述等が記載されており、重要な証拠になります。 - 2. 現場状況や車両の損傷状況の撮影
-事故直後の現場の様子や、車両がどのように損傷したかを写真や動画で記録しておくことが大切です。 - 3. 目撃者がいれば連絡先の確認
-第三者の目撃証言は、裁判でも大きな影響力があります。もし目撃者がいれば、連絡先を控えておきましょう。 - 4. ドライブレコーダーの映像の保存
-車載のドライブレコーダーに事故の瞬間が録画されていれば、それが決定的な証拠になり得ます。
このように、被害者が主体的に証拠を収集・保全することが重要です。
相手が認めないなら弁護士の力を借りることも考える
無過失を主張するために、弁護士に依頼することも考えておく必要はあります。主に下記のような助力を得ることができます。
- 車両の損傷部位や程度から、事故の発生状況を推測する等、立証への手がかりを得ることが可能
- 刑事手続の進行状況などといった複雑な考慮が必要である刑事記録の取得を円滑に進め得る
- 初回無料相談
- 土日対応可能
- 慰謝料無料診断
もらい事故の場合、自分で交渉しないといけない?
弁護士法72条
もらい事故では、納得いかないと思いますが、被害者が加入する保険会社が示談交渉の代行をすることができません。
弁護士法72条は以下のように規定しています。
弁護士法72条
「弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、…行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して…和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。」
自分で示談交渉の負担
被害者の過失がゼロであるもらい事故では、被害者側の保険会社には、保険金を支払う義務がありません。
つまり、被害者側の保険会社は、事故についてまったく関係のない第三者であり、保険会社は示談交渉などの和解事務をすることはできないのです。
以上のことから、もらい事故では、被害者は、原則として自分で示談交渉をすることになります。
交通事故における法律の知識や示談の交渉術を持った加害者側の保険会社相手に、素人が直接対応しなければならなくなります。
もらい事故の流れ
もらい事故に遭ってしまった場合に、どのような流れになるかについて解説します。
物損事故でも人身事故でも、タイミングや流れは、途中まではほぼ同じです。
①警察を呼ぶ
まず警察を呼んで、「実況見分調書」の作成など、事故の記録を取ってもらいます。
事故の状況について、警察から被害者に対して質問がされますので、具体的な状況をできる限り詳細に伝えましょう。
②加害者の情報を確認する
後に保険金や損害賠償を請求するため、加害者の情報を確認し、記録を取っておきましょう。
確認しておくべき情報は以下のとおりです。
- 住所
- 氏名
- 電話番号
- メールアドレス
- 自賠責保険の内容
- 任意保険の内容
- 車のナンバー
③目撃者を確保する
自分にはまったく過失のないもらい事故であるということを証言してくれる目撃者を確保しておくことは、後に加害者や任意保険会社ともめ事が発生した場合に備えて有効です。
可能な限り、証言してくれる目撃者を確保するようにしましょう。
当然、その際には目撃者の連絡先などを確認しておきましょう。
④自分の任意保険会社に事故の報告をする
物損・人身いずれの場合でも、自分が加入している任意保険会社に事故の報告をすることが必要です。
その際、もらい事故の場合における対応についてのアドバイスをもらえることもあります。
ただし、後に解説するように、自分の任意保険会社に示談交渉を依頼することはできないので、注意が必要です。
⑤怪我がなくても病院へ行く
事故の処理が済んだタイミングで、必ず怪我がなくても病院に行くようにしましょう。
たとえ怪我の程度が大したことがないように思えても、見えない怪我を負っていて、それが後々深刻な影響を身体に及ぼすケースもあります。
できるだけ早く医師の診察を受けることが損をしないためのポイントです。
特に怪我の程度が重傷の場合には、①から④よりも優先して病院に行くようにしましょう。
もらい事故(人身)被害者は法律の専門家に
人身事故になったもらい事故では、相手が認めないこともあるため、加害者との示談交渉を被害者は法律の専門家に依頼する必要があります。
しかし、気になるのは費用でしょう。
弁護士費用特約とは?
そこで、利用したいのが弁護士特約です。弁護士特約とは、任意保険に付帯した特約で「弁護士費用を上限300万円」まで保険会社が負担するというものです。弁護士特約を利用すれば、弁護士費用で足が出ることはほとんどありません。
弁護士特約を利用しても、保険の等級が下がることも保険料が上がることもありません。気になる方は、是非、ご自分の保険の約款を調べるか、加入する保険会社に問い合わせてみてくだいさい。
もらい事故の被害者が弁護士に依頼するメリット
弁護士に依頼すれば、示談交渉に煩わされるストレスから解放されるうえに、示談金が増額される可能性もあります。
もし、もらい事故でお悩みであれば、ストレスで納得いかない場合は、是非一度、交通事故に強い弁護士にご相談ください。