保険会社が治療費打ち切りを一方的に通達してくる理由と対処方法
治療費打ち切りが打診される理由やタイミングや期間などを紹介と、むちうち治療の打ち切り後の治療継続のポイント・自費なの…[続きを読む]
交通事故の怪我の治療をしている方の中には、通院に費やす時間的なコストがかかるため早く通院をやめたい、終わり方をどうするかと考えている方もいるかもしれません。
しかし、病院への通院は、怪我の治療をするという観点だけでなく、交通事故の慰謝料の金額にも影響を与えるものですので、適切な通院頻度で治療を継続することが大切です。自分の判断で勝手に通院をやめてしまうと、適正な慰謝料・示談金をもらうことができないリスクもあります。
今回は、TwitterやYahoo!知恵袋でも話題の交通事故の通院に関する注意点と適正な慰謝料を受け取るためのポイントや、通院をやめるタイミング、終わり方、やめたいと思った時に通院をやめるときはいつがいいのか?についてわかりやすく解説します。
目次
交通事故の通院が長引いてくると、そろそろ通院をやめたい、やめるときを考えているという方もいるかもしれません。交通事故の治療はいつまで続ける必要があるのでしょうか。
交通事故の通院の終わり方が気になる方が多いですが、治療は、怪我が完治するか症状固定*となるまで続ける必要があります。
*症状固定とは、これ以上治療を継続したとしても、症状の改善の見込みがない状態をいいます。
怪我が完治したかどうかは、もちろん治療を担当する「主治医が判断」します。
そのため、被害者が自分の判断でやめるときはいついつだと勝手に治療をやめてはいけません。
治療により痛みが改善してきたとしても、治療の効果により一時的に痛みが改善しているだけの可能性もあります。
勝手に治療をやめてしまうと後で症状がひどくなる可能性もありますので、治療の終了時期は、医師の判断に従うようにしましょう。
通院をやめるときについて考えていなくても、またやめたいと思っていても、どちらにしろ、一定期間治療を続けていると、加害者の保険会社から治療費の打ち切りの打診を受けることがあります。
しかし、治療の終わり方を決めるのは、そして終了時期を判断するのは、被害者の治療を担当する主治医であり、保険会社ではありません。
保険会社から治療費の打ち切りの打診には思惑があります。
それを受けたとしても、医師が治療の必要性を認めているのであれば、引き続き治療を継続するべきです。
被害者が勝手にやめたいとおもい、通院をやめてしまった場合には、以下のようなデメリットが生じます。
怪我が完治していないにもかかわらず、途中で通院をやめてしまうと、症状が再発したり、悪化してしまう可能性があります。
そのような状態になって、再度、通院を再開したとしても、治療の必要性や事故との因果関係を否定されてしまいます。
結果的に、保険会社からは治療費の支払いを断られることになります。
交通事故で怪我をした場合には、加害者または保険会社から傷害慰謝料(入通院慰謝料)が支払われます。慰謝料は、精神的苦痛に対する賠償金ですが、被害者の主観ではなく、入通院期間や実日数という客観的な要素によって算定するのが一般的です。
通院を勝手にやめてしまうと、本来必要な治療期間よりも短くなってしまいますので、それに応じて被害者が受け取ることができる慰謝料の少なくなってしまいます。
怪我の治療をしても怪我の内容や程度によっては、後遺症が残ってしまうケースもあります。
例えば、むちうちのような一見軽そうなケガでも、後遺症が残り、後遺障害認定を受けるケースが交通事故では多いです。
後遺障害等級認定を受けることができれば、後遺障害の内容および程度に応じた「後遺障害慰謝料」や「逸失利益」の支払いを受けることができます。
しかし、通院を勝手にやめてしまうと、怪我が完治したと判断され、何らかの障害が残っていたとしても交通事故との因果関係を否定されてしまう可能性があります。後遺障害慰謝料や逸失利益は、交通事故の賠償金の中でも大きな割合を占めますので、それらが受け取れなくなれば大きな不利益が生じます。
慰謝料が通院頻度によって異なるということは、毎日通院すれば慰謝料も増額されるのでしょうか。勝手に通院をやめたほうがいいのでしょうか。
交通事故の傷害慰謝料は、通院期間や通院実日数に応じて算定されますが、毎日通院をしたとしても、慰謝料を増やすことができるわけではありません。
たとえば、自賠責保険では、傷害慰謝料は、「4300円×対象日数」という計算式で算定をします。対象に数は、治療期間と実通院日数の2倍を比較して、いずれか短い方が採用されます。そのため、3か月毎日通院をしたとしても、治療期間は90日、実通院日数の2倍は180日となり、治療期間が対象日数となります。
このように、毎日通院をしたからといって、慰謝料が増えるわけではありませんので注意が必要です。
医師から毎日通院するように指示があればいいですが、治療の必要性がないにもかかわらず、不必要な通院を繰り返していると過剰診療とみなされてしまうリスクがあります。
過剰診療とみなされてしまうと、治療費の支払いを受けることができず、必要性のない通院日については慰謝料算定の基礎から除外されてしまう可能性があります。そのため、慰謝料を増やすために不必要な通院をすることは避け、適切な通院頻度で病院に通うことが大切です。
ちなみに、事故によるむちうちの治療には、少なくとも週に1〜3回の通院が必要と言えるでしょう。
これは、病気の回復を促すためであると同時に、慰謝料の算定においても通院頻度が重要な要素となるためです。
交通事故の慰謝料の算定基準には、自賠責保険基準、任意保険基準、弁護士基準の3つの基準が存在しています。
3つの基準の中では「弁護士基準」が最も高い金額になる基準といわれています。
交通事故の被害者としては、当然弁護士基準による慰謝料を請求したいと考えますが、実は、弁護士基準を使って保険会社と交渉をすることができるのは、弁護士に依頼した場合に限られます。そのため、適正な慰謝料を受け取るためには、弁護士への依頼が不可欠となります。
経験豊富な保険会社の担当者を相手に交渉をするのは、被害者本人では難しい部分もありますので、弁護士に交渉を任せるのが安心といえるでしょう。
今回はYahoo!知恵袋でも話題の通院をやめるとき、終わり方、タイミングについて解説しました。
交通事故で怪我をした場合は、治療のため病院での治療を行うことになります。病院での治療は、最終的な慰謝料などの金額にも影響を与えることになりますので、勝手に通院をやめることはせず、適切な頻度で通院を続けることが大切です。
また、保険会社から治療費の打ち切りの打診を受けたとしても、すぐに治療をやめるのではなく、主治医に確認をしてから治療の終了時期を判断するようにしましょう。
交通事故の慰謝料は、弁護士に交渉を依頼することで増額できる可能性があります。少しでも多くの慰謝料を受け取りたいという場合には、まずは、弁護士に相談することをおすすめします。