後遺障害とは?交通事故の後遺症が残った場合に知っておきたいこと

後遺障害とは

交通事故で怪我をして、治療をしても、残念ながら完治せずに「後遺症」が残る場合があります。

また、そのような場合に、保険会社や医師などから、『そろそろ後遺障害認定について考えるように』などと伝えられることがあります。

ここで知っておきたいのが、「後遺障害」という言葉と、後遺障害の認定手続きです。

この記事では、後遺障害とは何か、後遺障害として認定されるメリットやデメリット、認定手続きや注意点は何か、を詳しく解説していきます。

後遺障害とは?交通事故の後遺症が残った場合に知っておきたいこと

後遺障害とは

後遺障害と後遺症の関係

後遺障害とは、「交通事故による傷病によって生じた障害のうち、将来においても回復困難と見込まれ、かつ、労働能力の喪失を伴うものと認定されたもの」を言います。一般的に使われる言葉である「後遺症」とは、少し違います。

後遺症は、怪我の治療が終わった後に、残ってしまった症状全般を言います。

この、いわゆる後遺症のうち、

  1. 交通事故が原因で
  2. 労働能力喪失を伴い
  3. 後遺障害として等級認定を受けたもの

が「後遺障害」です。

後遺症のうち、一部のものが後遺障害として認められる、という関係です。

後遺障害認定とは

では、後遺障害の「認定」はどのようになされるのでしょうか。

後遺障害として認定されるためには、事故と後遺症との間に因果関係があり、後遺症の症状が医学的に認められるものであることが必要、とされています。

具体的には、症状に応じて「後遺障害別等級表」というものが作成されており、等級表の各号に該当するかどうか、という判断がなされます。

では、交通事故を境に持病が悪化した場合に、後遺障害認定を受けることは可能なのでしょうか?

持病が悪化した場合でも後遺障害認定の可能性あり

持病があって事故前に通院していたとしても、後遺障害等級認定を受けられる可能性はあります。

ただし、事故のみによって症状が出ているわけではないので、持病がどの程度であったかといった調査などが必要になり、通常よりも審査に時間がかかることが考えられます。

後遺障害認定にかかる期間

自賠責保険会社に申請してから認定されるまでの期間は、大半は1か月程度とされています。

ただし、後遺障害等級が高い場合は、審査期間が長期化する傾向があり、3か月以上かかったというケースもあります。

後遺障害認定のメリット・デメリット

メリット

後遺障害認定を受ける最大のメリットは、損害賠償額が飛躍的に上がることです。

後遺障害認定を受けると、「逸失利益」と「後遺障害慰謝料」というものが賠償請求できるようになり、その額も多額(数百万円~)です。認定がある場合とない場合では、賠償額や示談金が大きく変わってきます。

デメリット|認定を受けることへの不安について

反対に、認定を受けることから発生する具体的なデメリットは特にありません

ただ、「障害」という単語から、「身体障害」を連想される方が多いのも事実です。何か不利益があるのではないかと心配される方もいらっしゃるようです。

しかし、実際のところ、後遺障害認定は障がい者認定とは違います。

後遺障害認定は、あくまでも交通事故における損害保険の保険料の算出のために、交通事故による後遺障害であると認定するものです。障がい者として公的な扶助・支援を受けるためにする手続などではありません。

後遺障害認定を受けることが、身体障害の場合に発行される「障がい者手帳」のような外部に分かりやすい形をとることは通常ないといえるでしょう。

後遺障害認定で請求できる損害賠償

逸失利益とは

逸失利益とは、後遺障害が残らなかったら得られたであろう利益をいいます。

後遺障害が残ったことで労働能力が低下し、得られるはずであった収入が減ることから、その減った部分を補填するものです。

逸失利益の計算方法は、以下の計算式で求めることができます。

逸失利益 = 基礎収入額 × 労働能力喪失率 × ライプニッツ係数

ライプニッツ係数

逸失利益は一括して支払われるので、前倒しで将来の減収分が補填されることになり、本来収入を得るべき期間までに利息が発生するために、計算式に係数としてライプニッツ係数を用いることで、その利息分を控除します。

就労可能年数に応じたライプニッツ係数は、以下国土交通省のサイトで確認することができます。

参考外部サイト:国土交通省「就労可能年数とライプニッツ係数表

労働能力喪失率

計算式にある労働能力喪失率は、認定された等級に応じて決められています。

等級が上がれなればそれだけ労働能力喪失率も高くなります。結果として、高い等級で認定された方が逸失利益は高くなる、といえます。

【労働能力喪失表】(自動車損害賠償保障法施行令別表第2の場合)

等級労働能力喪失率
1級
2級
3級
4級
5級
6級
7級
8級
9級
10級
11級
12級
13級
14級
100/100
100/100
100/100
92/100
79/100
67/100
56/100
45/100
35/100
27/100
20/100
14/100
9/100
5/100

つまり、高い等級で認定された方が逸失利益は高くなる、といえます。

後遺障害慰謝料とは

後遺障害慰謝料とは、後遺障害が残ることによって生じた精神的苦痛に対して支払われる慰謝料です。後遺障害慰謝料も、認定された後遺障害の等級に応じて金額が変わり、等級が上がるほど高い金額になります。

後遺障害慰謝料の相場】(単位:万円)

等級自賠責基準任意基準(推定)裁判基準
第1級1100万円1600万円2800万円
第2級958万円1300万円2370万円
第3級829万円1100万円1990万円
第4級712万円900万円1670万円
第5級599万円750万円1400万円
第6級498万円600万円1180万円
第7級409万円500万円1000万円
第8級324万円400万円830万円
第9級245万円300万円690万円
第10級187万円200万円550万円
第11級135万円150万円420万円
第12級93万円100万円290万円
第13級57万円60万円180万円
第14級32万円40万円110万円

後遺障害認定の手続き

後遺障害の認定機関と認定方法

まずは、後遺障害認定がどのようになされるかを説明しましょう。

後遺障害認定を行う機関は、第三者機関である損害保険料率算出機構という組織下にある損害保険料率算出機構の「自賠責損害調査事務所」という、加害者・被害者、その保険会社からも独立した組織が認定を行います。

後遺障害認定は、認定の申請をうけて、自賠責損害調査事務所で、審査の上決定されます。

認定方法は、原則として書類審査です。

提出する書類が非常に重要となり、同じ症状でも提出する書類の内容によっては認定の可否が分かれてしまう可能性もあります。

医療情報が不足しているだけなら、医療情報を補填すれば後遺障害認定が期待できる

たとえば14級の認定を争う場合で考えてみましょう。

「後遺症の実態が14級(各号)の認定基準をクリアしているか」と「それを示す医療情報があるか」の2つが問題となります。

後遺症の実態が認定基準を満たしてない場合、後遺障害として認定されることはありません。他方、実態が認定基準を満たしているにも関わらず、それを示す医療情報がないために認定されない、というケースも存在します。

このような場合には専門家(弁護士)と共同し、適切な証拠集め等を行う必要があります。

申請方法は「事前認定」と「被害者請求」の2種類

後遺障害認定の申請方法には、2種類の方法があります。

1つ目は、「被害者請求」という被害者が自ら申請手続きを行う方法です。

2つ目は、「事前認定」という加害者側の保険会社を通して申請手続きを行う方法です。

手続は「被害者請求」がオススメ

事前認定の場合、加害者側の保険会社が窓口となって一括で対応してくれるため、「手間がかからない」というメリットがあります。他方で、「手続きが不透明になりがち」で、「認定結果に不満がある場合の対応が難しい」というデメリットがあります。

被害者請求の場合、被害者側で必要書類の収集や申請手続きを行うため、手間がかかります。しかし、手続きが透明になり、かつ、自分でしっかり証拠収集した上での申請になるため、満足のいく認定結果が得られやすいという大きなメリットがあります。

適切な認定を受けるためには「被害者請求」の方が、断然オススメです。

被害者請求のメリット・デメリットの解説や、手続きの具体的な流れについては、下記記事で解説しているので、気になる方は一読ください。

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後遺障害認定の申請前に準備しておくこと

必ず病院で受診する

後遺障害認定を受けるためには、必ず病院で受診しておく必要があります。

早い段階で受診していなければ、交通事故と後遺症の因果関係を証明できなくなります。

また、認定を申請するために必要な「後遺障害診断書」は、病院の医師が治療経過等を踏まえて作成します。事故後は出来る限り早く病院を受診し、事故直後からの経過が分かるようにしておきましょう。

なお、むち打ち症などの場合には、整骨院や接骨院などを利用することも多いものですが、この場合も「病院(整形外科)」と併用して通院する必要があります。

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医学的資料を集めておく

早い段階から「後遺障害等級認定に役立つ資料」を集めることが重要です。

対象の後遺障害によって集めるものは変わりますが、どの症状でも、「診断書」と「各種検査結果」「画像所見」の3つは共通して重要な資料になります。

診断書

治療中に作成する「診断書」があると、治療の初期段階からの症状や経過が分かります。事故直後から現在までの症状の一貫性を主張する上で有用です。

検査

後遺障害の存在を説明するために、症状ごとに様々な検査があります。

たとえば「むちうち症」の場合、「ジャクソンテスト」や「スパークリングテスト」という検査があり、この検査を通じて「頸部を圧迫したときに、手足のしびれ、痛みがある」か否か等が明らかになります。

症状を客観的に示す資料となり、極めて有用です。

画像所見

たとえばレンドゲンや「MRI」などの画像診断で、外傷や変形、部位の圧迫などが確認できると、客観的資料から症状を証明しやすくなります。

症状固定までしっかり治療をする/途中で止めない

交通事故の怪我の治療は、必ず医師の指示に従って最後まで治療することが大切です。

当然のことのようですが、後遺障害認定を視野に入れた場合、ここは極めて重要です。

誰にも邪魔をされず、治療に専念できる場合であれば問題にはなりませんが、実際、治療に専念できない被害者のほうが多いです。

たとえば、仕事や家事が忙しく通院の時間が十分にとれなかったり、保険会社から「示談の申し入れ」や「治療打ち切りの打診」などが入り、不本意ながらも治療を途中で中断するというケースが多数見られます。

実際のところ、最後まで治療をすることは、意外と難しいことなのです。

また、後遺症が残るような傷病の場合、どこまで治療を続ければいいか分からない、ということも問題の一つです。治療の初期は、症状の改善が実感できるので、治療の価値も見出せますが、治療期間が長くなると、だんだん症状の改善も感じられなくなり、『もうこの辺でいいかな』と、自己判断で治療を中断しがちです。

そこで知っておきたいのが、「症状固定」という言葉です。

「症状固定」とは

症状固定とは、治療を継続しても症状の改善が見込めない状態を言います。

症状固定の段階になったかどうかは、医師が判断します。医学上、適切な治療を施しても、これ以上の改善が見込めない段階になったと判断されれば、症状固定です。

後遺障害認定を見据えた場合、『どこまで治療を続ければいいのか』という問に対しては、「症状固定の段階まで治療をする」というのが適切な回答になります。

後遺症は「治療が完了した後に遺った症状」ですので、適切な治療を行ったかどうかも大きなポイントとなります。症状固定に至ってない場合は、『まだ治療すれば症状が改善する』段階ですので、その段階で治療を止めることは「治療の中断」です。

適切に治療を行っても後遺障害が残った、ということを証明するためにも、医師が「症状固定」の判断をするまで治療をやめないようにしましょう。

通院期間・頻度も重要

症状によって異なりますが、傷病には「一般的な治療期間」というものがあります。

たとえば、打撲は1ヶ月、むちうちは3ヶ月、骨折は6ヶ月といったものです。

こうした目安期間より実際の治療期間が短い場合、『ちゃんと治療しなかった』と見なされる可能性もあります。『仕事に追われ、1か月に1-2回しか通院しなかった』といった場合も同様で、通院頻度が少なすぎると、『ちゃんと治療しなかった』と見なされる可能性があります。

医師のアドバイスに従い、症状に見合った適切な期間と頻度で通院することも重要です。

早期に「弁護士」に相談する

後遺障害認定については、早い段階で弁護士に相談することも大切です。

早期に弁護士に相談すれば、弁護士から認定を見据えた治療方針や検査内容についてのアドバイスを受けることができます。

また、被害者請求の提出書類などを弁護士がチェックすることもできるので、早期の弁護士への相談は、認定の可能性を高めるといえます。

弁護士費用について、心配な方は、ご自身やご家族の保険に弁護士費用特約という特約が付いいるかどうかを確認してみてください。弁護士費用特約が付いていれば、300万円程度まで保険会社が弁護士費用を負担してくれます。

また、適切な後遺障害認定を受けられた場合には、損害賠償金は大幅に増額するので、弁護士費用についての経済的な心配はあまりしなくても済むことになるでしょう。

後遺障害認定が非該当になった場合の対処法

後遺障害認定の申請の結果が非該当であった場合でも、自賠責保険に対して異議申し立てをすることができます。また、裁判を起こすという選択肢もあります。

しかし、異議申し立てが認められる確率は決して高くはなく、なぜ非該当や想定を下回る等級認定になったのかをしっかりと分析し、対策を立ててからする必要があります。

異議申し立てや裁判には、専門家である弁護士に依頼するのが得策です。

まとめ

ここでは、後遺障害認定を考えたときに知っておきたいことを紹介しました。

後遺障害認定の可否や等級の違いは、損害賠償額に大きな差を生じさせます。

交通事故が原因で後遺症が残ってしまったのであれば、せめて適切な後遺障害等級の認定を確実に得たいものです。

早期の弁護士への相談は、適切な後遺障害認定を受ける可能性を高めるほか、弁護士基準で後遺障害慰謝料などの損害賠償金を保険会社に請求できる可能性も高めます。

ご自身やご家族の弁護士費用特約をうまく活用して弁護士に相談し、適切な後遺障害認定を得て、少しでも後悔の少ない結果を目指しましょう。

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