交通事故の加重障害と既往症がある場合の考え方を解説!

腰痛

交通事故に遭ったとき、今回が初めてではない、というケースがあります。以前から別の障害があり、今回の交通事故によって症状が悪化することもあるでしょう。

このように、以前から別の障害がある場合、今回の交通事故の賠償金の金額にはどのような影響があるのでしょうか?
今回は、交通事故における「加重障害」と「既往症」の問題について、解説します。

1.加重障害とは

交通事故で後遺障害が残る場合、事故以前から別の後遺障害があったというケースが考えられます。たとえば、もともとむち打ちで14級相当の後遺障害が残っていたところ、再度の交通事故によって12級相当になったという場合です。

このように、今回の新たな事故によってもともとの後遺障害が悪化した状態のことを、「加重障害」と言います。
ただ、もともと別の後遺障害があったからといって、次の事故の後遺障害が必ず加重障害になるわけではありません。

加重障害が認められるのは、以下の2つのケースです。

新しい障害が、以前の障害と同一部位のケース

新しい障害が、以前の障害と「同じ場所」であるケースです。たとえば、以前右手の小指の機能を廃した人が13級の認定を受けていて、今回の事故で小指を失い、12級に認定された場合などです。

新しい障害が、以前の障害と同一系統のケース

新しい障害の場所が、以前の障害と同じ場所ではないけれども同一系統のケースです。
たとえば、以前の事故で右肘の関節の機能に障害が残って12級の認定を受けた場合、その後に新たな交通事故によって右手首の関節の著しい障害が残り、10級が認定されたケースなどです。この場合、右手首と右肘は同じ箇所ではありませんが、右の上肢という意味で傾倒が同じなので、加重障害とみなされます。

以上に対し、以前の障害と新しい障害がまったく同じ場所でもなく、同一系統でもないケースでは、加重障害としては取り扱われず、新たな障害は独立したものと考えられます。

たとえば、以前の事故で右手首の機能障害が起こって12級の認定を受けた人が、今回の事故で右足首の著しい機能障害が起こって10級の認定を受けたとします。この場合、以前の後遺障害と今回の後遺障害には関連性がないので、加重障害にはならず、今回の障害は独立した10級の後遺障害となります。

2. 加重障害がある場合の賠償金計算方法

交通事故事案で、以前の障害があった場合の加重障害だとみなされた場合、どのようにして賠償金を計算するのかが問題になります。
これについては、自賠責保険と通常の損害賠償請求の方法で異なりますので、以下で分けて開設します。

2-1.自賠責保険のケース

自賠責保険のケースでは、非常にわかりやすい計算方法となっています。
この場合、新たに認定された等級の自賠責保険の金額から、単純に以前の後遺障害の等級の自賠責保険の金額を差し引くだけです。
たとえば、前回の後遺障害の等級が12級で、今回加重障害9級が認定された場合には、自賠責の保険金は

616万円-224万円=392万円となります。

2-2.通常の損害賠償請求のケース

通常の損害賠償請求の実務においては、賠償金の計算方法はより複雑になります。この場合、請求できる賠償金の種類は逸失利益と後遺障害慰謝料です。
それぞれについて複数の計算方法があり、事案に応じて適用されています。

たとえば逸失利益の場合には、「本件における労働能力喪失率」を算定して、それにライプニッツ係数と基礎収入をかけ算して算出する方法や、今回の逸失利益から以前の後遺障害による寄与度を減額する方法などがあります。

後遺障害慰謝料については、加重障害に応じた慰謝料の金額から、既存障害に応じた慰謝料の金額を差し引いて計算する方法や、今回の慰謝料の金額から以前の後遺障害による寄与度を減額する方法などがあります。

3. 既往症とは

交通事故に遭ったとき、既往症が問題になるケースがあります。既往症とは、交通事故前から症状があり、それが原因で損害が拡大した場合の症状のことです。
たとえば、交通事故前からヘルニアの症状があり、それが交通事故によって酷くなったケースなどが該当します。
この場合、交通事故による怪我の分は、相手に損害賠償請求できるはずですが、被害者がもともと持っていた既往症の分は減額すべきだと考えられています。

4. 既往症がある場合の賠償金計算方法

4-1.素因減額

既往症がある場合には、損害賠償金が減額されます。このことを素因減額と言います。ただ、素因減額が行われるとしても、具体的にどのようなケースでどの程度の減額が行われるのかが問題です。
既往症の場合、加重障害のケースとは違い、もともとが「後遺障害」というほどの症状ではないので、一概に減額基準を示すのは難しいです。
たとえば、東京の三弁護士会交通事故処理委員会は、以下のような基準を提唱しています。

  • 既往症が軽度や一般的なもので、傷害に対する寄与がきわめて軽微なケースでは、素因減額はしない
  • 既往症による関与が明らかであるが、寄与の度合いが軽微なケースでは、素因減額はしない
  • 既往症の関与が明らかで、寄与の度合いが相当あると認められるケースでは、素因減額は20~40%
  • 既往症の関与の度合いが大きく、傷害の治療が長期化した主な原因となっているケースでは、素因減額は30~50%
  • 既往症がなければ治療の必要がほとんどなく、既往症なくしてはそのような結果の発生が通常予測できないようなケースでは、素因減額が40%~70%

ただ、上記は裁判所で採用されているというわけでもなく、あくまで参考程度のものとすべきです。
交通事故の事案において、何が既往症に該当し、該当する場合の減額度合いについてはケースバイケースの判断になるので、わからない場合には弁護士に相談してみることをおすすめします。

4-2.素因減額されないケース

既往症があるからと言って、必ずしも素因減額が行われるとは限りません。示談交渉の段階では保険会社が素因減額を主張していても、裁判になるとそれが否定されるケースは比較的多く見られます。
たとえば、交通事故によるショックで被害者がうつ病になったケースでは、よく保険会社から「被害者のもともとの性格だ」などと言われて素因減額の主張が行われますが、このような主張は認められず、素因減額が行われないことが多いです。

また、被害者がもともとヘルニアの持病があり、交通事故によって腰痛右中環指のしびれなどの症状が残って後遺障害14級の認定を受けた事案で、保険会社は素因減額を主張しましたが、裁判所がこれを否定した事案などもあります(大阪地判平20.3.11)。

この事案では、裁判所は被害者に既往症があったこと自体は認めましたが、それによって損害が拡大していない(治療期間が長引いていない)などと判断して、既往症による素因減額を否定しました。

このように、今、相手の保険会社から「既往症がある」とか「素因減額すべきだ」と言われていても、弁護士に相談をして裁判をすれば、素因減額が認められないケースはたくさんあります。
相手から素因減額を主張されても、黙って受け入れる必要はないので、諦めずにしっかりと交渉しましょう。

まとめ

今回は、交通事故の加重障害と既往症による素因減額について解説しました。

交通事故の被害者が、以前から別の後遺障害を持っていたり、既往症があったりした場合には、今回の交通事故の賠償金から減額が行われることがあります。
加重障害の場合の計算方法は、自賠責保険におけるものは簡単ですが、損害賠償実務における方法はケースによって異なります。既往症がある場合の素因減額については、明確な基準があるとは言えない状態なので、なおさら不明確です。

相手の保険会社から加重障害による減額や素因減額を主張されていても、裁判で争えば結論が変わる可能性はあります。
今、相手との示談交渉で、加重障害や素因減額を主張されて困っている人は、一度交通事故問題に強い弁護士に相談にいくことをおすすめします。

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