交通事故の示談交渉の流れと支払いまでの日数・期間を徹底解説

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交通事故の示談交渉

交通事故の示談について、「もめてしまってなかなか進まない」「長引いているけど、早く終わらせたいな」といった感想を多くの方がお持ちのようです。

しかし、交通事故の示談は一度合意してしまうと、後から内容を覆すことは困難であり、疑問が残る示談書に安易にサインしてはいけません。

この記事では、納得できる示談にするために、示談交渉の流れから、もめて長引いた時でも示談を有利に進めるために知っておくべきことを解説していきます。

交通事故の示談交渉とは

損害賠償金の支払いを受けるためには、相手と話し合いをして「賠償金の金額」や「支払い方法」を決定する必要があります。

交通事故の示談交渉とは、損害賠償金の額や支払い方法を決めるための話し合いです。

示談成立までの期間

傷害事故の示談は、一般的に、弁護士が介入すると、被害者本人が交渉するより早期に示談は終了し、開始から成立までに1~3ヶ月程度かかることが多いでしょう。

しかし、示談交渉は、両者の希望金額に差が少なければ、早く妥結できるでしょうし、差が大きければ、妥結できないか、妥結できても時間がかかります。

事故から示談成立までの期間は、これに治療に要する期間がプラスされ、後遺障害事故の場合は、さらに、通常、後遺障害認定までの1~2ヶ月の調査期間が加わります。

物損事故の場合は、通常、争点となるのは車の修理代だけであり、一般的に、傷害事故より短いケースが多くなります。ただし、過失割合などでもめると長引くことを覚悟しなければなりません。

傷害事故であれ、物損事故であれ、示談に要する期間は、個々に異なるのが現実です。

示談交渉は誰とする?

では、被害者は、誰と示談を進めていくのでしょうか?

事故の当事者が、任意保険に加入していれば、保険会社が、示談を代行してくれます(下表➀のケース)。この場合、被害者・加害者が同じ保険会社に加入していれば、適当なラインで示談をまとめようとする可能性があります

詳しくは、次の記事もご一読ください。

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被害者側加害者側 どのようなケースか
保険会社保険会社(a)被害者にも過失割合があるとき
保険会社加害者本人次の(a)かつ(b)の場合
(a)被害者にも過失割合があるとき
(b)加害者が任意保険に未加入のとき等
被害者本人保険会社次の(c)または(d)の場合
(c)被害者に過失がないとき
(d)被害者が任意保険に未加入のとき等
被害者本人加害者本人次の(b)かつ(c)の場合または(b)かつ(d)の場合
(b)加害者が任意保険に未加入のとき等
(c)被害者に過失がないとき
(d)被害者が任意保険に未加入のとき等

また、被害者に過失がなければ、保険会社は、示談代行をすることができません(上表③ ④のケース)。

もらい事故の被害者は示談交渉を自分でしなければならない

もらい事故では、被害者の過失は基本的にゼロになります。被害者の過失がゼロの事故では、被害者が加入する保険会社が、示談を代行することができず*、そのため、被害者は、加害者側の保険会社と直接示談を行わなければなりません。

*示談代行は、他人の法律問題への介入を禁ずる弁護士法(72条)に違反する行為であり、示談代行が許されるのは、被害者に過失があり保険会社にも支払義務が認められ、その会社自身の法律問題と言える場合のみのため。

加害者側の保険会社は、法律的な知識も豊富で、示談交渉のノウハウもある上に、法律のプロである顧問弁護士もバックに控えています。これに対して、被害者個人は、法律的知識もなく、示談に対応する姿勢が整っているとは言い難いでしょう。

そういった事情から、保険会社から不当な条件を突きつけられても、それが不当に低い金額だということにも気付かずに、そのまま示談してしまう事例が散見されます。

もらい事故で相手側の保険会社と示談交渉をするには、弁護士に相談・依頼するなどして、自分が不利にならないように身を守る手段を講じることが大切です。

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特殊なケースの場合

示談交渉の相手は、損害賠償の支払い相手である加害者(運転手)とは限りません。

交通事故の賠償金を支払う義務がある者は、必ずしも加害者(運転手)にはとどまらないからです。

加害車両の所有者やレンタカー業者

加害車両の所有者やレンタカー業者など、自動車損害賠償保障法(自賠法)3条の「運行供用者責任」を負担する者は、運転手でなくとも支払義務を負います。

運転手を雇用していた会社

また、運転手が会社の仕事中であったときなどは、運転手を雇用していた会社も民法715条の使用者責任を負担します。

被害者が、これら運行供用者や使用者に賠償を求める場合は、これらの者との間で示談交渉が行われることになります。

保険会社

さらに、上記の会社・業者が加入している任意保険があれば、その保険会社が、示談代行を担当することが通常です。

交通事故の示談交渉の進め方・流れ

基本的には、人身事故も物損事故も、下記のチャートのように示談交渉開始から示談成立により示談書を作成し、修理費などが支払われることに変わりありません。

示談交渉の流れ

示談交渉の必要書類

以下では、示談交渉を行うにあたり、必要な書類について説明します。

物損事故

物損事故の示談に必要な書類は、以下の通りです。

  • 交通事故証明書
  • 事故車両の写真
  • 車両修理の見積書・修理代金明細書
  • 代車使用料金明細書
  • 車両の時価を明らかにする資料(全損の場合)

全損の場合は「車両の時価を明らかにする資料」を用意する必要があります。通常、使われるのは以下の資料です。

  • オートガイド自動車価格月報(オートガイド社)
  • スタンダードプライスガイド(株式会社プロトコーポレーション)
  • シルバーブック(一般財団法人日本自動車査定協会)

なお、全損のときは、車両買替えにかかる諸費用(税金、登録等手数料、リサイクル関連費用、廃車費用等)についても資料をそろえて請求を忘れないようにしましょう。

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傷害事故

人が事故により負傷した場合の示談に必要な書類は、以下の通りです。

  • 交通事故証明書
  • 事故発生状況報告書
  • 診断書
  • 診療報酬明細書
  • 給与明細書・源泉徴収票・確定申告書の控え
  • 休業損害証明書、休業証明書
  • 交通費・日用雑貨品などの領収書

交通事故証明書は事故の事実を簡明に示す基本的書類として入手しておくべきです。事故を警察に届けてあれば、各都道府県の自動車安全運転センターから発行されます。

保険会社が介入する場合は、保険会社が取り寄せていますので、そのコピーをもらうこともできます。

休業損害証明書は、各保険会社が用意している定型の書式があり、こちらを利用します。被害者が勤務先に依頼して発行してもらい、相手方に渡します。もちろんコピーを残しましょう。

自営業などの場合は、休業日数を記入した休業証明書を被害者が作成して相手に渡すことになります。

その他、通院交通費や雑貨費(寝具、衣類、洗面具、タオルなど)の金額を明らかにするため領収書もなくしたりしないようにしましょう

なお、後遺障害が残った事故、死亡事故の場合は、別途書類が必要になります。

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示談の成立

示談書

示談交渉が成立すると、合意した事実の「証拠」として「示談書」が送られてきて署名押印することになります。

示談書にサインすると、その内容でその交通事故の損害賠償金の全額が確定します。後に「やっぱり足りない」「追加で慰謝料を支払ってほしい」などと言うことは基本的に不可能です。

示談書にサインする場合には、本当にその内容ですべて終わらせて良いのか、もう一度よくよく考えてみることが大切です。少しでも納得できていない部分があるなら、一度、その示談書を弁護士に見てもらうといいでしょう。

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免責証書

また、示談代行のケースで合意が成立すると、被害者が保険会社から「免責証書」という書面への署名・押印を求められる場合があります(もちろん、免責証書ではなく、示談書を作成する場合もあります)。

免責証書とは、被害者が保険会社から合意済みの賠償金を受け取ることを条件として「加害者に賠償請求を行わない」と約束するものです。

示談書は当事者双方が署名・押印しますが、免責証書は被害者が一方的に加害者側と保険会社に差し入れる書面です。

免責証書にサイン・押印しても大丈夫?

保険会社からの支払ですから、事実上、不払いの危険はありませんし、万一、支払がないときでも、賠償金を受領することが権利放棄の条件ですから、被害者が賠償金を請求する権利を失うわけではありません。

したがって、保険会社と金額についての合意ができているなら、免責証書に署名・押印しても問題はありません

示談書と免責証書の効果は同じであり、保険会社に提出するのは、いずれか一つで足ります。

示談金の入金

被害者・加害者双方が示談書に署名・押印をし示談が成立すれば、示談金が支払われます。

一方、示談が不成立の場合は、調停や裁判によって損害賠償を請求していくことになります。

なお、示談金がなかなか支払われず困る場合があります。いつ支払われるのか気になる方は、以下の関連記事をご参照ください。

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交通事故で示談交渉するメリット・デメリット

次に、裁判と比べたときの示談交渉のメリットをご紹介します。

交通事故で示談するメリット

  • 裁判よりも時間・費用がかからない
  • 裁判に比べ準備に手間がかからない

まず、一般的に裁判よりも時間・費用がかからない点がメリットとして挙げられます。示談交渉をご自分ですれば、弁護士費用もかかりません。また、弁護士費用も裁判に比べれば抑えることができます。

次に、裁判に比べれば準備の手間がかかりません。裁判となれば、準備すべき資料が膨大な量になり、尋問にも出廷しなければなりません。

交通事故で示談するデメリット

  • 「遅延損害金」を受け取ることができない
  • 裁判を起こせばより高額な賠償金を受けることができる可能性

裁判では判決になれば、遅延損害金が加算されることになりますが、示談で遅延損害金を請求することは、まず無理です。

また、裁判を起こせば、様々な事情を考慮して相場以上の賠償額が認められることがありますが、示談では、このようなことが起こることは期待できません。

ただし、裁判では、その分綿密な主張・立証が必要になります。

示談交渉でもっとも注意するべきケースとは?

被害者の方に、もっとも気をつけていただきたいのは、次の典型的なケースです。

  • 加害者側が自賠責・任意保険の両方に加入している場合
  • 自賠責保険が負担する金額も、「一括払い」として任意保険会社が支払っている場合
  • 任意保険会社が治療費を病院に直接支払っている場合
  • 休業損害(※1)も、任意保険会社が「内払い(※2)」してくれている場合

※1休業損害:ケガで仕事を休まなくてはならない間の減収に対する損害賠償
※2「内払い」:任意保険会社から被害者に対し、示談成立前に金銭の支払いをする取扱い。あくまで、任意保険会社の事実上のサービスとして行われるもので、内払いをするかどうかは任意保険会社が判断します。

上記すべてが揃ったケースでは、不利な示談をしないよう最も注意しなくてはなりません。その理由は次のとおりです。

  • 任意保険会社は、治療費の直接支払い、休業損害の内払いをいつでも自由に打ち切ることが可能
  • 打ち切りによって、被害者は、治療も生活もできなくってしまう可能性が高い
  • 自賠責保険の負担部分の賠償金の受け取りに、任意保険会社との示談成立が必要(任意保険の一括払いの場合)

被害者が追い詰められたところで、任意保険会社は示談を持ちかけます。その示談金額がいかに低くとも、経済的に窮した被害者は示談に応じざるを得ないのです。

これが示談の「カラクリ」です。

この任意保険会社の「兵糧攻め作戦」にはめられないためには、治療費も生活費も保険会社からの支払いをアテにしないことが一番ですが、事故の被害を受けた方に、それを求めることは酷なことが普通でしょう。

示談金を増額するために知っておくべきこと

では、交通事故の被害者が、示談交渉でより適正な示談金を受け取るためにはどうすればいいのでしょうか?

以下では示談金の金額を大きく左右する要素について、ご説明します。

過失割合を下げる

示談金の金額に大きな影響を与える要素として、過失割合があります。過失割合とは、交通事故の結果について、当事者のどちらにどれだけの責任があるかの割合です。

交通事故の示談金は、自分の過失の分だけ賠償額が減額されてしまうので、なるべく自分の過失割合を少なくする必要があります

ところが、被害者が自分で対応していると、加害者側の保険会社が、被害者の無知につけこんで、被害者側の過失割合をより大きく主張してくることが少なからずあります。

自分の過失割合について納得がいかなければ、弁護士に相談してみましょう。

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弁護士基準で慰謝料請求する

「弁護士基準」とは、交通事故の損害賠償金の計算方法の1つです。

慰謝料を請求する際に、自賠責基準、任意保険基準、弁護士(裁判)基準の3つの基準があり、自賠責基準から順に額が大きくなります。

弁護士基準は、最も高額になるだけでなく、裁判例などを基にした基準なので、法的にも妥当な基準と言えます。

そこで、交通事故で適正な示談金の支払を受けたい場合には、弁護士基準で慰謝料を算定する必要があります。

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しかし、被害者が自分で交渉しても、弁護士基準での慰謝料を保険会社が受け入れることはまずないでしょう。

交通事故で高額で適正な示談金の支払いを受けるには、示談交渉を弁護士に依頼することが重要なのです。

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後遺障害認定を受ける

後遺障害が認定されれば、それぞれの等級に応じた後遺障害慰謝料と逸失利益を請求することができます。

適切な示談金を受け取るためには、適切な等級の後遺障害の認定を受けることが大切です

そのためには、医師が症状固定と判断するまで、治療を継続することが必要です。

また、被害者自身で後遺障害等級認定の請求をすることが難しい場合には、弁護士に手続きを依頼するとスムーズに手続をすすめることができ、適切な等級の認定を受けられる可能性が上がります。

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まとめ

今回は、交通事故の示談の流れとについて解説しました。

示談が長引いてしまった場合や早く終わらせたい場合であっても、より高額な示談金を請求するために、適切な後遺障害等級認定を受けて、自分の過失割合を減らし、弁護士基準で慰謝料を算定することが重要です。

これらをすべて満たして有利に示談交渉をすすめるためには、弁護士に示談交渉を依頼することが一番の近道です。

適正な額の示談金を獲得するためにも、交通事故に強い弁護士に一度ご相談してみてはいかがでしょうか。



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