症状固定後から示談までの流れと注意点を解説
症状固定後の治療や後遺障害等級認定などについて、様々な疑問をお持ちの被害者がいます。そこでこの記事では、交通事故によ…[続きを読む]
交通事故(人身事故)の被害にあったとき、ご自身の怪我の状況と共に気になるのは、最終的な損害賠償金額を決定する「示談交渉」でしょう。
「長引かせたくない」「早く終わらせたい」と思い、届いた示談書の内容をしっかりと確認しないまま、焦って合意しようとしてはいませんか?
しかし、ちょっと待ってください。焦って示談書に合意してしまえば、後から内容を覆したり、追加の請求をすることはできなくなってしまいます。
示談書が届いても、納得できない内容には合意せず、焦らず落ち着いて対処することが大切です。
この記事では、Yahoo!知恵袋や日記ブログでも話題になりがちな、人身事故の示談交渉の流れから、示談までの日数、示談から支払いまでの期間、もらい事故や長引く示談を有利に進めるためのポイントや準備方法を解説していきます。
目次
交通事故の示談とは、交通事故の「損害」賠償金の金額と支払方法を決めるための話し合いです。
交通事故によって、被害者にはいろいろな損害が発生します。車がこわれることもありますし、怪我をしたら治療費もかかります。
後遺障害が残ったら、相手に後遺障害慰謝料も請求しなければなりませんし、死亡したら死亡慰謝料や葬儀費用が発生します。
この場合、相手と話し合いをして賠償金の金額と支払い方法を決定する必要があります。
その話し合いの手続きを、示談交渉と言います。
交通事故が起こっても、早く終わらせたいからと言って、すぐには示談交渉を開始することは少ないです。
①交通事故後、しばらく入通院治療を続けて、治療終了をした段階で示談交渉が始まるのが普通のため、場合によっては長引きます。
②また、症状が治らなかった場合は、症状固定、後遺障害認定、そしてその後に示談を開始します。
③死亡した場合なども、葬儀などいろいろな手続きがあるので、それらがすべて終わった後で示談交渉を開始するのが普通でしょう。
④そして、示談成立後、相手から示談金が支払われます。
以下の図がおおまかな流れになります。
上記で少し解説したとおり、示談交渉を開始するタイミングや、また期間・日数は状況によって異なります。
交通事故後、相手と示談交渉を開始するタイミングは特に決まっていませんが、少なくとも「損害が確定した後」である必要があります。
人身事故の場合、怪我の治療が終わってから示談交渉を開始する必要があります。
入通院治療中は、治療費もかさんでいきますし、後遺障害の内容も確定しないので、損害額が計算できないからです。
そして、入通院の期間は、1ヶ月~6ヶ月程度はかかることが多いですし、場合によっては1年や2年の通院が必要な事件もあります。
そこで、人身事故の場合には、事故後1年や2年が経過してから、ようやく示談交渉を開始出来るということもよくあります。
なお、怪我が完治しなかった場合は、後遺障害認定の手続き・審査が行われるため、さらに示談までの日数は伸び、長引きます。
また、死亡事故のケースは、葬儀などが終わったら、損害額は確定できますので、すぐに示談交渉をすることができます。
ただ、遺族としては早く終わらせたいからといって、すぐに示談をする気持ちにもなれないので、しばらく時間をおいて実際には、49日の法要が終わった頃に示談交渉を開始することが多いでしょう。
物損事故の場合には、治療をする期間は不要ですが、交通事故後「車の修理」をする期間が必要です。
修理がすべて終わり、損害額が確定した時点で示談交渉を開始します。
物損だけなので、損害額を確定しやすく、解決までの期間は事故後1ヶ月くらいの期間で示談交渉ができることも多いです。
交通事故で示談交渉をする場合、通常は相手方の保険会社との間で示談交渉をすることになりますが、場合によっては異なります。
もらい事故、つまり過失割合が相手が10で被害者が0の場合についてです。
この場合、自分が加入している保険会社が示談代行しないルールがあるのです。
つまり直接、自分で加害者側の保険会社と被害者が示談を行うことになるため、被害者が不利な側面があります。
もちろん自分で示談交渉すること自体は可能です。
ただし、示談交渉をするとき、相手は大企業である保険会社で法律的な知識も豊富ですし、数多くの示談交渉をしているのでノウハウもある上、法律のプロである顧問弁護士もバックに控えています。これに対し、被害者は個人なので、法律的知識もなく、示談に対応する姿勢が整っているとは言いがたいです。
そこで、保険会社から不当な条件を突きつけられても、それが不当に低い金額だということにも気づかないまま示談してしまうことも多いです。
もらい事故で示談交渉をする場合には、弁護士に相談・依頼するなどして、自分が不利にならないように身を守る手段を講じることが大切です。
示談交渉が成立したら、示談書が送られてきて署名押印することを求められます。
ここで、示談書に署名押印する前に注意したいことがあります。
示談書にサインすると、その内容でその交通事故の損害賠償金の全額が確定してしまいます。
後に「やっぱり足りない」「追加で慰謝料を支払ってほしい」などと言うことは基本的に不可能です。
一回署名押印すると、後で撤回することも困難なので、示談書にサインする場合には、本当にその内容ですべて終わらせて良いのか、もう一度よくよく考えてみることが大切です。少しでも納得できていない部分があるなら、署名押印前にすっきりさせたおいた方が良いでしょう。
示談交渉は、被害者が自分でも対応できるので、弁護士に依頼しなければその費用すらかかりません。
つまり、早く終わらせたいと考えて、示談によって早期に決着をつけてしまえば、期間もさほどかかりません。
ただ、被害者が自分で示談交渉をすると、相手保険会社は低額な任意保険基準で損害賠償金額を計算してきます。
つまり、受け取ることができる示談金の金額がかなり低くなってしまいます。
「長引くのが嫌」「早く終わらせたい」と考えている方がいたら、一度冷静になって考える必要があります。
交通事故に遭って相手と示談交渉をするなら、なるべく高額な示談金を受け取りたいと考えるのが普通です。
そこで、以下では示談金の金額を大きく左右する要素について、ご説明します。
示談金の金額に影響を与える要素の3つ目が弁護士基準です。弁護士基準とは、交通事故の損害賠償金の計算方法の1つです。
この中で、自賠責基準が最も安く、任意保険基準が中くらい、弁護士基準が最も高額になります。
なるべく多くの示談金の支払を受けたい場合には「弁護士基準」で賠償金を計算してもらう必要があります。
被害者が自分で対応していると、相手保険会社は低額な任意保険基準で計算してくるので、示談金の金額が下がります。
以上のように、交通事故で高額な示談金の支払いを受けたい場合には、後遺障害等級認定の場面でも、過失割合の算定の場面でも、弁護士基準を適用して示談金の計算をするためにも、示談交渉の手続きを弁護士に依頼することが重要なのです。
示談金の金額に大きな影響を与える要素として、過失割合があります。過失割合とは、交通事故の結果について、当事者のどちらにどれだけの責任があるかという責任の割合のことです。
交通事故の示談金の計算の際には、自分の過失割合の分、損害賠償金額が減額されてしまうので、なるべく多くの示談金を請求したいなら、自分の過失割合を少なくする必要があります。
ところが、被害者が自分で対応していると、相手の保険会社は、被害者の無知につけこんで、被害者側の過失割合を本来より大きく主張してくることが多いです。被害者が何も知らない場合、それが相場かと思ってそのまま示談してしまうことがありますが、そうなると、大きく損害賠償金額が減額されてしまうので、本来受け取れる金額よりも、示談金の金額が大きく低下してしまいます。
高額な示談金を受け取るためには、後遺障害の等級認定を受けることが重要です。後遺障害とは、交通事故によって怪我をして、治療を継続しても完治せずに残ってしまった障害のことです。1級から14級までの等級があります。
後遺障害が認定されたら、それぞれの等級に応じた後遺障害慰謝料と逸失利益を相手に請求することができます。
後遺障害慰謝料の金額は、等級に応じて110万円~2800万円にもなるので高額ですし、逸失利益の金額も、高額な年収があった人などの場合1億円を超えることもあり、やはり極めて高額です。
そこで、なるべく多くの示談金を受け取るためには、適切な等級の後遺障害の認定を受けることが大切です。
そのためには、医師が症状固定したと認めるまで、治療を最後まで継続することが必要ですし、その後適切な方法で後遺障害等級認定手続きをすることも大切です。
被害者が自分一人で上手に後遺障害等級認定請求ができない場合には、弁護士に手続きを依頼するとスムーズに手続をすすめることができ、適切な等級の認定を受けやすくなります。
交通事故で相手に損害賠償請求をする方法としては、示談と裁判があります。
示談とは、相手との間で「話し合い」によって損害賠償金を決定する方法ですが、これに対して裁判とは相手との間で「争い」によって損害賠償金を決定する方法です。
示談では、相手(保険会社)と直接話し合いをすすめ、両者が譲り合って合意に至る必要があります。
合意ができたら示談書を締結して、その内容に従って相手は被害者に支払をしてきます。
これに対し、裁判の場合、相手と話し合いはしません。
裁判所に申立をして、こちらの主張と立証を展開します。
相手も同じように相手の主張と立証を展開して、両者が争いを繰り広げます。その内容を裁判官が見て、法律的に妥当な主張を採用し、それにもとづいて判決を書きます。
判決では、こちらの主張が必ずしも認められるとは限りません。主張や立証が不十分なら負けてしまうこともあり得ます。
判決が出た場合には判決書が送られてきて、その内容に従って相手から支払いを受けることができます。
また、裁判の途中で和解することもできますが、その場合には、裁判手続き内で相手と話し合いによって損害賠償金の金額を決めることになります。
今回は、Yahoo!知恵袋や日記ブログでも話題になりがちな、人身事故・交通事故の示談交渉のポイント、示談までの日数、示談から支払いまでの期間について解説しました。
なるべく高額な示談金の支払いを受けたいなら、適切な後遺障害等級認定を受けて、自分の過失割合を減らしてもらい、弁護士基準で示談金の計算をしてもらうことが重要です。これらすべての要素を満たして有利に示談交渉をすすめるためには、弁護士に示談交渉を依頼する必要性が高いです。
また、弁護士特約に加入している場合、自己負担0円で弁護士相談、依頼ができるので、自分の任意保険に弁護士特約が付いていないか?確認してみましょう。
今回の記事を参考にして、人身事故・交通事故に強い良い弁護士を探して、有利に示談を進め、なるべく多額の示談金を受け取りましょう。