むちうち|症状固定後から示談・慰謝料獲得までの流れと注意点

医師から症状固定と告げられた方は、下記のような悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。

  • むちうちの症状固定から示談までの期間は?どんな手続きをすればいい?
  • 症状固定後の通院・リハビリはできる?後遺障害申請に悪影響与えない?
  • 症状固定後、通院すると治療費ってどうなるの?
  • 症状固定後の治療に健康保険使える?症状固定後に悪化しても自費?
  • 症状固定後、慰謝料はいつ支払われるの?

そこで、こういった疑問に答えるためにこの記事では、交通事故によるむちうちなどの傷害について、症状固定から示談までの流れ、期間、症状固定と判断された後の段階における諸問題について詳しく解説します。

症状固定から示談成立までの手続きの流れ

最初に症状固定から示談成立までのイメージを掴んでおきましょう。

  1. 後遺障害等級認定の申請
  2. 後遺障害等級認定
  3. 示談交渉
  4. 示談成立

以上4つのステップです。

症状固定から後遺障害認定までの流れと期間

むちうちやヘルニア症状などで症状固定と判断されると、その段階で残った症状(後遺障害)に対する補償内容を決めるために、症状の内容と程度を審査することになります。それが「後遺障害等級認定」です。

後遺障害等級認定は、自賠責保険会社に対して申請します。

申請の方式は、加害者側の任意保険会社に任せる「事前認定」と、被害者自らが行う「被害者請求」の2種類があります。

それぞれの手続の流れについて以下で解説します。

事前認定の流れと期間について

事前認定の流れは以下のとおりです。

  1. 医師から「後遺障害診断書」を取得し、加害者側の任意保険会社に提出
  2. 加害者側の任意保険会社から自賠責保険会社へ申請書類提出(処理期間が1か月程度かかる場合あり)
  3. 自賠責保険(損害保険料率算出機構)における審査が行われる(通常、1~3か月程度の審査期間がかかる)

事前認定では、上記のとおり、加害者の任意保険会社に対する後遺障害診断書の提出から等級の決定まで、約2か月から4か月程度かかることになります。複雑な事件ではさらに長引く場合もあります。

なお、事前認定について詳しくは、以下の関連記事をお読みください。

関連記事
事前認定・加害者請求
後遺障害の事前認定とは?被害者請求との違い、メリット・デメリット
交通事故で後遺障害の等級認定を受ける方法には事前認定と被害者請求という手続きがあります。事前認定とは、どのような手続…[続きを読む]

被害者請求の流れと期間について

被害者請求の流れは以下のとおりです。

  1. 被害者自ら「後遺障害診断書」「その他の提出書類」を準備し、自賠責保険会社へ提出
  2. 自賠責保険における審査が行われる(通常、1~3か月程度の審査期間がかかる)

被害者請求では、上記のとおり。自賠責保険会社に対する申請書類の提出から等級の決定まで、約1か月から3か月程度かかることになります。事前認定同様、複雑な事件では長引く場合もあります。

被害者請求についての詳しい解説は、以下の関連記事に記載しています。

関連記事
被害者請求
後遺障害申請を被害者請求でするメリット・デメリット
交通事故の後遺障害等級認定は、事前認定より被害者請求がなぜよいのかご存知ですか? 今回は後遺障害等級認定申請の「被害…[続きを読む]

事前認定と被害者請求の比較

事前認定と被害者請求について、それぞれの手続のメリットとデメリットを比較すると、以下のようになります。

事前認定のメリット・デメリット

メリットデメリット
加害者側の保険会社にお任せなので、被害者が手続を行う負担はほとんどない加害者側の任意保険会社で申請書類の準備が遅れると、等級の認定が遅れる
審査に提出される書類の内容は、被害者が事前に知ることができない
保険会社側の医師による、被害者に不利な内容の意見書が提出される例も
示談が成立するまでは、賠償金を受け取ることができない

被害者請求のメリット・デメリット

メリットデメリット
示談成立前でも、自賠責保険の限度額までは、賠償金を受け取ることができる自分で書類を集めて提出するので、手間がかかる
審査に提出する書類の内容を事前に確認できる

もしも後遺障害等級認定されなかったら|異議申立てとその期間

被害者は、むちうちなど交通事故による怪我の後遺障害認定について不服がある場合には、自賠責保険会社に対して異議申立てを行うことができます。

異議申立てを行った場合、審査の公平性・客観性を保つため、弁護士や専門医などの外部専門家が参加する「自賠責保険(共済)審査会」での審査が行われます。

そのため、審査期間は初回の申請の際よりも長くなることが通常で、数か月~半年程度を要することになります。

後遺障害等級認定の異議申し立てについて詳しい解説をご覧になりたい方は、是非以下の関連記事をお読みください。

関連記事
異議申し立て|後遺障害等級非該当や低い等級でもあきらめない
後遺障害認定の申請をしたが、希望の等級で認定されなかった!異議申し立てをすることで認定結果を覆せるかもしれません。正…[続きを読む]

後遺障害認定後の示談交渉のポイントと注意点

後遺障害等級が認定されたら、被害者は加害者側の任意保険会社と示談交渉を行うことになります。

後遺障害慰謝料は弁護士基準で計算する

後遺障害慰謝料には、以下の3つの基準があります。

自賠責基準

後遺障害慰謝料のうち、自賠責保険から支払われる部分の金額を決める基準です。

任意保険基準

任意保険会社が提示する後遺障害慰謝料の基準であり、その会社独自の内部基準に過ぎません。被害者が弁護士をつけていない場合には、任意保険会社はこの基準により計算された金額を提示するのが通常です。

弁護士基準(裁判所基準)

弁護士団体が裁判例等に基づいて作成した後遺障害慰謝料の基準であり、裁判所で用いられるものです。被害者が弁護士をつけている場合には、この基準により計算された金額をベースに交渉することになります。

上記3つの基準は、自賠責基準<任意保険基準<弁護士基準の順に金額が大きくなります。

被害者が自らの有する権利を正しく主張し、最大限の賠償金を受け取るためには、弁護士に事件処理を依頼することがおすすめです。詳しくは下記記事を併せてご参照ください。

関連記事
交通事故の慰謝料を「弁護士基準」で計算すると増額が期待できる理由
交通事故に遭ったら、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料の3種類の慰謝料を請求することができます。また、算出する…[続きを読む]

むちうち後遺障害の慰謝料相場

賠償額については、獲得する後遺障害等級認定の等級ごとに設定されており、どの等級を獲得できるかによって大きく賠償額が変わります。

例えば、むちうち症で12級または14級の後遺障害等級認定を受けた場合の後遺障害慰謝料は下表の通りです。

後遺障害等級算定基準後遺障害慰謝料
14級自賠責基準32万円
弁護士基準110万円
12級自賠責基準94万円(※)
弁護士基準290万円

※ 2020年3月31日以前に発生した事故の場合は、93万円

詳しくは下記記事をご参照ください。

関連記事
後遺障害14級の慰謝料相場と増額方法をわかりやすく解説
後遺障害14級の慰謝料や逸失利益の相場、試算例などを紹介します。後遺障害14級に認定されるポイント、慰謝料を増額させ…[続きを読む]
関連記事
後遺障害12級
後遺障害12級の慰謝料相場と増額方法をわかりやすく解説
後遺障害12級の慰謝料や逸失利益の相場、試算例などを紹介します。後遺障害12級に認定されるポイント、慰謝料を増額させ…[続きを読む]

症状固定後の示談交渉で争いになりやすい論点

後遺障害等級の認定内容に争いがない場合であっても、交通事故における損害賠償に関しては、他にも論点となり得る項目があるので注意が必要です。

後遺障害逸失利益の争い

後遺障害がある場合、後遺障害慰謝料以外に「逸失利益」を請求することが可能です。

逸失利益は、後遺障害で労働能力が失われて稼ぐことができなくなった将来の収入です。これは、被害者の収入を基礎として算定されますので、被害者の「収入の金額」が争点となることがあります。

被害者の所得が給与所得のみである場合などは、基本的には源泉徴収票等を確認するだけで済みます。

しかし、自営業者など、すべての収入を把握することが難しい職種に被害者が就いている場合には、収入額の認定を巡って争いとなることがあります。

関連記事
後遺障害の逸失利益|会社員・自営業・無職・主婦タイプ別に解説
後遺症が残った場合に、後遺障害に認定されると加害者に対して「逸失利益の請求」ができるようになります。[続きを読む]

過失割合の争い

被害者と加害者の「過失割合」についても争点になる可能性があります。

事故について被害者にも落ち度がある場合、公平の観点から、その落ち度の程度に応じて賠償額を減額します。これが「過失相殺」であり、加害者と被害者の落ち度の割合が「過失割合」です。

損害額が1000万円だった場合でも、被害者の過失が3割とされれば、賠償金は700万円に減額されてしまうので、過失割合は重大な問題です。

過失割合は、実務上、事故の態様が細かくパターン化されており、そのパターンによって定まることになっています。

しかし、どのパターンに該当するかがはっきりとは定まらないような事例等では、過失割合の認定を巡って被害者側と加害者側で争いになることがあるので注意が必要です。

関連記事
交通事故の過失割合
交通事故の過失割合とは?適正な決め方【納得できない!もめたくない】
交通事故の被害者は、自分が受けた被害について相手方に対し、損害賠償を請求をできますが、自分の過失については減額されま…[続きを読む]

症状固定から示談までの期間

示談交渉にかかる期間は、事案によって異なります

被害者と加害者側(任意保険会社を含む)の間で対立する争点が多かったり、そもそも賠償金額が高額であったりする場合には、示談交渉は長引く傾向にあります。

あくまで目安として、示談交渉自体に要する期間は、早くて3ヶ月、長びくときには6ヶ月以上、何年もかかるケースもあります。

示談後、慰謝料などの示談金がいつ貰えるか気になる方は、是非、以下の関連記事をお読みください。

関連記事
交通事故の示談金/慰謝料はいつ振り込まれる?
交通事故で負傷した場合、治療のために余分な出費がかさむ上、仕事もままならずに収入が減少してしまい、悩んでいる被害者の…[続きを読む]

 症状固定後にも治療・リハビリをしたい場合

症状固定とされた後にも、むちうち症状で「病院」や「整骨院」へ治療やリハビリで通院したいと希望される方は数多くいらっしゃいます。

「そもそも通院は可能なのか」、また通院する場合の「治療費の取り扱い」について解説します。

症状固定後は自己負担での通院は可能

症状固定とされた後でも、病院や整骨院に通院して治療・リハビリを行うこと自体は「本人の自由」です。

ただし、治療にかかる費用は補償されず、すべて自己負担となるのが原則です。

症状固定後の治療には健康保険の利用も可能

そもそも交通事故の怪我には、健康保険が適用可能であり、症状固定後の治療でも同じです。

症状固定前の治療では、健康保険を利用しない自由診療を受けている場合もありますが、自由診療は高額ですので、症状固定後は保険診療に切り替えましょう。

関連記事
健康保険って交通事故にも使えるの?
交通事故で健康保険を使うデメリットと使用すべきケース
交通事故で健康保険を使うことはメリット、デメリットの両面があり、使うべきではないケース、使うべきケースがあるのです。…[続きを読む]

症状固定後の治療が損害賠償の対象外となる理由は次の通りです。

症状固定とは、これ以上治療しても症状が良くならないという状態です。

症状が改善しないのに行う治療は「不必要な治療」ですから、その治療費等は、交通事故と因果関係がある損害とは認められません。

事故と因果関係がなければ、賠償の対象とならないことは当然です。

損害賠償が例外的に認められるケースもあり

ただし、以下のような場合には、裁判所の認定により、例外的に症状固定後の通院治療費について、損害賠償が認められる可能性があります。

症状固定後に悪化した場合

症状固定後に症状が悪化する場合があります。

「症状固定」は、これ以上の症状改善が見込めるか否かという判断ですから、まずは医師が判断するべき医学的事項です。

しかし、他方で、「症状固定」は、それ以後の治療費等を賠償の対象から原則として除外するための、損害賠償責任の内容を画する基準でもありますから、法的な概念であって、最終的には医師ではなく裁判所が判断するべき事項なのです。

そこで、この場合の裁判においては、症状固定とされた時点では実は「未だ症状固定に至っていなかった」と裁判所に認定され、症状固定前の通院治療費として損害賠償の対象に含められる可能性があります。

症状固定後も強い「身体的苦痛・症状が残る」「植物状態である」などの理由で治療・介護が必要な場合

症状固定後に強い身体的苦痛・症状が残ったり、植物状態である等のケースでは、苦痛を緩和するための治療・介護等が必要です。

裁判例

例えば、次のような裁判例があります。

東京地裁平成7年10月31日判決

てんかんなどの後遺障害の症状固定後、将来にわたって、てんかん予防、脳の能力悪化防止のために薬剤の服用、年一回の検査等が必要であるとして、薬剤及び検査等費用を将来の24年間分にわたって認めた。

(自保ジャーナル1131号2頁)

まとめ

以上で、症状固定から示談までの流れ・期間、また通院は可能か、健康保険は利用可能か、症状固定後に悪化した場合などを解説しました。

交通事故でむちうちなどの傷害を負ってしまった場合、症状固定後にも処理しなければならない様々な法律上の問題があります。

もし交通事故に遭ってしまった場合には、速やかに弁護士に相談して、自らの権利を加害者や保険会社に対して正しく主張しましょう。

交通事故に強い弁護士に無料相談できます

  1. 保険会社が提示した示談金・慰謝料に不満だ
  2. 事故の加害者・保険会社との示談交渉が進まない
  3. 適正な後遺障害等級認定を受けたい

弁護士に相談することで、これらの問題の解決が望めます。
保険会社任せの示談で後悔しないためにも、1人で悩まず、今すぐ弁護士に相談しましょう。

 

土日の電話受付対応、弁護士報酬は「後払い」、初回相談料と着手金は完全無料!

土日の電話受付対応、弁護士報酬は「後払い」、初回相談料と着手金は完全無料!

全国対応の「交通事故専門チーム」によるサポートが特徴の法律事務所です。まずは、交通事故専門チームによる「慰謝料無料診断」をご利用下さい。
お電話でのお問い合わせはこちら
050-5267-6329
[電話受付]平日 9:30~21:00 土日祝 9:30~18:00
電話で相談する 弁護士詳細情報はこちら 弁護士詳細情報はこちら
都道府県から交通事故に強い弁護士を探す

あなたへおすすめの記事