異議申し立て|後遺障害等級非該当や低い等級でもあきらめない

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後遺障害の異議申し立てをすることで「非該当から14級」「14級から12級」と、認定結果を覆すことができる場合があります。

後遺障害の異議申し立てについて、下記のような悩み・疑問を持つ方が数多くいらっしゃいます。

  • 重い後遺症が残ったのに、希望の等級で認定されないのはなぜ?
  • 異議申し立ての結果はいつ出るの?日数や期間は?
  • 異議申立て書で異議申し立ての成功率はアップするの?
  • 異議申し立てで12級になった例や実績はないの?

一度出た結果を覆すことが厳しくとも、正しいポイントを抑えて申請すれば異議申し立てが成功する確率は上がります。

ここでは、正しい異議申し立ての方法とポイントや期間や日数について解説します。

後遺障害の「異議申し立て」が成功する確率

よく「後遺障害の異議申し立ての成功率は極めて低い」と言われていますがこれは本当でしょうか。

損害保険料率算出機構が公開している情報を確認してみましょう。下表をまず御覧ください。

審査結果審査件数
等級変更あり等級変更なし再調査その他
1,44710,51528519612,443

*出典:自動車保険の概況2019年度(2018年度統計)|後遺障害(高次脳機能障害・非器質性精神障害を除く)の専門部会

上表の通り、後遺障害の専門部会(高次脳機能障害・非器質性精神障害を除く)の審査件数12,433件中、等級変更がなされた件数は1,447件で約11.6%の確率で、異議申し立てに成功している事が分かります。

言い換えるとこういったケースでは、80%以上が失敗するとも言え、一度出た結果を覆すことは難しいのが現状です。

後遺障害が思うように認定されない4つの理由

異議申し立てをする前に、なぜ自分の希望に沿うような認定結果が出なかったのかを充分に分析する必要があります。

そこで、思うように認定されない主な理由について説明しましょう。

理由 1:後遺障害診断書の記載が不十分

まず考えられるのが、後遺障害診断書の記載が不十分だったというケースです。

具体的には、下記のように判断されるケースが多いようです。

  • 後遺障害を裏付ける医学的所見がない・少ない
  • 患者が主張する自覚症状を裏付ける客観的な所見がない・少ない
  • 画像上において、外傷性の異常所見が認められない

特に、他覚所見が認められにくい「頚椎捻挫(俗称:むちうち)」や「腰椎や頚椎の椎間板ヘルニア」では、上記のような理由で非該当になる可能性が高いと言われています。

しかし、CTやMRIなどの画像所見がない場合でも、神経症状があり、それがしっかりと後遺障害診断書に記載されている場合、後遺障害が認定される可能性もあることから、最後まで決して諦めてはいけません。

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理由 2:検査が未実施、検査方法が不適切

医師は普段から業務量が多く、医療行為ではない後遺障害認定に必要な検査・診断書の作成などに積極的ではないケースがあります。

そのために、後遺障害認定を得るために必要で正しい検査を行えていないのが実情です。

「検査結果の画像がない」「画像があっても不十分」といった場合には、認定は得られません。

また、医師が後遺障害認定手続きに関わることに慣れていないケースもあるため、異議申し立てをする際には、その点を見直す必要があります。

理由 3:交通事故と症状との間の相当因果関係が弱い

交通事故と受傷の因果関係が証明できないことがあります。下記のような場合です。

  • 交通事故からある程度の日数が経過してから病院を受診した場合
  • もともと持病があって、それが自然に悪化しただけだと考えられるような症状の場合

ただし、交通事故と受傷の因果関係が一度否定された場合も、訴訟などを行い認められる例もあります(*訴訟内容については、後述致します)。

すぐに、あきらめずに交通事故解決の実績がある弁護士など法律の専門家と相談しながら、粘り強く認定作業を進めていくことが大切です。

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理由 4:将来回復の見込みがある|むちうち症状等

これは、むちうちの症状などに多い理由です。

後遺障害認定は、完治せずに残ってしまった症状について適切な補償を受けるためのものなので、将来的に症状の回復の見込みがないことが認定の要件となります。

個々の事案によっても異なりますが、特別な事情で認定条件を達成できていない可能性もあります。

条件をクリアできるかどうかは、医師や弁護士とよく相談する必要があるでしょう。

異議申立で等級を覆す確率を上げる3つのポイント

後遺障害認定の異議申し立てで大切なのは、上記のような不十分な点を解決して再申請することです。

前回と同じ資料を送り直すだけでは、成功率は高まりません。

ポイント1:新たな医学的証拠を用意する

まず、新たな「後遺障害診断書」や「検査」を充実させることが重要です。

後遺障害診断書

まず、現在の症状(障害が残っていること)をわかりやすく後遺障害診断書に、記載してもらう必要があります。

医師が「交通事故と残存症状の間に因果関係がある」「将来においても回復が困難と見込まれる」と診断している場合には、その診断内容が伝わるように、後遺障害診断書の書き方を工夫してもらいましょう。

もっとも、医師も、考えや立場がありますから、断言することを避けたがったり、患者が要望するような形では書けないこともあります。

そのような場合でも、一方的に自分の要望を押し付けるのではなく、医師ときちんとコミュニケーションを取り、どのような表現ならば書いてもらえるのかなどを柔軟に話し合う姿勢が大切です。

担当医師による意見書

さらに、医学的証拠を充実させる手段として、新たな検査を実施し、併せて、医師に意見書(※)を書いてもらうのも良いでしょう。

※医師による「意見書」とは、診断書の内容を補完するため、認定されるべき後遺障害等級が何級かについて根拠や意見を記載したものです。事故と後遺症の因果関係や、症状が回復困難であることを詳細に示します。高次脳機能障害など重度・複雑な後遺障害の場合に作成することが比較的多いですが、むちうちなど軽度の後遺障害でも添付する場合があります。

弁護士による医療照会

むち打ち症の場合など、CTやMRIの画像で、他覚症状を証明するのが困難なことがあります。

そんな時に弁護士が利用するのが「医療照会」です。

弁護士が用意した質問事項を記した書面について担当医に回答してもらい、異議申立書の添付書類として提出します。

異議申立書に添付することで、等級を覆す確率がアップする可能性があります。

ポイント2:異議申立書の書き方

異議申し立てを成功させる確率をアップさせるために、先述した新たな資料を元にして「現在の認定は適切ではない」ことを主張する反論文を書く必要があります。

例えば「事故の状況との整合性」や「事故直後から症状固定に至るまでの症状の整合性」などをしっかり説明する必要があるでしょう。

特に、交通事故と残存症状との間に因果関係が認められないという理由だったのであれば、事故の状況をしっかりと説明する必要があります。

このような説明は「異議申立書」により主張することになります。

後遺障害の異議申立書の例文

後遺障害の異議申立書には、決まった書式や書き方はありませんが、以下の事項を記載する必要があります。

  • 申請先の会社名
    事前認定の場合、任意保険会社を記載
    被害者請求の場合、自賠責保険会社を記載
  • 申立書作成の年月日
  • 申立人の情報
    申立人の氏名、住所、連絡先
    申立人が未成年者の場合は、法定代理人の情報
    代理人による請求であれば代理人の連絡先
  • 事故の年月日
    交通事故証明書を見て記載
  • 証明書番号
    交通事故証明書を見て記載
  • 異議申立の趣旨
  • 添付書類

後遺障害の異議申立書の例文を次に挙げておきますが、記述内容については個別の事案によって大きく異なります。

詳しくは、交通事故解決の実績がある弁護士に相談すると良いでしょう。

異議申立書は、加害者が加入している自賠責保険会社に頼めば送ってもらえます。

申立書の理由を記載する欄は非常にせまいので、別紙をつけるなど詳細に書く必要があります。

ポイント3:被害者請求による異議申し立て

事故の相手方である任意保険会社に手続きを任せてしまう「事前認定」によっての申請では、手続きの透明性が保たれているとはいえません。

相手の保険会社の顧問医が、「通院は不要だった。2週間程度で十分だった」など、被害者が不利になりやすい意見書を添付している可能性もあります。

そこで「被害者請求」の方法で手続をする必要があります。

被害者請求の場合、自分自身で提出書類を準備します。つまり、提出する書類の記載を自分でしっかりと確かめ、書類をきちんと揃えた上で提出することができるのです。

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後遺障害認定に対する異議申立の期限と期間

それでは、いつまでに異議申し立てをすればいいのでしょうか?

また、異議申し立ての審査結果はいつ頃出るのでしょうか?

後遺障害の異議申し立てはいつまでにすべきか

結論から申し上げると、後遺障害の異議申し立て自体については、いつからいつまでにしなければならないといった期限の設定はありません

しかし、「損害賠償請求」にはタイムリミットである時効があり、その間に異議申し立てをしなければなりません。

民法には、交通事故の加害者などに損害賠償を請求する上で根拠となる不法行為が定められていますが、時効について以下の条文があります。

民法724条
(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)
不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき
二 不法行為の時から二十年間行使しないとき
民法724条の2
人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効についての前条第一号の規定の適用については、同号中「三年間」とあるのは、「五年間」とする。

原則として、人身事故のケースでは、事故日の翌日もしくは症状が治癒した日の翌日から起算して5年で時効となり、損害賠償請求権が消滅します(ただし人身傷害補償保険など、自身の保険会社への請求権は3年が時効です*1 *2)。

また、被害者に後遺障害が残った時は、症状固定日の翌日から5年で時効になることになります。

また、異議申し立ては、時効の中断事由ではありません。時効を中断したいときは、時効中断申請書を自賠責保険に提出することで3年間延長することができます。

*1 自動車損害賠償保障法:第十九条 第十六条第一項及び第十七条第一項の規定による請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び保有者を知つた時から三年を経過したときは、時効によつて消滅する。

*2 保険法:第九十五条 保険給付を請求する権利、保険料の返還を請求する権利及び第六十三条又は第九十二条に規定する保険料積立金の払戻しを請求する権利は、これらを行使することができる時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。

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自賠責への異議申立の審査期間|結果はいつ出るか

異議申し立ての審査結果が出るまでの期間は、事案によって異なりますが、2~6か月くらいとなっており、調査にかかる所要時間に長短があります。

初回の後遺障害等級の認定以上に専門的で客観的な審査を行うため、初回の申請時より、日数がかかることが多いのはやむを得ないでしょう。

異議申し立ての流れ

実際の後遺障害の異議申し立ての流れは、以下の「6ステップ」になります。

  1. 通知書をもらう
  2. 必要書類(新たな医学的資料・証拠)を集める
  3. 被害者請求へ切り替える
  4. 書類の提出
  5. 審査
  6. 再度の通知

①通知書をもらう

まず「後遺障害等級認定票(後遺障害認定通知書)」「事前認定結果のご連絡」を入手する必要があります。

すでに被害者請求をしている方は、手元に原本が送られてきていると思います。

事前認定だった方で、通知書が手元にない場合は、保険会社からコピーをもらいましょう。

②医学的な資料・証拠など必要書類を集める

次に、新たな必要書類を集める必要があります。具体的には、先述した以下のようなものです。

  • 新たな後遺障害診断書
  • 検査結果(むちうちの場合は神経学検査結果)
  • 医師の意見書
  • 陳述書
  • 異議申立書

なお、上から4つ目の「陳述書」とは、事故の当事者の記憶に基づいて作成する書類のことで、主に自分の現在の状況(どのような症状があり、どのように生活や仕事に影響しているかなど)を記載します。作成は弁護士に依頼することができます。

また、事故の状況と症状との整合性を説明するために、実況見分調書を取り寄せて、事故の状況を説明するような陳述書を作成することも有効です。

「新たな診断書や医師の意見書が必要なのに、医師に協力を断られた」という場合にも、あきらめずに交通事故解決の実績がある弁護士に相談してみましょう。

③被害者請求への切り替え

後遺障害等級認定手続きには、被害者請求と事前認定があります。

初回に、事前認定で手続きを行った人は、異議申し立てをする際に被害者請求に切り替えましょう。

方法としては、任意保険会社と加害者の加入する自賠責保険会社に「被害者請求で異議申し立てをする」ということを伝えます。

そうすると、任意保険会社が所持していた後遺障害認定のための資料は自賠責保険会社に引き渡されますので、その後は自賠責保険会社に直接請求をすることになります。

なお、加害者が加入している自賠責保険は、交通事故証明書に記載されています。

④書類を提出する

被害者請求に切り替えると、自分が直接、加害者の自賠責保険に必要書類を送ることになります。

⑤審査

異議申し立てがあると、一般的には、初回に後遺障害の判定をした、損害保険料率算出機構の調査事務所の属する地区本部または本部で審査がされます。

また、本部の審査に対する異議申し立ては、専門医の参加する自賠責保険後遺障害審査会で審査されます。

⑥通知

被害者請求をした場合、異議申し立ての審査結果は、自賠責保険を通じて被害者のところに送られてきます。

⑦再度の異議申し立て・訴訟

後遺障害認定の異議申し立ては、何回でも行うことができます。

もしも、異議申し立てが却下されたら、訴訟により争うことや、紛争処理申請を行うことも考えられます。

後遺症の異議申し立てで12級になった裁判例|頸椎椎間板ヘルニア

後遺障害に異議申し立てに失敗しても終わりではありません。

後遺障害に強い弁護士に依頼して、訴訟を行うことで、等級をアップさせることも可能です。

実際、後遺障害等級14級から12級になった事例を下記に紹介します。

後遺障害14級 → 後遺障害12級
横浜地方裁判所平成26年7月17日判決

被害者は、事故から2か月後のMRI検査で、第5・6頸椎椎間板のヘルニアと診断されました。自覚症状は、頸部痛、上肢のしびれなどです。

自賠責では、頸部痛について、14級9号と認められただけでした。

裁判では、交通事故の前には、頸部痛や上肢のしびれによって業務に支障が生じたという形跡がなく、事故後に頸椎椎間板ヘルニアの症状が顕著に表れているという点などから、交通事故とヘルニアの発症の因果関係が認められました。

そして、第5・6の頸椎に頸椎椎間板ヘルニアがあり、第6神経根の支配領域である左手の親指から前腕にかけて、知覚異常が認められているということから、被害者の症状は、他覚的に証明されていると判断して、被害者の後遺障害は、12級13号に相当するとされました。

上記のケースのように、訴訟をうまく進めたり、適切に手続きを行うことさえできれば、後遺障害等級を適正なものへと覆すことが可能です。

手続きを進める前に、まず後遺障害が認定されなかった原因を類推しておくと良いでしょう。

また、後遺症の異議申し立てで12級になった例以外も、「むちうち非該当から14級になった例」なども、下記ページで紹介しておりますので、併せてご参照ください。

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非該当・等級認定されなかったら弁護士に相談を

非該当の後の異議申し立ては、手続き自体はシンプルなので、被害者が自分で進めることも出来ないわけではありません。

しかし、異議申し立てが認められるためには、どのような追加資料が必要かを的確に判断しなければなりません。必要書類自体を集めることにも手間がかかります。

また、異議申立書を適切に作成したり、医師に新たな診断書などを作成をしてもらうための依頼も、素人では難しい場合が多々あります。

このような場合には、交通事故解決の実績がある弁護士に相談しましょう。

特に異議申し立てで却下されやすいと考えられる神経症状などで、後遺障害等級12級・14級になることを目指す際は、後遺障害非該当に詳しい弁護士に一度ご相談することをおすすめします。

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