むち打ちの後遺障害認定が非該当になると慰謝料はどうなるの?

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むち打ちの後遺障害認定が非該当

交通事故被害で最も多い「むちうち」の怪我の場合、後遺症が残っていても等級が認められないという事案が数多く発生しています。

後遺障害認定において、等級が認定されるかどうかは、示談金の額に直接影響するので被害者にとっては大問題です。

しかし、諦める必要はありません。『そもそも等級が認定されない』『認定結果に納得がいかない』『申請をやり直したい』という場合、再申請を適切に行うことが重要です。後ほどご紹介するように、裁判を提起することで、等級が上がった例もあります。

今回は、むちうちで正当な認定を得るための対策について解説します。

むちうちが非該当の場合の慰謝料/示談金

非該当と後遺障害14級の示談金の比較

まずは、むちうち症で後遺障害14級の後遺障害等級が認定された場合と非該当(認定されない)となった場合の慰謝料を含めた示談金をざっくりと比較してみましょう。

被害男性(会社員)
年齢:30歳
年収:420万円
休業日数:0日
通院履歴:通院期間180日、実通院日数50日

費目14級の場合非該当の場合
自賠責基準弁護士基準自賠責基準弁護士基準
治療費など50万円50万円50万円50万円
入通院慰謝料42万円89万円42万円89万円
後遺障害慰謝料32万円110万円0円0万円
逸失利益90万円90万円0万円0万円
合計214万円339万円92万円139万円

非該当となってしまうと、後遺障害慰謝料と逸失利益を受け取ることができないので、自賠責基準で122万円、弁護士基準で200万円もの差が生じます。適切な後遺障害等級を受けることがいかに重要かお分かりいただけると思います。

では、なぜむちうち症は認定を受けることが難しいのでしょうか?

適正な認定を受け難いむちうちの症状

非該当になる主な理由

・他覚所見がない
・自覚症状の訴えに一貫性がない
・受傷から症状固定までの推移に不自然な点がある
・ある時期に症状の訴えが全くない

むちうちの症状は、「痛み、凝り、痺れ、めまい、吐き気、麻痺、だるい」など、そのほとんどが自覚症状で、レントゲン画像やMRI画像などで異常が確認できないことが多いことが非該当となってしまう大きな原因です。

14級の認定を受ける場合、必ずしも他覚所見を必要とはしません。しかし、実態として認定基準を満たしていたとしても、他覚所見がないと、医療情報が足りないために非該当となってしまうことも多いのです。

医療情報が不足しているだけなら、医療情報を補填すれば後遺障害認定が期待できる

その他にも、痛む箇所や症状がコロコロ変わるといった自覚症状の訴えに一貫性がない場合や、症状の訴えが全くない時期がある、受傷から順調に回復し、症状がほとんど無くなったが突然ひどくなって症状固定に至った場合など、「交通事故との因果関係が認められない」「整合性がない」と判断され、非該当となる可能性があります。

傷害部分の先行示談は注意が必要

非該当に納得がいかずにいる間に、相手方の保険会社から「後遺障害認定以外(傷害部分)の慰謝料等を先に精算しましょう」と先行示談を提案される場合があります。

事故発生から相当の時間が経過しており、早めに示談金をもらいたい気持ちはわかりますが、ここは慎重に対応すべきところです。

まず、先行示談をしたら後から覆すことができません。傷害部分の先行示談を行った後、後遺障害部分の示談がまとまらず、裁判となったとしても、先行示談を行った障害部分については争うことができません。

また、「その余の請求は放棄する」や「ほかに何らの債権債務がないことを相互に確認する」といった文言を示談書に記載してしまうと、同様に他に請求することができる事情が後々出てきても請求することができなくなってしまいます。

もし迷っているなら弁護士に相談してみましょう。

むちうちが非該当となった場合の異議申し立て

後遺障害等級認定において、期待していた等級が得られなかった場合には、異議申し立てという手段を取ることができます。(14級以外の詳細については、以下の記事をご覧ください。)

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後遺障害14級を獲得するための異議申し立て

後遺障害14級の認定を得るためには、その症状が「医学的に説明可能なもの」である必要があります。ただ単に症状だけを強調するのでは認定を受けることはできません。

具体的には、交通事故による怪我と残存する症状との「整合性・一貫性」を認めてもらうことが重要になります。

事故と後遺症の「整合性・一貫性」を証明するためには、以下のような事項が重要です。

  • 交通事故当時の状況
    むちうちを発症しうるような、強い衝撃を伴う衝突だったか
  • 受傷部位
    事故の状況から受傷し得る箇所の損傷であるか
  • 受傷の程度
    事故によりどの程度の怪我を負ったか
  • 急性期からの症状の継続性
    怪我をしたばかりの時期から症状が継続しているか
  • 治療経過
    通院頻度は少なくないか、または過剰診断ではないか

新たな後遺障害診断書

異議申し立てをするに際しては、「整合性・一貫性」を認めてもらうために、医師に新しい後遺障害診断書を作成してもらう必要があります。

新しい後遺障害診断書では、自覚症状や他覚症状を余すことなく記入し、症状が回復する見込みがないことを明示してもらいましょう。

このときに「こういうことを書き足してほしい」とか、「ここを訂正してほしい」ということが起こり得ます。しかし、医師との関係が良好でなければ、なかなか言いにくい要望でもあります。通院期間中は、医師とのコミュニケーションを図って、医師との関係を良好に保ちましょう。

どうしても医師が協力してくれない場合には、弁護士から医師に、新たな診断書の作成や必要な検査の実施を要請することができます。

後遺障害診断書の書き方のポイントや、医師に作成依頼する上手なやり方などは、下記記事で紹介しています。ぜひ参考にしてください。

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新たな検査結果、医学的証拠

また、新しい検査の結果や新しい医学的証拠の提出も効果的です。足りない医療情報の補充をすることになるからです。

医師に他覚所見があることを示す適正な検査をしてもらうことも検討しましょう。

むちうちで他覚所見があることを示すには、以下のような検査があります。

  • レントゲン検査
  • MRI検査
  • 神経学的検査(深部腱反射検査、徒手筋力テスト、感覚検査、スパーリングテスト・ジャクソンテストなど)(※)

このような検査や新たな診断書の作成において、医師の協力が仰げない場合には、諦めることなく弁護士に相談をしてみましょう。

※レントゲン検査やMRI検査は客観性が高いのに対し、神経学的検査は、被検査者の意思に結果が左右されうることから、客観性は低くなります。

等級を上げるための裁判(裁判例)

このように、等級を上げるための方法として異議申し立てがありますが、異議申し立ての結果にも納得がいかない場合、裁判を起こすことで等級が上がることもあります。

非該当から後遺障害14級になった例

非該当→後遺障害14級(東京地方裁判所平成15年1月28日判決)

被害者は、追突事故で頸椎捻挫、腰椎捻挫などの傷害を負いました。自覚症状は、左上肢のしびれ、左手握力の低下などです。

画像では、レントゲンで頸椎椎間板変性、頸部MRIでC5/6に軽度の椎間板ヘルニアという所見でした(なお、被害者は事故前から変形性脊椎症や頸椎椎間板ヘルニア、黄靭帯肥厚症がありました)。

自賠責の結果は非該当でした。

この案件について、裁判所は、被害者の症状は、CT、MRIなどの検査によって精神、神経障害が医学的に証明しえるものとは認められないものの、受傷後から一貫して疼痛を訴えていること、後遺障害診断書の記載、受傷時の状態や治療の経過などを総合すると、被害者の訴える症状は、医学的に説明がつくものであるという判断をして、後遺障害14級と認定しました

異議申し立てで12級になった例

後遺障害14級→後遺障害12級(横浜地方裁判所平成26年7月17日判決)

被害者は、事故から2か月後のMRI検査で、第5・6頸椎椎間板のヘルニアと診断されました。自覚症状は、頸部痛、上肢のしびれなどです。

自賠責では、頸部痛について、14級9号と認められただけでした。

裁判では、交通事故の前には、頸部痛や上肢のしびれによって業務に支障が生じたという形跡がなく、事故後に頸椎椎間板ヘルニアの症状が顕著に表れているという点などから、交通事故とヘルニアの発症の因果関係が認められました。

そして、第5・6の頸椎に頸椎椎間板ヘルニアがあり、第6神経根の支配領域である左手の親指から前腕にかけて、知覚異常が認められているということから、被害者の症状は、他覚的に証明されていると判断して、被害者の後遺障害は、12級13号に相当するとされました。

後遺障害認定手続きで弁護士依頼のメリット

交通事故に詳しい弁護士からは、以下のような観点から適切なアドバイスを受けることができます。

  • 被害者の症状がどの等級に当てはまるのか
  • 自賠責保険ではどのような点に着目して後遺障害等級認定がされているのか
  • 異議申し立てをするにはどのような資料が必要か
  • 後遺障害の等級を裁判で争うことになる場合にはどのような点を強調しなければいけないのか

また、先述の通り、新たな後遺障害診断書の作成について、弁護士から医師に協力を仰ぐこともできます。

異議申し立ての成功により認定等級が上がれば、後遺障害慰謝料が増額することになります。
それだけでなく、弁護士が介入すれば、入通院慰謝料や休業損害なども弁護士基準で計算されるようになりますから、示談金が全体的に増額されることになります。

弁護士に頼んだらお金がかかると思っている人は多いと思いますが、現在は初回相談を無料としている弁護士事務所が多いです。「今の認定結果は妥当なのか」「どうすれば認定等級が上がるのか」などを聞きに行くだけでも価値があります。

また、通常は弁護士に払う費用よりも、示談金の増加額の方が大きくなります。無料相談の時点で大まかな見積もりを出してくれる事務所もありますので、まずは一度、弁護士にご相談してみることをおすすめします。

交通事故に強い弁護士に無料相談できます

  1. 保険会社が提示した示談金・慰謝料に不満だ
  2. 事故の加害者・保険会社との示談交渉が進まない
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弁護士に相談することで、これらの問題の解決が望めます。
保険会社任せの示談で後悔しないためにも、1人で悩まず、今すぐ弁護士に相談しましょう。

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