交通事故の過失割合とは?適正な決め方【納得できない!もめたくない】

交通事故の過失割合

交通事故に遭ったら、自分が受けた被害について相手方に対し、損害賠償請求をします。このとき、損害額を計算しても、全額の支払いを受けることができるとは限りません。

交通事故では、自分の側にも責任が認められることが普通なので、自分の責任の分は損害賠償額から減額されてしまうからです。

このとき問題になるのが過失割合ですが、過失割合とはそもそもどのようなもので、どのように決まるものなのでしょうか?

今回は、交通事故の損害賠償金額に大きく関わる過失割合について、決め方や下げる方法も含めて解説します。

交通事故の過失割合とは

過失割合とは

過失割合とは、交通事故についてのお互いの過失の度合いを割合で示したものです。
「どちらにどれだけの落ち度があったのかを示すもの」とも言えます。

交通事故が起こった場合、ほとんどのケースでは、一方が100%悪いということはなく、当事者双方に過失が認められます。たとえば、自動車と歩行者の事故であっても、歩行者の過失が0になるとは限りません。

過失割合を決定する場合には、60%:40%とか、80%:20%などと、割合によって決定します。

被害者のこの割合が高くなればなるだけ、損害賠償額が減額されてしまうことになります。過失割合に応じて損害賠償金額を減額することを、「過失相殺」と言います。

過失相殺は慰謝料に限らず治療費、休業損害、逸失利益など全損害の合計額に対して一括して行なわれます。つまり、過失割合は被害者が受け取れる賠償金の総額を大きく左右する極めて重要な要素なのです。

過失割合で慰謝料・治療費などの支払い額が大きく変わる!

過失割合が決まると、加害者は、被害者に対し、被害者の過失割合に応じて減額した損害賠償金を支払うことになります。

たとえば、損害賠償額全体が1000万円で過失割合が40:60であるケースと、30:70のケースでを考えてみましょう。

過失割合40:60の場合に実際に支払われる損害賠償額
1000万円 ― 1000万円 × 被害者の過失分40/100 = 600万円
過失割合30:70の場合に実際に支払われる損害賠償額
1000万円 ― 1000万円 × 被害者の過失分30/100 = 700万円

過失割合を30:70にできれば、被害者は700万円受け取ることができることになり、過失割合によって受け取れる慰謝料や治療費まで支払い額が大きく違ってくることが分かります。

このように、交通事故で同じように損害を被っていても、過失割合によって具体的に請求できる金額は大きく変わってくるのです。

では、どんな場合に過失割合でもめてしまうのでしょうか?

交通事故の過失割合で「もめる」ケースと対処法

客観的証拠が少ないと、もめる

当事者の主張が対立する場合、過失割合は客観的な証拠から判断されます。自分に過失はないと思うときでも、客観的な証拠で証明できなければ、過失割合には反映されにくいです。
証拠が「当事者の証言」に大きく依存する場合、「記憶違い」や「ゴネ得狙い」による証言の食い違いから、過失割合でもめるケースに発展しがちです。

もめるケースにならないよう、事故の証人や車載カメラ、防犯カメラなどの客観的な証拠を出来るだけ探しましょう

調査会社や弁護士に依頼する

客観的証拠が見つからない場合も、当事者だけでの過失割合の交渉は極力避けるべきです。

被害者・加害者と双方の保険会社との4社面談をしたり、交通事故調査会社などの第三者機関への調査を依頼するという方法も、方法としては可能です。

ただ、その場合も主張の対立は避けられないので、過失割合の交渉自体をスムーズに進めたいなら弁護士に相談するのが最善です。

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過失割合は誰がいつどうやって決める

過失割合は誰が決める

交通事故の過失割合については、判例タイムズの過失割合の基準に定められているとおり、ケースごとに一律の取り扱いになります。交通事故が裁判で争われたり、弁護士が示談交渉をしたりしているケースでは、ほとんど確実にこの過失割合の基準によって過失割合が決定されます。

しかし、交通事故の示談交渉をする場合、必ずしも上記の過失割合の基準が適用されていないケースがあります。

それは、被害者本人が任意保険会社と示談交渉する場合です。この場合、被害者が素人だと、被害者自身は過失相殺の基準や相場などを知りません。

よって、保険会社が基準よりも被害者の過失割合を高めに設定して通知してきても、被害者にしてみたらそれが不当に高い過失割合になっているとは気づきません。

そのまま示談してしまって、自分の過失割合が高めに設定されたまま、損害賠償金から大きく過失相殺されてしまうことになります。

すると、被害者は、本来請求できるはずの損害賠償金額よりも実際に受け取れる金額が少なくなってしまいます。

このように、任意保険会社と被害者が直接示談交渉する場合、任意保険会社は自分の支払を少なくするために、過失割合の認定基準より被害者の過失割合を高めに主張してくることがあります。

この場合、過失割合の認定基準があるとは言っても被害者はそのことを知らないのですから、実質的に過失割合を決めているのは任意保険会社だということになります。

過失割合を適切に定めるためには、きちんと過失割合の認定基準を把握しておくことが必要になります。

過失割合はいつ決まる

損害額確定後、過失割合について合意するのが一般的です。
(そのケースが多いというだけで、損害額確定前に過失割合を決めてもかまいません。)

ただ、当事者双方が納得がいかず、最終的に決まるまでに相当な時間がかかってしまうケースもあるようです(※)。

※ 損害賠償請求権の消滅時効が「3年」なので、交渉が長期にわたる場合は要注意です。

過失割合はどうやって決める

当事者双方が任意保険に加入している場合、過失割合は、被害者・加害者双方の保険会社が、双方の証言や調査会社の資料などを基に協議のうえ過去の裁判例を参考にして当事者に提示します。

どちらか一方が保険に加入していない場合は、加入している側の保険会社が過失割合の提示を行うのが一般的です。

適正な過失割合の計算方法を解説

適正な過失割合算定の判断基準

適正な過失割合を出すためには、裁判例などに基づいて作成された基準表が掲載されている次のような本で調べる必要があります。

民事交通訴訟における過失相殺率等の認定基準(別冊判例タイムズNo.38)
東京地裁民事交通訴訟研究会 編著

損害賠償額算定基準(通称「赤い本」)
公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部 編

交通事故損害額算定基準(通称「青い本」)
公益財団法人日弁連交通事故相談センター 編

これらの本には、自動車と自動車の事故、自動車と二輪車の事故、自動車と歩行者の事故など事故の当事者ごとに場合分けされ、事故の態様に応じてそれぞれの当事者の過失割合の基準が書かれています。

実務では別冊判例タイムズが一定の基準となっているので、この記事では別冊判例タイムズの表を参考に、具体的な過失割合の出し方について説明していきます。

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自動車事故を例に適正な過失割合を考えてみる

次のようなケースでみていきましょう。


〈ケース〉
車Bで信号機の設置された交差点を直進していたところ、対向車線から、交差点を「徐行せずに」右折しようとする車Aと衝突して怪我を負った。
なお、双方とも青信号で交差点に進入しており、被害者(車B)には前方注視義務違反があるとする。

基本の過失割合を知る(類型別)

過失割合には、交通事故のケースごとに、基本の過失割合というものがあります。
同じような事故の処理を公平にするためです。
類似のケースはすべて同じような過失割合になるように作られています。

上記の〈ケース〉では、基本の過失割合は、加害者(車A):被害者(車B)=80:20です。

過失割合の修正要素を加算・減算する

基本の過失割合の他に、「修正要素」と呼ばれるものがあります。

修正要素とは、基本の過失割合を修正すべき加害者または被害者の特別な事情を定型化したものです。

たとえば〈ケース〉では、加害者の運転する車が「徐行なし」に右折していますが、これが「修正要素」の一例です。

〈ケース〉における修正要素のいくつかを下表に示しておきます。

修正要素車A:車B =80:20
車Bに徐行なし車A:車B =70:30(車Aの過失割合が―10)
車Aが15km以上の速度違反車A:車B =90:10(車Aの過失割合が+10)
車Aが30km以上の速度違反車A:車B =100:0(車Aの過失割合が+20)

加害者が徐行していない場合、加害者の基本の過失割合に10を加算し、被害者の基本の過失割合から10を減算することになります。

したがって、〈ケース〉における適正な過失割合の目安は、加害者(車A):被害者(車B)=90:10と考えられます。

このように、過失割合の算定においては、「基本の過失割合」と「修正要素の有無」の両方を確認・検討する必要があります。

修正要素の著しい過失と重過失

過失割合の修正要素には、著しい過失と重過失があります。

著しい過失とは、通常想定されているよりも大きな過失のことです。これがあると、その当事者の過失割合がだいたい10%~20%くらい上がります。重過失とは、故意と同じ程度の重大な過失のことです。これがあると、その当事者の過失割合がだいたい20%~30%くらい上がります。

自動車の場合の著しい過失には、たとえば以下のようなものがあります。

  • わき見運転のケースなど、著しい前方不注視がある
  • 著しく不適切なハンドル・ブレーキ操作
  • 携帯電話で通話しながら運転していた
  • 画像を見ながら運転していた
  • 一般道路上で、だいたい時速15km以上30km未満のスピード違反
  • 高速道路上で、時速20km以上40km未満のスピード違反
  • (高速道路上でも、合流地点の進入路付近では一般道路と同様の扱いになるケースもある。)
  • 酒気帯び運転

自動車の場合の重過失には、たとえば以下のようなものがあります。

  • 酒酔い運転
  • 居眠り運転
  • 無免許運転
  • 一般道路上で、だいたい時速30km以上のスピード違反
  • 高速道路上で、時速40km以上のスピード違反
    (合流地点の進入路付近では一般道路と同様の扱いとになるケースもある。)
  • 過労、病気、薬物などによって正常な運転ができないおそれがあるのに運転していた

自分の側に上記のような修正要素がある場合には、自分の過失割合が上がってしまって損害賠償請求ができる金額が減ってしまうので、くれぐれも自動車を運転する場合には問題のある運転方法をしないように気をつけましょう。

過失割合を下げる方法

交通事故に遭った場合に請求出来る損害賠償額を上げて、有利に示談するためには自分の側の過失割合を減らすことが重要です。

同じ損害内容でも、過失割合が大きくなると、その分過失相殺されて請求できる金額が減ってしまうからです。

そこで、以下では示談交渉の際に自分の過失割合を下げる方法をご紹介します。

過失割合の認定基準を調べて主張する

被害者が自分で示談交渉をしているケースでは、任意保険会社が被害者の法律知識の不足につけこんで、基準よりも被害者側の過失割合を増やして主張してくることが多いです。この場合、被害者としては、そのまま示談すると不利になります。

被害者が任意保険会社に対して自分の過失割合を減らすための主張をしたいなら、まずは過失割合の基準を調べて、それに従って過失割合を認定することを主張する必要があります。

判例タイムズ社の冊子などで過失割合の認定基準を調べて、自分のケースでどの過失割合が適用されるのかがわかったら、相手方任意保険会社に対して、その基準によって過失割合を認定するように主張しましょう。該当ページのコピーを送ることも効果的です。

このことによって、任意保険会社の態度が変わり、認定基準に従った正当な過失割合にもとづいて計算してもらえることがあります。

弁護士に示談交渉を依頼する

被害者が自分で示談交渉をしていることによって任意保険会社から不当に高い過失割合を主張されてしまっているケースでは、示談交渉を弁護士に依頼すると自分の過失割合を下げやすいです。

弁護士が示談交渉をする場合には、過失割合の認定基準を使います。よって、被害者本人が対応しているときに任意保険会社が不当に高い過失割合を主張していたケースでも、弁護士が代理人に就任したら、保険会社はそのような主張ができなくなります。

また、弁護士は法律的な知識が豊富なので、任意保険会社に何を言われても不当に丸め込まれることはありませんし、むしろ法的知識を駆使して、依頼者にとって最大限有利になるように主張を組み立ててくれます。

さらに、弁護士が代理人になっている場合、警察記録である実況見分調書などを参照することができます。実況見分調書は事故発生の際に警察が作成している事故状況を示す書類です。これは、当事者間で事故態様について争いがある場合などに、重要な証拠となります。過失割合でもめているケースでは、実況見分調書を見ると、事故の内容が明らかになって自分に有利に働くことがあります。

被害者本人が自分で実況見分調書を取り寄せることは難しいですが、弁護士であれば、検察庁に照会するなどの方法で実況見分調書の写しを入手できます。このように、弁護士に示談交渉を依頼すると、過失割合を定める際にも重要な証拠となる実況見分調書を入手できるので、被害者が自分の過失割合を減らして有利に示談をすすめることができます。

過失割合の争い方

交通事故の相手方との間で過失割合を決定する際、うまく折り合いがつかないケースがあります。そこで、以下では過失割合の争い方をご説明します。

まずは示談交渉をする

過失割合を決定する際には、まずは示談交渉をします。

示談交渉の場において、過失割合に争いがあれば、それぞれが自分の主張する過失割合の根拠を示して、話し合いをすすめていきます。

被害者個人が示談交渉している場合に過失割合がうまく決まらない場合、弁護士に依頼すると過失割合がすんなり決まることもあります。

調停、ADR、仲裁を利用する

示談交渉では過失割合を決められない場合には、調停やADRを利用することができます。

調停とは、裁判所で調停委員に間に入ってもらって相手と話し合って交通事故の損害賠償金を定める方法です。ADRとは、交通事故紛争相談処理センターなどの機関が実施している交通事故の調停や仲裁手続きのことで、交通事故の損害賠償金を決めてもらうことなどができます。

これらの手続きを利用する事によって、両社に折り合いがつけば過失割合についての争いも解決できます。

訴訟で決定する

示談もできず、調停やADRを利用しても過失割合についての争いが解決できない場合には、裁判所の訴訟手続きを利用して過失割合を決定する必要があります。この場合の訴訟手続きは、損害賠償請求訴訟になります。

損害賠償請求訴訟では、当事者の主張と証拠にもとづいて裁判所が適切な過失割合を決めてくれます。この場合には、過失割合の認定基準に沿った決定になります。

被害者が自分一人で訴訟手続をすすめるのは困難なので、損害賠償請求訴訟を起こす場合には、弁護士に依頼することをおすすめします。

まとめ

過失割合は、損害賠償額全体に大きな影響を及ぼす非常に重要なものです。
ですから、保険会社から提示があっても容易に合意することなく、適正な過失割合を求めることが後悔の少ない示談につながります。

そして、保険会社との過失割合の交渉には、ご自身やご家族の弁護士費用特約などを活用するなどの方法で、弁護士に相談することが適正な過失割合にする最大のポイントになるといえるでしょう。

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  1. 保険会社が提示した示談金・慰謝料に不満だ
  2. 事故の加害者・保険会社との示談交渉が進まない
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弁護士に相談することで、これらの問題の解決が望めます。
保険会社任せの示談で後悔しないためにも、1人で悩まず、今すぐ弁護士に相談しましょう。

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