過失相殺とは?過失割合との関係や有利にする方法も解説!

過失相殺を計算する女性

交通事故に遭った場合、事故の相手に対して賠償金の支払い請求ができますが、被害者側にも過失がある場合にはその分請求できる金額が減額されてしまいます。この場合の被害者の過失の割合のことを、「過失割合」と言い、過失割合によって賠償金を減額することを「過失相殺」と言います。

  • 交通事故の過失相殺とは、何か?どうやって決めているのでしょうか?
  • 交通事故の過失相殺をどうしたら有利にすすめることができるのでしょうか?

今回は、交通事故で問題になることの多い過失相殺について、詳しく解説します。

過失相殺とは

交通事故に遭ったら、事故の相手方に対して賠償金の支払いを請求できます。このとき、基本的には発生した損害の項目ごとに金額を計算して、その合計を相手に請求することができるはずです。しかし、多くのケースでは、全額の損害金を支払ってもらえるわけではありません。それは、被害者側にも一定の過失が認められることが通常だからです

交通事故が起こった場合、一方当事者が100%悪いという事故は珍しいです。そのような事故は、もらい事故といって、道路交通法を守って走行していたときに後ろからいきなり追突されたり、停車中に突然後方から、ぶつかられたりしたなどのケース(追突事故)に限られます。

その他の多くのケースでは、被害者にも一定の過失が認められます。このように、交通事故では、事故の当事者それぞれの一定の割合で交通事故の結果への責任があると考えられます。このような結果への責任の割合のことを、過失割合と言います。

過失割合を決定する際には、たとえば加害者:被害者が8:2や7:3などとして決定します。

そして、被害者が相手に損害賠償請求をする際、自分の過失割合の分は請求額から減額されます。このことを、「過失相殺」と言います。

過失相殺は、民法第722条の損害賠償の方法及び過失相殺の不法行為に基づくものです。

 

【民法 第722条】
(損害賠償の方法及び過失相殺)
第七百二十二条 第四百十七条の規定は、不法行為による損害賠償について準用する。
2 被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。

そこで、交通事故の慰謝料や示談金を多く獲得するには、なるべく過失相殺が行われないようにする必要があります。

債務不履行責任の場合の過失相殺との違い

過失相殺については,民法418条にも規定があります。

【民法 第418条】
債務の不履行に関して債権者に過失があったときは,裁判所は,これを考慮して,損害賠償の責任及びその額を定める。

債務不履行における損害賠償請求においては,過失相殺について,「定める」と記載されており、裁判所に過失相殺をしなければならないという義務が課せられています。

一方、交通事故のような不法行為責任に基づく損害賠償請求における過失相殺は、「損害賠償の額を定めることができる。」と記載しており、「定める」と「定めることができる」の違いがあります。

交通事故のような不法行為の場合には,過失相殺は義務的ではないということです。ただ、通常、裁判所は、被害者に過失があれば、過失相殺しているのが一般的です。

過失割合と過失相殺の関係

過失相殺を理解しようとするとき、過失割合との関係は切っても切れないものです。

交通事故の過失相殺では、被害者が加害者に請求することができる損害賠償金が、被害者側の過失割合の分、減額されてしまうからです。

わかりやすいように、例を挙げて見てみましょう。

過失割合が、被害者:加害者=2:8の事例

被害者と加害者の過失割合が2:8の事案(被害者の過失割合が20%の事案)で、被害者側に発生した損害が100万円のケースを考えてみます。

この場合、被害者にも2割の過失があるので、過失相殺によって、相手に請求できる損害賠償金額が2割減額されます。

すると、相手に請求できる損害賠償金額は、100万円×(1-0.2)=80万円となります。

もし、被害者の過失割合が30%の場合には、過失相殺によって請求出来る金額が3割減になるので、相手に請求できる金額は、100万円×(1-0.3)=70万円となります。

過失割合が、2:8か3:7かで、請求額が10万円も変わってきます。数字の割合が1つ違うだけで、受けた損害額の大きさに応じて差が大きくなります。

このように、被害者が相手に請求できる金額は、自分の過失割合が高くなればなるほど大きく過失相殺されて、少なくなってしまいます。

そこで、交通事故被害に遭った場合に、なるべく相手に高額な支払を請求するためには、自分の側の過失割合を減らすことが重要なポイントになります。

過失割合の決め方

相手の任意保険会社が提案してくる

次に、過失相殺のもととなる過失割合は、どのようにして決定しているのかをご説明します。

通常、過失割合は、相手の任意保険会社との間の示談交渉の中で、話し合いによって決定しています。ただ、被害者が相手の任意保険会社と交渉する場合、被害者自身には交通事故に関する知識などがないことが多いので、相手の任意保険会社が決めてしまうことが多いです。

この場合、相手の任意保険会社が「このような事案ではだいたいこのくらいになる」と言って、被害者に対してお互いの過失割合の提案をしてきます。被害者としては、相場感がわからないので、だいたいその内容を受け入れることが多いです。

ところが、任意保険会社は必ずしも事案ごとに妥当な過失割合を提示しているとは限りません。相手の任意保険会社にしてみれば、なるべく被害者の過失割合を上げた方が支払が少なくて済むので、被害者に交通事故の知識がないとわかると、一般的な基準より大幅に被害者の過失割合を大きくして、条件提示してくることがあります。

このような場合、被害者がおかしいと感じたら受け入れずに反論することなども可能になりますが、多くのケースでは、被害者は「そんなものかな」と考えて受け入れてしまいます。そうすると、被害者は本来受け取れるよりも大幅に減らされた損害賠償金しか受け取れなくなるので、大変な不利益を受けます。

裁判では採用される基準がある

交通事故の過失割合については、裁判所で採用されている基準があります。それは、過去の判例の積み重ねと研究によってケースごとに分類して定められた基準です。
相手の任意保険会社が被害者に大きく過失割合を割り当ててきたため、被害者が納得できない場合には、裁判をすると裁判所による適切な基準で過失割合を認定してくれます。

この裁判上の過失割合の基準は、被害者が自分でも調べることができます。

具体的には、別冊判例タイムズという法律雑誌の「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」を見るか、弁護士などがよく利用している青い本(交通事故損害額算定基準)、赤い本(民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準)などの内容を確認すると、過失割合の認定基準が書いてあるのでわかります。

ただ、どのような場合にどのような基準が適用されるかや、重過失や著しい過失がある場合などの修正など、いろいろな難しい要素があるので素人の被害者が見たときに完全に理解できるとは限りません。

自分のケースでどの基準が適用されるかをまずは正確に見定める必要がありますし、どのケースに該当するかがわかっても、修正要素などがないかどうか、きちんとチェックする必要があります。

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過失相殺を少なくする方法

交通事故で相手の任意保険会社と示談交渉をする際には、なるべく自分の過失割合を低くして過失相殺が行われないようにすると有利になります。そのためには、具体的にどのような手段をとれば良いのでしょうか?以下で、その方法を具体的にご紹介します。

まずは自分で過失割合の基準を調べる

この点、被害者が自分で相手の任意保険会社と示談交渉をしていると、こちらの知識不足につけこまれて不当に高い過失割合をあてがわれてしまうおそれがあります。かといって、過失割合に不満がある場合に、すべて交通事故の裁判をしないといけないとなると、大変な負担になります。

このような場合、被害者としては、まずは交通事故のケースごとの過失割合の基準を調べて、自分のケースにどのような過失割合の認定が行われるべきか調べます。過失割合の基準を調べたい場合には、上記の通り別冊判例タイムズや青い本、赤い本などを参照してみましょう。これらの本は一般にも売られているので、インターネット上などでも購入することができます。

調べた結果、自分のケースで適用されるべき過失割合の基準が明らかになったら、その基準をあてはめるように相手の任意保険会社に言って、交渉してみましょう。該当するページのコピーをとって相手に示しながら、「この基準があてはまるはず」と主張すると良いでしょう。
このことにより、相手の態度が変わって、適切な過失割合の基準が採用されることがあります。

交通事故問題に強い弁護士に示談交渉を依頼する

ただ、これらの本を見ても、被害者本人では、自分のケースにどの基準が適用されるかわからないことがあります。また、重過失や著しい過失がある場合などの修正要素が絡む場合には、さらに考え方が複雑になるので素人では正しい判断がしにくいです。

そこで、このように過失割合のことで対応に困ったら、弁護士に相談に行って示談交渉の代行を依頼することをおすすめします。
弁護士であれば、当然各ケースで適用されるべき正しい過失割合の基準について熟知していますし、適用を間違えることもありません。

ケースごとに適切な過失割合を認定して相手の保険会社に伝え、示談交渉を進めてくれるので、被害者の過失割合をなるべく抑え過失相殺を小さくして、最大限有利な内容で示談ができるよう、取りはからってくれます。実際に、被害者自身が相手の任意保険会社と示談交渉をしていたときには過失割合が5:5などと言われて5割の過失相殺により賠償金が半額にされていたケースでも、弁護士がついたら過失割合が3:7になって過失相殺が3割になり、賠償金が大幅に増加するケースなどもあります。

交通事故の状況自身に争いがあり、そもそもどのケースに該当するかどうかも決定されていない場合でも、弁護士であれば被害者に有利な事情を集めて、被害者の過失割合と過失相殺を最小限にするように話を進めてくれます。

以上のように、交通事故で、被害者の過失相殺をなるべく小さくして多くの賠償金を受け取れるようにするためには、弁護士に示談交渉を依頼する方法がもっとも効果的です。
このとき、どのような弁護士でも良いというわけではなく、なるべく交通事故事件についての実績が豊富で交通事故事件に強い弁護士を選ぶようにしましょう。
今、相手の任意保険会社と示談交渉をしていて、過失相殺が大きすぎると感じている場合には、まずは一度、弁護士に相談をしてアドバイスを受けてみることをおすすめしまう。

損益相殺とは

また、過失相殺に似た概念として、「損益相殺」というものがあります。

損益相殺とは、交通事故で発生した損害が、損害の補填を被害者が受けた場合、損害額から差し引かなくてはなりません。

例えば、相手側の保険会社から、治療費や休業損害などとして、損害の一部の先払いをもらっている場合です。被害者請求という手続で、自賠責保険(強制保険)の保険金を受け取った場合も、その分は損害から差し引きます。

労災保険などの社会保険による給付についても、差し引かれます。被害者の側でかけていた自動車保険の「人身傷害補償保険金」の支払いを受けた場合、計算方法が複雑になります。

まとめ

今回は、交通事故の被害者になったときに重要な問題になる過失相殺について解説しました。

過失相殺とは、相手に請求できる損害賠償請求金から、自分の過失割合の分が減額されてしまうことです。

そこで交通事故では、なるべく自分の過失割合を下げて過失相殺を少なくすることが、高額な賠償金支払いを受けるためのポイントになります。
過失割合については、裁判所で採用されている基準があり、被害者個人でも調べることができます。ただし、その基準の正しいあてはめなどについては、難しい面もあるので、できれば弁護士に示談交渉を依頼する方が有利にすすめることができるでしょう。

交通事故の被害者となって、相手の保険会社から提示を受けた過失割合や過失相殺に納得できないと感じている場合には、まずは一度、交通事故問題に強い弁護士に相談をして、示談交渉の手続を依頼することをおすすめします。

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