交通事故での任意保険一括払い制度とは?正しい利用方法を解説!
交通事故で負傷した場合、加害者が任意保険に加入していれば通常、被害者の治療費は任意保険会社から一括して支払われること…
[公開日] 2018年4月10日
[更新日]
追突事故などで怪我を負ったとき、治療費の支払いに不安を感じる人も少なくないと思います。
など、さまざまな疑問があるでしょう。
また、加害者が無保険の場合には、「治療費の補償」それ自体に不安を感じるかもしれません。
今回は、そのような疑問・不安を解消するために、交通事故の被害に遭ったときの治療費の支払いにおける重要なポイントを解説します。
交通事故による怪我の治療費は、原則として相手方に支払ってもらえます。
交通事故の被害者の治療費の支払い(請求)には、「一括対応(一括払い)」と呼ばれる方法が用いられることが一般的です。
「一括対応」とは、相手方の任意保険会社が自賠責保険への対応を含めた窓口になる方法のことをいいます。
治療費の請求は、自賠責保険・任意保険のそれぞれに別個に行うのが原則ですが、一括対応なら、被害者はその手間を省くことができます。
一括対応を利用すれば、被害者が医療費をその都度支払う必要はありません。
病院から治療費を請求されたときには「交通事故の被害者なので、治療費は保険会社に直接請求して欲しい」と伝えてみると良いでしょう。
慣れている病院であれば、最初から保険会社に治療費を請求してくれる場合が多いです。
しかし、以下のような場合には、保険会社が治療費を払わないため、治療費を一旦被害者が立て替える必要があります。
治療費の立て替えは被害者にとって大きな負担となりますので、以下のようなポイントをおさえておくと良いでしょう。
交通事故による怪我は自由診療であると思われがちですが、実は、「自分の健康保険」を使うことができます。
健康保険を適用すれば、治療費の立て替え費用を圧縮できます。
自賠責保険には、「仮渡金」という前払いの制度があります(自賠責法17条)。この「仮渡金」を請求することで、事故後の当面の治療費支払いに充てることができます。
仮渡金を受け取るためには、被害者が自ら自賠責保険に支払いを請求する必要がありますが、正しく請求すれば必ず支払ってもらえます。
ただ、以下の4つの注意点があります。
特に、一括対応が打ち切られることや、支給された仮渡金の返金を求められる場合がある点には注意が必要でしょう。
自賠責保険の仮渡金制度に関して、下記の記事で詳しく解説しています。
被害者だからといって、「交通事故に関係しそうな出費」のすべてを相手方(加害者)に支払ってもらえるわけではありません。
治療や通院に関する費用であっても、費目によっては相手方に支払ってもらえない場合があるので注意が必要です。
相手方(保険会社)に請求できる費目としては、「医療費」、「付添看護費」、「入院雑費」、「交通費」があります。
診察料・投薬・入院費用などの医療費(病院代)はもちろん、重度の障害が残った場合などには、自宅の改装費用(バリアフリー化、手すりの設置など)も請求することができます。
入通院に付き添いの必要性があると医師が認めた場合や、怪我の程度や年齢などの様々な事情から必要と認められた場合に限り、入通院付添看護費も請求できます。
近親者の場合、自賠責保険による付添介護費は、「入院の場合は日額4,100円」、「通院の場合は日額2,050円」が原則となっています。
入院生活に必要な日用品などの購入費も「入院雑費」として請求できます(自賠責保険では1日あたり1,100円、弁護士基準では1日あたり1,500円程度が相場、テレビカード代も可)。
通院のための「交通費(通院費)」も補償の対象となります。電車、バスなどの公共交通機関や、自家用車利用の場合には実費の全額を請求できます(駐車場代は領収書が必須、ガソリン代は自賠責保険では1kmあたり15円で計算)。
ただし、自宅から歩いても通えるようなすぐ近くの病院に通院する場合などは、自家用車・公共交通機関を利用する必要性がなければなりません。また、タクシー利用も足の骨折のような「やむを得ない事情」があれば認めてもらえる場合があります。
なお、交通費の支払いは、治療費のように保険会社から直接相手(交通機関など)に支払ってもらうことはできないので、被害者が1度立て替えた後に「通院交通費明細書」を保険会社に送付して請求する必要があります(請求から1ヶ月後程度で支払われます)。
次の費用は、保険会社から支払いを拒否されることがあります。
打撲したときには、整骨院・接骨院でマッサージや鍼灸といった施術を受ける人が少なくありません。しかし、これらは医療機関ではないので、その施術費用は、保険会社から支払いを拒否される場合があるので、注意が必要です。
整骨院・接骨院などでの施術を希望するときには、必ず医師(整形外科医)に相談の上、「施術の必要性・有効性」を診断書などに記載してもらうようにしましょう。
医師による治療でも、「不相当に高額な診療」や「不必要な治療」にかかった費用は、保険会社は支払ってくれません。
とはいっても、いつまで治療を続けるべきかということは、素人には分かりません。医師が、「治療は終了だ」と言うまで、しっかりと通院を続けましょう。
過剰診療、高額診療を保険会社に疑われてしまっている場合は、以下の記事を参考にしてください。
不要な交通費や入院費用も、請求できない可能性があります。
例えば、特に必要もないのに遠方の病院に高速道路を利用して通った際の交通費や、医師が必要と認めないのに毎日通院した際の通院費用です。また、入院時の個室利用料金なども基本的には支払われません。
ただし、医師が遠方であっても、専門性の高い病院で診察を受けるべきと判断して紹介状を出された場合や、症状から個室利用が妥当と判断した場合などには、支払ってもらえる可能性が高いでしょう。
医師が「もうこれ以上は症状が回復しない」と判断した場合(症状固定)でも、その後も通院を継続するケースがあります。
症状固定した状態を維持するためにリハビリが必要になることもありますし、ときどき痛みなどが出るので定期的に病院を受診することもあるでしょう。
症状固定後の通院費用は、原則的には相手方に対して請求することができません。
症状固定したということは、それ以上治療継続しても、状態が良くならないということです。すると、その後の通院治療は不要だということになりますから、その通院にかかった費用までを相手に支払い請求することはできないのです。
症状固定後にも通院を継続したいなら、その費用は基本的に被害者が負担することになります(ただし、例外はあります。また、健康保険などの利用は可能です)。
その後の症状について補償する必要があるときには、「後遺障害慰謝料」によって一括で清算されることが原則です。
交通事故で怪我をしたときの治療費・医療費の請求には、この他にも注意しておくべきポイントがあります。
以下では、特に重要ないくつかのポイントについて補足的に解説します。該当する方はご注意ください。
検査で「異常なし」と言われた場合でも、治療費を支払ってもらえる可能性はあります。
追突事故でよく起こるむちうち症や打撲の場合には、レントゲンやMRI検査では「異常なし」と診断されても、痛みやしびれといった自覚症状があることが多いです。
このような場合、医師が「診察の必要がある」と判断している限りは、治療費を支払ってもらえます。
自覚症状があるときには、その旨を明確に医師に伝えましょう。
「交通事故の補償は120万円が上限」という話を耳にしたことがある人もいるかもしれません。
しかし、「120万円を超える補償してもらえない」というわけではありません。120万円というのは、治療費・休業損害・損害慰謝料などを合わせた、怪我の場合の「自賠責保険の支払限度額」に過ぎないからです。
120万円の限度額を超えた損害額は、任意保険によってカバーされます。
損害額の合計が120万円に迫ってきた際、任意保険会社が「治療費打ち切り」を打診してくる時がありますが、そのような場合には交通事故に詳しい弁護士に相談してみると良いでしょう。
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怪我を負った被害者側にも一定の過失があるときには、自らの過失分が差し引かれてしまいます。
そのため、交通事故で怪我を負ったすべてのケースで治療費を満額負担してもらえるわけではありません。
【例】治療費が100万円の場合
被害者の過失が0%:100万円 が満額補償される
被害者の過失が20%:100万円 - 100万円×被害者の過失分20/100 = 80万円 のみ補償される
実際の示談交渉でも、当事者の過失割合の認定が争点となるケースは珍しくありません。
自動車を運転するすべての人が任意保険に加入しているわけではありません。
事故の相手方が任意保険未加入で、治療費がしっかりと補償されるかどうか不安な方は、以下の記事を参考にしてみてください。
怪我の治療には、多額の治療費がかかることも珍しくありません。「自分は被害者なのにお金の心配もしなければならないのか」と不安に感じる人も多いと思います。
しかし、実際には、被害者が持ち出しで治療を受けなくて済むように、さまざまな制度が用意されています。
とはいえ、保険会社との示談交渉では治療費をめぐって交渉がもつれることも少なくありません。また、書類作成の負担も生じます。
交通事故で怪我をしてお困りのときには、交通事故に詳しい弁護士に相談することで、多くのメリットを得られるでしょう。
弁護士に相談することで、これらの問題の解決が望めます。
保険会社任せの示談で後悔しないためにも、1人で悩まず、今すぐ弁護士に相談しましょう。
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