任意保険基準は自賠責基準より低い?どっちが良いのか?
交通事故の慰謝料を計算する際に、任意保険基準での計算は、自賠責基準での計算より低いのでしょうか、それとも高いのでしょ…[続きを読む]
人身事故の被害者に対して、保険会社が不当な対応をすることがあります。
大手の損保会社であっても、被害者が納得できない提示を行うケースがあるそうです。
そうした保険会社の対応が適切かどうか疑問視されることは理解できます。本記事では、被害者が保険会社と有利に交渉できるよう、以下の点について焦点を当てて解説しています。
例えば、低額な示談金や慰謝料を提示する理由、治療費の打ち切りの理由、そうした姿勢の背景にある保険会社の目的や意図、保険会社が嫌がること、保険会社に負けない交渉術、示談交渉の方法とテクニック、必要に応じた訴訟や弁護士選任などを解説します。
目次
人身事故の示談交渉の第一歩は、加害者側の任意保険会社から被害者に対して、「計算書」、「ご提案」などと題する保険会社が示談金の額を具体的に計算・提示した書類が送られてくるところから始まります。
示談金の金額は「自賠責基準」で計算してくることもあれば、その「会社独自の内部基準」で計算してくることもあります。
気を付けるべきは、そして負けないためにも、計算書で提示される示談金の額が「保険会社の希望額」であり、本来支払われるべき適正な金額ではないことをまず知るべきです。
損保ジャパンや東京海上日動といった大手の損害保険会社であっても、任意保険会社は営利企業であることに変わりはないのです。損失は嫌がるのです。
支払うべき交通事故の保険金を一円でも安く、短時間で一件でも多く処理することが求められており、交渉術にも長けているのです。
保険会社が「弁護士基準の8割でどうでしょう」と提案することがあります。
これは、裁判を避けるために、わずかに譲歩した条件を出してくる戦略の一環です。裁判には時間や費用、リスクが伴うため、保険会社は早期の解決を目指し、被害者に対してやや有利な条件を提示することで訴訟を回避しようとします。
しかし、この提案が本当に最適な解決策かどうかは慎重に判断する必要があります。
弁護士基準の8割という条件が、必ずしも被害者にとって最良の結果をもたらすとは限りません。こうした状況では、弁護士に相談することが重要です。
低額な交通事故の保険金の額の他に、もう一つ保険会社が行う評判の悪い行為、被害者側が嫌がる行為として挙げられるのが、「治療費の直接支払いの打ち切り」です。
加害者が任意保険に加入していれば、事故の治療費は、被害者が病院に支払うのではなく、任意保険会社が直接病院に支払ってくれるという「直接払いの対応」をしてくれることが一般的です(※)。
※「直接払いの対応」を、「治療費の一括払い」という名称で呼ぶ文献もあります(「逐条解説・自動車損害賠償保障法第2版」弁護士北川隆之外著・弘文堂141頁など)。
ところが、治療が長引いて治療費が自賠責保険の限度額を超えそうになると、治療途中にもかかわらず、保険会社が、この治療費の直接払い対応が打ち切ったり、打ち切りの打診をしたりすることがあります。
任意保険は自賠責保険の限度額を超える損害額を補てんする保険なので、治療をあきらめさせ、任意保険会社からの支払金額を少なくしようとします。
また、同じ動機から、任意保険会社は治療が長引いた場合(打撲で1ヶ月、むち打ち症で3ヶ月、骨折で6ヶ月程度)に、直接払いを打ち切ろうとします。
直接払い対応は、法的な制度ではなく、任意保険会社による事実上のサービスにすぎませんから、任意保険会社がいつでも自由に打ち切ることができるのです(※)。
※東京高裁平成29年7月20日判決など。参考文献:「自動車保険における一括払の法的性質および保険会社の注意義務」東京海洋大学金岡京子教授(損害保険研究79巻4号)
直接払い対応を打ち切る任意保険会社の狙いは「兵糧攻め」です。この手口を使うのです。
被害者を経済的に困らせることで、保険会社側の提案する賠償額での示談に応じるよう仕向けるのです。
被害者は、事故の被害によって収入が減少しているうえに、支払いを止められてしまうと治療費が払えず、今後の治療に不安を抱えています。
病院が治療を進めてくれなくなる心配もあり、一刻も早く賠償金を受け取りたいと考えるようになります。
しかし、被害者は、任意保険会社との示談が成立しなければ、賠償金を受け取ることはできません。
任意保険会社は、この被害者の弱みにつけこんで、「この金額で示談に応じていただけるなら、すぐに賠償金をお支払い致しますが。」とマニュアル化された手口、示談交渉術を使って提案するのです。
では、このように交通事故の案件で、保険会社の不当な内容の計算書に対して、負けないにためにも、どのような手段をとれば良いでしょうか?保険会社が嫌がることを示談交渉のテクニックとして、上手に対抗していく必要があります。
示談交渉は、あくまでも金額を決めるための話合いであり、お互いの主張のぶつかり合いから結論が導きだされます。
保険会社の計算書は、保険会社の希望に過ぎませんから、被害者側は「弁護士基準」に基づいた計算書を作成して、それを請求書として保険会社に送ればよいのです。
治療の必要性は、あくまで医師が判断することであり、医師が治療が必要だと判断すれば、保険会社は、損害賠償として治療費を支払う義務があります。任意保険会社の言うとおりにする必要はありません。
主治医と話し合い、あとどれくらいの期間、治療を継続するべきなのか、どの程度の期間で症状固定が見込まれるのかを判断してもらい、その内容を診断書なり意見書なりに記載してもらい、任意保険会社に提出し、治療の継続を粘り強く交渉すべきです。
大切なのは、決して無期限に治療を続けるつもりではなく、見込み期間が経過した後は、症状固定として示談交渉開始に応じる姿勢を伝え、理解を得ることです。
保険会社が嫌がること、もっとも警戒することは、賠償金目当てに、不必要な治療を継続する患者です。
そこで、自分は決してそうではないことをわかってもらう必要があるのです。
多くの場合、医師の意見があれば、1~2ヶ月程度、打ち切りを延長してもらえるはずです。
それでも、現実に治療費を打ち切られてしまい、主治医が治療を必要だと判断したら「自費で治療」を継続しましょう。
打ち切り後の治療費は、最終的な示談の際に損害額として賠償金に加えて、保険会社に請求します。
また、場合によっては、健康保険を利用して自身の負担額を少なくすることもご一考下さい。
いくら、交通事故の示談交渉では百戦錬磨の保険会社とはいえ「弁護士」には敵いません。
言い換えれば、保険会社が最も嫌がるのは、人身事故に強い弁護士が介入することなのです。
交通事故に強い弁護士が介入すれば、保険会社も弁護士基準での交渉を飲まざるを得ません。もし、保険会社が弁護士基準での交渉を拒むのであれば、裁判に持ち込むだけです。前述した通り、保険会社は、短時間で1件でも多く交通事故を処理したいため、一般的に時間がかかる裁判を嫌がります。
是非、人身事故に強い弁護士に相談され、代理人としてサポートを受けることをお勧めします。それには、まず、ご自分の保険に、「弁護士費用特約」が含まれているかどうかを確認することです。
ご自分の保険に弁護士費用特約が付帯していれば、弁護士費用は保険会社が負担してくれるので、自己負担0円で弁護士に依頼ができるのです。
今回は保険会社の思惑などについて解説しました。
たとえ保険会社が不当に低額な保険金を提示してきたとしても、治療費の打ち切りを打診してきたとしても、負けないために、最終的に頼りになるのは、人身事故に強い弁護士です。
交通事故に強い弁護士であれば、こうした評判の悪い保険会社のやり口や、手口、対処法に精通しています。
もし、保険会社のこういった行為にお悩みであれば、一度、保険会社の嫌がる有効な示談交渉テクニックを有する交通事故に強い弁護士に相談してみてください。