過失相殺とは?過失割合との関係や有利にする方法も解説!
交通事故の損害賠償が紛争となるとき、その原因の多くを占めるのが「過失相殺」の争いです。 被害者であっても、過失割合5…[続きを読む]
交通事故の事案を解決するために弁護士に依頼しても、うまくいかずに後悔してしまうケースがあります。
もっとも大きな問題が「費用倒れ」ですが、それ以外にも「相性が合わない」、「思うような結果を得られず失敗した」などの問題も発生します。
今回は、交通事故を弁護士に依頼して後悔してしまうパターン、それらに対する対処方法をご紹介していきます。
目次
交通事故の損害賠償請求は、弁護士に依頼しても、弁護士費用が賠償額を超えてしまうため費用倒れになってしまうリスクがあります。
被害者には、損失だけが残ってしまい、示談後に後悔することになります。また当初から費用倒れが見込まれる場合には、そもそも弁護士に受任してもらえない可能性が高くなります。
費用倒れになりやすいのは、次のようなケースです。
被害者が軽傷で済んだ事故や物損事故では、弁護士が介入しても、賠償額が大幅に増額することはなく、かえって弁護士費用のほうが高額になってしまうことがあります。
被害者の過失割合が大きい場合は、過失相殺により損害賠償額も減額されてしまいます。特に後遺障害が残らない場合には、もともとの請求金額が小さいので過失相殺によって大きく請求金額が減り、費用倒れになる危険性が高まります。
また、加害者に資力がなく無保険の場合には、「自己破産」を申請してしまう可能性もあります。
裁判で加害者の財産を差し押さえようとしても、その前に自己破産されてしまったら、賠償金を受け取れない可能性があります。
しかし、費用倒れが懸念される事案でも、弁護士費用特約を利用できれば多くの事務所が受任してくれます。
弁護士費用特約を使うことができれば、相談料、着手金、成功報酬金など通常最大300万円まで保険会社が負担するので、依頼者に負担が発生せず費用倒れの心配がなくなるからです。
ご自分の自動車保険の約款を確認し、弁護士費用特約が付いているのなら、躊躇せず弁護士に依頼をしましょう。
弁護士に依頼して後悔する場合として、弁護士とのコミュニケーションや信頼関係を構築することに失敗するケースが挙げられます。
被害者が「弁護士はわかってくれない」「話を聞いてくれない」と不満を感じるケースです。
そのようなときには、とりあえず頭を冷やして冷静になり、これまでの経緯、事実関係を時系列表にまとめたり、希望する解決方法や弁護士に特に聞いてほしいことを箇条書きで書き出したりしましょう。
そのメモを使ってコミュニケーションをとれば、お互いにわかり合いやすくなり、無用なトラブルを避けられるようになります。
一般の方は「弁護士なら何でもわかってくれる」と思いがちですが、弁護士も人間であり、はっきりと伝えない限りわかってもらえないことが多々あります。
弁護士の対応が「時間がかかる気がする」、「遅い気がする」というケースもあります。
弁護士も様々な事件を同時に抱え、連絡や対応が遅れることはあります。また、依頼者が連絡の欲しいタイミグと弁護士が法的にコミュニケーションが必要なタイミングがずれていることもあり得ます。電話をもらうことができなければ、メールを使い、連絡をもらうといった方法もあります。
その他に、一度その弁護士と向き合って話し合うことも重要です。そこでしっかりと話合い、コミュニケーションが取れるようになれば、対応が改善される可能性があります。
それでも改善が見られない場合は、解任もやむを得ないでしょう。
また、弁護士会には、弁護士とのトラブルについて窓口となってくれる窓口があり、一度相談してみるのもいいかもしれません。
交通事故で加害者側の保険会社と示談交渉をする際に、争点となることが多い「過失割合」ですが、この過失割合は、事故態様の類型により、過去の裁判例などを基にした過失割合の基準が存在します。
実務では多くの場合「別冊判例タイムズ38 民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」が使用されているのはそのためです。
したがって、保険会社が妥当な過失割合を主張している場合には、たとえ弁護士が介入しても期待したほど変わらない可能性が高いです。
もし相手側の保険会社の主張する過失割合が妥当なものであるなら、弁護士に過大な期待を抱いてはいけません。
しかし、弁護士が示談に介入すると損害賠償を「弁護士基準」で交渉するので、たとえ過失割合が変わらなくても大幅に慰謝料などが増額する可能性はあります。
弁護士基準で請求することができれば、慰謝料などの金額が、被害者自身が交渉で提示された額の2倍、3倍になることもめずらしくありません。
弁護士に依頼すれば、過失割合についてはこちらの主張が通らなくても、他の部分では満足出来る結果に至る可能性があります。
交通事故の被害者が、弁護士に不満を抱える原因に「後遺障害等級の認定結果に納得できない」ことが挙げられます。
交通事故でさまざまな後遺障害が残ったときに、適切な補償を受けるには自賠責保険から後遺障害等級の認定を受けなければなりなません。
しかし、弁護士に依頼したからと言って必ずしも納得できる後遺障害等級が認定されるとは限りません。
後遺障害等級には、等級ごとに認定の基準が定められており、当然それを満たさなければ認定を受けることはできず、また、認定には、事故と後遺障害との因果関係も求められます。
また、むち打ち症などでは、自覚症状しかないことが多く、弁護士が介入しても納得できる後遺障害等級が認定されないケースもあります。
医師から症状固定と判断された被害者は、弁護士に相談するときにしっかりと事故で受傷した状況や治療の経過、医師から告げられている内容などを伝えて、等級認定の可能性があるのか、確認することが重要です。
「弁護士に依頼さえすれば望んだ後遺障害等級が認定される」と思っていると、期待外れの結果となって後悔する可能性があります。
後遺障害等級は自賠責保険(損害保険料率算出機構)が審査・認定しますが、最終的には裁判所に判断を仰ぐことになります。自賠責保険に異議申立てをすることも可能です。異議申立てや裁判まで視野に入れた戦略を考えるのであれば、やはり弁護士に相談するのが最善の選択となります。
弁護士に交通事故案件を依頼して後悔しないためには、まずは自分の置かれた状況を正しく把握し、そして信頼できる弁護士を選ぶことが重要です。
解決の過程で弁護士と良くコミュニケーションをとり、最終的にどうしてその選択をするのか理解し受け入れてこそ「依頼して良かった」と思えるものです。
ただ、すでに交通事故案件を弁護士に依頼はしているが、どうしても今依頼している弁護士が気に入らない方もいるでしょう。その場合は、弁護士を変えるというのも一つの手段です。
なお、交通事故案件をまだ弁護士に相談もしていない方は、後悔しない解決をするために、まずは交通事故に積極的に取り組んでいる弁護士を探して相談するところから始めましょう。