弁護士費用特約の使い方、メリット、デメリット、注意点を解説!
自己負担0円で弁護士依頼できる弁護士費用特約をご存知ですか?この記事では、弁護士費用特約の使い方やメリット・デメリッ…[続きを読む]
この記事では、TwitterやYahoo!知恵袋でも話題になりがちの、交通事故の弁護士費用の相場や内訳、安く抑えるためのポイント、着手金無料+成功報酬制度などをご紹介します。
相手の保険会社が提示する「示談金・慰謝料に納得行かない」方、むちうちの後遺障害認定でお困りで、弁護士を依頼したいが弁護士費用が心配という方などは是非ご参考ください。
交通事故被害者が慰謝料などについて弁護士依頼するとき、弁護士費用の相場が気になる方も多いでしょう。
特に、弁護士の成功報酬は高額だというイメージが定着しているため、以下のような疑問を感じる人もいらっしゃるかもしれません。
これらの疑問に対して、わかりやすく解説していきます。
目次
まずは、被害者が弁護士に依頼する前に法律相談料がかかります。
法律相談料とは、弁護士に交通事故の問題を「相談するときにかかる費用」です。
弁護士には、事件を依頼する前提として、最初に法律相談をしなければなりませんが、その際にはこの法律相談料がかかってきます。
法律相談料の相場は、1時間5,000円から1万円程度であることがほとんどです。この金額は一般の弁護士になれていない方にとっては安いとはいえないでしょう。
しかし、現在では、交通事故案件では、多くの弁護士事務所が無料相談サービスを実施しており、少なくとも初回の相談は「無料」で行っている事務所も多いようです。
着手金とは、弁護士に事件を依頼する際にかかる「当面の活動費用」です。
事案の成功・不成功にかかわらず後に返還されることはありません。
着手金の相場は、示談交渉では、10万円~30万円程度になることが多くでしょう。着手金については、過失割合に争いがある、事故の調査が必要といった個別の事情によって幅があるようです。
日本弁護士連合会が2008年に行った調査では、交通事故における着手金の費用相場は、20万円前後から30万円前後が2/3を占めているとしています(※)。この金額は決して安いとは言えません。
しかし、相談料と同じで、着手金を「無料」とする弁護士事務所も実はあります。
ただ相談料の安いとは異なり、着手金を引き下げる代わりに報酬金を引き上げる事務所もあるので、依頼する際には注意が必要です。
【出典】「市民のための弁護士報酬の目安」|日本弁護士連合会
また、訴訟で別途着手金が発生する場合もあります(費用相場は、前述した旧「弁護士報酬基準」の表が参考になります)。
交通事故の弁護士費用として着手金と並んで大きいものが、報酬金(成功報酬金)です。
報酬金とは、事件が解決したときに、その「解決内容に応じてかかってくる費用」のことです。
報酬金は、弁護士の貢献度が高ければ高いほど高額になることが普通です。
前出の日本弁護士連合会のアンケートによると、報酬金の相場としては50万円前後で、獲得金の10%(1割)を報酬金と設定しているケースが多いようです。
ただし、報酬金の相場は事務所によって算出方法が異なるため、直接、お問い合わせいただくのが一番確実です。
以上のように、着手金と報酬金をあわせて数十万円かかってしまうケースが多いことが分かりますが、「弁護士特約(べんごしとくやく)」を利用すると、一般的には「限度額300万円」まで弁護士費用を保険会社が負担してくれます。
弁護士特約について詳しくは、以下の記事をあわせてご参照ください。
「日当」とは、弁護士が遠方に出張などする際に、交通費とは別にかかる費用のことです。
日当の相場は1日あたり3万円~5万円程度です。半日であれば1万円程度の事務所もあります。
厳密な意味では弁護士費用に含まれませんが、実費も弁護士費用の一部です。
実費には、印紙を購入する「印紙代」や「交通費」「通信費用」などが含まれます。
弁護士に依頼する際は、弁護士報酬とは別途実費の支払いをする必要があります。
交通事故の弁護士費用相場を考えるうえで、2004年に廃止された日本弁護士連合会の「弁護士報酬基準」が参考になります。
この際に、弁護士は報酬を自由に設定できるようになりましたが、未だにこの報酬基準に準じて報酬体系を定めている弁護士事務所も多く存在します。
経済的利益 | 相談料 | 着手金* | 報酬金 |
---|---|---|---|
300万円以下 | 30分5,000円~1万円の一定額 | 経済的利益の8% | 経済的利益の16% |
300万円を超え3000万以下 | 経済的利益の5% + 9万 | 経済的利益の10% + 18万 | |
3000万円を超え3億円以下 | 経済的利益の3% + 69万 | 経済的利益の6% + 138万 | |
3億円を超える | 経済的利益の2% + 369万 | 経済的利益の4% + 738万 |
なお上表の「経済的利益」とは、例えば、裁判の判決や和解で認められた金額のことです。相手に500万円の損害賠償請求をする場合には、500万円の経済的利益となります。
*なお、弁護士報酬基準では、着手金の最低額を10万円としています。
では、弁護士費用はどのように計算するのでしょうか?
実際に、経済的利益がある2つの事件(訴訟)の弁護士費用について、旧「弁護士報酬基準」を使って計算してみましょう。
500万円の経済的利益がある場合、先述した表を参照すると、経済的利益が「300万円を超え3000万円以下」のケースなので、着手金の金額の計算方法は以下の通りです。
500万円 × 5% + 9万円 = 34万円
回収できた金額が300万円だった場合には、経済的利益が「300万円以下」のケースとなり、報酬金の額は以下の通りです。
300万円 × 16% = 48万円
3,500万円の経済的利益がある交通事故の場合は、先述した「3000万円を超え3億円以下のケース」なので、着手金の額の計算式は次の通りです。
3,500万円 × 3% + 69万 = 795,000円
3,200万円回収できた場合の報酬金は以下の計算式になります。
3,200万円 × 6% + 138万 = 3,300,000円
以上からお分かりのように、普通に被害者がむちうち後遺障害認定や慰謝料アップの示談などを、弁護士に依頼しても、弁護士費用が安くなるとは言えません。
そこで、なるべく弁護士費用を安く抑えるためのポイントをご紹介します。
弁護士費用を抑えるためには、完全成功報酬制を採用する事務所を利用するのがおすすめです。完全成功報酬制の事務所であれば、初期費用がまったくかかりません。
ただし、完全成功報酬制を採っていても、報酬の計算方法が事務所によって異なるので、依頼する前にどのような報酬システムなのかよく確認する必要があります。
弁護士費用を抑える方法の1つに、交通事故の任意保険や傷害保険に付帯する「弁護士特約の利用」が挙げられます。
弁護士特約を利用すると、一般的には「限度額300万円」まで弁護士費用を保険会社が負担してくれます。
法律相談料も着手金、成功報酬金も、日当や実費もすべて弁護士特約でまかなうことができ、低額な物損事故の場合や後遺障害のない小さな人身事故でも躊躇することなく弁護士に依頼することができます。
しかも、弁護士特約を利用することで、保険の等級が下がることも、保険料が上がることもありません。
自分が加入していなくても、家族が加入している傷害保険などに弁護士特約がついていれば利用できることが多いのも魅力の1つです。
交通事故で弁護士に相談に行く前に、一度ご自分や家族の保険に弁護士特約がついていないか確認すると良いでしょう。
弁護士費用を安い!とするための最後の方法が、法テラスの利用です。法テラスとは、国が設立した法的問題の解決機関です。
法テラスを利用して弁護士に依頼をすると、法テラスがあなたに代わってその依頼した弁護士費用を立替えて支払ってくれます。
ただし、あくまで立替えであり、無料で依頼できるわけではなく、その後、あなたは法テラスに対して分割して返済することになります。
しかし、法テラスは、あくまで「金銭的な余裕がない人」のための扶助制度ですので、利用するためには「一定の資力基準」が設けられています。
また、法テラスを利用して示談交渉を依頼できる弁護士は、予め法テラスと契約を結んでいる法律事務所でなければなりません。
実際に相談を予定している法律事務所に電話をし、法テラスの利用が可能かどうかを確認するのが一番確実です。
交通事故の弁護士費用を相手の保険会社や相手である加害者自身に請求することはできるのでしょうか?
まず、示談では、加害者側の保険会社が認めるかどうかは別にして、弁護士費用を「示談金の額に含めて多めに請求する」ことは可能です。
また、裁判では、損害賠償額の10%程度を弁護士費用として認める傾向にありますが、この10%は、実際に被害者が弁護士に支払う額とは関係はありません。
基本的に「自分で依頼した弁護士の費用は、自分で負担すべき」と考えておいたほうがいいでしょう。
弁護士費用特約に加入している方であれば、自己負担0円ですので、いつでも依頼しても大丈夫です。
ただ、弁護士特約に加入していない場合、交通事故問題を弁護士に相談するタイミングによって「弁護士費用が変わってくる」ことがあるので注意が必要です。
加害者側の保険会社から提示を受けた額と実際に回収できた額の差を経済的利益として報酬額を計算する事務所が多いのですが、そのことが、次のような違いをもたらします。
たとえば、加害者側の保険会社から200万円の示談金の提示があったときに、弁護士の介入によって300万円の支払を受けられた場合、差額の100万円が経済的利益になります。
一方、加害者側の保険会社から示談金の提示を受ける前に弁護士に依頼してしまうと、回収できた300万円がまるまる経済的利益ということになってしまいます。
このように、加害者側の保険会社から示談金の提示を受けた後に弁護士に依頼した方が、弁護士費用が安くなることがあるのです。
ただ、早期に弁護士に依頼することで、適切な後遺障害等級認定のための方法についてアドバイスを受けられる、適切な指示で証拠を集めることができるといった大きなメリットがあります。
また、弁護士に依頼することで、示談交渉に対処するストレスから解放されることができ、一概に弁護士に依頼するタイミングが遅い方が得だとは言い切れません。
交通事故でお悩みであれば、まずは弁護士に相談し、示談交渉を依頼すべきかどうか費用を含めて判断しましょう。
今回は、TwitterやYahoo!知恵袋でも話題になりがちの、交通事故の示談交渉などの際にかかる弁護士費用の相場、成功報酬制度、法テラスなどについてご紹介しました。
交通事故に遭ったら、まずは交通事故問題に強い弁護士に無料相談をしてアドバイスを受けることが大切です。今回の記事を参考にして、弁護士費用を抑えながら、賢く損害賠償請求をしましょう。