弁護士費用特約の使い方、メリット、デメリット、注意点を解説【2023年最新版】
自己負担0円で弁護士依頼できる弁護士費用特約をご存知ですか?この記事では、弁護士費用特約の使い方やメリット・デメリッ…[続きを読む]
交通事故の被害者が弁護士に相談する際、高額な弁護士費用や成功報酬のイメージが定着しているため、疑問や不安を抱く人もいるかもしれません。
この記事では、TwitterやYahoo!知恵袋でも話題になりがちな、交通事故の弁護士費用の内訳や相場(着手金・成功報酬制度)や、相談料や着手金の無料の格安サービスを活用する方法、また安く抑えるためのポイントなどを紹介します。
自分で示談交渉をするよりも、相手の保険会社が提示する「示談金・慰謝料に納得行かない」という方や、むちうちの後遺障害認定でお困りで、「弁護士を依頼したいが弁護士費用が心配」という方は、ぜひ参考にしてください。
目次
まずは、弁護士費用として、被害者が弁護士に依頼する前に法律相談料がかかります。
法律相談料とはその名の通り、弁護士に交通事故の問題を「相談するときにかかる費用」です。
弁護士には、事件を依頼する前提として最初に法律相談をする必要がありますが、その際にはこの法律相談料がかかってきます。
法律相談料の相場は、30分もしくは1時間につき5,000円〜1万円程度であることがほとんどです。
この金額は、弁護士費用に慣れていない方にとっては安いとは言えないかもしれません。
しかし、最近では、交通事故案件について多くの弁護士事務所が無料相談サービスを実施しており、少なくとも初回の相談は「無料」で行っている事務所も多いようです。
着手金とは、弁護士に事件を依頼する際にかかる費用です。「解決までの活動費用」とも言えるでしょう。
事案の成功・不成功にかかわらず、後に返還されることはありません。
着手金の相場は、相手方保険会社との示談交渉では10万円~30万円程度になることが多いでしょう。
着手金額については、過失割合に争いがある・事故の詳しい調査が必要、といった個別の事情によって幅があるようです。
日本弁護士連合会が2008年に行った調査では、交通事故における着手金の費用相場は、20万円前後〜30万円前後が2/3を占めているとしています(※)。
この金額は決して安いとは言えません。
しかし、相談料と同じで、着手金を「無料」とする弁護士事務所も実はあります。
ただ、相談料の安いとは異なり、着手金を引き下げる代わりに報酬金を引き上げている事務所もあるので、依頼する際には注意が必要です。
また、訴訟までもつれ込むことで別途着手金が発生する場合もあります。
※【出典】「市民のための弁護士報酬の目安」|日本弁護士連合会
交通事故の弁護士費用として着手金と並んで大きいものが、報酬金(成功報酬金)です。
報酬金とは、事件が解決したときに、その「解決内容に応じてかかってくる費用」のことです。
報酬金は、弁護士の貢献度が高ければ高いほど高額になることが普通です。
前出の日本弁護士連合会のアンケートによると、報酬金の相場としては50万円前後で、獲得金(減額金)の10%(1割)を報酬金と設定しているケースが多いようです。
ただし、報酬金は事務所によって算出方法が異なるため、弁護士に直接お問い合わせいただくのが一番確実です。
以上のように、着手金と報酬金をあわせて数十万円かかってしまうケースが多いことが分かりますが、「弁護士費用特約(べんごしひようとくやく)」を利用すると、一般的には「限度額300万円まで」弁護士費用を保険会社が負担して結果的に格安になります。
弁護士特約について詳しくは、以下の記事をあわせてご参照ください。
「日当」とは、弁護士が遠方に出張などする際に、交通費とは別にかかる費用のことです。
日当の相場は1日あたり3万円~5万円程度です(半日であれば1万円程度の事務所もあります)。
また、実費も弁護士費用の一部です。弁護士に依頼する際、弁護士報酬とは別に支払いをする必要があります。
実費には、印紙を購入する「印紙代」や「交通費」「通信費用」などが含まれます。
交通事故の弁護士費用相場を考えるうえで、2004年に廃止された日本弁護士連合会の「弁護士報酬基準」が参考になります。
弁護士は報酬を自由に設定できるようになりましたが、未だにこの報酬基準に準じて報酬体系を定めている弁護士事務所も多く存在します。
つまり、被害者が「弁護士費用の相場」を知るうえで、下表の「弁護士報酬基準」は、一定の役に立つと言えるでしょう。
なお上表の「経済的利益」とは、例えば、裁判の判決や和解で認められた金額のことです。相手に500万円の損害賠償請求をする場合には、500万円の経済的利益となります。
※弁護士報酬基準では、着手金の最低額を10万円としています。
では、弁護士費用はどのように計算するのでしょうか?
実際に、経済的利益がある2つの事件(訴訟)の弁護士費用について、旧「弁護士報酬基準」を使って計算してみましょう。
500万円の経済的利益が見込める場合(依頼をすることで500万円示談金が増額できるなど)、先述した表を参照すると、経済的利益が「300万円を超え3,000万円以下」のケースなので、着手金の金額の計算方法は以下の通りです。
500万円 × 5% + 9万円 = 34万円
相手方から回収できた金額が300万円だった場合には、経済的利益が「300万円以下」のケースとなり、報酬金の額は以下の通りです。
300万円 × 16% = 48万円
3,500万円の経済的利益が見込める交通事故の場合は、先述した「3,000万円を超え3億円以下のケース」なので、着手金の額の計算式は次の通りです。
3,500万円 × 3% + 69万 = 795,000円
3,200万円回収できた場合の報酬金は以下の計算式になります。
3,200万円 × 6% + 138万 = 3,300,000円
このように、被害者が慰謝料アップのための示談交渉やむち打ちなどの後遺障害認定を弁護士に依頼をすることで経済的利益を獲得すれば、弁護士費用を払うにしてもプラスになるケースが多いです。
とは言え、弁護士費用が安いとか格安だとかは言えません。
そこで、なるべく弁護士費用を安く抑えるためのポイントをご紹介します。
まず、弁護士費用を抑えるためには、「完全成功報酬制」を採用する事務所を利用するのがおすすめです。
完全成功報酬制の事務所であれば着手金が無料ということですので、初期費用がまったくかかりません。
ただし、完全成功報酬制を採っていても、報酬の計算方法は事務所によって異なります。
「初期費用は掛からなかったけれど、報酬金が高額で結局支払いが嵩んでしまった」ということを防ぐため、依頼する前にどのような報酬システムなのかをよく確認する必要があります。
弁護士費用を抑える方法の1つに、交通事故の任意保険や傷害保険に付帯する「弁護士費用特約(弁護士特約)の利用」が挙げられます。
弁護士費用特約を利用すると、一般的には「限度額300万円」まで弁護士費用を保険会社が負担してくれます。
法律相談料、着手金、報酬金はもちろん、日当や実費もすべて弁護士費用特約でまかなうことができ、低額な物損事故や後遺障害のない小さな人身事故でも躊躇することなく弁護士に依頼することができます。
しかも、弁護士費用特約を利用することで、保険の等級が下がることも、保険料が上がることもありません。
自分が加入していなくても、家族が加入している傷害保険などに弁護士費用特約がついていれば利用できることが多いのも魅力の1つです。
交通事故で弁護士に相談に行く前に、一度ご自分や家族の保険に弁護士費用特約がついていないか確認すると良いでしょう。
法テラスとは、国が設立した法的問題の解決機関です。
法テラスを利用して弁護士に依頼をすると、法テラスがあなたに代わって依頼した弁護士費用を立て替えて支払ってくれます。
あくまで立て替えであり、無料で依頼できるわけではありません。その後、あなたは法テラスに対して分割して返済することになります。
しかし、治療費などで出費が嵩んでいる自己被害者の方にとって、一時的にでも立て替えてくれるのは大きなメリットと言えるでしょう。
しかし、法テラスは、あくまで「金銭的な余裕がない人」のための扶助制度ですので、利用するためには「一定の資力基準」が設けられています。
また、法テラスを利用して示談交渉を依頼できる弁護士は、予め法テラスと契約を結んでいる法律事務所でなければなりません。
実際に相談を予定している法律事務所に電話をし、法テラスの利用が可能かどうかを確認するのが一番確実です。
交通事故の弁護士費用は、相手方の保険会社や加害者自身に請求することはできるのでしょうか?
示談では、(加害者側の保険会社が認めるかどうかは別にして)弁護士費用を「示談金の額に含めて多めに請求する」ことは可能です。
また、裁判では、損害賠償額の10%程度を弁護士費用として認める傾向にあります。
とはいえ、実際に認められるかどうかは別問題ですので、基本的に「自分で依頼した弁護士の費用は自分で負担する」と考えておいたほうが良いでしょう。
弁護士費用特約に加入している方であれば、自己負担0円ですので、いつでも依頼しても大丈夫です。
ただ、弁護士費用特約に加入していない場合、交通事故問題を弁護士に相談するタイミングによって「弁護士費用が変わってくる」ことがあるので注意が必要です。
というのも、「加害者側の保険会社から提示を受けた金額」と「実際に獲得できた金額」の差を経済的利益として報酬額を計算する事務所が多いのですが、そのことが、次のような違いをもたらします。
このように、加害者側の保険会社から示談金の提示を受けた後に弁護士に依頼した方が、経済的利益が少なくなり、結果的に弁護士費用が安くなることがあります。
ただ、早期に弁護士に依頼することで、適切な後遺障害等級認定のためにアドバイスを受けられる、適切な指示で証拠を集めることができる、といった大きなメリットがあります。
また、弁護士に依頼することで相手方との示談交渉に対処するストレスから解放されることができますので、一概に弁護士に依頼するタイミングが遅い方が得だとは言い切れません。
交通事故でお悩みであればまずは早期に弁護士に相談し、いつ依頼すべきか、費用を含めて判断しましょう。
今回は、TwitterやYahoo!知恵袋でも話題になりがちの、交通事故の示談交渉などの際にかかる弁護士費用について、また格安にするにはどうすればいいのかなど、ご紹介しました。
交通事故に遭ったら、まずは交通事故問題に強い弁護士に無料相談をしてアドバイスや解決見込みを聞いてみることが大切です。
今回の記事を参考にして、弁護士費用を抑えながら、賢く損害賠償請求をしていきましょう。