日弁連交通事故相談センターとは?メリット、デメリットも徹底解説

日弁連交通事故相談センター

この記事では、「日弁連交通事故相談センターとは何か?メリット、デメリット」を解説します。

その他の無料相談所については以下のコラムも併せてご参照ください。

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日弁連交通事故相談センターとは

「日弁連交通事故相談センター」とは、日弁連(=日本弁護士連合会)が昭和42年に設立した公益財団法人です。

交通事故に遭った際に、被害者や加害者、保険会社など、様々な立場の人々が法律的なアドバイスやサポートを受けることができます。

当時は高度経済成長に伴い自動車が急速に普及したことなどを背景として自動車事故の発生件数が悪化の一途をたどっていたため、その被害者救済を目的として設立されました。

  • 全国159カ所に相談所があるというアクセスのしやすさ
  • 基本的にどの手続も無料

というのが大きな特徴です。

今回は、日弁連交通事故相談センターができることやメリット・デメリットを解説致します。また大阪や東京をはじめ、お近くの相談センターは、以下のリンクからお探しいただくことができます。

【関連外部サイト】「全国の相談窓口」|公益財団法人 日弁連交通事故相談センター

日弁連交通事故相談センターを利用するメリット

日弁連交通事故相談センターを利用する際のメリットは、次の通りです。

  • 相談所が東京・大阪の主要都市だけではなく、全国にありアクセスがよい
  • 示談あっせんまでの費用は無料なので、お金をかけずに解決へ持ち込める
  • 治療中でも相談を受けてもらえる
  • 交通事故に強い弁護士に相談することができる

日弁連交通事故相談センターを利用するデメリット

日弁連交通事故相談センターを利用する際のデメリットは、次の通りです。

  • 相手が加入するのが損害保険会社の自動車保険であれば、示談あっせんで「審査」まで行っても強制力がないため希望額を支払ってもらえないケースがある
  • 日弁連交通事故相談センターはあくまでも「中立」な立場であり、「依頼者の最大限の利益」のために動くわけではない
  • 電話相談は便利だがやや繋がりにくい
  • 示談あっせんによっても、「弁護士基準」の損害賠償が受けられるとは限らない

日弁連交通事故相談センターができること

日弁連交通事故相談センターで事故の当事者が相談できることから説明します。

日弁連交通事故相談センターへの相談

日弁連交通事故センターでは、交通事故に関連した相談を受け付けています。事故当事者であれば、被害者・加害者を問わず、同居の親族まで相談をすることができます。

損害賠償の金額や過失割合、時効や示談についてなど、交通事故に関する民事上の相談であれば、物損・人損問わず基本的に何でも受け付けています。

日弁連交通事故相談センターでできる相談は、次の2種類です。

  • 電話相談(10分程度)
  • 面接相談(30分程度)

2018年度では、電話相談が19,021件、面接相談が18.405件と合計で、35,721件の相談を受けています。

【出典】「資料3-5-3-10 事業実績件数と取扱状況(日弁連交通事故相談センター)」|弁護士白書2019年版

また、相談を担当するのは、センターが実施する研修会等で交通事故についての知識を蓄えた弁護士です。

電話相談

日弁連交通事故相談センターの「電話相談」は専用の電話番号に電話をすると、相談担当の弁護士と話ができるというシステムです。

時間は約10分と決められているため、個別の事例に対応してじっくりと話をするというよりは、一般的な質問に対して答えてもらう、という使い方をする人が多いようです。

相談所によっては電話が混み合っていてなかなか繋がらないこともあるのですが、その対策として毎月10日を「拡大電話相談日」として設定し、受付時間を延長したり、相談員を増やしたりして対応しています。

相談時間:月~金曜日(祝日を除く) 10:00~16:30
電話番号:0570-078325(ナビダイヤル)

面接相談

日弁連交通事故相談センターの「面接相談」は実際に相談所へ出向いて弁護士と面談をすることができる制度です。事前の予約が必要なので、まずは電話で予約を取ってから相談所へ向かいましょう。時間は30分程度です。

面接相談は、原則として同一案件について上限5回まで相談可能です。

面接相談の場合、可能であれば下記のようなものを持参するとより具体的に相談を進められますから、できる範囲で準備しておくといいでしょう。

  • 交通事故証明書
  • 診断書
  • 治療費の明細
  • 事故前の給与明細
  • 自動車保険の証券
    など

なお、一部の相談所では「高次脳機能障害」に特化した面接相談も受け付けています。

また、「慰謝料自動計算機」などを利用して、相談前に慰謝料相場などをチェックしておくのも良いでしょう。

相談できないもの

ただし、刑事処分・行政処分についての相談は受け付けていませんので、その点は注意しておきましょう。

また、次のケースでは、相談を拒否されてしまいます。

  1. 弁護士法第72条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)違反の疑いのある者からの申込み
  2. 相談者がすでに弁護士である代理人を選任しているとき
  3. 相談回数が原則として同一事案につき5回を超えるとき
  4. 事故当事者本人以外の者からの申込みであるとき
    ただし、同居の親族、四親等内の親族及びこれらに準ずる者からの申込みであるときを除く
  5. その他、相談を行うのに適当でないと認められるとき

    【出典】「示談あっ旋・審査」|日弁連交通事故相談センター

日弁連交通事故相談センターによる示談あっ旋の口コミ評判は良い

日弁連交通事故相談センターでは、相談の他に「示談あっ旋」も行っています。2018年度における示談の成立件数854件、成立率82.8%と高い実績を誇っており、(※)ネット上での評判・口コミも良いです。

【出典】同「資料3-5-3-10 事業実績件数と取扱状況(日弁連交通事故相談センター)」|弁護士白書2019年版

示談あっ旋とは、はいわゆる「調停」の民間版のような制度。調停員や裁判官ではなく、日弁連交通事故相談センターの弁護士が中立・公正な立場から間に入って示談をまとめる手伝いをしてくれる制度です。

裁判所での調停には費用がかかり、弁護士に代理人を依頼をすればそのうえ弁護士費用も必要になりますが、日弁連交通事故相談センターの示談あっ旋手続は無料で行うことができます。

その代わり、日弁連交通事故相談センターで示談あっせんしても、「赤い本」や「青本」に記載されている「弁護士基準」で損害賠償が受けられるとは限りません。

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示談が成立しなかった場合は「審査」

示談あっ旋を利用しても示談が成立しなかった場合、被害者は、日弁連交通事故相談センターに申し出ることで事案を日弁連交通事故相談センターの「審査」にかけることができます。

審査とは、弁護士である審査委員3名による審査委員会が示談が成立しなかった事案について判断した結果について、被害者が同意すれば、相手側の共済が、その結果を尊重するというものです。

したがって、相手方が以下の共済に加入していれば、審査の結果に従う一定の強制力があるため、万が一示談が成立しなくても、裁判所などでの手続を経ずに解決することができる可能性が残されています。

ただし、損保会社の自動車保険への強制力はないので、審査を申し出る前に相手方の保険の状況を確認しておくことが必要です。

審査が可能な共済

  • 全労済(全国労働者共済生活協同組合連合会)の「マイカー共済」
  • 教職員共済生協(教職員共済生活協同組合)の「自動車共済」
  • JA共済連(全国共済農業協同組合連合会)の「自動車共済」
  • 自治協会(全国自治協会)・町村生協(全国町村職員生活協同組合)の「自動車共済」
  • 都市生協(生活協同組合全国都市職員災害共済会)の「自動車共済」
  • 市有物件共済会(全国市有物件災害共済会)の「自動車共済」
  • 自治労共済生協(全日本自治体労働者共済生活協同組合)の「自動車共済」
  • 交協連(全国トラック交通共済協同組合連合会)の「自動車共済」
  • 全自共(全国自動車共済協同組合連合会)の「自動車共済」
  • 全自共と日火連(全日本火災共済協同組合連合会)の「自動車総合共済MAP(共同元受)」

    【出典】「示談あっ旋・審査」|日弁連交通事故相談センター

もし、被害者が審査結果について同意しなければ、解決は、調停や裁判まで持ち越されることになります。センターで相談を担当してくれた弁護士に依頼できるかは、各相談所によって扱いが異なるそうなので、直接確認してください。

示談あっ旋を断られるケース

また、以下のケースでは、示談あっ旋を断られてしまうので注意が必要です。

  1. 調停または訴訟手続に係属中であるとき
  2. 他の機関にあっ旋を申し込んでいる事案であるとき
  3. 不当な目的により申込みをしたものと認められるとき
  4. 当事者が権利又は権限を有しないと認められるとき
  5. 弁護士法第72条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)違反の疑いがある者からの申込みであるとき
  6. その他、示談あっ旋を行うに適当でないと認められるとき

    【出典】「示談あっ旋・審査」|日弁連交通事故相談センター

日弁連交通事故相談センターと他の機関の違い

日弁連交通事故相談センターと交通事故紛争処理センターの違い

交通事故関連の相談などを受ける団体として、「交通事故紛争処理センター」という団体もあります。こちらも日弁連交通事故相談センターと同様、交通事故に関する法律相談や和解のあっせんを行っています。

2つの違いをまとめると、以下の通りです。

交通事故紛争処理センター 日弁連交通事故相談センター
利用に際して 治療が終わっており、後遺障害の等級認定手続きが完了していることが必要 治療中でも相談が可能
和解が不成立の場合の審査 審査の強制力は損害保険会社に及ぶ 特定の共済にのみ審査の強制力が生じる
相談場所 全国11か所 全国159か所
示談・和解あっせんの期日 和解あっせんの期日は2~3ヶ月に1度 示談あっせんの期日設定は1ヶ月に1度程度
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日弁連交通事故相談センターと弁護士事務所の違い

もちろん、弁護士事務所でも交通事故についての相談を受け付けてもらうことができます。

日弁連交通事故相談センターと法律事務所の大きな違いは、次の通りです。

法律事務所 日弁連交通事故相談センター
相談に乗る弁護士 交通事故に精通した弁護士とは限らない 交通事故に精通した弁護士
相続料 有料
(初回無料の事務所もあり)
無料
弁護士のスタンス 依頼者の見方 中立な立場

弁護士事務所で個別に相談・依頼をした場合、基本的にその弁護士は「依頼者の利益が最大になるように」という観点で交渉に臨みます。

一方日弁連交通事故相談センターの弁護士はあくまでも「中立な立場」で業務を行います。ここが大きな違いです。

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日弁連交通事故相談センターのまとめ

日弁連交通事故相談センターは交通事故の法律問題で困っている人の助けとなってくれる団体ですが、利用には以下の2点をまず検討する必要があります。

  • 相手方が加入しているのは「共済」か「損保会社の自動車保険」か
  • 双方の請求額にはどれくらい差があるか

たとえば、「双方の主張額にかなりの差がある」と、日弁連交通事故相談センターの示談あっせんを利用しても、示談が成立しない可能性が高く、その場合、「審査」を申し出ることになりますが、相手方が加入しているのが損保会社の自動車保険であれば、その結果に強制力はありません。

そのため結局支払を受けられず、裁判所での調停などへ移行することとなり、それまでの時間が無駄になってしまいます。

弁護士特約で、評判口コミが良い弁護士に依頼する

また、ご自分の自動車保険に、弁護士費用特約が付帯しているかどうかも確認しておきましょう。

日弁連交通事故相談センターを利用しても示談が成立せず、裁判手続へ移行しなければならないケースがあり、その場合、弁護士費用などを差し引くと、結局、最初に相手が提示した賠償額と変わらないといったことになりかねないからです。そうなると、時間とコストの無駄遣いになってしまいます。

一方で、弁護士特約が保険に付帯していれば、弁護士費用は保険会社が負担するので、最初からセンターを利用せず評判・口コミが良い「交通事故に強い弁護士」に依頼したほうが、時間・コストの節約になります。

また、裁判を弁護士に依頼すれば、慰謝料などが弁護士基準で算定されるため、賠償額が増額される可能性もあります。

ただ、交通事故に遭ったあとは、心身ともに辛い日々が続きますから、複雑なことをあまり考えられなくなってしまうかもしれません。その場合は、まず日弁連交通事故相談センターで無料相談を受けてみるところからスタートしてみてはいかがでしょうか。弁護士は、きっとあなたが進むべき道について、適切なアドバイスをしてくれるはずです。

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  1. 保険会社が提示した示談金・慰謝料に不満だ
  2. 事故の加害者・保険会社との示談交渉が進まない
  3. 適正な後遺障害等級認定を受けたい

弁護士に相談することで、これらの問題の解決が望めます。
保険会社任せの示談で後悔しないためにも、1人で悩まず、今すぐ弁護士に相談しましょう。

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監修
弁護士相談Cafe編集部
本記事は交通事故弁護士カフェを運営するエファタ株式会社の編集部が執筆・監修を行いました。
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