交通事故と逸失利益|もらえる場合・もらえない原因等わかりやすく解説!
交通事故で後遺症が残ったとき、損害賠償金の大きな部分を占めるのが、「後遺障害逸失利益」です。ただ、「逸失利益」という…[続きを読む]
後遺障害12級の逸失利益の計算方法について関心をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。
後遺障害12級の逸失利益は、被害者が事故によって被った労働能力の喪失による経済的損失を補填するための賠償金です。
逸失利益の計算は複雑であり、個別の事案によって異なります。一般的には被害者の年齢、職業、収入レベル、労働能力喪失期間などが考慮されます。
詳細な計算方法については専門家や弁護士の助言を受けることをおすすめします。法的知識と経験に基づいて、適切な逸失利益の評価を行うことができます。
今回は、後遺障害12級の逸失利益の計算方法と労働能力喪失期間などについて解説します。
目次
事故により後遺障害が生じると、通常通りの働き方が困難になることがあります。
労働能力の低下に伴い、受け取るべき利益や報酬も得られなくなるかもしれません。
そのため、後遺障害の程度が認定されると、その等級に基づいて「逸失利益」を請求することが可能です。
逸失利益の金額は、少し難しいですが、次の計算式によって求めることができます。
基礎収入について簡単に解説します。これは12級5号であっても12級6号であっても同様です。
上述のように、収入に関しては、自営業者、主婦、学生などの個別の状況や実態に合わせて、逸失利益の評価方法が個別に検討されます。
後遺障害等級が高いほど労働能力喪失率も高くなります。
労働能力喪失率が高い場合、被害者の労働能力が制限されており、それに伴い逸失利益や慰謝料の額も相応に高くなる傾向があります。
具体的に「後遺障害12級の場合」、国土交通省のウェブサイト*に掲載された労働能力喪失率表によると、労働能力喪失率は「14%」と設定されています。
https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/04relief/resourse/data/sousitsu.pdf
労働能力喪失期間は、通常は症状固定日から67歳までの期間とされています。
ただし、特定の状況によっては、労働能力喪失期間の始期が症状固定日ではなく、18歳または22歳(大学卒業を前提とする場合)となる場合もあります。これは、被害者が未就労者である場合や学生である場合などに適用されるルールです。
ただし、むち打ち症など神経症状の後遺症の場合、後遺障害等級12級の労働能力喪失期間は保険会社によって10年以下に制限されることがあります。
しかしながら、訴訟などの過程で10年以上の期間が認められる可能性もあります。そのため、個別の状況や提出される証拠によって労働能力喪失期間が延長される可能性もあることに留意する必要があります。
上記の手続きによって労働能力喪失期間を計算した後は、国土交通省のウェブサイトで確認することで、ライプニッツ係数を算出することができます。
*ライプニッツ係数については、国土交通省のサイトで確認可能です。国土交通省「就労可能年数とライプニッツ係数表」
事例
被害者の年齢・性別:62歳・男性
被害者の年収:400万円
被害者の後遺障害等級:12級
400万円(年収)×14%(労働能力喪失率)× 9.253(年齢62歳のライプニッツ係数※)=518万1680円
※ 2020年3月31日以前に発生した事故については、8.306で計算
後遺障害12級に認定されることによって被害者は、約520万円の逸失利益を受け取ることができます。
対して、この被害者が同一条件で認定が14級だとしたら、逸失利益は185万600円です(※)。
適正な等級認定が重要な理由がお分かりいただけるでしょう。
※ 400万円(年収)×5%(14級の労働能力喪失率)× 9.253(年齢62歳のライプニッツ係数)=1,850,600円
上記で解説したとおりですが、後遺障害12級を目指している方々の中には、保険会社によって労働能力喪失期間を10年に限定されてしまう方も多いです。
こうなってしまうと、逸失利益の金額が低額になります。
そのため、必ず、等級認定の際には、後遺障害に強い弁護士に相談をしましょう。