後遺障害14級の逸失利益の計算|労働能力喪失期間は5年以上になるか?

  • 後遺障害14級の逸失利益の計算は?労働能力喪失期間は5年以上になるの?

逸失利益の計算方法についての関心を持っている人もいるでしょう。

逸失利益を算出する際の方法は、14級だけでなく他の等級でも同じです。

ただ、むちうちのような神経的な症状を有しているケースでは、「労働能力喪失期間」の考慮が必須となります。

一部の保険会社は、「労働能力喪失期間」を短く見積もることで、逸失利益の算出額を大幅に下げる場合があるのです。

この記事で、後遺障害14級の逸失利益の算定方法や、基本収入について、労働能力喪失期間を5年以上とみなす状況、10年間の適用などについて、深く掘り下げて解説いたします。

交通事故の逸失利益とは

交通事故による後遺障害が残った場合、通常の労働が困難になります。

仕事に就くことが難しくなり、それによって得るべき利益も得られなくなります。

そのため、後遺障害の等級が認定されると、その等級に基づいて「逸失利益」を請求することができます。

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後遺障害14級の逸失利益の計算方法

次に「後遺障害14級の逸失利益の計算方法」について、簡単に解説致します。

交通事故の逸失利益の計算方法

交通事故の逸失利益の金額相場は、次の計算式によって求めることができます。

逸失利益=①基礎収入 × ②労働能力喪失率 × ③労働能力喪失期間に応じた④ライプニッツ係数

①基礎収入の計算方法とは|主婦などの場合も

基礎収入について簡単に解説します。これは14級であっても12級であっても同様です。

  • 給与所得者は、事故の前年度の「源泉徴収票」を基に基礎収入が決定
  • 基礎収入には基本給だけでなく、各種手当も含まれる
  • また、主婦など収入のない場合は、女性の全年齢平均賃金が基礎収入とされる
  • 事故前年に転職して収入が平均賃金よりも低い場合などもありますが、その年収が基礎収入とされることで逸失利益が正しく評価されない可能性があります。そのため「転職前の実績」なども柔軟に考慮してくれるケースもあり

以上のように、収入については、自営業、主婦、学生など特定の個別の状況や実情に応じて、逸失利益の評価方法は個別に検討されます。

主婦の方も逸失利益も請求できます。こちらについては別途ページをご参考ください。

②労働能力喪失率の計算方法|5パーセント

労働能力喪失率は、後遺障害等級に応じて設定されています。

労働能力喪失率が高い場合、逸失利益や慰謝料の額も相応に高くなる傾向があります。

具体的に「後遺障害14級の場合」、国土交通省のウェブサイト*に掲載された労働能力喪失率表によれば、労働能力喪失率は「5%」とされています。

https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/04relief/resourse/data/sousitsu.pdf

③労働能力喪失期間の計算方法|年数が5年以上、10年になる場合

労働能力喪失期間は、通常は症状固定日から67歳までの期間とされています。

ただし、被害者が就労していない場合は、労働能力喪失期間の開始日は症状固定日ではなく、18歳または22歳(大学卒業を前提とする場合)となります。

ただし、神経症状のある症例、例えばむち打ち症の場合、通常では後遺障害等級14級の労働能力喪失期間は5年以下に大幅に制限されることが一般的です。

しかし、訴訟などを経て5年以上の期間、例えば10年などが認められる可能性もあります。そのため、個別の事情や証拠の提出によって労働能力喪失期間が延長される可能性もあることを注意しなければなりません。

こちらの話については詳しくは後述します。

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④ライプニッツ係数の計算方法

上記で、労働能力喪失期間を計算することができたら、あとは、国土交通省のサイトで確認すると、ライプニッツ係数を算出することが可能です。

*ライプニッツ係数については、国土交通省のサイトで確認可能です。国土交通省「就労可能年数とライプニッツ係数表

後遺障害14級の逸失利益の計算例

事例

被害者の年齢・性別:53歳男性
被害者の年収:720万円
被害者の後遺障害等級:14級

720万円(年収)×5%(労働能力喪失率)× 11.938(年齢53歳のライプニッツ係数※)=429万7680円

※ 2020年3月31日以前に発生した事故については、10.380で計算

上述のケースでは、被害者は約430万円の逸失利益を受け取ることができます。

また、被害者の年齢が53歳であるため、就労可能な期間を15年と設定しています。

ただし、先に解説したように、後遺障害14級でも14級9号などの神経症状やむち打ち症の場合、労働能力喪失期間が5年以下に設定されることが多いため、実際の金額は上記の額よりも減少する可能性がある点に注意してください。

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後遺障害14級の労働能力喪失期間は5年以上になるか

よくある保険会社の主張|むちうちの場合など

むちうちによるしびれや震え等の場合、10年とか5年などの限定された期間の労働能力喪失しか認めない裁判例が多く存在します。

このような主張は、概ね次のような根拠に基づきます。

  • 手足などを失った障害と違い、神経症状は将来回復する可能性がある。
  • 神経症状の影響は、訓練や慣れによって少なくなってゆく可能性がある。

しかし一方で、次のような反論がなされているのも事実です。

  • これらの理由はいずれも可能性の問題に過ぎない。
  • むしろ逆に、後遺障害のハンディキャップによる経済的な不利益は時間の経過と共に大きくなってゆく。
  • 訓練や慣れによって後遺障害の影響が少なくなるとしたら、それは被害者本人の辛抱と努力によるのだから賠償額を低くする理由にすることは間違いである。

この点、東京地裁民事交通部の裁判官も、ケースバイケースであることを前提としつつも、原則として労働能力喪失期間を制限するべきではないとの下記のような意見を公表しています(※)。

労働能力喪失期間を制限すべきでないケース その理由
症状固定後相当期間を経過しているのに改善の兆候がない場合 4年を経過して改善されないのに、労働能力喪失期間を5年に制限するのは不合理
神経症状が、脳損傷、脊髄損傷、骨折を原因としている12級の場合 原因から神経症状の改善が容易ではないと通常考えられる
運動障害や機能障害があるが、自賠責の後遺障害等級表に該当しないため神経症状ととらえられている場合 便宜的に神経障害と扱うだけで、神経障害ではないのだから回復の可能性はない

※「むち打ち症以外の原因による後遺障害等級12級又は14級に該当する神経症状と労働能力喪失期間」小林邦夫裁判官講演録(民事交通事故訴訟・損害賠償算定基準2007年版・下巻75頁)

手の痛みで労働能力喪失期間を制限しない裁判例あり

では、労働能力喪失期間を制限しない裁判例を見てみましょう。

ここでは12級や14級の親指や人差し指の痛みの例ですが、もちろん小指などでも制限されない可能性はあるでしょう。

ひとさし指の痛みで36年間の労働能力喪失を認めた裁判例

大阪地裁平成13年3月7日判決

被害者は症状固定時31歳男性プログラマーです。

右ひとさし指骨折、右くすり指関節捻挫などの傷害で、右ひとさし指の指先に痛み、可動域制限、知覚鈍麻などが残りました。

裁判所は、原則どおり67歳まで36年間の労働能力喪失期間を認めました。

36年間のうち最初の18年間は12級で喪失率14%、残りの18年間は14級で喪失率5%としました(このように、労働能力喪失期間の中で喪失率に段階を設定する例も珍しくはありません)。

本件の加害者側は、痛みなどは将来的に改善されると主張しましたが、裁判所は、その可能性は否定できないとしても、あくまで一般的な可能性であり、本件で具体的な改善の見込みが証拠から認められるわけではないとしました。

(交通事故民事裁判例集34巻2号349頁)

おや指の痛み、震えで41年間の労働能力喪失を認めた裁判例

東京高裁平成14年9月25日判決

被害者は症状固定時26歳男性アルバイトです。

右手親指関節の靱帯損傷などの傷害を受け、同親指の可動域制限、疼痛、震えなどの後遺障害となりました。

裁判所は、事故後6年を経過した時点でも後遺障害が改善していないことを指摘し、この後遺障害が近い将来消失するものと認めるのは相当でないとして、原則どおり67歳まで41年間の労働能力喪失期間を認めました。

(交通事故民事裁判例集35巻6号1792頁)

非該当になると逸失利益は請求できない

一方、後遺障害14級を目指す人々の中には、非該当、認定を受けられないケースも多く見られます。

後遺障害が認定されない場合、後遺障害慰謝料だけでなく、逸失利益も受け取ることができません。

そのため、後遺障害の等級認定を受ける際には、必ず専門の弁護士に相談することが重要です。特に、むちうち症状の場合は、労働能力喪失期間が5年か10年かで逸失利益の金額が大きく異なるため、確認することが必要です。

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