交通事故と逸失利益|もらえる場合・もらえない原因等わかりやすく解説!
交通事故で後遺症が残ったとき、損害賠償金の大きな部分を占めるのが、「後遺障害逸失利益」です。ただ、「逸失利益」という…[続きを読む]
後遺障害11級7号に関する示談金や逸失利益などの賠償金の一般的な基準について知りたい方もいることでしょう。
例えば、圧迫骨折などの事故による障害がある場合、後遺障害11級7号に関する金額についてはしばしば論争が生じます。
また、圧迫骨折の際に脊柱に変形がある場合でも、認定が難しいケースが存在します。
そのため、今回はYahoo!知恵袋やTwitterなどで話題となっている後遺障害11級7号に関連する金額の一般的な相場や示談金、逸失利益などについて詳しく説明します。
目次
後遺障害11級7号の逸失利益の前に、まず後遺障害慰謝料の金額相場について見てみましょう。下記のとおりです。
11級7号 | 脊柱に変形を残すもの |
---|
後遺障害11級7号の後遺障害慰謝料の金額相場 | ||
---|---|---|
自賠責基準 | 任意保険基準 | 弁護士・裁判基準 |
136万円程度 | 150万円程度 | 420万円程度 |
上表のとおり、弁護士基準で計算をすると「420万円程度」とお考えください。
ただし、自賠責基準を使用する場合、通常は「おおよそ136万円程度」が一般的な金額相場とされています。しかし、後遺障害の認定申請を行う事故被害者の多くは、弁護士のアドバイスやサポートを受けており、その場合には「420万円程度」といった弁護士基準の金額を考慮することが適切かと思われます。
ただし、弁護士基準での計算は、弁護士に依頼しないと難しい場合があります。
もしも、まだ弁護士の必要性について考えていなかった場合は、交通事故に精通した弁護士にできるだけ早急に相談することをお勧めします。
後遺障害11級7号の慰謝料金額の裁判事例を紹介させてください。11級の慰謝料・示談金がどこまで増額できるのかを確認しましょう。
裁判例1
大阪地裁平成23年7月13日判決
被害者は男性・競輪選手(症状固定時34歳)。
脊柱の変形障害で11級7号の後遺障害となりました。
裁判所の指摘した事実は、次のとおりです。
裁判所は、これらの事情から、入通院慰謝料250万円の金額に加えて、後遺障害慰謝料500万円の金額を認めました。
参考文献:交通事故民事裁判例集44巻4号908頁
示談金を考える際に逸失利益ももちろん欠かせません。
逸失利益の金額は、少し難しいですが、次の計算式によって求めることができます。
基礎収入について簡単に解説します。これは11級7号であっても別の等級であっても同様です。
前述の通り、収入については、自営業者、主婦、学生など、それぞれの状況や実情に応じて、逸失利益の評価方法が個別に検討されることとなります。
後遺障害の等級が高くなると、労働能力喪失率も高くなる傾向があります。
労働能力喪失率が高いケースでは、被害者の労働能力が制限されており、それに伴って逸失利益や慰謝料の額も相応に増加する傾向が見受けられます。
具体的に、「後遺障害11級7号」において、国土交通省のウェブサイト*に掲載された労働能力喪失率表によれば、労働能力喪失率は「20%」とされています。
https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/04relief/resourse/data/sousitsu.pdf
一般的に、労働能力喪失期間は症状固定日から67歳までの間とされています。
例えば、症状固定日が30歳の場合、労働能力喪失期間は37年ということになります。
ただし、特定の状況によっては、労働能力喪失期間の始まりが症状固定日ではなく、18歳または22歳(大学卒業を前提とする場合)となることがあります。これは、被害者が未就労者である場合や学生である場合などに適用される規定です。
前述の手続きによって労働能力喪失期間を算定した後、国土交通省の公式ウェブサイトにアクセスすることで、ライプニッツ係数を計算できます。
たとえば、症状固定日が30歳の場合、ライプニッツ係数は22.167となります。
*ライプニッツ係数については、国土交通省のサイトで確認可能です。国土交通省「就労可能年数とライプニッツ係数表」
事例
被害者の年齢・性別:30歳・男性
被害者の年収金額:500万円
被害者の後遺障害等級:11級7号
500万円(年収)×20%(労働能力喪失率)× 22.167(年齢30歳のライプニッツ係数※)=金額2216万7000円
※ 事故が2020年3月31日以降の場合
後遺障害11級7号の認定を受けることで、被害者はおおよそ金額2216万円の逸失利益を受け取ることが可能です。
一方で、同じ条件の被害者が認定を受けない場合、逸失利益は一切支給されません。
特に事故前からあった古い骨折のせいだとか、因果関係を疑われがちなので、弁護士などをつけて対策をとるべきです。
このように、示談金だけではなく、適切な等級認定が極めて重要な意味を持つことがおわかりいただけるでしょう。
今回は、Yahoo!知恵袋やTwitterでも話題の、後遺障害11級7号の金額相場、示談金、逸失利益などについて解説致しました。
後遺障害の認定において、特に後遺障害11級7号についてはよく法律問題がおこりがちです。
必ず後遺障害に詳しい弁護士に相談し、問題を解決することをお勧めします。