休業損害は先払い可能?主婦はいつもらえる?振込遅いと困る!
休業損害は先払い可能なの? 主婦だけど、交通事故の休業損害はいつもらえるのか? 振込は遅いのか? 交通事故による休業…[続きを読む]
仕事と家事を両立している兼業主婦の方が交通事故に遭った場合、休業損害の計算方法は若干複雑になります。
弁護士のアドバイスとサポートを受けながら、適正額の休業損害を請求しましょう。
そこで今回は、兼業主婦の休業損害の計算方法、パート兼主婦とフルタイム(正社員)で異なるのか、日数との関係、減収なしの場合はどうなるかを詳しく解説します。
目次
交通事故によるケガの療養のために仕事を休んだ場合、休業によって収入の一部が失われます。
これを「休業損害」といいます。
事故被害者は、休業による損害を加害者に対して日数に応じて賠償請求することができます。
人身事故の休業損害は、フルタイムの会社員・自営業・専業主婦など、さまざまな立場の方が請求できます。仕事と家事を両立する兼業主婦の方でも、加害者に対して休業損害を請求可能です。
交通事故の休業損害は、以下の式によって計算します。
「基礎収入」は、交通事故当時の実収入を基に計算するのが原則です。
ただし兼業主婦の場合、基礎収入額を求めるに当たって特有の処理が必要となります(後述)。
以下、「基礎収入」についてまず解説します。
兼業主婦の1日当たりの基礎収入としては、以下の①または②のうちいずれか高い金額が認定されるケースが多いです。
以下は、兼業主婦の実収入を基に計算した金額の計算方法になります。
2022年の賃金センサスでは、女性労働者の全年齢平均給与額は394万3500円となります。
以上の公式を利用して計算をしてみましょう。
2つの設例について、兼業主婦の休業損害額を計算してみましょう。
まず、パートタイム勤務で入院5日の兼業主婦の場合を考えてみます。
すると、上記の公式を利用して計算をすると下記のようになります。
フルタイム勤務(正社員)の入院5日の兼業主婦の場合も考えてみましょう。
すると、フルタイムの場合は、上記の公式を利用して計算をすると下記のようになります。
「毎月請求する場合」と「示談交渉を通して請求する場合」で異なります。
通常は示談交渉後、通常は休業損害の支払いは「1〜2週間後」に行われます。
示談交渉の期間については、怪我の通院日数や揉めている度合いによって異なってきます。
パート・アルバイトとして働く兼業主婦の場合、交通事故によるケガの治療で入院・通院等を要しても、その日は非番で仕事を休まずに済んだというケースが少なくありません。
しかし、兼業主婦は仕事と「家事」を両立しているため、仕事を休まなかった日についても、つまり「減収なし」でも休業損害を請求できます。
前述のとおり、実収入または賃金センサスに基づく女性労働者の全年齢平均給与額のいずれかによって求めた1日当たりの基礎収入に、ケガの療養に要した日数を掛けて休業損害額を請求します。
公式を利用して計算すると下記のとおりです。
仕事と家事を両立する兼業主婦の場合、仕事を休んで療養していた日については、仕事と家事の両方に関して休業損害が生じます。
その一方で、兼業主婦の休業損害は、実収入を基に計算した金額と、賃金センサスに基づく女性労働者の全年齢平均給与額を計算した金額のいずれか高い方です。
前者は会社員や自営業者などの休業損害(=仕事の休業損害)、後者は専業主婦の休業損害(=家事の休業損害)に一致します。
そのため上記の計算方法については、「仕事と家事のうち、いずれか一方の休業損害しかもらえないのでは?」という疑問が生じるかもしれません。
兼業主婦の休業損害の計算方法が妥当か否かについては、さまざま考え方があり得るところです。
特にフルタイムで働きつつ、家事も専業主婦並みにこなしている兼業主婦の場合は、原則的な計算方法に納得できない部分があろうかと思います。
仮に損害賠償請求訴訟へ発展した場合、実際の休業損害は、具体的な事情に照らして認定されます。原則的な計算方法によって求められる金額よりも、さらに大きな休業損害が発生していることを説得的に論証すれば、休業損害の増額も不可能ではありません。
そのため、適正額の休業損害を請求したい場合は、弁護士へのご相談をおすすめします。
月々のパート代にばらつきがあるとしても、兼業主婦の休業損害額は一定期間の平均値を基に計算されます。
また、パート代が賃金センサスに基づく女性労働者の全年齢平均給与額に満たない場合は、賃金センサスに基づく女性労働者の全年齢平均給与額を基に休業損害額が算出されます。
したがって、事故直前の時期にたまたまパートのシフトが少なく、その時期の収入が少なかったとしても、休業損害額が大幅に減ることはほとんどありません。
今回は、兼業主婦が交通事故に遭った場合、パート兼主婦にしろ、フルタイムにしろ、減収なしにしろ、そうではないにしろ、加害者に対して休業損害の賠償を請求できる可能性があります。
そのほかにも、医療費・慰謝料・逸失利益など、さまざまな項目の損害賠償を請求可能です。
人身事故について、適正額の損害賠償を請求したい場合には、弁護士へのご相談をおすすめします。弁護士は、請求できる損害を漏れなくリストアップした上で、公正妥当な基準によって請求を行うため、損害賠償の増額が期待できます。
交通事故の被害に遭った兼業主婦の方やそのご家族は、お早めに弁護士事務所までご相談ください。