休業損害の稼働日数とは|数え方、有給、土日、時間休、早退は?
休業損害の金額を計算するためには、休業日数や稼働日数が重要な要素となります。 そして、給与所得者の場合は特に「休業損…[続きを読む]
交通事故で仕事を休まざるを得ない方は、自賠責保険を利用して休業損害を補償できることをご存知かもしれません。
実際に自賠責保険を申請する際、1日あたりの休業損害が5,700円以下か、それ以上か、あるいは実際の月収を1日あたりの金額に換算すべきか、悩むことがあるでしょう。
この記事では、自賠責保険における休業損害の算出方法と、1日あたりの金額が5,700円以下かそれ以上かについて説明します。
目次
「休業損害」とは、損害賠償における「損害」のひとつです。
交通事故の被害者はさまざまな損害を被ります。怪我により仕事ができず、本来得られるはずだった収入を失った場合、これは損害として、事故の加害者から損害賠償を請求することができます。これを「休業損害」と呼びます。
交通事故における損害賠償請求の法的根拠には、運行供用者責任(自動車損害賠償保障法3条)、使用者責任(民法715条)、不法行為責任(民法709条)などがありますが、どの法律を根拠にしても、休業損害はその一部として認識されます。
次に、自賠責の休業損害の計算方法をご紹介します。
基本的に休業損害では、以下の計算方法を利用します。
休業損害 = 「1日当たりの基礎収入」 × 「休業日数」
「自賠責基準」の場合の1日当たりの基礎収入は、原則的に1日6,100円で計算されます。
例えば、5日休んだ場合、10日休んだ場合は、下記になります。
計算してみると、確かにそれなりの金額にはなりますが、1日6,100円という金額ではやはり少ないと感じることがあります。
なぜなら、日雇いのアルバイトでも1日6,100円以上の報酬が得られる場合があるからです。
一方で、給与が少ない人にとっては有り難い金額相場と言えるかもしれません。
ただ原則的には、自賠責基準で計算すると、交通事故の休業損害の金額が比較的低くなることがあります。
なお、2020年3月31日以前に発生した事故については、1日5,700円で計算されます。
上記同様の条件の場合は、下記の通りとなります。
休業損害の計算方法において、通常は1日あたり6,100円が基準とされています。
ただし、実際の損害が6,100円を超えることを立証できる場合、1日あたりの金額は最大で1万9,000円まで増額されることがあります。
そのため、一律で6100円とされているわけではないことは念頭に置いておきましょう。
多くの人が、有給休暇を活用して仕事を休むことが一般的です。
こういった場合「有給休暇をもらっているから、休業損害は認められないし、休業日数には含まれない」と考えてしまいがちです。
しかし、交通事故による怪我の治療のために有給休暇を利用し、仕事を休んだ場合でも、休業損害は支払われることがあります。
これは、有給休暇が労働者の権利であり、交通事故がなければ自由に利用できたであろう権利が制約されること自体が損害と見なされるからです。したがって、交通事故による怪我の治療のために有給休暇を利用した場合、休業損害の請求が可能です。
ただし、休業損害の認定は「怪我の治療に使った有給休暇」に限られ、その他の休暇(夏季休暇、冬期休暇、忌引き休暇など)では休業損害の請求は認められないことに留意する必要があります。
その他細かい情報については、関連コラムをご参照ください。
これまで自賠責基準の計算方法について説明しました。
しかし自賠責基準ではなく「弁護士基準」を使用すると計算される金額は通常より高くなります。
ただし、弁護士基準で計算するには、まず弁護士に相談し、依頼する必要があります。
怪我が治りにくく長期的な治療が必要な場合は、弁護士に依頼した方が、最終的には弁護士費用を差し引いても、受け取れる金額が増えることが多いです。
まず、交通事故に詳しい弁護士と相談し、弁護士基準での計算がどのようになるかを検討してみることをお勧めします。