休業損害証明書の書き方・記入例|水増しバレる?自分で記入?
休業損害証明書は誰が書くか自分で記入するのか、いつ提出すべきか、また給与所得者の休業損害の計算方法、具体的な休業損害…[続きを読む]
休業損害の金額を計算するためには、休業日数や稼働日数が重要な要素となります。
そして、給与所得者の場合は特に「休業損害証明書」に稼働日数を記載する欄があります。
休業損害証明書は、労働者がケガや病気により休業し、その期間に発生した損害を証明する書類です。この必要な手続きや書類の提出を適切にするためにも、稼働日数の数え方などを知っておく必要があります。
今回は、休業損害の稼働日数の数え方、また土日は含むのか、有給が通院以外の私用の場合、また全額支給したになるのか、時間休や早退になった場合、稼働日数にどういう影響を与えるのか見てまいりましょう。
目次
まず、実際の休業損害証明書を確認してみましょう。
以下は、一般的な書式ですが(保険会社によって内容は多少異なります)、5の項目で「稼働日数」について記載する欄があります。
「稼働日数」の基本的な意味は、そのままですが、実際に働いた日数のことです。
ただし、休業損害証明書に記載する稼働日数は「事故の前の3ヶ月間で実際に働いた日数」です。
事故後に、稼働した日数ではありません。
なぜ、これを記載するかというと、休業損害の計算方法は事故前の収入がいくらだったかを参照して、計算するからです。
具体的には、事故前3ヶ月間の総収入を、その3ヶ月間の実際の稼働日数で割り算し、1日あたりの収入の平均額を算出して休業損害の金額を計算するからです。
ただ、入社直後に事故に遭遇した場合、雇用契約書の金額を基準に基礎収入を算出するか、事故発生前の1〜2ヶ月間の平均収入を基準にして計算します。
具体的な計算方法は、下記のページに譲ります。
休業損害の稼働日数は、土日祝日などの休みの日を含みません*。
*ただし、休業損害の金額を算出する際の、休業日数としての土日についてはまた別の話です。詳しくは後述します。あくまで事故前3ヶ月の「稼働日数」についての話です。
また、一部の職業では土日が本来休みながらも、たまに「休日出勤」があります。
この場合、休日出勤に対する手当が支給されている場合は、当然ながら「稼働日数」に含まれます。
有給休暇を取得した際は、実際に業務に従事していない状態ですが、給与は支給されています。
そのため、有給休暇の日数も「稼働日数」として扱われます。
稼働日数については以上です。
ただ、休業損害は稼働日数だけではなく「休業日数」の数え方も重要です。
休業日数の注意点も下記で簡単に見ておきましょう。
休業日数は、例えば入院期間や通院期間などが考慮されます。
ただし、傷害の程度が軽微で、保険会社が休業が必要ないと判断する可能性もあります。
そして、原則自宅での療養期間は休業日数に含まれません。
しかし、医師の診断に基づき、自宅での療養が適切であると判断された場合には、自宅療養日も休業日として認められる場合があります。
このような判断は個人にとっては困難な場合があるため、無難な選択肢としては「交通事故に特化した弁護士」に相談することがおすすめです。
土日・祝日の休業損害計算についての要点は次の通りです。
土日・祝日が元々休業日である場合、基本的には休業損害の対象には含まれません。
ただし、休業初日から連続して土日・祝日も通院が必要だったケースは、欠勤したのと同じ扱いになる可能性はあります。
そのため、土日・祝日は休業損害計算に含まれる場合と含まれない場合があると言えます。ただ、これも獲得できるかどうか詳しくは弁護士に相談をする方が良いでしょう。
有給についても、もちろん交通事故による通院や治療のためのものなら、休業損害の計算の対象になります。
ただし、通院以外の私用での有給は休業損害の計算対象にはなりません。
また、休業損害証明書の記載として、通院や治療に関わる休みをすべて有給を利用して休んだ場合は、上記のテンプレートの場合「ア.全額支給した。」のみ○をつけ、「イ」や「ウ」には何も記載しないことになります。
ただ、アルバイト等の場合は有給がないことも多いので、その場合は欠勤するはずです。
そういった欠勤の場合は「イ.全額支給しなかった」と「ウ.一部減給した」の両方に○を付けるということになります。
交通事故の被害に遭い、通院などのために早退や遅刻、時間休を取らざるを得なかった場合、その休業損害については損害賠償の対象となります。
この休業損害の計算方法には一般的な考え方があります。
まず、早退や遅刻については、通常0.5日分の休業として計算されることが多いでしょう。例えば午前中に通院して午後から出勤、あるいは午前中だけ出勤して午後早退という場合は、0.5日分の休業損害と見なされます。
一方、時間休の場合はその時間数に応じて計算されます。1日の所定労働時間で割って、その日の何時間分の休業損害となったかを算出する方法が一般的です。例えば1日の労働時間が8時間の場合、4時間の時間休をとれば0.5日分の休業損害と計算されます。
このように、早退や遅刻は概ね0.5日、時間休は実際の休業時間に応じた計算がなされるわけです。
被害者の方が安心して請求できるよう、損害賠償額の適正な算定が重要視されています。事故に伴う様々な損害について、きちんと補償が受けられるようにしっかりと法律の専門家に相談もしましょう。
今回は、休業損害証明書の稼働日数の数え方、また有給や土日は含むのか、休日出勤や時間休や早退になった場合、稼働日数や休業日数にどういう影響を与えるのか確認いたしました。
企業の担当者はもちろん、休業損害を請求しようとする被害者全員が関係する内容のため、しっかり頭に入れておくことが大事です。
特に交通事故被害者の方は、休業損害を保険会社に任せっきりにすると、金額が定額になりがちなので、まず弁護士に相談をするほうが良いでしょう。