トラックに追突された! 損害賠償請求の項目・手続き・注意点などを解説
この記事では、トラック事故被害に遭うと想像以上に面倒と言われる理由を明らかにし、被害者の対応方法を解説します。トラッ…[続きを読む]
2024年、制限速度に関して、日本の物流業界は待ち望んだ変化の一つを迎えたと言えるでしょう。
大型貨物自動車いわゆる大型トラックの高速道路での最高速度が、従来の時速80キロから90キロに引き上げられることが決定しました。
この変更は、1963年に最高速度が定められて以来、初めてのことです。
しかし、この決定は単なる数字の変更以上の意味を持ちます。
今回は、大型貨物自動車(大型トラック)、また特定中型貨物自動車の高速道路上での最高速度の引き上げ、制限速度について解説いたします。
目次
この度の法改正は、以下の車両・道路を対象としています。
最高速度・制限速度の引き上げはいつからになるかというと以下のとおりです。
この法改正によって、総重量8トン以上の中型および大型トラックの高速道路での走行最高速度・制限速度は以下のように変更されます。
また、大型貨物自動車以外にも車両がありますが、以下の車両の制限速度に変更はありません。
過去には、大型貨物車両や大型トラックの最高速度を時速100キロ以上に設定することを提唱する政治家もおり、その話題が一時期注目を集めました。しかし、現在に至るまで、時速100キロを超えての運転が許可されたわけではありません。
この提案には、いくつかの反対意見がありました。特に、急停止が必要となった際の停止距離が延びる問題や、高速運転による荷物の安定性への影響など、安全面に関する懸念が提起されています。
運送業界は、運転手の時間外労働規制による人手不足を前に、より効率的な物流が求められていました。
最高速度上限の引き上げが運送時間を短くし、労働の生産性を高める可能性を背景に、法律の改正が進められました。
また、最近の全国高速道路での調査では、大型トラックの実勢速度が87キロであることが明らかになり、90キロへの引き上げが交通安全に与える影響は限定的であるとの結論が出されました。
速度引き上げの最も直接的な恩恵を受けるのは、運輸業界自体です。ドライバーは目的地により速く到達できるようになり、理論上は1日あたりの配送可能距離が増加します。
これにより、ドライバー1人あたりの生産性が向上し、時間に対する圧力が少し緩和される可能性があります。しかし、これがドライバーの労働時間の短縮に直結するかは不透明です。
荷主からの配送時間の短縮要求が増えることで、新たなプレッシャーが生じる可能性も否定できません。
また、速度引き上げに伴うドライバーの心理的、身体的負担の増加も懸念されています。このような状況は、運輸業界における長時間労働の問題と相まって、ドライバーの健康をさらに損なう恐れがあります。
現代のトラックは高度な安全機能を備えており、適切な速度管理が行われれば、事故率に大きな変化はないとの見方もあります。
実際、速度抑制装置の普及により、大型トラックの速度は技術的に管理されており、引き上げ後の最高速度もこの制御範囲内に収まるため、基本的な安全性は保たれると考えられます。
しかし、速度が上がることで、万が一の事故時の衝撃は大きくなり、その結果として発生する事故の重大性は増す可能性があります。
特に、多様な車種が混在する高速道路においては、速度差による事故のリスクも無視できません。
今回は、高速道路での特定中型貨物自動車・大型貨物自動車の最高速度の引き上げについて解説しました。
中型・大型トラック(大型貨物自動車)の最高速度引き上げは、物流効率化への大きな一歩とも言えます。
しかし、この変更が別の影響を与える可能性もあります。同時に、高速道路上での安全性への影響も考慮していく必要があります。