示談した後に後遺症が判明、悪化!示談のやり直しはできるのか?

示談やり直し

交通事故の損害賠償問題は、当事者間、あるい被害者と加害者側の保険会社との間における示談で決着が着くことが大部分です。

ところが、示談をしてしまった後に、被害者に予期しない後遺症が生じた、症状が示談前より悪化した場合、示談のやり直しができるのでしょうか?

1.示談とは何か?

交通事故の損害賠償問題における「示談」とは、民法の規定する「和解契約」ないしは、それに類似する「契約」であると理解されています。

和解契約は、「当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめることを約することによって、その効力を生ずる」(民法695条)と定められています。

すなわち、当事者間に解決するべき「争い」が存在するときに、「互いに譲歩をして」、「争いをやめることを約束する」合意(契約)です。

交通事故においては、例えば加害者の過失責任の有無、被害者の過失割合、後遺障害の存否や程度、傷害と事故の因果関係、損害額など、数多くの法的な問題について意見が一致せず、争われるケースが珍しくありません。

その場合に、互いに自己の意見を100%主張するだけでは、事件は解決しません。そこで、双方が譲り合うことで、意見を一致させ、争いを終結させる合意をすることが示談であり、和解契約なのです。

2.和解契約としての示談の効力

和解契約の効力については、次のとおり定められています。

「当事者の一方が和解によって争いの目的である権利を有するものと認められ、又は相手方がこれを有しないものと認められた場合において、その当事者の一方が従来その権利を有していなかった旨の確証又は相手方がこれを有していた旨の確証が得られたときは、その権利は、和解によってその当事者の一方に移転し、又は消滅したものとする」(民法696条)。

わかりにくい条文ですが、要するに和解契約によって、当事者に権利がある、あるいは権利がないということを合意したならば、後から、それと違っていた事実が判明しても、その権利は、合意内容のとおりに、移転したり消滅したりしたものと扱うということです。

これを「和解の創設的効力」といいます。

言葉は小難しいですが、分かりやすく言うと、「もう約束したんだから、和解契約をやり直すことはできない」というだけの話です。

和解契約は、紛争がある場合に、たとえ真実に反していたとしても、これ以上はもう争わないと決めた当事者の意思を尊重するものです。

3.示談と後遺障害

しかし、この理を交通事故の損害賠償に、そのまま厳格に適用することは問題があります

後遺障害のような交通事故による受傷の人体への影響が、示談の後になってから判明した場合、和解の創設的効力によって一切の救済を許さないとすると、被害者保護という損害賠償制度の本旨にもとる結果となるからです。

「示談書に示された金額以外には一切の損害賠償請求権を放棄する旨の示談契約が締結されても、その後示談当時予期できなかった後遺症のため、示談額を著しく上回る損害が発生した場合」には、「被害者を救済するために、一定の要件のもとに、示談の拘束力を否定ないし制限し、損害の追加請求を認めなければならない場合が少なくない(多数の判例がある)」(※1)とされてきたのです。

※1:有斐閣「民法の争点」262頁「後遺症と示談」専修大学佐々木金三教授

4.示談後に判明した後遺障害による損害賠償を認めた最高裁

この点、示談後に判明した後遺障害について、示談は有効としつつも、後遺障害の損害は「別損害」であるとして請求を認めた最高裁判例を紹介します。

事故日昭和32年4月16日
被害者Aさん
傷 害左前腕骨複雑骨折

事故直後の医師の診断は全治15週間でした。Aさんは傷害を比較的軽微なものと考え、早くも同年4月25日に、加害者側と示談をしてしまいました。示談は、Aさんが賠償金10万円を受け取り、今後本件事故による治療費その他慰藉料等の一切の要求をしないとの内容でした。

ところが、事故から1ヶ月以上経過してから、受傷は、予期に反する重傷であることが判明しました。Aさんは再手術を余儀なくされ、手術後も左前腕関節の用を廃する機能障害が後遺障害として残ってしまい、その損害額は77万円となりました。

最高裁は、次の理由から、Aさんの示談は、予期しなかった後遺障害についての損害賠償請求権まで放棄したものではないとしました

「全損害を正確に把握し難い状況のもとにおいて、早急に小額の賠償金をもつて満足する旨の示談がされた場合においては、示談によつて被害者が放棄した損害賠償請求権は、示談当時予想していた損害についてのもののみと解すべきであつて、その当時予想できなかつた不測の再手術や後遺症がその後発生した場合その損害についてまで、賠償請求権を放棄した趣旨と解するのは、当事者の合理的意思に合致するものとはいえない」(最高裁昭和43年3月15日判決)

この最高裁の考え方は、示談を行った当時の状況から、合意した当事者の意思を解釈して、当時予想していた損害についての賠償請求を放棄しただけであって、予想できなかった後遺症については別であるという「別損害説」という考え方です。

この判例では、「全損害を正確に把握し難い状況のもとにおいて、早急に小額の賠償金をもつて満足する旨の示談がされた」という事案の特殊性を指摘していますが、このような場合に限らず、「傷害の状況、示談するまでの交渉経過、示談の内容、その後の経過など一切の事情を考慮したうえで、両当事者の利益衡量を行」って(※2)、放棄条項に対する当事者の合理的な意思を解釈したもので、「柔軟な手法」(※3)と評価できます。

※2:前出「民法の争点」262頁
※3:「民法Ⅱ(債権各論)第3版」内田貴著、有斐閣319頁

まとめ

このように一度示談してしまったからといって、絶対に示談のやり直しができないものではありません。示談の後に、後遺障害など予期しない損害が明らかになったときは、是非、弁護士の法律相談を受けて下さい。

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