免停30日の処分を回避する方法や条件、その際の注意点とは?

この記事では、免停30日の処分を回避する方法や条件、その際の注意点、そして免許取り消しという最悪の事態を防ぐための方法などについて解説いたします。

免停30日とは?

交通違反や交通事故をすると、免許停止の処分を受けることがあります。

免許停止となる期間は、前歴の回数や違反の内容などによって30日から180日まで幅があります。

最も軽い処分である免停30日となるのは「前歴がなく、累積の違反点数が6点から8点までの場合」です。

免停60日とは?

一方前歴が1回でもある方は、最も軽い処分でも「免停60日」となってしまいます。

免停30日の回避方法は、2種類ある

30日の免停処分を回避する方法は2つあります。

・処分を軽減してもらう方法
・処分を猶予してもらう方法

「猶予」と「軽減」は似たようなことばですので、「何が違うの?」と思われる方がいらっしゃるかもしれません。

処分の軽減

「処分を軽減してもらう」とは、処分自体は行われるものの、処分の内容を軽くしてもらうことをいいます。

免停期間が通常よりも短くなり、その期間が過ぎれば累積点数も0にリセットされます。

具体的な内容については、下記に後述致します。

処分の猶予

「処分を猶予してもらう」とは、「本来処分がなされるはずの期間に処分がなされない」ということを意味します。免停処分の要件を充たしているものの、事故や違反の程度が軽微であったり、やむを得ない理由で違反をしてしまったなどの事情があり、本来科すべき処分を科すことがふさわしくないような場合があります。

そのようなときに、公安委員会の裁量で「今回は処分をしません」という判断をすることができるのです。

しかし「軽減」の場合と異なり、免停処分を受けていないことになりますので、累積点数はそのままとなり、わずか1点の違反をしただけでも免停処分となります。言ってみれば処分の猶予は「執行猶予」のようなものなのです。

免停30日で軽減を受けるための条件

免停処分の軽減を受けるもう一つの方法に、「運転免許停止処分者講習」を受ける方法があります。

受講すると、その最後に行われるテストの成績に応じて処分日数を減らしてもらうことができます。

優秀な成績を修めると29日減となり、出頭した1日のみ免停となり、その翌日から運転できるようになります。

受講するかどうかは任意ですが、処分の日数が大幅に短縮されるというメリットがありますので、なるべく受けることをお勧めします。

なお一定の条件を満たす場合には「違反者講習」を受講することもできます。

双方、内容については下記の記事が詳しいので、受講前にはご確認いただくことをおすすめ致します。

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免停30日で警察の判断で猶予・軽減を受けるための条件

警察庁によると、本来は30日の免停処分の対象となる場合であっても、次のいずれかに該当し、かつ処分を猶予または軽減することがその者の運転者としての危険性の改善に効果があると認められるときには処分の猶予または軽減をすることができます。

①交通事故の「被害の程度」や「不注意の程度」のうちいずれかが軽微であり、かつ、その他に危険性が低いと判断される事情が有る場合
②違反行為等をした理由が「災害」や「急患の往診」「病人等の搬送」などやむを得ない事情であり、かつ、危険性が低いと認められる場合
③違反行為等が他者からの強制によって行われたなど、やむを得ない事情によるものであり、危険性が低いと認められる場合
④被害者の年齢や健康状態などによって、同一の事故よりも被害が大きくなるなどの事由が有り、かつ、危険性が低いと認められる場合
⑤被害者が処分を受ける者の親族であり、かつ、危険性が低いと認められる場合
⑥上記以外にも、危険性が低いと認められる事情が有り、今後処分を受ける者に改善が期待出来る場合

具体的に解説しますと、

  • 「一時停止違反をしたが、最徐行はしており、周りに車両や歩行者もいなかった」
  • 「急病人を乗せて病院に向かっており、つい信号無視をしてしまった」
  • 「ウィンカーを出さずに車線変更をしたが、周りに他の車はおらず、本人は十分に反省している」

といった場合に猶予や軽減が検討されることになります。

ただし、これらの条件を充たしていれば必ず処分の猶予や軽減がなされるわけではなく、違反者が警察にこれらの条件を充たしていることを主張する場が手続上確保されているわけでもありません。

あくまで警察の裁量で認められる場合があるにすぎない、ということになります。

処分を猶予を受けるためには必ず警察への出頭を求められることになります。出頭すると、違反行為の内容、処分を猶予される理由、そして次に違反したときには直ちに免許停止になるので無事故・無違反に努めるようにという指導が行われます。

免停30日(前歴1)の問題!最も注意すべきこと

実感の薄さ

免停30日を受けた人が気を付けなければいけないことがあります。

既に説明したように、30日の免停処分を受けても日数の短縮を受けた場合には、車が運転できない期間がたった1日だけです。

つまり、免停30日は軽微な処分であるがゆえに処分を受けた実感が薄く、気持ちに油断が生まれてその後に免許停止や取り消しの処分を受けてしまうケースが非常に多いことです。

また免停処分の猶予を受けた場合も油断しがちで、十分な注意が必要と言えます。

前歴1の問題

たとえ処分の軽減を受けても、免許停止の処分がなされたという事実に代わりはなく、前歴として残ります。

具体的にどのような不利益があるかと言うと、

・前歴が0回であれば、累積点数6点で免許停止、15点で免許取り消しの処分が科される
・前歴1回となると、累積点数4点で免許停止、10点で免許取り消しとなる。

などです。たとえば、一時停止違反は違反点数が2点ですので、前歴が0回なら3回で初めて免許停止となりますが、前歴1回では2回で免停となってしまいます。また、50キロオーバーのスピード違反は12点の違反ですので、前歴がなければ免許停止で済みますが、前歴1では一発で免許取り消しとなります。

前歴の解説は下記の記事が詳しいですので、合わせてご参照下さい。

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免停1回でもグッと近づく免許取り消し

上記でも解説したとおり、免停を受けてから1年以内は少ない点数で免許取り消しにまでなってしまい、現にそうなってしまう人が少なからずいます。

免許取り消しの重さ

免許停止の場合、免停期間が経過すれば免許は復活します。

一方、免許取り消しは「免許をはく奪される」という重い処分です。免許取り消しとなると、再び車を運転するためには運転免許を取りなおさなければいけません。

指定自動車学校に通いなおすか、いわゆる一発試験を受ける方法などがありますが、いずれにしても「簡単に取りなおす」というわけにはいきません。

日常生活が破綻する

またすぐに免許を再取得できるわけではなく、再取得が認められない「欠格期間」が定められています。最短でも1年間、最長では10年間となっています。

トラックやタクシーのドライバーなど車を運転して生計を立てている方は、この期間内は収入を得る手段を失ってしまうことになりますし、買い物、通勤、子どもの送り迎えなどで車を使用している方は日常生活に大きな不便を感じることになるでしょう。

このように、「免許の取り消し」は「免許停止」とは全く異なる重い処分ですので、万が一免許の取り消しの処分を受けることにならないよう、十分に気を付ける必要があります。

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免停の再発防止をするにはどうすれば?

では、累積点数が溜まってしまった方や免停処分を受けて「前歴1回」となってしまった方が、免停や免許取り消しの処分を避けるためにはどうすればよいのでしょうか。

車に乗らない

一番好ましいのは、できるだけ車にのらないことです。

最後の違反から1年以上無事故無違反で過ごすと、それまでの累積点数がリセットされ0点に戻るからです。

車さえ運転しなければ違反をすることはありませんので、1年間車に乗らなければ確実に累積が0になります。

また、前歴は最後の違反から3年が経過すれば消えます

絶対に免停や免許取り消しの処分を受けたくない、という方はなるべく車を運転しない方がよいでしょう。

レーダー探知機やアルコールチェッカーを活用する

もう一つの方法は

  • 市販のレーダー探知機
  • アルコールチェッカー

を買って違反の防止に努めることです。

レーダー探知機

レーダー探知機とは、速度取締装置のレーザーを感知し、設置場所に近づくと教えてくれる装置で、スピード違反での検挙を防止することに一定の効果があります。

そもそも、速度違反しないよう運転に気を付けることがもちろん大事です。

但し、気づかずに自然と速度が出てしまう下り坂などがあります。こういったレーダー探知があることで、無意識に速度違反している場合、事前に気づくことができます。

アルコールチェッカー

アルコールチェッカーは、酒気帯び運転の基準に達していないか確認することができる装置です。飲酒運転は絶対にしてはいけないことは言うまでもありませんが、アルコールチェッカーを活用することで「十分に休んでアルコールが残っていたと思って車を運転したら、実は基準値を超えていた」という事態を防ぐことができます。

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前歴リセット!前歴が消えるには

前歴の計算方法、前歴のつくタイミング、個別ケースでの前歴が消えるまでの期間の違いまでわかりやすく下記の記事で説明していますので参考にしてください。

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最後に

いかがだったでしょうか。免停処分を回避する方法や再発を防ぐ方法についてご理解いただけたでしょうか。

日ごろから交通ルールの順守と安全運転を心掛けなければいけないことは当然ですが、万が一免停処分の対象となる違反をしてしまったときでも処分を回避できる場合がありますので、猶予や軽減の対象となるか確認してみることをお勧めいたします。

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