初心運転者講習(初心者講習)の内容|受けないなら最悪免許取消し?

初めて運転免許を取得する人々にとって、運転は新しいスキルを習得する重要な段階です。運転免許を取得してから1年以内に違反を重ねると、初心運転者講習(通称:初心者講習)の対象となってしまいます。

しかもそれだけではなく初心運転者講習を受講しないと、難易度の高い再試験の対象となり、免許取り消し処分になる可能性が高くなります。

この記事では、東京や大阪などで初心運転者講習について知っておきたいポイント、不合格だとか落ちることがあるのか、合格率はどうなのか、時間や内容はどうなってるのかをわかりやすく解説いたします。

初心運転者講習とは

初心運転者講習とは、準中型、普通、大型二輪、普通二輪及び原付の各免許を取得してから1年間(初心運転者期間)に、交通違反等で免許車種別の合計点数が3点以上(1回の違反で3点の場合は、4点以上)に達した人を対象として行う講習です。

運転免許の初心運転者期間の制度とは

そもそも、初心運転者期間とされているのは、運転免許を取得してから1年間です。

これは普通免許だけでなく、原付免許、普通二輪免許、大型二輪免許でも同様です。

初心運転者期間中は、車の前後に初心運転者標識(いわゆる「初心者マーク」あるいは「若葉マーク」)を付けなければならない、オートバイの免許の場合は二人乗りができないなどの規制が科されます。

初心運転者講習の対象者と点数

初心運転者講習の対象となるのは、初心運転者期間中に次のいずれかに該当した方です。

・違反点数が1点または2点の違反を繰り返し、合計3点以上になった
・1回の違反で3点が付く違反をして、その後さらに1点以上の違反をした
・1回の違反で4点以上となる違反をした

ここでの違反点数というのは交通違反をするたびに加算されていく点数のことで、0から始まり、違反の内容に応じて決められた点数が加算されていきます。

具体例としては、

・1年の間に夜間の無灯火(違反点数1点)、ウインカーの出し忘れ(違反点数1点)、時速20キロ未満のスピード違反(違反点数1点)をした場合

また

・時速25キロ以上30キロ未満のスピード違反(違反点数3点)をして、その時点では対象にはならず、次に新たな違反をしたときに対象となる場合

などです。

注意点としては、違反点数は、免許の種類によって個別に計算されます。たとえば普通免許で2点、原付で1点の違反をした場合は合計3点となりますが、この時点では初心運転者講習の対象とはなりません。

交通違反の点数の基本については、下記の記事が詳しいのであわせて御覧ください。

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初心運転者講習の注意点や受けない場合のデメリット

初心者講習には何点か注意することがあります。

累積違反点数はリセットしない!元に戻らない

まず他の講習と異なり、初心運転者講習を受講しても累積違反点数はリセットされたり、元には戻りません。

たとえば免停時の停止処分者講習の場合、講習を受けて免停期間が経過すると、前歴こそ残りますがそれまで累積していた違反点数はリセットされゼロに戻ります。

しかし、初心運転者講習は受講しても累積違反点数はそのままで、リセットされません。したがって、もし累積違反点数3点で初心運転者講習を受講し、その後さらに3点分の違反を積み重ねて累積違反点数が6点になった場合、「免許停止の対象」となります。

通知を受け取って1か月以内に受講する必要がある

初心運転者講習を受講することができるのは、講習通知書を受け取った翌日から1か月以内です。受講できる期間が短いので、うっかり受講し忘れてしまった、ということがないように十分に注する必要があります。

ただし、次にあげるようなやむを得ない事情がある場合は、その期間を除いて1か月を計算してもらうことができます。

・海外旅行をしていること
・災害を受けていること
・病気にかかり又は負傷していること
・法令の規定により身体の自由を拘束されていること
・社会の慣習上又は業務の遂行上やむを得ない緊急の用務が発生していること
・免許の効力が停止されていること
・前各号に掲げるもののほか、公安委員会がやむを得ないと認める事情があること

受講しなかった場合は再試験を免除されない

よく誤解されることですが、初心運転者講習を受講することは「義務」ではありません。ただし、初心運転者講習を受講しなかった場合はこの後に説明する再試験を免除してもらうことができず、大きな不利益を被ることになります。

この点が初心運転者講習についてもっとも注意すべき点です。

再試験と運転免許取り消し

再試験とは、初心運転者講習を受講しなかった方が受けなければいけない試験です。

再試験は通常の運転免許試験と同じ内容と審査基準で行われるため、難易度が高く、免許取得から間もないドライバーが合格することは非常に困難です。

つまり初心運転者講習を受けなかっただけで事実上免許が取り消しになってしまうと言っても過言ではありません。

免許が取り消されると、再度自動車学校に通うなどして運転免許を再取得しなければいけません。

せっかくお金と時間をかけて運転免許を取得しても、たった3点の違反で免許取り消し処分となり、それまでの苦労が水の泡になってしまうことになります。

初心運転者講習を受けないことのデメリットがいかに大きいかおわかりいただけたでしょうか。

なお再試験はすぐに行われるわけではなく、免許を取得した日(運転免許証の交付を受けた日)から1年を経過した後に実施され、その間は車を運転しても問題ありません。

また通常の免許取り消し処分の場合は、処分を受けてから一定の期間は運転免許を再取得することができなくなる「欠格期間」が設けられます。しかし初心者期間での取り消しは欠格期間はなく、取り消しされた次の日からすぐに再取得は可能です。

初心運転者講習の流れと内容・時間

初心運転者講習の対象となった皆さんが気になるのは、講習の具体的な内容ではないでしょうか?時間はどれくらいかかるのでしょうか。

初心運転者講習は免停時の講習などと異なり、テストの結果により合格になったり落ちたりするわけではありません。

その点では気軽に受講することができる講習であるといえます。

通知と場所

初心運転者講習の対象となる違反をすると、配達証明郵便で講習通知書が届きます。

講習通知書には指定された受講日と受講場所が記載されています。

受講場所と日時は、都道府県の公安委員会が受講者の住所地などを勘案したうえで指定されますが、最寄りの指定自動車教習所が指定されることが多いです。

電話で予約する

指定された日時に受験できる場合は問題ありませんが、日時の変更をしたい場合は講習通知書に記載されている初心運転者講習事務局の連絡先に電話をして変更の手続をする必要があります。

原付講習では受講日と受験場所が指定されていませんので、事前の予約が必須となります。

初心運転者講習の受講を希望しない場合も初心運転者講習事務局まで連絡する必要がありますが、この場合は免許取り消し処分となる可能性が高いため、もう運転するつもりがないなど特別な理由がなければ初心運転者講習は受講すべきです。

会場まで車で行く?

免停時の停止処分者講習と異なり、初心運転者講習の対象になったときは免許自体は有効ですので、初心運転者講習の会場まで車を運転して行くことは可能です。

ただし、駐車場の用意がないため、車での来校を断る教習所が多いですので、必ず受講前に確認を取ってください。

内容・時間は?

初心運転者講習の具体的な内容は都道府県によって異なります。ここでは東京都の場合を例にとって説明いたします。

初心運転者講習の内容や所要時間は原付免許とそれ以外で分けられています。

原付免許以外(準中型・普通・大自二・普自二免許)の場合は、学科、実技等で合計7時間の講習が行われます

運転適性検査

学科では運転適性検査が1時間にわたって行われます。これは質問項目に答えることで自分がどんな運転をするタイプなのか、どういった注意点に気をつければいいのか、などがわかる心理テストのようなものです。試験のようなものではなく、これから安全に運転をしていくための検査ですので、正直に回答すれば問題ありません。

実技(所内・路上運転)

実技はコース内で1時間、路上で1時間30分にわたって指導が行われます。教習所内で坂道発進やクランクなど基本的な運転操作を行い、その後に教習所の外に出ることが多いです。路上運転後、その内容を踏まえた検討会が30分間行われます。

講義・危険予知訓練・効果測定

さらに、講義等による危険予知訓練が2時間、危険予知訓練の効果測定が1時間行われます。

危険予知訓練とは、運転中に遭遇する様々な危険要因を予測して的確に回避するための訓練で、シートや写真を渡されてどのうな危険が予測されるか検討し、危険を回避するために必要な行動を話し合ったりするものです。効果測定とは危険予測やディスカッションで得た知識を使った簡単な筆記試験ですが、合格したり落ちたり点数を付けられるものではありません。

テスト|不合格になって落ちることある?

テストは特にありません。

そして、まれに初心者講習で不合格になって落ちることはあるのかという疑問を持つ方がいるようですが、テストがそもそもないので、落ちる・落ちないの話ではありません。

初心運転者講習修了証書

講習を最後まで受講すると、晴れて「初心運転者講習修了証書」が渡されます。

原付免許は以上に説明した講習が簡略化された内容で、合計4時間の講習となります。

受講後、再び違反をした場合

初心運転者講習を受講すると再試験を受ける必要がなくなります。

ただし、初心運転者講習を受講後に初心運転者期間中に違反行為をして再び基準に該当すると、自動的に「再試験」を受けなければいけなくなるので注意が必要です。

たとえば、1点の違反を3回繰り返して初心運転者講習を受講した後、初心者期間が終了する前にさらに1点と2点の違反をした場合は、もう一度初心運転者講習を受験して再試験を免れることはできません。この場合は免許が取り消されてしまう可能性が非常に高くなります。

初心運転者講習を受講した後は交通事故や交通違反に十分に注意して車を運転するか、初心運転者期間が終了するまでは車を運転しないのがよいでしょう。

最後に

初心運転者講習についてお分かりいただけたでしょうか。初心運転者講習の内容や時間、点数がリセットされないこと、不合格で落ちることはないということがわかったかと思います。

初心運転者講習は試験ではないので、特別な準備が必要なものではありません。ただし、初心運転者講習を受講しないと再試験を受けることになり、免許取り消しになってしまうおそれがあります。

初心運転者講習は受講できる期間が1か月と短いので、うっかり期間を過ぎてしまい受講することができなかったということがないよう、確実に受講するようにしましょう。

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