高齢者講習の完全ガイド|高齢者の運転免許更新で知っておくべきこと

高齢化社会の到来と共に、高齢者の交通事故が増加してきています。

そういった社会的な背景もあって、高齢者の運転免許更新には、近年さまざまな講習が導入されました。

高齢者講習70歳以上の高齢者が運転免許の更新時に義務づけられている講習。道交法改正で1998年から義務化された。指定自動車教習所で運転適性検査や実車指導などを受ける。
講習予備検査(認知機能検査):記憶力と判断力を測る約30分の筆記式テストで、2009年に導入された。
運転免許証自主返納制度:高齢ドライバーによる事故の多発を受け、道交法改正によって1998年4月から導入された。
同法は免許証の更新時に、70歳以上のドライバーには講習の受講、75歳以上には認知機能検査を受けることも定めている。

ここでは、上記のような高齢者講習の概要を説明します。

高齢者講習の費用、時間、内容

70歳から74歳の免許更新の際には、高齢者講習を受講しなければ免許証の更新ができません。

更新時期になると通知はがきが送られてきて、運転免許の更新期間満了日(誕生日の1ヶ月後)の6ヶ月前から受講できます。

高齢者の方は、次のいずれかの講習を受講する必要があります。

費用 所要時間 講義内容
高齢者講習
(普通以上、二輪、原付)

※受講は都内居住者のみ
5,100円 2時間 座学・運転適性検査
運転実技
高齢者講習
(小型特殊のみ)
2,250円 1時間 座学・運転適性検査
シニア運転者講習
※都内居住者以外も受講可
5,100円 2時間以上 座学・運転適性検査査
運転実技
運転免許取得者教育
(受講すれば高齢者講習が免除)
教習所による 2時間以上 座学・運転適性検査
運転実技
運転技術の向上、道路交通に関する知識を深める事を目的とする。
チャレンジ講習+
特定任意高齢者講習
チャレンジ講習:2,650円
簡易講習:1,800円
チャレンジ講習:約30分
簡易講習:1時間以上
チャレンジに合格(70点以上)した人が、その後特定任意高齢者講習を受ける

「しばらく運転していないから高齢者講習が心配」という方も多いでしょうが、高齢者講習は、高齢者の運転技術をチェックするとともに、認知症などの症状を早期に発見して事故を防ぐことが目的です。

つまり、あくまで『年を重ねることによる身体機能の衰え』が来ているのだという“自覚をさせる”ための講習なのです。

高齢者講習はあくまで講習であり試験ではありません。合格・不合格はなく、受講後「高齢者講習終了証明書」が交付されて終了です。

心配せず、まじめに講習を受講することだけを考えてください。

高齢者講習と講習予備検査(認知機能検査)

75歳以上となると、高齢者講習だけではなく「講習予備検査(認知機能検査)」というものも受けなければなりません。高齢者講習と同じく、都内の場合は教習所で実施しており、運転免許の更新期間満了日(誕生日の1ヶ月後)の6ヶ月前から受講できます。

講習予備検査とは、高齢者の判断能力、記憶力などの状態を検査するものです。

なお、講習予備検査(認知機能検査)は、それぞれの教習所に電話して予約する必要があります。

講習予備検査(認知機能検査)
手数料 750円
時間 30分

内容

1:時間の見当識
検査時の年月日、曜日、時間などについて質問され回答します。

2:手がかり再生
16種類程度の絵を記憶し、あとで何が描かれていたかを回答します。

3:時間描画
時計の文字盤を描いて、そこに指定された時刻の針を描きます。

検査結果の分類

第1分類:記憶力・判断力が低くなっている方
第2分類:記憶力・判断力が少し低くなっている方
第3分類:記憶力・判断力に心配のない方

検査を行った後、上記の分類にされ、結果がフィードバックされます。なお、検査結果は即日分かります。

ちなみに、検査によって第1分類「記力や判断力が低下している」との判定が出た場合でも運転免許の更新は可能です。検査は、記憶力・判断力の状態を判断するための目安であり、医学的な診断を行うものではありません。

ただし、信号無視・一時不停止といった交通違反を免許更新の前後に行った場合は、公安委員会から連絡があり、臨時適性検査(専門医の診断)を受けるか、主治医の診断書を提出することになります。

万が一認知症と診断された場合には、運転免許の取消、停止の対象となります。

高齢者講習の持ち物は?

  1. 手数料(収入印紙を自動車教習所で購入)
  2. 公安委員会より郵送された通知書
  3. 運転免許証
  4. 筆記具
  5. 運転できる服装(運転に眼鏡が必要な方は持参)

運転免許の自主返納とは?

免許の更新には年齢制限はありません。また、高齢者でもゴールド免許を取得することができます。

ただし、70歳以上の場合は更新期間が5年から4年、71歳以上は3年に短縮されます。

高齢者向けのドライバーの講習制度は整理されましたが、高齢者の交通事故を抑止する最も効果的な方法は、やはり高齢者は運転しないことでしょう

実際、高齢者の運転免許の自主的な返納を促進する動きもあります。

一部の自治体では、運転に不安がある高齢者が自主的に運転免許証を返納した場合に、「運転経歴証明書」というものを発行しています。この制度をサポートしている企業や店舗で提示すると、一定の特典が受けられます。

これを「高齢者運転免許自主返納サポート」といいます。

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まとめ

交通事故が発生した際に、高齢者が道路交通法違反で取り締まられているケースは非常に多いです。

中でも、以下の違反が高齢者において多いというデータが出ています。

  1. 指定場所一時不停止
  2. 信号無視
  3. 優先通行妨害等
  4. 安全運転義務違反
  5. ブレーキ操作不適
  6. 前方不注意

高齢者の交通事故増加に伴い、自動車の運転において年齢制限を設けたりしたほうがよいのではないか?という世論が高まりつつあります。

しかし、身体の衰えは人それぞれです。運動神経にも個人差がありますから、高齢者本人や、周囲の者、家族が冷静に、そして客観的に判断していく必要があります。

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