高齢者ドライバーの事故率は高い?車種、原因、対策法を解説

高齢者ドライバー事故

最近、東京の池袋で当時87歳の男性が交差点に高スピードで突っ込み、多くの死傷者を出したショッキングな交通事故なども起こっており「高齢の運転者が引き起こす交通事故」への関心が高まっています。
実際に高齢者が起こす交通事故の件数は過去より増えているのでしょうか?

また高齢者はなぜ若者よりも事故を起こしやすいのか、車種としてはどのようなものが多いのか、高齢者運転による事故への対策方法なども考えてみましょう。

今回は、高齢者による交通事故について、事故率や対策法などまとめて解説します。

高齢者ドライバーの事故率

まずは高齢者運転による交通事故がどのくらい起こっているのか、現状を確認しましょう。

高齢者の人口

内閣府の発表によると、2016年10月1日現在において65歳以上の高齢者人口は3459万人で、総人口に占める割合は27.3%となっています。約4人に1人は高齢者という状況です。

高齢者の運転免許所持者数

2016年末において高齢者の運転免許保有者数は約8221万人であり、2015年末に比べると約6万人(0.1%)増加しています。その中でも75歳以上の後期高齢者の免許保有者数は約513万人であり、75歳以上の人口の約3人に1人が免許を所持している状況です。

75歳以上の運転免許所持者数は2006年には258万人だったものが毎年増え続け、2015末と比べても約35万人(7.3%)増加しており、今後も増加傾向にあります。

高齢者ドライバー事故の事故率

75歳以上の高齢の運転者が引き起こす死亡事故の件数は、2006~2016年の10年間ほぼ横ばいですが、死亡事故件全体の件数が減少しているので、高齢者運転事故の割合は増加しています。

2006年には高齢者運転による死亡事故の割合は7.4%でしたが、2016に年は全体の13.5%にまで上がっており、今後も上昇傾向にあります。(※)

このように高齢者運転による交通事故の割合がどんどん増加しているのは、データ上も明らかになっています。

高齢者の免許所持者の人数も増え続けていることから、これからも高齢者が引き起こす交通事故が増えていくことが予想されます。

※参考外部サイト「高齢者を取りまく現状|平成29年交通安全白書(概要) – 内閣府

高齢者ドライバー事故で多い原因

75歳以上の高齢運転者による交通死亡事故で多い原因は「ハンドルなどの操作不適切」で、割合的には26%ともっとも多くなっています。

次いで「漫然運転などの前方不注意」が23%、「安全不確認」が22%です。

75歳未満の運転者の場合、ハンドルなどの操作不適切の割合は16%なので、高齢者の場合に突出して高くなっていることがわかります。

また75歳未満の運転者の場合「アクセルとブレーキの踏み間違い」による事故の割合はわずか0.7%ですが、75歳の高齢者の場合には5.9%にまで増加します。

ニュースなどで、頻繁に高齢者が「アクセルとブレーキの踏み間違い」による事故を起こしたと報道されているのも、こういった事情によるものと考えられます。

「高齢者ドライバー事故が多い車種はプリウス」は本当か?

プリウスが多いと噂される理由

世間では「高齢者運転の事故が起こる車種はプリウスが多い」と噂されているのをご存知でしょうか?

  • プリウスなどのハイブリッド車の場合、近づいてきても音が鳴らず静かなので、歩行者や自転車などが気づきにくい
  • プリウスのシフトレバーの操作系が分かりづらく、シフトチェンジとアクセス操作による急発進問題がある

という指摘が多いです。「プリウスミサイル」という造語まで作られました。

特に高齢者が運転している場合、高齢者側で事故を回避するための措置をとりにくいので事故が起こりやすいというのでしょう。

では、高齢者ドライバーが運転するプリウスの事故が本当に多いのでしょうか?

国土交通省による調査

プリウスの事故率が高いのかについて、国土交通省が実施した調査があるのでご紹介します。

調査結果によると、他車種と比べて特にプリウスの事故率が高いとは言えないことがわかります。

調査内容

調査では、プリウスと比較するためにカローラとアリオン、プレミオが用いられました。いずれも同条件とするため初年度登録のものを対象とし、歩行者相手の事故や自転車相手の事故がどのくらい起こっているのか、事故率とともに調査されました。

調査結果

その結果、事故の件数としてもっとも多かったのはカローラ、次いでアリオンとプレミオはだいたい同数、もっとも件数の少なかったのがプリウスという結果が出ました。
ただ、これはもともとの保有台数が異なるので、保有台数に準じた結果となっています。

事故率

次に事故率が計算されています。

自転車相手の事故の場合、もっとも事故率が高かったのはカローラで0.2%程度です。次いでアリオンとプリウスが0.17%程度で同等、クラウンが0.14%程度で事故率がもっとも低くなっています。

歩行者相手の事故の場合、どの車種もだいたい0.05%程度で同じです。

参考:国土交通省「ハイブリッド車等の交通事故実態について

高齢者ドライバー事故が起きる3つの原因

高齢者運転事故と車種に関係性がみられないとしても、高齢者運転による事故が増えているのは事実です。なぜ高齢者は交通事故を起こしやすいのでしょうか?

身体能力の低下

人は高齢になると身体能力が低下します。動体視力も下がり、複数の情報を同時に処理できなくなって判断力も低下します。反射神経も衰えるので、即時に対応することも困難となります。そうしてハンドルやブレーキ操作にミスや遅れが出て、交通事故につながります。

認知機能の低下

高齢になると「認知症」となる方もたくさんいます。警察庁によると、2016年に運転免許更新で認知機能検査を受けた75歳以上の人(約166万人)のうち、5万人超の方の認知機能が低下して「認知症の恐れがある」とも言われています。実際に病院で「認知症」と診断されていなくても、認知症予備軍の方が大勢いるということです。

運転が自分本位になる

高齢者の場合「長年運転し続けてきた」という自信と、周囲の交通環境を客観的に認識把握することが難しくなることなどから、運転が自分本位になる傾向があります。そうして周囲に注意を払わずに事故を引き起こしてしまいます。

高齢者ドライバー事故への対策方法

増え続ける危険な高齢運転者による交通事故への対策として、どのような方法が考えられるのでしょうか?

安全運転装置をつける

1つは車に「安全運転装置」をつけることです。たとえば自動ブレーキシステムや後方を確認できるバックモニター、車線をはみ出したときに音が鳴る警報装置などをつけていれば、事故を防ぎやすくなります。アクセルとブレーキの踏み間違いによる誤発進を防止する装置も開発されているので、そうした運転アシスト機能を積極的に搭載しましょう。

ドライブレコーダーを搭載する

車にドライブレコーダーをつけることも事故防止につながります。まず「撮影されている」という緊張感によって運転者が慎重になりますし、撮影された動画を後から確認することにより「こんな怖い運転をしていたのだ」と本人が自覚することも可能です。
常時撮影型のドライブレコーダーを購入し、高齢運転者を交えて家族で見ながら運転方法や免許の返納などについて話し合うきっかけにするのも良いでしょう。

また自分の家族に高齢者がいない方もドライブレコーダーをつけておくべきです。万一高齢者相手の危険な事故に巻き込まれたとき、ドライブレコーダーがあれば事故状況を正確に保存して、後に示談交渉や損害賠償請求をするときの証拠として使えるからです。

免許を返納する、させる

70歳を過ぎて高齢になってきたら、自主的に免許を返納することをお勧めします。今は地方であっても宅配サービスなどもありますし、多くの地域で車無しで生活できるようになっています。
自分では「まだ運転できる」と思っていても、実際には動体視力、聴力、判断能力、認知能力、瞬発力(反射神経)などが衰えているものです。無自覚に運転していると交通事故を引き起こしてしまいますので、早めに免許を返納するくらいがちょうど良いのです。

家族に高齢者がいて自分から返納をしない場合には、周囲が本人に返納を勧めてあげましょう。

安全運転を意識する

高齢になって身体能力や認知能力が低下しても、本人が自覚せず返納を拒絶するケースも多々あります。周囲が無理矢理免許の返納を求めると、かえって意固地になる場合もあるので注意が必要です。

本人がどうしても運転を辞めないなら、意識して安全運転をさせることを考えましょう。たとえば運転前には必ず体調を確認させること、家の周辺などのよく知っている範囲の道しか走らせないこと、複雑な道や細い道、人通りの多い場所や交差点などを避ける工夫などが考えられます。

これからの高齢者運転社会に備えるには

これからの日本社会では、高齢者の人口比率がどんどん増えることがほぼ確実です。

安全装置の開発も、まだまだ発展途上ですし法律の整備も十分ではありません。政策や立法、安全制御システムなどによって十分な対策がとられるのは随分と先になる可能性があり、自分の身は自分で守る必要があります。

高齢者が事故を起こすと、被害者やその家族が悲劇であることは当然ですが、高齢者本人やその家族の人生も壊れてしまいます。

高齢者運転の危険性を国民全員がしっかり認識し、積極的に対応を考え対策していくことが重要と言えるでしょう。

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