自動車税の滞納を甘く見ると危険!差し押さえと延滞金の全知識【2024年版】

自動車を所有していると、年に1回必ず支払わなければいけないのが自動車税です。

自動車税の税額は排気量によって1万円から数万円程度ですが、うっかり支払いを忘れてしまったり他の出費が重なったりしてつい滞納してしまうこともあります。

自動車税を滞納すると「延滞金」がかかり、滞納が続くと最終的には、財産を差し押さえられてしまうこともあり、注意が必要です

この記事では自動車税を滞納しているとどうなるのか、延滞金はいつからか、免除されるのか、差し押さえられるのか、時効はあるのかなど分かりやすく解説いたします。

自動車税の延滞金の基本

自動車税とは

自動車税は毎年4月1日時点での自動車の車検証上の所有者に支払い義務が発生する税金です。
自家用車の自動車税は総排気量により税額が決まり、総排気量が多ければ多いほど高くなります。

最近増えている低燃費の車の場合、総排気量は1,000~1,500ccに収まり税額は34,500円となります。

ただし新車などを購入している場合は月割で計算する必要がある場合はあります。

なお、2019年10月1日に予定されている消費税10%への増税時に自動車税率の引下げがされることになっており、負担が軽減されます。

自動車税の納付期限は、原則として5月31日ですが、地域によって異なるでしょう。

納付書に記載されている納付期限内であれば、銀行やコンビニ、各県税事務所、自動車税事務所で支払うことができます。

自動車税の延滞金はいつから発生する?免除される?

延滞金はいつから発生するのか、また免除されることはあるのでしょうか。

実際のところ、納付期限の翌日の「6月1日」から日割りで発生してしまいます。

ただし「1,000円未満は切り捨て」となり、結果的に999円までは延滞金はかからないのです。

つまり実際的に延滞金が発生するまで、ある程度の猶予期間・免除期間が設けられています。

自動車税の延滞金の年利|2023年版(令和5年)

自動車税を滞納していると延滞金を支払う義務が発生し、負担が大きくなります。

自動車税の延滞金は年によって異なります。

また納付期限から1か月までと1か月以降で違う税率が設定されていることに注意してください。

適用期間  納付期限から1か月以内 納付期限から1か月以降
令和5年 2.40% 8.70%
令和4年 2.40% 8.70%
令和3年 2.50% 8.80%
令和2年 2.60% 8.90%
平成31年(令和元年) 2.60% 8.90%
平成30年 2.60% 8.90%
平成29年 2.70% 9.00%
平成27年~28年 2.80% 9.10%
平成26年 2.90% 9.20%

参考:「国税庁

具体歴な計算例|普通自動車(34,500円)の場合はいくらか

では、税額が34,500円の場合、延滞金はいくらになるか、具体的に計算を行ってみましょう。

もし2か月延滞したとすると、年率は8.9%となりますので計算式は次のようになります。

34,500×0.089÷365×60=504円

この場合は1,000円未満ですので切り捨てとなり、支払い義務は生じません。

では4か月滞納した場合はどうでしょうか。

34,500×0.089÷365×120=1,009円

ここで初めて1,000円の延滞金が発生します。つまり、税額が34,500円の場合は8月末になって初めて延滞金が生じることになります。

「意外と安いじゃないか」「8月末まで延滞金がかからないなら、今すぐ支払わなくても大丈夫だろう」と思われるかもしれませんが、排気量6,000cc以上の車など税金が高額な場合には2か月程度で延滞金が発生しますので注意が必要です。

■YouTubeでも解説しています。

自動車税はいつまで滞納できる?差し押さえのリスク

差し押さえとは

自動車税を延滞しているときもう一つ問題となるのが差し押さえです。

差し押さえとは、金銭の支払いがなされない場合に不動産や車といった財産や給与などの債権の処分が禁止さえることをいいます。通常、差し押さえをするためには裁判を提起して判決を得る必要がありますのが、自動車税を含む税金の場合は裁判なしで差し押さえができるとされています。

また差し押さえを受けると、信用情報機関に個人情報が載り、クレジットカードを作ったり住宅ローンを組むときの審査で不利になるデメリットもあります。

差し押さえまでの期間は、最短1ヶ月って本当?

では、どれくらい滞納していると差し押さえになるのでしょうか。いつまで滞納できるのでしょう。地方税法には

・納付期限後20日以内に督促状を発送し、発送後10日経過したら差し押さえが可能

とされています。つまり法律上は滞納してから1か月で差し押さえができることになります。

ただ実務上は、1か月の滞納で差し押さえを行うことはほとんどないのが実情ですので、過度に不安を感じる必要はありません。

差し押さえの段階と流れ

自治体によって異なりますが、差し押さえの流れはだいたい次のようになります。

STEP1:督促状が届く

滞納から1か月程度で督促状が届きます。

督促状とは「納付期限が過ぎていますので、20☓☓年☓月☓日までに、お支払いください」という内容の文書です。

督促を行うための費用がプラスされる場合がありますが、この時点ではまだ延滞金は発生していない場合がほとんどです。

また督促状には納付期限が書いてありますが10日前後しかない場合が多いので注意が必要です。

それでも支払いをしないでいると、督促状は数回にわたって送付されることがあります。

STEP2:催告書・警告書が届く

督促状が届いたにもかかわらずこれを無視していると、8月頃に

・「納付期限が過ぎているので20☓☓年☓月☓日までに支払うように。支払わない場合は法律に基づいて財産の差し押さえを行う」
・「20☓☓年☓月☓日までに納付されなければ、あなたの財産の調査を開始する」

という内容の文書が届きます。文書のタイトルは「差押予告書」「差押予告通知書」「通告書」など様々です。

この場合、支払い期限を過ぎてしまったらいつ差し押さえをされてもおかしくないと考えましょう。

STEP3:「差押調書」の予告|その後差し押さえが始まる

自治体が差し押さえの手続を開始すると、「差押調書」が予告として届きます。差押調書にはいつ何が差し押さえられるか書いてあります。

差し押さえを避けるためには滞納している自動車税を支払うしかありません。

いつ差し押さえが行われるかは自治体によって大きくことなりますので一概には言えませんが、地域によって「滞納整理強化期間」があり、その時期に行われることが多いです。

滞納整理強化期間については自治体のホームページや広報物で周知されるのが一般的です。

差し押さえ体験談!具体的内容とは

「差し押さえ」と言われても具体的にどのような手続なのかイメージが湧かない方も多いかと思います。ネット上に体験談などもありますが、原則差し押さえの手続は差し押さえられるものによって異なります。

給与|会社に連絡でバレる

給与の差し押さえは、裁判所が勤務先に対して「差押命令正本」の通知を送付することで行われます。

これにより勤務先は、差し押さえられた分を自治体に払うか、または法務局へ供託するなどの義務が発生します。

給料の差し押さえについては、給料(税金等を控除した残額)の4分の1までが差し押さえの対象になると法律で定められています。

もし税金等を控除した後の給料の金額が24万円だとすると、1か月に差し押さえができる金額は6万円となります。1回の差し押さえで支払い切れなかった場合には翌月の給与が差し押さえられることになります。

このように、給与が差し押さえられると税金の勤務先に連絡でバレてしまうことになります。勤務先にバレると困るという方は差し押さえがされる前に納付を行いましょう。

預金口座

預金口座が差し押さえられる場合もあります。この場合は滞納者の預金口座から自動車税と延滞金が徴収されることになります。

自動車

自動車が差し押さえられた場合、都道府県税事務所または役所の職員が滞納者の自宅を訪れて「差押書」を渡されます。

差押書には

・「滞納している税金を徴収するため、車を差し押さえる」
・「履行期限までに納めないと、車を引き上げる」

という内容が記載されています。そして滞納者が立ち会いのもとで職員がタイヤロック、ミラーズロック等をして車を動かせないようにします。

これを破棄して強引に車を動かした場合には封印等破棄罪で逮捕される可能性があるので注意してください。

車がロックされても納付されない場合は、車は引き上げられてオークションにかけられ、落札されたお金で納税がなされることになります。

自動車税を滞納した場合の支払い方法

「差し押さえは困るので納付したいが、納付期限が過ぎてしまった」という場合はどうすればいいのでしょうか。

納付書に記載されている納付期限が経過すると、コンビニ払いやインターネットでのクレジットカード払いができなくなることがあります。

■参考URL
自動車税をクレジットカードで支払うとポイントが貯まってお得!

ただし、この場合でも金融機関に納付書を持っていけば最初に送られた納付書で支払いが可能です。

また督促状が届いている場合にはそれを使ってコンビニで支払いができることもあります(※自治体によって異なる)。

なお納付書を紛失してしまった場合には、自治体に連絡をして再発行を依頼するしかありません。

自動車税に”時効”はあるか?

「ずっと支払わずにいれば時効となって支払い義務消えるのではないか」と考える方もいらっしゃるかもしれません。

法律上、自動車税の時効は5年ですので、5年間支払いをしなければ時効が成立する可能性は理論上はあり得ます。

しかし、課税当局が催告や捜索を行ったり、滞納者が支払い義務があることを認めたりすると、その時点で、時効は中断されます。

したがって、たとえ10年たったから時効だ!と思っても、失踪してしまったり特殊な生活をしない限りは、自動車税の時効が成立することは実質的にあり得ないと考えましょう。

自動車税がどうしても払えない場合は?分割納付できる?

どうしても自動車税の支払いができない場合にはどうすればよいのでしょうか。

実は、県税事務所に相談すれば自動車税は分割での納付を認めてもらえることがあります。

その場合はまず県税事務所に連絡し、現在の生活状況がわかる書類を持参して、県税事務所の担当者を訪問します。

支払いに困った方は消費者金融などで借り入れを行って一括で返そうと思うかもしれませんが、利息を考えると県税事務所に相談して分割で払った方が支出が減る場合も多いです。

なお、仮に借金を帳消しにすることができる自己破産の手続をしたとしても、自動車税は免責されず、踏み倒すことができません。

まとめ

自動車税を滞納した場合の延滞金や差し押さえの手続についてご理解いただけたでしょうか。

延滞金はそこまで大きな負担ではありませんが、滞納が長引けば長引くほど積み重なっていきます。

また、「消費者金融からの借り入れと違って税金はそこまで厳しい督促が行われないのではないか」と思われるかもしれませんが、実際は自動車税を滞納すると厳格に手続が進められます。

納付期限を大幅に経過してしまったときには絶対に放置せず、県税事務所に相談するようにしましょう。

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