物損事故の損害賠償の範囲【超入門3分でわかる!】

物損事故損害賠償

交通事故には大きく2種類、人身事故と物損事故があります。人身事故の場合は、入院・治療費等の実費以外に慰謝料を請求できますが、物損事故の場合は、車両や建物の損害しか損害賠償請求ができません。これが人身事故と異なる点ですので覚えておきましょう。

物損事故とは死傷者が出ず、車両や建物等の損壊を起こした事故をいいますが、損害賠償の点において人身事故とは大きな違いがあることを覚えておいてください。

物損事故と人身事故との違い

自賠責保険が効かない

人身事故の場合と違って、物損事故の場合は自賠責保険からは保険金が支払われません。物損事故には自賠法が適用されないからなのですが、物損事故に遭った場合は被害者側から直接、相手側の任意保険会社や相手本人に、損賠賠償を請求しなければなりません。

物損事故は過失割合が問題になる

人身事故の場合は、加害者に賠償義務があります。しかし物損事故の場合は、損害の大小に関係なく、当事者の双方に過失(不注意や交通違反など)があれば過失割合に応じてお互いの損害を負担しなければなりません。

たとえば車同士の衝突で、あなたの被害額が80万円、相手の被害額が50万円だった場合、単純に引き算してあなたが30万円を請求できるわけではないのです。あなたにも不注意があったのなら、過失の度合いに応じて請求可能な額が減るのです。

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被害者側に損害の立証責任がある

事故の原因が相手側にあるとして過失割合を争う場合、相手側の故意や過失をあなたが立証しなければなりません。

物損事故の損害賠償の範囲

修理費

事故で生じた損傷を、事故前の状態に修復するための修理費が認められます。賠償額の認定基準は、必要性・相当性の認められる範囲内ですので、「修理に出すと価値が下がるから新車で弁償しろ」などという要求は認められません。

車が修理可能な場合は、修理費がそのまま損害額になるので一見話は単純に思えますが、修理費を査定してくれる公的な機関がないので、相手側から請求された損賠賠償額に納得いかない場合は、あなたがその修理工場に減額交渉をするか、相手側に修理工場を変更してもらうようお願いするしかありません。

保険会社がやってくれるのは、専門の調査員を派遣して修理工場と修理費の交渉をすることぐらいです。

加害者からすれば、「その程度の傷でなぜそんな高額な修理をする必要があるんだ」と思いがちです。

しかし被害者側にも車が長く使えなくては業務に影響したり、地理的に選択できる修理工場が限られているなど言い分があるでしょう。結局お互いの利害が対立したまま交渉がスムーズに進まず、「もうこの額で手を打とう」と泣き寝入りをしてしまうことが多いのです。

時価額(再取得額)

事故車が修理不可能または、時価額(再取得価格)より修理費のほうが高くついてしまう場合(全損)は、時価相当額を請求することができます。

いざ修理に出したものの、破損が激しく、修理費が自動車の時価額より高くなってしまう場合があります。例えば、事故当時に中古車センターで80万円で販売されていた自動車が物損事故を起こして修理費が50万円程度と見積もられていたのが、修理工場でよくよく検査したところさらに修理が必要な箇所が見つかり、結局100万円もかかってしまったような場合です。この場合、差額の20万円は、残念ながら原則として加害者側に請求することはできません。

修理費が時価額を上回った場合

修理費が事故当時の時価額(再取得額)を上回った場合は、原則として時価額が損害額となってしまうのです。例外として、中古車として出回ってない希少な車の場合は、修理費が時価額を上回っても請求が認められることがあります。この場合は、購入価格から減価償却によって時価を算定する方法をとることがあります。

一般に保険会社が提示する時価額は、中古車センター等での買い取り価格よりも低いのです。ですから、賠償金を受け取っても同じ車が購入できることは期待できないでしょう。また、同じ車が中古車市場に出回っていない場合は減価償却によって時価額が決まりますが、やはり同等の車を購入するには足りないでしょう。

間接損害

修理費が時価額より高くなった場合の損失だけでなく、物損事故には間接的な損害が他にもあります。

代表的な損害として、事故車が会社の営業車で、修理期間中にレンタカーを借りて代用した場合の費用や、営業機会の損失など収入の減少に直結した場合です。このような場合は、代車料、休車損害、格落ち損等が算定されることがあります。

格落ち損

格落ち損とは、修理をしても外観や機能面で事故前と同じ状態に復元できずに、査定額が下がってしまうことを言いますが、なかなか格落ち損は認められないと思ったほうがよいでしょう。裁判所は格落ち損の認定に否定的で、認定された場合でもせいぜい修理費の10%~30%程度です。

代車費用

代車費用とは、車を修理に出して戻ってくるまでの間は、車が使えませんから、レンタカーを借りたり電車など他の交通機関を利用することが多いと思います。この場合の、レンタル費用や交通機関の利用費を代車費用として請求できます。請求できる期間は買い替えに必要な期間に限られ、代わりの交通手段を使う必要性がある場合にしか請求できないことを覚えておきましょう。目安は、中古車なら1~2週間、新車なら1ヵ月程度です。

つまり、請求できる期間は事故車の修理に必要な期間に限られ、代わりの交通手段を使う必要性がある場合にしか請求できないことを覚えておきましょう。例えば、修理するかしないかで保険会社ともめてしまって修理が遅れてしまった場合、最初から修理に出しておけば修理が終わっていたと思われる期間を過ぎた分は請求が難しくなります。また、普段は電車通勤していて車は休日の買い物に使うだけなら、本当に車が必要な日数分しか認められません。

休車損害

休車損害とは、代車費用とは別途、営業車などが修理期間中使用できなかったことによって業務上の損失が生じた場合に、損失分を賠償請求することができます。

ただし、損害が少ない場合や、別の車を使えば損害が回避できた場合には請求は認められません。また、請求をするには事故前の売上・経費に関する証拠資料を用意しておく必要があります。

積載物が損傷した場合

車本体だけでなく、積載物が損傷した場合は時価相当額を請求することができます。同乗していたペットが死亡した場合は時価額のみ請求できますが、ペット用のシートベルト等の安全対策を講じていなければ、飼い主の管理責任が指摘されて過失相殺される場合があります。

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物損事故で慰謝料は請求できない

コツコツ貯金をして、やっとの思いで高級車を購入しました。大切に乗っていたのですが、購入からたった3ヶ月後に、後ろから追突されてしまいました。私自身に怪我はなかったのですが、買ったばかりの高級車を事故車にされて大変落ち込んでいます。こんな精神的な苦痛に対して、慰謝料を請求できないでしょうか?

交通事故の相談の内容で多いのが、「物損事故と慰謝料」の問題があります。

物損事故とはなにか

物損事故とは「物が損壊した交通事故」というイメージがありますが、正しくは「人が怪我をしなかった交通事故」という認識が厳密に言うと正しいのです。
つまり、分かりやすく書くとこのようになります。

人身事故=人の怪我+物の損壊
物損事故=物の損壊

そして、慰謝料が請求できるのは「人の怪我」に対してのみが原則です。よって物損事故の場合は慰謝料を請求する事ができません。

物損事故は慰謝料が請求できない理由

これはさまざまな考え方がありますが、例えば人が怪我をした場合、現代の医療技術であれば、限りなく元通りの状態に治癒することが可能でしょうが、それでも人の体を完全に交通事故前と全く同じ状態に戻す事は不可能です。また、その治療の過程で伴う精神的苦痛もかなりのものとなります。ですから、人身事故に慰謝料が認められるのは当然です。

これに対し、物損事故の場合、車などの「もの」については、人が手を加える事で「元通りに直せる」または「同等のものに買換える事ができる」ことで、「もの」に対する被害は回復するという考え方があります。

精神的な被害も発生しない

修理費や買い換え費用を負担する事で被害が回復するのであれば、精神的な被害も発生しない、もしくはそれによって同時に回復する、だから慰謝料が発生しないのです。実際に過去の裁判事例でも、物損事故に対して慰謝料が認められたケースというのはほとんどありません。

これは弁護士に相談しても同じ事で、上記のようなケースを弁護士に相談したとしても、おそらく「それは無理ですね」と即答されるでしょう。ただ、その代わり以下のような損害については認められる可能性があります。

評価損

これは慰謝料ではなく「評価損」という扱いになります。評価損とは、まだ新しい車が交通事故にあったことによって「事故歴」や「修理歴」がついてしまい、売却する際の実質的な値段が下がってしまう事に対する損害の事です。

仮に交通事故の1日前にその車を売却していたとすれば100万円で売れていたはずが、交通事故によって修理歴のレッテルを貼られてしまい、今売ったとしても60万円程度の価値しかなくなってしまったというような場合に、40万円ほどの評価損が発生している事になります。

判例では、時価の1割や修理代の3割程度を評価損として認定しているケースがあります。

ただこの評価損は、必ず認められるわけではなく、被害者の車が新車、高級車などもともとの評価が高い車であり、かつ、交通事故に強い弁護士に依頼をして裁判上で認められた場合でなければ、ほとんどの場合加害者側がその支払いを拒否します。ですから、もしも評価損を請求したい場合は、必ず交通事故に強い弁護士に相談しましょう。

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物損事故で慰謝料が認められたケース

「物損事故は慰謝料が認められない」これが大原則ですが、過去の判例で少なからず物損事故で慰謝料が認められたケースがあります。ただ、これは車を損壊されたのではなく、加害者が一般の民家に突っ込んだという交通事故の場合です。

人が寝静まった深夜に、運転を誤った車が民家に突っ込み家の壁などを破壊したようなケースでは、一定の慰謝料が認められています。ただし、これは「家を壊された」という物損部分に対する慰謝料としてではなく、家を壊されたことで、「その後の日常生活に大きな精神的苦痛を与えた事」に対する精神的被害を慰謝料として認めた事例です。

家の壁を壊されたら、翌日にすぐに直して元通りの生活をする事は事実上不可能でしょうから、精神的苦痛が発生するのも分かりますよ。ですからこの事例をもって物損被害に対して慰謝料を請求できるとは強く言えないでしょう。

例えば、ものを壊されたことで、それを修理するまでに何らかの精神的苦痛を伴う場合で、それが一般的に受忍できるレベルを超えるような特別な場合は、認められる余地があるかもしれません。ただそれには裁判上かなり高度な主張が必要になるため、少なくとも交通事故に強い弁護士のサポートは必要不可欠でしょう。

物損事故で自宅の一部を壊された場合

私は物損事故の被害者です。事故車両がビルに突っ込んできてビルのシャッター部にぶつかったため、シャッターの動きが昔と比べてスムーズではなくなってしまいました。またそれに加えて、作動中に耳障りな音が鳴るといった不具合も起きています。
今後、加害者側が保険を使って修理する予定ですが、保険会社にはこちらの要望をどこまで聞き入れてもらえるのか不安です。例えば最悪総取り替え等にも対応してもらえるのでしょうか?

今回のように物損事故によって、加害者に自宅の塀を壊されたり、自宅自体を破壊された場合も、当然加害者側にその損害賠償請求が可能です。ただ、問題はその補償される範囲です。今回のケースでは、被害者が最悪総取り替え費用まで希望していますが、現実的にはそれは難しいでしょう。なぜなら、物損事故の損害賠償において、保険会社が補償する範囲は、その物の「時価」が上限となります。時価とはその物のその状態での評価額です。

減価償却された後の金額が補償される

例えば10年前に取りつけたシャッターであれば、その取りつけ費用に100万円かかっていたとしても、現在の時価としては100万円の価値はないため、減価償却された後の金額が補償されるのみです。ですから、万が一シャッターが完全に動かなくなった場合でも、保険会社が面倒を見てくれる金額は、シャッターの時価相当額が限度であり、シャッターの総取り替え費用(再調達価格)が補償されるわけではありません。

また、法的にも、加害者は時価相当額を賠償する事でその責任を果たした事になります。どこか納得のいかない部分もあるかもしれませんが、逆にシャッターの総取り替え費用を保険会社が負担すべき、と仮定したらどうなるのか。

シャッターを壊された被害者からすれば、タダで新品のシャッターに交換出来るため、
「事故に遭って、かえってラッキーだった」
というおかしな状態になってしまいますよね。

ですから、損害賠償上は、物に対する損害については、再調達価格ではなく「時価」が上限となっているのです。

他に加害者に請求する事は出来ないの?

壊されたシャッター自体の損害に対して請求出来るのは、前述した所までです。ですが例えば、車がビルに突っ込んだせいで、1階店舗が営業出来ないくらいめちゃくちゃにされた場合は、その間の休業損害として、店の売り上げ相当額や、従業員への給料なども補償の対象となります。被害者自らがこれらの損害を立証する事で、加害者側に請求する事は可能です。

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