長期入院の家族の「お見舞い交通費」は加害者に請求できるのか?

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遠方からのお見舞いの交通費

私は東京で就職して一人暮らしですが、実家は大阪です。既に父が他界していて、母一人で暮らしていました。その母がこの度不運にも交通事故被害に遭ってしまい、診断の結果「長期入院」が必要となってしまいました。

遠く離れた実家の両親。既に父は他界し母独り。その母が交通事故被害に遭って長期入院となり、定期的に、東京から大阪へお見舞いに行くことになったら、交通費は加害者に請求できるのでしょうか?

「交通費」を加害者側へ請求

交通事故によって病院に通院が必要となった場合、その際の「交通費」については「入通院交通費」として加害者側に請求する事が可能です。

ただし、原則的には公共交通機関を利用する必要があり、タクシーなどを利用する場合はその必要があると医師から指示があったような場合に限定されます。また、車で通院が必要であれば、ガソリン代や必要に応じて高速道路代なども請求が可能です。

ただし、これらはあくまで「被害者本人」が入通院する際に支出した費用に対する補填です。では、上記事例のように、被害者本人ではなく、その家族がお見舞いに行くために支出した交通費についてはどうなるのでしょうか。

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家族の「お見舞い交通費」の判定がきわどい!

上記事例のように、交通事故によって長期的な入院が必要となり、定期的にお見舞いが必要となったような場合に、加害者に対してそのお見舞いの交通費は請求できるのでしょうか。
ここでのポイントは、「お見舞い」の概念です。

例えば、被害者の様子をただ伺ったり、単に雑談をするためだけに病院に行く事を「お見舞い」とするのであれば、それにかかった交通費については加害者に請求する事は難しいでしょう。これについては、別途請求可能な「付添い費」や「看護料」、「入院雑費」などに含まれるものとして判断される可能性が高いからです。

交通事故による損害は、細部にわたるまで補償されるべきものですが、どこで「線引き」をするかの判断も非常に重要なのです。そのため、家族が両親の入院を見舞うためだけに行った際の交通費については、別途請求する事が難しいでしょう。ただし、次のような事情がある場合については請求できる可能性があります。

「付添い」や「看護」としてのお見舞いの場合

交通事故によって脳に障害が残ったりなど、重篤な症状が残った場合において、家族が遠方に住んでいるようなケースでは、被害者家族は非常に大変な負担を被る事になります。上記事例で、子供の定期的な看護や付添いが必要と医師が判断するような場合については、東京大阪間の交通費について加害者側に請求できる可能性が出てきます。

つまり、「交通事故に遭ったことによって怪我をした。それによって看護や付添いが必要になった」というように、家族が見舞いにくる交通費と交通事故との間に強い「因果関係」が生じれば、看護料や付添い看護費などとは別に家族の交通費を請求できる可能性が出てきます。

単なる様子伺いのお見舞いの場合は、この因果関係や見舞いの必要性について、客観的な根拠に欠けるため、別途請求を退ける傾向にありますが、医学的に見て家族の看護や付添いが一定周期で必要となる場合については、場合によっては交通費の請求が認められるかも知れません。

過去の判例

過去の判例でも、そういった交通費を認めたことがあります。

例えば札幌地裁で実際にあった裁判例では、脳挫傷等を負った被害者へのお見舞いにかかる交通費として、約60万円の賠償命令が加害者に下されました。

交通事故がなければ発生しない出費ですし、距離や交通手段によっては1回の往復で10万円以上かかることもありますので、被害者側の家族が全額負担というのは経済的にも厳しく到底納得できないかも知れません。もちろん際限なく請求できるわけではありませんが、被害者の怪我の重さによっては加害者側の保険会社に請求できる場合があります。

弁護士相談

但し、仮に認められたとしても、見舞いの頻度や利用する交通機関の妥当性については細かく検証される可能性が高いため、もしも加害者に家族のお見舞い交通費を請求するのであれば、交通事故に強い弁護士に相談の上、必要な証拠資料を事前に準備するようにしましょう。

支出した交通費の領収書を出しただけで、すぐに支払ってもらえる程、お見舞いの交通費の請求は簡単な事ではないということをよく覚えておきましょう。ただし保険会社は交渉のプロですから、過去の裁判例や怪我の重さ等を証明する「根拠」を揃えて交渉しなければなりません。交通事故専門の弁護士に交渉を委ねるのが最も確実な方法と言えます。

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