交通事故と因果関係|自賠責は否定する?素因減額とは?判例はある?
ケガや病気を抱えている人が不運にも交通事故の被害者となって、さらに後遺障害に苦しむ場合もあります。交通事故賠償で既往…[続きを読む]
この記事では、追突事故における、ヘルニア持ちの腰痛の悪化や素因減額、因果関係などについて解説します。
交通事故の前から、ヘルニア持ちだった場合、事故が原因でヘルニアになったわけではないので、慰謝料などが減額されそうに感じている方もいるでしょう。
今回は、椎間板ヘルニアと事故の因果関係と、追突事故でヘルニア持ちが腰痛悪化した場合どうなるのかを解説します。
後遺障害の損害賠償が認められるためには、追突事故に巻き込まれた後、事故と後遺障害の症状との間に「因果関係」があることが重要な条件となります。
この因果関係は、事故が直接的または間接的に後遺症の発生や悪化に関与していることを示す必要があります。
しかし、相手の保険会社が、この因果関係を認めずに争いとなることが多いのです。
例えばヘルニアの発症部分に加齢による変性(異常)が発見された場合、保険会社は「被害者が事故前からヘルニアを患っていたのだ!」と追突事故とヘルニアの因果関係を否定することができます。
しかし、仮にヘルニアが事故前に存在していた(既往)、つまりヘルニア持ちだったとしても、事故の前は痛みやしびれはなかったのであり、事故による衝撃などがきっかけ(原因)となって悪化し、痛みやしびれの症状が発症してしまったのだと主張することは可能です。
このように保険会社が追突事故との因果関係を否定した場合でも、弁護士が訴訟を提起して裁判所に後遺障害を認めさせたケースは決して珍しくないのです。
ヘルニアが事故前から存在し、ヘルニア持ちで腰痛が悪化しましたということを予め認めてしまうことは、被害者に不利を及ぼす「素因減額」をされてしまう可能性があります。
素因減額とは、後遺障害という被害の発生や拡大に被害者側の精神的、肉体的な要素(素因)も寄与していると認められて「損害賠償額を一定割合減額」されてしまうことです。
追突事故と既往のヘルニアという両方がなければ後遺障害とはならなかったのですから一定割合減額することが公平と判断されるのです。減額の割合は事案によって5%から80%以上まで様々です。
素因減額は、過失相殺と同様に損害賠償の総額に対して一定割合を減額するので、全体の賠償額に大きな影響を与えます。
そこで、弁護士としては、適正な主張、立証を行うことを選択します。
被害者に有利な賠償を受け取るために、どのように主張を組み立てることが最善かは、追突事故に関する法的知識と裁判実務経験に基づいて判断する必要があるため、一概に解説はできません。
既往症についての素因減額の基準や、素因減額されないケースについてもっとお知りになりたい方は、下記の関連記事を是非ご覧ください。
上記解説の通り、ヘルニア持ちの状態が事故で悪化した場合や因果関係が疑念を持たれる場合は、非常に複雑な問題となります。
そのような状況では、必ず弁護士に相談することが非常に重要です。
弁護士は追突事故にまきこまれた方、ヘルニア持ちで因果関係に悩む方の権利を守り、適切な法的戦略を立ててくれます。
また、医療証拠や、保険会社との交渉、法廷闘争などを代行してくれるでしょう。
したがって、ヘルニア持ちが事故によって悪化した場合や因果関係に疑念がある場合、迅速に弁護士に相談し、適切な法的支援を受けることが大切です。
今回は、追突事故などで外傷性の椎間板ヘルニアになって腰痛が発症した場合やヘルニア持ちが事故後悪化した場合の注意点、因果関係、12級に認定されるにはなど適正な後遺障害等級認定などについて解説しました。
正しい賠償金を受けるためには、様々なポイントがあり、なかなか被害者お一人で解決できる問題ではありません。ましてや、相手は交渉に長けた保険会社です。
もし、追突事故の頚椎椎間板ヘルニアで悩んでいたら、是非、追突事故に強い弁護士に相談されることをおすすめします。