被害者必見!自転車事故の損害賠償額と慰謝料は何故こんなにも高い?

自転車事故_被害者_損害賠償

自転車が加害者となる交通事故で、1億円近い高額の賠償金を命ぜられるケースが発生しています。

「自転車なのに?」と驚く方が多いですが、残念ながら事実です。

この記事では、自転車事故の損害賠償額が高額となる理由、被害者が利用できる補償などについて説明します。

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自転車事故における加害者への賠償請求の事例

裁判例|自転車事故の最高賠償額は約1億円(※)

(※)この原稿が作成されている2020年6月23日現在

まず、自転車が加害者となった交通事故で高額の賠償額が認定された裁判例を見てください。

賠償額判決日裁判所被害者被害内容
19521万円平成25年7月4日神戸地裁62歳女性意識障害(植物状態)
29266万円平成20年6月5日東京地裁24歳男性言語機能の喪失など
36779万円平成15年9月30日東京地裁38歳女性脳挫傷等による死亡事故
45438万円平成19年4月11日東京地裁55歳女性頭蓋内損傷等での死亡事故
54746万円平成26年1月28日東京地裁75歳女性脳挫傷等により死亡事故

【出典】「知っていますか?自転車の事故~安全な乗り方と事故への備え~(2019年9月改訂版)」(一般社団法人日本損害保険協会)9頁

このうち、「2」の事例は自転車同士の衝突事故ですが、その他はすべて「自転車が歩行者(被害者)に衝突」した事故です。

約5000万円の事例から最高額は1億円近くまで、驚くほど高い金額が並んでいます。おそらく一般の方は、「えっ!?自転車なのに?こんなの払えない!」と思われるでしょう。

「自転車の運転者が、スマホを見ながら、よほど悪質な走り方をしていたのではないか?」、「そうでなければ、自転車の事故で、1億円近い責任を負うはずがないのでは?」という意見もありそうです。

しかし、そのような考えは、すべて間違いです。

損害賠償は、被害者が被った「損害」を補償する制度です。加害者が四輪車であろうが、自転車であろうが、被害者が受けた損害の内容が同じであれば、補償しなくてはならない金額は同じです。

それゆえ、自転車が加害者となった事故でも、四輪車やバイクが加害者となった事故でも、賠償額の算定方法、算定基準は全く同じなのです。

自転車事故の損害賠償額に上限はあるのか?

では、上の裁判例で見るように、自転車の事故の場合、賠償額は1億円程度が上限なのでしょうか?

ここで、自転車事故に限らず、交通人身事故で高額賠償が認められた裁判例を見てみましょう。

賠償額判決日裁判所被害者被害内容
15億2853万円平成23年11月1日横浜地裁41歳男性
(開業医)
死亡事故
24億5381万円平成28年3月30日札幌地裁30歳男性
(公務員)
後遺障害
34億5375万円平成29年7月18日横浜地裁50歳男性
(コンサルタント)
後遺障害
44億3961万円平成28年12月6日鹿児島地裁58歳女性
(専門学校教諭)
後遺障害
53億9510万円平成23年12月27日横浜地裁21歳男性
(大学生)
後遺障害

【出典】「2019年度・自動車保険の概況」(損害保険料算出機構)151頁、第42表「交通事故高額賠償判決例(人身事故)」から抜粋

4億円から5億円という数字が並んでいます。

ここから、「ほら、四輪車の事故の方が賠償額が高いではないか。自転車の事故の賠償額は安いじゃないか。」と思われるかもしれませんが、それも間違いです。

賠償額の高低は、加害者の乗物によって左右されるのではなく、被害者の受けた「損害」の金額に左右されます。

例えば、上表の最高額である「5億2853万円」の事例では、41歳と働き盛りの開業医が死亡した事故ですので、逸失利益が高額となったことが全体の賠償額を押し上げたと推測できます。

これに対し、先の自転車の事故での「3」「4」「5」の各死亡事故では、開業医ほどの年収はなく、また残された就労可能期間が短い(「4」「5」)ことが逸失利益に影響したものと推測できます。

つまり、上の例の「41歳開業医」の被害者が、自転車事故で亡くなった事例であっても、5億円を超える賠償額となり得るのです。

自転車事故で、4億円、5億円といった高額の賠償額になる事例が、いつ起きてもまったくおかしくはありません。自転車事故の賠償額に上限はないのです。

自転車事故の被害者が死亡したら賠償金が払えないほど高額になる?

被害者が死亡すると高額となりますが、「死亡しなければ、払えないほど高額とはならない」というのは間違いです。

加害者が自転車の場合でも、四輪車やバイクの場合でも、交通人身事故は、次の3つに分けることができます。

  1. 死亡事故
    被害者が死亡した事故
  2. 傷害事後
    被害者が怪我をしたが、治療で治った事故
  3. 後遺障害事故
    被害者が生きているが、怪我の後遺障害が残った事故

この3つを比較した場合、通常は、次の関係が成り立ちます。

  • 1. 死亡事故の賠償額 > 2. 傷害事故の賠償額
  • 3. 後遺障害事故の賠償額 > 2. 傷害事故の賠償額

これは、傷害事故の場合、治療費、入通院慰謝料、休業損害が主要な損害項目であるのに対し、死亡事故では死亡慰謝料(弁護士基準で2000万円~2800万円)と死亡逸失利益、後遺障害事故では後遺障害慰謝料(弁護士基準で110万円~2800万円)と後遺障害逸失利益が加わるからです。

したがって、自転車事故で被害者が怪我をしても、命に別状なく、怪我が治癒して、後遺障害が残らなかったケースならば、もっとも低い賠償額で済むと予想されます。

これに対し、1. 死亡事故の賠償額と3. 後遺障害事故の賠償額は、どちらの方が高額になるかはケースバイケースです。

例を設定して説明することにしましょう。

  • 被害者:男性会社員41歳
  • 被害者の年収:700万円
  • 被害者の家族:妻(主婦)・子供(中学生)

ケース1.死亡した場合

死亡慰謝料
一家の柱:2800万円(弁護士基準)

死亡逸失利益
700万円 ×(1-30%(※1))× 17.877(※2)= 8759万7300円

※1 30%は、被扶養者2名の場合の生活費控除率(弁護士基準)
※2「17.877」は就労可能年数26年に対応するライプニッツ係数(利率3%による)

死亡慰謝料2800万円 + 死亡慰謝料8759万円 = 約1億1559万円

ケース2.後遺障害(要介護1級1号)が残った場合

後遺障害慰謝料
2800万円(弁護士基準)

後遺障害逸失利益
700万円 × 100%(※) × 17.877 = 1億2513万9000円

※「100%」は後遺障害等級1級の労働能力喪失率

後遺障害慰謝料2800万円 + 後遺障害逸失利益1億2513万 = 約1億5313万円

死亡した場合と後遺障害等級1級の場合、慰謝料は同額です。しかし、死亡逸失利益では被害者の将来の生活費が控除されるのに、後遺障害逸失利益では生活費が控除されないため、後遺障害事故の場合の方が賠償金が高額となります。上の例では、後遺障害事故の方が、約3700万円ほど高額となっています。

また、要介護の後遺障害の場合、家族などによる将来の介護費も賠償しなくてはなりません。

弁護士基準では、家族介護費は1日8千円(年額292万円)を平均余命までの年数分支払うことになります。

介護に必要であれば、住宅の改築費や自家用車の改造費なども賠償しなくてはならず、非常な高額となりやすいのです。

したがって、「被害者は死ななければ高額にならない」などとは到底言えないのです。

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自転車事故における被害者の補償内容

では、もし、歩行者や自転車が自転車事故の被害に遭った場合、どのような補償を受けられるのでしょうか?

自賠責保険の補償は受けられない

自賠責保険とは、「自動車損害賠償保障法」によって定められた自動車ドライバー全員が強制加入する保険です。

文字通り、「自動車による人身事故」の被害者のみを対象にした保険であり、「自転車事故」には使えません。

後遺障害等級認定制度が利用できない

自動車事故による怪我で後遺障害が残ってしまった場合には、自賠責保険によって認定された後遺障害等級を基に損害賠償額の算定が行われます。

しかし、自転車事故は、自賠責保険の補償対象となっていないため、後遺障害等級認定の制度も利用できません。

政府保障事業は利用できない

自動車のひき逃げや、無保険車によって事故に遭った場合に場合に利用できる政府保障事業も利用できません。

残念ながら、自転車事故は、政府保障事業の対象外となっています。

自転車事故の人身被害を補償してくれる保険がある

しかし、自転車事故でも損害保険等で賠償金を補償してもらえる場合はもちろんあります。自転車事故の損害を賠償してもらえる保険には様々なものがあります。

  • 自転車事故に特化した自転車利用者向け保険
  • 自動車保険・火災保険・傷害保険の特約で自転車事故も補償対象とした保険
  • 団体保険・共済保険で自転車事故も補償対象とするもの
  • 公益財団法人日本交通管理技術協会のTSマーク保険(※)

※TSマーク保険については、日本交通管理技術協会のサイトをご覧ください。

しかし、これら保険が自転車事故を対象としていても、補償額には限度額があることが通常です。

例えば、補償限度額1億円の場合、賠償額が1億1000万円であれば、超過した1000万円は加害者本人に請求しなければなりません。

なお、慰謝料や示談交渉などについては、下記記事もあわせてご参照ください。

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まとめ

だからといって、自転車事故の被害者が悲観することはありません。ご自身やご家族が加入している保険に弁護士費用特約が付帯していれば、特約を利用できる場合があります。

ポイントは自動車事故だけでなく日常事故も補償しているかどうかです。弁護士費用特約が利用できれば、基本的に、「弁護士費用を気にせずに弁護士に依頼」することができます。

特に、加害者側の保険に示談交渉サービスが付帯していなければ、被害者は加害者と直接示談交渉しなければなりません。

自転車事故に遭ってしまったら、是非、弁護士費用特約を利用して、早めに弁護士にご相談ください。

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  1. 保険会社が提示した示談金・慰謝料に不満だ
  2. 事故の加害者・保険会社との示談交渉が進まない
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